2013年11月定例会 一般質問 11月29日  石坂千穂 

1.特定秘密保護法案について
2.リニア新幹線への対応について
3.中学生の部活の朝練習廃止について
4.生活困窮者支援について
5.発達障害児への支援について

1.特定秘密保護法案について

<石坂議員>
 質問に先立ちまして、昨日の藤岡議員の質問に、知事は、「国と県が同じ情報を保有していて、国が当該情報を特定秘密に指定しても、当該情報はそれぞれ別個に管理され、県としては当該情報を特定秘密に指定したことを知りうる立場にないので、影響を受けることはない」「情報公開制度にも一定の配慮がなされている」と答弁されました。
 しかし、知事が紹介されました法案10条1項、2項は特定秘密に指定された当該情報の利用は原則禁止で、情報公開もきわめて限定的であると定められています。地方公共団体の情報公開にも影響を与えかねない重大な中身の法案であるという明確な認識をお願いしておきたいと思います。

2.リニア新幹線への対応について

1、住民説明会や公聴会で出されているさまざまな意見、要望について、県としてどう受け止めているか。JR側の回答や説明で、根拠が明確でないものや説明不足の点があると思われるがいかがか。

<石坂議員>
 リニア中央新幹線への対応についてお伺いします。
 木曽郡南木曽町妻籠地区の説明会で、「妻籠を愛する会」の理事長が「トンネルを掘って水が無くなったとき、水源をどう保障してくれるのか」と質問したことに対し、JRは妻籠地区の飲料水の供給源でもある水道水源保全地区をトンネルが通過する計画にもかかわらず、トンネル掘削が水環境に与える影響は小さいと説明しました。ただ、保全地区内を走る馬籠峠断層には、水がたまりやすい破砕帯があり、集中的に湧水が発生する可能性があるとも説明し、水の流出を少なくする工法を採用し、着工後事後調査を行ない、減水などの兆候があれば、応急対策や代替水源の確保などの対策も取るということで、結局、やって見なければわからないがやってみて考えるということですから、これでは納得できるはずがありません。JR東海が地下水位への影響が生じる恐れがあるとして予測を検討したとされる水道水源は15箇所、このうち23箇所の井戸、地表への湧水15箇所についてJRは推移や流量の調査を行なっていますが準備書では4箇所の予測数値を公表しているのみです。
 また、同じ南木曽町の公聴会では、環境省レッドリストで絶滅の危機が指摘されているサギ科の渡り鳥ミゾゴイを目撃した住民が、「生息環境に変化は生じない」としたJRの見解に疑問の意見を述べていますが、JRは責任ある調査をされているのでしょうか。

 県は、住民説明会や公聴会で出されているさまざまな意見、要望について、どう受け止めているのでしょうか。JR側の回答や説明で、根拠が明確でないものや説明不足の点があると思われますがいかがでしょうか。環境部長にお伺いします。

<環境部長>
 リニア中央新幹線の環境影響評価準備書への意見や要望に対する対応についてのお尋ねでございます。
 去る11月23日、24日に、飯田市と南木曽町で県が開催しました公聴会におきましては、21名の公述人の方から残土の運搬に伴う騒音振動や交通渋滞の発生、工事の実施に伴う脆弱な地質、水資源や希少種の生息への影響などへの影響を懸念する様々なご意見をいただいたところでございます。現在、長野県環境影響評価技術委員会において、準備書の記載内容について専門的な見地から審議が進められており、先日行われました第1回審議においては、各委員からは予測評価結果の根拠となる詳細なデータの提出を求める意見が多数出されました。第2回以降の技術委員会審議においては、技術者からの追加資料に加えまして、公聴会からのご意見、先日事業者から提出されました住民意見概要及び事業者見解、これを踏まえまして、予測評価結果の妥当性についてさらなる議論が行なわれ、事業実施に伴う環境負荷が出来る限り軽減されているかどうか、慎重な検討が行なわれているところです。

2、 事業実施の前提条件は住民や自治体から出されている懸念や要望を解決することであり、来年3月までに提出する知事意見書では、それを県の基本的な立場とするべきだと思うがいかがか。

