2011年11月定例会  12月1日 和田あき子

1、知事の政治姿勢について
2、交通政策について
3、野生鳥獣対策について
4、浅川ダムについて

1.知事の政治姿勢について

<和田議員>
 一昨日から報道されております。知事選挙を中心とした阿部知事後援会の収支報告書に、外国籍の会社役員からの献金受領からはじまり、総務省現職官僚・OBからの寄付が「会社員」で報告されたとの報道がありました。昨日は、後援会長が受け取った寄付が記載されていない、民主党県連からの収入、選挙運動費用への支出が記載されていないことも判明し、いずれも政治資金規正法違反になる可能性があるもので、「返却する」「勘違い、誤解していた、訂正する」では済まされることではありません。後援会の資金の流れが未記載などは「政治とカネ」の問題で県民に大きな不信を持たせるものです。
 さらに、このような政治資金団体の会計を担当した。今年3月まで後援会の事務担当をしていた人物を4月から阿部知事の下で、県の任期付職員として採用していることは縁故人事、論考行賞と言わざるを得ません。政治資金規正法は「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われ」「政治活動の公明と公正を確保」するとなっております。
 知事、公私混同ともいえる今回の問題について、資金管理ばかりか後援会の事務を担った人物を職員として採用したことに対しての政治的道義的責任をどのように感じているのか。お伺いいたします。
 今回の任期付職員の採用にあたって、後援会の実務者だったとの報告は人事委員会にあったのですか。またこのような情実人事は問題にならないのか。人事委員会委員長の見解をお伺いいたします。

<阿部知事>
 平成22年の政治団体収支報告書の記載もれと政治資金収支の報告に不適切な点があったことにつきましては、この場でもおわびをいたしましたし、わたくし自身大変申し訳なく思っております。今後政治資金規正法の趣旨をしっかりふまえて、こういうことがないように対応していきたいと思いますし、今回問題点として指摘を受けているものだけではなくて、やはり収支の全体について再度点検をして、しっかりと説明責任を果たしていくようにしていきたいというふうに思っております。
 しかしながら、いま職員採用の話がございました。ご指摘のありました特定任期付き職員の採用につきましては、適正な手続きのもとで行なっているわけでありまして、問題はないというふうに考えています。ご質問のなかで情実人事という、決め付けたような表現がありましたけれども、そういうものではないということを、この場で申し上げたいというふうに思っております。

<人事委員会委員長>
 任期付き職員の採用の承認についてのお訪ねでございますが、今回の任期付き職員採用におきましては、任命権者において、募集、論文審査、経歴審査、面接等を行なったうえで当委員会に承認を求めてきたものであります。
 人事委員会の任期付き職員採用の審査は、一般職任期付き職員採用法の趣旨にのっとりまして、また総務省からの通知に基づきまして、一、採用予定者が専門的な知識経験を有しているか。二、適切な任期であるか。三、任命権者による能力の検証、選考が客観的な方法で公正に行なわれたか。について行なっているものであります。今回の任期付き職員につきましてもこうした観点から審査し承認を致したものであります。
 人事委員会ではこの任期付き職員が阿部知事の後援会の実務者であったということは承知していなかったわけでありますが、本件につきましては法律の趣旨にのっとったものと考えておるところであります。

<和田議員>
 知事は情実人事ではないといわれますけれども、なかなかそのようには思えないと思われます。県民はクリーンな政治を求めております。後援会の収支報告書の透明性や正確性が問われるにとどまらず、知事の政治姿勢が問われる問題であります。知事は取材に対し「いろいろ問題が出ている。信頼できる人に依頼して全体をチェックしたい」と言われたそうですが、自らの信頼を回復するよう説明責任を果たしていただくことをわたくしも要望いたします。

2、交通政策について

<和田議員>
 交通政策について伺います。県は11月から、2027年のリニア中央新幹線東京―名古屋間開業を見据えた新たな総合交通ビジョンの策定に着手するといわれ、12月5日には新たな総合交通ビジョン検討委員会が開催されることになっています。この検討委員会内に「リニア中央新幹線関連交通特別委員会」も設置され、リニア中央新幹線の県内中間駅へのアクセスのあり方などリニアに対応する議論を先行させ、本年度末を目途に国がリニアの整備効果を広げるために関係者を交えて協議する「検討の場」に総合交通ビジョンを生かすと、まずリニア最優先での議論があり、その後、北陸新幹線金沢延伸開業など県全体を見据えたビジョンづくりを始める。という方向なのでしょうか。県内の総合的な交通ビジョンの策定は更なる高速交通網の拡大に対応する、それにアクセスする交通体系の整備が中心的課題になるのでしょうか。
 中山間地の占める割合が8割という長野県の生活を支える地域交通については、どんどん後景に追いやられていくのではないかと感じます。200万県民の生活に密着した地域交通の検討の位置づけをもっと高めるべきと考えます。企画部長に伺います。