<石坂議員>
 また、上伊那郡中川村では、最多で一日1700台のダンプカーなどが通行し、住民の住環境に重大な影響が出ることが予想されるのに、準備書の送付も説明会の予定もなく、村長がJR東海に出した意見書に対しても事業者見解の送付もありません。住民説明会も公聴会も、事業実施のための単なる手続きということでは本末転倒です。事業実施の前提条件は、住民や自治体から出されている懸念や要望を解決することであり、県は住民、自治体の側に立った調整役であるはずです。来年3月までに提出する知事意見書では、この間出されている意見を最大限尊重し、課題解決を前提条件とすることを県の基本的な立場とするべきだと思いますが、知事の見解をお伺いします。

<阿部知事>
 環境影響評価準備書に対する知事意見書、県は市町村・住民の立場に立つべきだというご指摘でございます。基本的には私もそういうスタンスで取り組んでいきたいと思っています。環境影響評価準備書に対する知事意見、事業の実施に伴う環境への負荷が出来るかぎり軽減されるよう、環境影響法に基づいて知事が事業者に述べるものです。事業者は知事意見を勘案して準備書の記載事項について検討を行い必要な修正を加えたうえで、次の手続きである環境影響評価書を作成するという、こうした法的な位置づけになっております。先日開催した公聴会におきましては生活環境・自然環境への影響を危惧する多くのご意見をいただいたところであり、また現在関係市町村に対しましても環境保全の見地からのご意見をお伺いしているところでございます。今長野県環境影響評価技術委員会においても、専門的な見地から慎重な見地からご審議をいただいているものでありまして、今後こうしたご意見を踏まえた検討が行なわれていく予定になっております。
 知事意見、住民・市町村のご意見を十分配慮し、技術委員会から意見を聞いた上で取りまとめていきたいと考えています。知事意見は手続きのなかで非常に重いものと認識しておりますので、事業者に対しましては、知事意見を十分に勘案して今後の手続きを進めていくよう求めてまいりたいと考えております。

3、日本自然保護協会もさまざまな懸念が解決されない限り事業の凍結を望む要望書を出しているが、現状では県としても見切り発車とならないよう、事業の凍結、見直しを要望していただきたいがいかがか。

<石坂議員>
 国は今年の9月、リニア関連施設の建設予定地を含む南アルプス一帯をユネスコのエコパークに推薦すると決めました。長野、静岡、山梨3県の専門家で作る南アルプス総合学術検討委員会委員長の佐藤博明元静岡大学長は、「エコパーク登録は世界自然遺産の前段階の位置づけ。これからが大事なのに、トンネルを掘るのはあまりにも乱暴だ」と懸念を示し、11月5日、JRにリニア建設がエコパーク登録の障害にならないように強く要望する意見書を提出、日本自然保護協会も「いくつもの活断層を横切る本計画は人命を軽視した計画であり看過できない」、さまざまな懸念が解決されない限り、事業の凍結を望むと要望書を提出しています。
 解決されないさまざまな懸念や課題が残されている現状では、県としても見切り発車とならないよう、事業の当面凍結、見直しをJR東海に要望していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、知事にお伺いします。

<阿部知事>
 リニア中央新幹線建設に伴う環境の影響は、様々な懸念が出されていることは承知しております。こうしたことから、私が会長を務めておりますリニア中央新幹線建設促進長野県協議会におきましても、JR東海に対して建設工事による環境影響の軽減に向け、とり得る最善の策を講じるよう求めているところであります。アセスの手続き今進めているところでありまして、環境影響評価技術委員会でも慎重な審議を検討いただいているところであります。様々なご意見を踏まえたうえで知事意見を取りまとめていきたいと考えています。

<石坂議員>
くれぐれも課題を抱えたままの事業実施にならないことを心からお願いしておきたいと思います。

3.中学生の部活の朝練習廃止について

1、 県の押し付けのように感じている人たちもいるため、廃止に当たっては、長年の懸案事項であるだけに、丁寧な合意作りに勤めていただきたいが、今後の進め方について伺いたい。

<石坂議員>
 中学生の部活の朝練習廃止の問題についてお伺いします。
 実は、中学生の部活の朝練習の問題は、私たちの世代の子どもたちが中学生だった時代から問題視されてきました。早朝からの練習が充実感につながり、勝ちたい、強くなりたいという子どもたちの思いにこたえるものになっているという意見がある反面、送り出す側の保護者の負担、慢性的な疲労を訴える子どもたち、何よりも心身ともに成長期にある中学生にとって、過度の負担が発達に悪影響を与えているという養護の先生からの指摘もありました。やめるべきだ、いや、他の学校もやっているのだから自分の学校だけやめるわけにはいかない、技術の向上や良い成績のためにも必要だ、そんな議論が繰り返されてきました。
 今回、長野県中学生期のスポーツ活動検討委員会が、日体協公認スポーツドクターである長野赤十字病院副院長を会長に、中学校校長、市の教育委員長、県PTA連合会会長、教職員組合役員、大学のスポーツ心理学専任講師、養護教諭、栄養士、バスケットボール部顧問、リトルリーグ野球協会役員、県体育協会競技力向上専門委員長などの多彩なメンバーで構成され、すでにご報告がありましたように、長野県の中学生の部活の現状分析を始めさまざまな角度からの検討を重ね、今年11月13日付の報告書で、今後の中学生期のスポーツ活動の方向性として、「平日の総活動時間は2時間程度を目途にする」「原則として朝の運動部活動は行わない」「運動部活動の延長として行なわれている社会体育活動の見直しを図る」と、長年の懸案事項に一定の方向性を提案したことを、私は歓迎したいと思います。
 この問題をめぐっては、県民の中にさまざまな意見があるのも事実です。ちなみに長野市中心部に住むある女子中学生はバスケットボール部で、朝練が火曜日から金曜日まで週4日あるため、朝5時半に起きて朝食をとり、6時15分には家を出るそうです。社会体育は火曜日と金曜日で、夜9時までかかるため、女の子を歩いて帰すわけにもいかず親が車で迎えに行き、夕食は9時半近くになるそうです。その子の親御さんは、そんな子どもを見ていて、学習どころか入浴、片付けや身だしなみなどの基本的な生活もままならないことが気になっていると言います。とにかくご飯を食べてあとは爆睡という毎日。部活の改善が必要ではないかという意見です。

 また、長野市の岐阜県出身の男性は、岐阜県では部活の朝練習はないけれど、インターハイに行ったり、全国的にみても優秀な成績を収めたりしていたので、朝練習はなくても、単に練習時間の長さではなくて、練習の方法の問題ではないかと思うという意見です。

 ある小児科の医師は、体調の悪い子どもたちを診ている立場として、以前から朝練習の問題は看過できないと思っていたので、今回の提案は大歓迎と言っています。そして、「一方ではもっとやりたいという子もいるけれど、ひどくつらい思いをしている子もいる。つらい思いをしている子は『朝練がなければいいのに』と思っても口に出す事はなかなかできず黙ってしまう。顧問の先生も、それは同じだと思う。すぐ中止できなくても、まずは過剰な時間設定をしている部活があれば妥当な時間設定にすることからでも早く決断してほしい」という意見です。

問題は、せっかくの検討委員会の議論や検討の中身が正確に県民に伝わらず、県教育委員会の上からの押し付けではないかという意見も出ていることです。廃止に当たっては、長年の懸案事項であるだけに、丁寧な合意作りに努めて頂きたいと思います。今後の進め方についてはどのようにお考えでしょうか。教育長にお伺いします。

<教育長>
 中学生期のスポーツ活動に関する今後の検討の進め方についてお尋ねをいただきました。
 現在県教育委員会では、検討委員会から提出された報告書のパブリックコメントを実施しているところでございますが、これにあたっては全ての公立中学校と市町村教育委員会に対してこの報告書を送付するとともに、生徒や保護者への周知とご意見をよせていただくよう依頼をしたところでございます。
 今もご指摘いただきましたが、本県の中学生のスポーツ活動を取り巻く環境には、様々な課題がこれまでも指摘されてきたところでございます。私としては県民の皆様にこの機会を捉え、心身ともに成長過程にある中学生にとって適切なスポーツ活動のあり方について、ここで一旦立ち止まって一緒に考えていただきたいという思いを持っております。このため、校長会や市町村会教育委員会をはじめ、県の中体連や各競技団体等との意見交換も現在予定をしているところでございますが、県民の皆様のお声、パブリックコメント等も通じ寄せられるたくさんのご意見も頂戴しながら、こうして寄せられた多くのご意見について個々丁寧に検討しながら、今後の望ましい中学生期のスポーツのあり方について、県としての方向性の検討を進めていきたいと考えています。

<石坂議員>
ご答弁いただきましたが、長年続けてきたことをやめるというのはかなりのエネルギーがいるものです。また、どんな理由であっても納得と合意の上ということで、「丁寧な」というお願いをしたんですが、その丁寧な中身に、今報告書とか関係者とのいろんなやり取りのお話があったんですが、子どもたちも含めた双方向の意見交換会も検討していただければ思いますが、教育長のご見解を伺います。

<教育長>
 先ほどご答弁申しあげましたように、今回のパブリックコメントにあたりましては、特に通常はこういう形をとっておりませんが、各学校等に周知する際に生徒や保護者等にも周知してこういうパブリックコメントを実施しているよという情報提供をしてほしいというお願いをしました。また会見等で、ぜひ今回の報告の内容については当事者である中学生とか、またこの中学生の中でも部活を頑張っている子どもはもちろんですが、こういう厳しい部活環境の中で運動部を選択しなかった、こういう子どもたちも含めてご意見を寄せてもらいたいとお願いしたところでございます。
 そういう様々な子どもたちの声、また最近まで中学生であった高校生、大学生にもご意見をいただきたいとしているところですが、そういったご意見を頂戴しながら検討してまいりたいと思っております。

<石坂議員>
対象が、心も体も思春期の発達期の中学生という点が非常に重要なポイントと思いますので、その点のご理解も含めてぜひ丁寧に進めていただきたいと思います。

4.生活困窮者支援について

1、生活困窮者自立支援法の動向も見ながら、県として実施してきたパーソナル・サポート事業、絆再生事業及び中間就労の取り組みのいっそうの充実をはかっていただきたいがいかがか。両事業とも、寄り添い型の支援が重要であるため、継続性を特に重視してほしいがいかがか。

<石坂議員>
 生活困窮者の自立支援についてお伺いします。
 現在、国会において生活困窮者への新たな支援制度についての審議が行なわれていますが、この動向も見ながら、県として実施してきたパーソナル・サポート事業、絆再生事業及び中間就労の取り組みのいっそうの充実を図っていただきたいと思います。たとえばパーソナル・サポート事業は相談者一人に対して粘り強く相談や支援を続けている根気の要る取り組みでもあり、絆再生事業では居場所作りを通じて自立を支援しているなど、実際の支援活動における人と人とのかかわり、寄り添い型の支援が大変重要であるため、これらの事業の今後については、継続性を特に重視してほしいと思いますがいかがでしょうか。

2、絆再生事業は、民間の取り組みを支援する方式で実施されているが、「京都式」もひとつの参考にして、県の事業を民間に委託するという位置づけでの抜本的充実を検討していただきたいがいかがか。当面、民間事業への補助対象を趣旨に沿うものは対象としてほしいがいかがか。

 日本共産党県議団は、先日、京都府の「京都式生活・就労一体型支援の取り組み」を視察してきました。京都府では、この10年間で生活保護の被保護世帯が27866世帯から41948世帯と1.5倍に増加している中で、高齢者世帯、母子世帯、傷病・障害者世帯以外のその他の世帯が2527世帯から7573世帯と3倍になっている点に着目し、このその他世帯の生活保障と就労をつなぐ一体的な支援をパーソナル・サポート事業や絆再生事業を活用して平成23年度から「京都式生活・就労一体型支援事業」として取り組んでいます。その事業の一環である日常生活等自立支援事業を京都府から受託しているNPOの事業所「乙訓もも」では、生活保護受給者、障害者、引きこもりなどの45名の登録利用者が3名の常勤支援員とボランティアの支援による自立活動に取り組んでおり、約6000万円の事業費は全額公費ということでした。
長野県での絆再生事業の取り組みは、年末派遣村などの取り組みを活かし、民間の取り組みを県が支援する方式で実施されていますが、ご紹介した「京都式」もひとつの参考にして、生活困窮者支援のための県の事業を民間に委託するという位置づけでの抜本的充実を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
当面、今年も生活困窮者支援のための年末年始の支援活動が県下各地で取り組まれます。民間事業への補助対象を、たとえば相談員の謝礼、交通費などは弁護士、医師などには認められるがボランティアの看護師や労働組合役員では認められなかったり、炊き出しの食事経費も相談者の分は認められるがボランティアの分は駄目などのルールが現状に合わず、全体としてボランティアの持ち出しに頼る実態となっています。
以前、日本共産党県議団として、厚労省のレクチャーを受けた際、絆再生事業は補助金事業ではなく、基金による交付金事業であり、個々のメニューにかかわらず、事業の趣旨に沿う支出は認められるという見解を確認させていただきました。是非、現状の一箇所につき上限100万円の事業費補助の中での補助対象ということですが、改善を検討していただければと思います。
以上、健康福祉部長にお伺いします。

<健康福祉部長>
 生活困窮者の支援の取り組みについて2点お尋ねをいただいております。
 本県ではこれまで、パーソナルサポートモデル事業、生活困窮者の絆再生事業、中間就労の場創出支援事業などを実施してまいりまして、生活困窮者の就労や社会的なつながりの回復などに多くの成果があげられてきたものと考えております。
 現在国会で審議されています生活困窮者自立支援法案では、平成27年度から各福祉事務所を有する自治体が中心となりまして生活困窮者の自立相談支援、就労準備支援、日常生活支援などの事業を実施することが盛り込まれているところです。県としましては、この平成27年度以降の新しい法律に基づく支援体制を視野に入れながら、今ご指摘いただきましたような生活困窮者支援の充実を図って参りたいと思っております。
 特にご指摘いただきました、パーソナルサポートモデル事業につきましては、県内どこでも同じサービスが受けられる広域的な体制作りが重要だと思っておりまして、市や関係団体と調整を行ないまして、現在は4箇所の相談拠点でございますが、これを増やす方向でやっていきたいと。また、絆再生事業につきましては、これは民間団体のネットワークやノウハウによりまして、行政だけではなかなか担うことができないきめ細かな支援が行なわれておりますので、引き続き各団体との連携を図る方向で取り組んで参りたいと思っております。
 ご指摘の継続性という点でございますけれども、これまでの事業実施を通じて培われた経験や構築されたネットワーク、大事なものでございますのでこれを大事にしてまいりたいと思っております。

 次に絆再生事業の実施方法及び補助対策の範囲についてでございます。実施方式ですが、本県では民間団体が実施主体となり、県が事業費に対する補助を行なうという方法を採用しております。実施主体の要件については、ある程度弾力的に運用しております。実際の実施主体も全てが、実績では小規模な任意団体です。こういうふうな団体でございますので、こういう活動を支援していくには現在のところは委託というより補助の方が適していると思っております。

 次に、補助対象となる事業内容につきましてはこれまでも現場の皆様から要望をお聞きしましてなるべく柔軟に対応できるようにということで行ってきたところでございます。今後とも現場の実情をよくお聞きして、それに応じまして出来る限り弾力的な運用を心がけまして生活困窮者支援に取り組む民間団体の活動を支援してまいりたいと思っております。

<石坂議員>
 パーソナルサポート事業については箇所数も増やして充実していただけるということで、大変嬉しく思っております。
 継続性という部分で、事業内容の継続ということで、さっきちょっと言葉足らずだったかもしれませんが、粘り強くとても長時間かかって人と人との関わりで成り立っている事業でもありますので、例えば今携わっているスタッフの方が継続性のなかで、今までの経験の蓄積の上に引き続き頑張れる体制も含めて、継続性の中身としてはお願いできればということを先ほどはお願いしたつもりだったんですけれども、受けとめていただきたいと思います。
 それと、絆再生のほうの、たしかにかなり柔軟に事業内容に着目していただいて長野県が民間の様々な取り組みに上限100万円の事業費を出していただいていることについては、なかなか他県でそこまでできないところもたくさんありますので、私は長野県の取り組みについては大変誇れるのではないのかと思っているのですが、それにしても細かい所で、さっきちょっと補助金事業の国の考え方のレクチャーのお話もありますけれども、かなりボランティアの無償性に頼りすぎている部分が非常にあります。交通費のことを申しあげなかったんですが、ほとんどボランティアの人は持ち出し状態のなかで、もちろん募金も集めながら取り組んでおられますので、事業の中身としてそこが絆再生事業の補助金を出していただける着目点であるならば、事業内容に沿う限り、ボランティアの経費についてもかなりこの事業の中で対応していただけるんじゃないかということで、現状よりはぜひ一歩でも二歩でも補助金の対象のメニューにつきまして改善をしていただきたいと思いますが、先ほどのご答弁をそういうふうに受け取っていいでしょうか。もう一度健康福祉部長に答弁をお願いしたいと思います。

<健康福祉部長>
 まずパーソナルサポートの事業ですが、継続性に配慮というところに関してはご質問のとおり、これまでも顔の見える関係というか1対1の関係できたというふうに、聞いております。そういうこともございますので、そういうのを大切にしていきたいと思っております。
 絆再生事業でございますが、どこまでを一律に対象にする、しないというのをここでつまびらかにするというのはできないと思いますので、頂いた質問はこの事業の目的がきちんと実施されると、そこに対して例えば今専門家の方であればそういう交通費であったり対象になるけど、それをどこまで認めるかというのは現場の話でございますので、これは先ほど申しあげたとおりで、事業実施の内容をもう少し丁寧にお聞きしてなるべく弾力的に運用していけるようにということで進めさせていただきたいと思っております。

<石坂議員>
それでは生活困窮者支援の事業、一層の充実と言うことでぜひお願いしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

5.発達障害児への支援について

1、近年、発達障害児は増えているが、保育所では受け入れのために保育士を増やしても財政措置の対象とはならず経営は苦しい。認可外保育施設における発達障害児保育への支援について、2月県議会で健康福祉部長から前向きな答弁を頂いたが、その後の検討はどうなっているか。

<石坂議員>
 発達障害児への支援について、お伺いします。
 近年、発達障害児が増えているのは全国的な傾向となっていますが、保育所では、手のかかる発達障害児の受け入れのためには保育士を通常よりも増やさなければ責任ある対応ができず、現状では保育士を増やしても財政措置の対象とはならないために経営を圧迫する結果となっています。
 私は、今年の2月県議会で、現場からのご要望が強かった認可外保育施設における発達障害児保育への支援について質問させていただきました。県では、認可外の保育施設に対し、入所児童の処遇向上を図るため、その運営や施設整備に要する経費について地域福祉総合助成金の中で助成を行っているので、発達障害児保育のための保育士の配置を、この助成金の対象にできないかという趣旨でした。
 その際、健康福祉部長からは、「県として、・・・今後、現状を把握した上で、必要な支援について、2分の1は市町村負担なので、市町村とも相談した上で検討していきたい」と前向きな答弁をいただいたと思っております。その後の検討はどうなっているのでしょうか。健康福祉部長にお伺いします。
 また、その際、健康福祉部長は答弁の中で、発達障害児への対応については、近年、認可保育所においても課題となっているという認識を答弁されています。認可外保育所に比べれば圧倒的多数の子どもたちを保育している認可保育所にこそ、発達障害児保育への支援が急務となっています。認可保育所への発達障害児保育への支援については、どのように検討されているのでしょうか。健康福祉部長にお伺いします。

<健康福祉部長>
 発達障害児保育への支援についてのお尋ねでございます。本年2月の県議会におきましても私からご答弁申しあげた所でございますけれども、発達障害やその疑いのある子どもに対する対応につきましては、近年認可保育所のみならず認可外の保育施設においても課題になっているという認識でございます。特に認可施設につきましても、市町村や保育所の関係者等から基準どおりの保育士の配置では対応が難しいという声が県に寄せられ、障害児保育に対する県としてのいっそうの支援の要望も頂いているところでございます。
 こういう状況を受けまして、県では実態把握をしようということで、本年7月に認可外の保育施設に対して、9月には市町村に対しまして発達障害児等の受け入れ状況に係るアンケート調査を実施しました。その結果、専門家との相談機会の確保が欲しいとか、あるいは保護者対応への支援、職員加配への財政的支援と、こういう要望が多いことが分かったところです。
 これを踏まえまして認可保育所につきましては、実態に即した保育士配置基準の見直しとそれに必要な財政措置、これを強く国に要望するとともに、認可外保育施設も含めて現在行なっている保育士の研修、専門家による巡回相談等の側面的支援に加えて、どのような支援がさらにできるかということに関しましては引き続き市町村とよく検討して参りたいと思っております。

2、発達障害児が増えており、幼稚園においても補助対象とならない要支援の児童が増えている。現場では対応せざるを得ないため、県の支援の充実を検討してほしいがいかがか。

<石坂議員>

 先日、長野県議会私学振興議員連盟の役員と県私学教育協会役員の皆さんとの懇談会がありました。その際、発達障害児が増えており、幼稚園においても補助対象にならない要支援の児童が増えている現状で、現場では、補助対象になってもならなくても対応せざるを得ないため、県の支援の充実を検討してほしいという要望がありました。長野県私立幼稚園協会の特別な支援が必要な園児の現状調査によりますと、平成25年度で支援が必要な園児数556人中、補助対象となる園児は177名、支援が必要であるが補助対象とならない園児数が379名で、補助対象とならない園児数は補助対象になる園児数の倍以上となっています。補助対象とならないが特別な支援が必要な園児379名中、発達障害児は297名と圧倒的多数を占めています。現場の対応としては、担任以外に加配している教員143名のうち半数の71名を主に支援が必要な園児に専属で加配しています。
 長野県では、国庫補助の対象とならない一人のみの障害児の受け入れに対して県単独の補助金で対応するなどの支援を実施されていますが、現場の実態に見合った更なる支援の充実を検討していただきたいと思います。総務部長にお伺いします。

<総務部長>
 幼稚園での発達障害児の支援の充実についてということでお尋ねいただきました。発達障害などの特別な支援が必要な幼児を受け入れている私立幼稚園に対しましては、受け入れ幼児が1人のみの場合は年額39万2千円、2人以上の場合は1人あたり年額58万8千円の補助を行なうこととしておりまして、平成24年度は23年度に比べまして32人増の174人の幼児を対象として56の幼稚園に対して補助を行なっている現状でございます。
 ご指摘のありました、県の私立幼稚園協会の皆様からは幼稚園において要支援の幼児が増加していること、また支援が必要と思われるのに対象とならない幼児が増加していること、そしてその原因が補助対象と認定する上で必要な診断書等がなかなか整わないためであるということをお聞きしております。この認定にあたりましては医師の診断書や公的機関の証明書等、支援の必要性が客観的に判断できる書類の提出をお願いしているところでございますけれども、発達障害については診断書等が様々な原因で取得に至らない場合があるとお聞きしております。
 発達障害のある幼児への支援を適切に行なうには、早い段階から医師など専門家の意見を聞くことも大切であると思っておりまして、その診断書等を添付することによって補助制度の活用が可能となるということになりますので、関係の皆様のご理解を得ていくとともに、さらに現行の補助制度の改善点がないか検討してまいりたいと考えております。

<石坂議員>
今総務部長にお答えいただきました、客観的な診断、判断という点で、先日の懇談会の席ではやっぱり文科省のルールの中で医師とかそういうくくりがあるみたいなんですけれども、明らかに発達障害、明らかに専任の先生をつけなければ大変、そういう子どもさんのグレーゾーン的な方で、例えば保健師さんが明らかに発達障害ではないかという、そういう証明ができるという子もグレーゾーンで対象にならないというお話も出ていまして、必ずしも文科省のくくりでなくても明らかに手がかかる、発達に障害があるという子どもについて、やはり補助対象にしていく様々な手立てを、現場つまり幼稚園と県で、市町村や専門家と一緒に考えていただいて、実際に支援が行き届くようなルール作りにぜひ入っていただきたいと思いますが、その辺総務部長いかがでしょうか。

<総務部長>
 認定の方法について色々な所の関係の皆様と相談をしながらできないかというお話でございますけれども、先ほどお答えを致しましたように、色々な原因からなかなかお願いしている書類が整わないということが原因の一つだと認識しておりますので、要求、必要だとする書類がどの程度のものが必要なのか、それについてどのような範囲で提出をいただけるのか、そういったことを今ご指摘の医師、保健師あるいは幼稚園の関係者、そういった皆様ともよく相談をいたしまして、今後の対応については検討していきたいと考えております。

2、 現状では、認可外保育施設では障害児保育のための職員の加配は補助対象になっていないが、幼稚園では特別な支援を必要とする子どもの受け入れに対し不十分ではあるが補助制度がある。保育所、認可外保育施設においても職員を加配するための人件費補助が受けられるように、発達障害児への支援を検討していただきたいが、いかがか。

<石坂議員>
 保育園、幼稚園のそれぞれで発達障害児への支援の充実について健康福祉部長、総務部長にお伺いしましたが、発達障害が増えている現状の中で、とりわけ幼児期からの支援がいっそう重要になっていると私は考えています。
 しかし、現状では、認可外保育施設では障害児保育のための職員の加配は補助対象になっていませんが、幼稚園では特別な支援を必要とする子どもの受け入れに対し不十分ではありますが補助制度があります。どの子も同じ長野県の子どもたちです。保育所、認可外保育施設においても、職員を加配するための人件費補助が受けられるように、保育園でも、幼稚園でも、等しく発達障害児への支援を検討していただきたいというのが私の思いですが、改めてそういう広いテーブルのなかで発達障害児への支援を様々な角度から検討していただく、そういうお願いをしたいわけですが、健康福祉部長にお伺いします。

<健康福祉部長>
 発達障害児にかかる保育所、幼稚園等への人件費補助にかかる支援のお尋ねでございます。県では今発達障害者施策としましていろんな策をしております。例えば乳幼児期においては、早期の発見が大事であると。早期に発見して早期にケアをしていくことによって程度が軽いままおさまる子どもがおおいと。あるいは現場では職員の方々の対応力を挙げていく、そしてまた医師にもちゃんと認識を持っていただくために、関係者が情報共有できるようなツールを開発するとか、そういう各種の施策をやっているところでございます。
 そういうなかで特にこの保育所、認可外保育所における支援につきましては、先ほどお答えしたことと一部かぶるのですが、保育士の研修につきましては各保険福祉事務所ごとに実施していますほか、県下全体で年に2回認可外保育施設を対象に実施しております。また、県の保育専門相談員が教育委員会の特別支援教育推進員の方々と連携いたしまして、保育所を訪問していくつかの相談など、資質向上とかそういう支援には取り組んでいるところでございます。
 それに加えてどのような支援が可能なのかにつきましては、先ほども申しあげましたとおり調査をおこないましてこの9月にまとまりましたので、この結果を踏まえて市町村ともよく相談しながら、それ以外の支援方法につきましては引き続き検討して参りたいと思っております。

<石坂議員>
 それぞれご答弁ありがとうございました。ちょっと誤解を招くといけないんですけれども、幼稚園には補助制度がある、保育園にはない、だから等しく支援をという私の申しあげたいことは、その幼稚園でさえ実際には倍以上のグレーゾーンの子どもを対応せざるを得なくて、現場では非常に財政支出も含めてご苦労されているということなんです。
 そこも含めて国にもご意見あげていただくと。具体的に健康福祉部として市町村や認可外保育施設のアンケート調査をとっていただいて検討を始めていただいていることには本当に感謝しています。ぜひいっそう支援を強めていただきますようお願いいたしまして、私のいっさいの質問を終わらせていただきます。