 <企画部長>
 ただいま、新たな総合交通ビジョンにおける地域交通の検討の位置づけについてご質問をちょうだいいたしました。今般、あらたな総合交通ビジョンを策定する背景といたしまして、いま長野県の地域公共交通が大きく変わろうとしているという現実があるというふうに考えております。
 3つございますが、1つが平成39年を目途に開業が予定されておりますリニア中央新幹線、これによりまして東京や名古屋への時間距離が大幅に短縮されまして、人の流れ、あるいは生活が大きく変わるということが予想されるものでございます。2つが、高速交通網のさらなる進展、これによりまして人や物資の交流がさかんになりまして、きびしい経済状況にあります県内産業の振興にいかに活用していくのか、ということが課題となります。いわば長野県を強くする交通基盤の課題というふうに考えております。そして3つ目が、長野県で安心して暮らせる交通基盤であると思っております。少子高齢化がすすみまして、各地で買い物難民だとか通院難民そういった問題が生じております。地域生活における公共交通の重要性これがますます高まっているというふうに考えているところでございます。こういった課題に対応するために新たな総合交通ビジョンにおきましては、3つの柱、1つがリニア中央新幹線の開業をみすえた交通体系をどうするのか、2つめが産業振興や交流を促進する交通基盤、そして3つとして地域生活をささえる公共交通、この3本柱で構成して総合的な交通ネットワークの形成にむけた県の交通施策の方向性をしめそうとするものでございます。
 従いまして、お話のありました中山間地域をはじめ県民の日常生活これをささえる足を確保するための地域交通につきましてもきわめて重要な柱と考えております。交通弱者といわれる方々が公共交通をいかに利用できるようにするかそういったことにつきまして十分検討してまいりたいというふうに考えております。
 なお、リニア新幹線に関してでございますけれども、これも先に検討をおこなうというのは、実はこの経緯に国が早期に検討の場を設けるということでありますので、リニア中央新幹線の整備効果を最大限に波及させる方策こういったものを検討するということから長野県総合交通ビジョン検討委員会での議論をふまえて国の検討の場にのぞむためのものであるということでありますのでご理解をいただきたいと思います。

<和田議員>
 大事な3本の柱ですのでしっかりとふまえてがんばっていただきたいと思います。

 6月県議会でも私は、リニア中央新幹線について、東京―大阪間の建設費およそ9兆300億円という国家的巨大プロジェクトについて、事業主体はJR東海であっても、建設にあたっては、県として県民に広く考える機会、議論の場を設けていただくべきではではないかと質問をいたしました。
 県としては、国土交通省や大臣、あるいはJR東海に対して繰り返し意見書をあげたり要請を行っております。まず、自然環境・生活環境の保全、水資源の保全、また環境影響評価の項目の選定、あるいは環境影響に対する調査方法の詳細などについて取り組まれ大変ご苦労されています。

 これに対して、JR東海によって環境影響評価の説明会が10月下旬、沿線ルートの各地で行われたとの報道がありました。この説明会の持ち方についても不満の声が多いようであります。そういう状況でありながら、年内にはアセスが開始され2014年には完了する予定で進めていくとようでありますが、今後に多大な影響を与える問題でありますので、JR東海に沿線はじめ県民に対してじっくりと説明する機会・意見を聞く場を設けるよう県から求めるべきではないでしょうか。
 リニア中央新幹線の建設計画は昭和48年の基本計画決定以来、その実現に向けて取り組んできたときには「夢の乗り物」でありましたが、JR東海の建設計画が現実味をおびてきたことで、本当にこの話にのって大丈夫なのかと思っております。
 東京―名古屋間を時速505キロで40分の高速走行は「夢」のようではありますが、全線の81%が地下40mの地下トンネル、山岳トンネルで、しかも運転士はおらず、すべて中央制御室からの遠隔操作。トンネル内で事故や災害が起こったら現場で誰が指揮をとって救助をするのか。
 また、経済性・採算性の点からJR東海で負担できるのでしょうか。東京―名古屋間5兆4300億円と整備新幹線の3倍もかかる建設費をかけて、果たして、運賃で採算がとれるのでしょうか。中間駅を各県に1駅で、今後他の交通とのアクセスを整備するとしても1時間に1本と利便性も低いわけであります。さらに、現在の東海道新幹線の座席利用率は55%、今後大幅な利用者の増加の見込みがあるのでしょうか。リニア開業で赤字経営に陥った場合、国が負担を税金で肩代わりすることになるのでしょうか。JR東海の経営の見込みについても情報提供を求めるべきではないでしょうか。

 次に、超電導磁気浮上方式を採用することで、ひとつは、東京電力福島原発事故後、電力政策の見直しを中心にエネルギー問題についても、省エネルギー型の社会の構築が求められていることに対して、リニア新幹線の必要電力量は従来の新幹線の3倍であり、省エネとは逆行しているということをどう考えるのか。
 さらに、電磁波について、JR東海は車両や床面を磁気シールドで覆い、安全な基準に抑えるから心配ないと説明しております。その根拠は示されているのでしょうか。電磁波について、WTOの下部機関IARC(国際ガン研究機関)は「4ミリガウスで小児白血病のリスクは2倍になる」としています。リニア山梨実験線における調査結果のデータは数値できちんと情報を提出されているのでしょうか。数値の提示がないのであれば、JR東海に求めるべきと思います。企画部長に伺います。

<企画部長>
 リニア中央新幹線の対応について、ご質問ちょうだいいたしました。
 リニア中央新幹線につきましては、国の交通政策審議会における一年以上にわたる審議におきまして、採算性をふくめて財務的な観点からJR東海の事業遂行能力、あるいは電磁波等の生活環境への影響、こういったものをふくめまして様々な検証、議論がなされました。さらに、いくどもパブリックコメントも行なわれてきたわけでございます。その上で本年5月に全国新幹線鉄道整備法にもとづく整備計画が決定されました。建設の指示が出されたものと認識をしておるところでございます。
 県内には、いろいろ議員ご指摘のようなご心配、あるいはご意見があることはわたくしも承知しております。県といたしましては、JR東海に対しまして環境保全の見地からも、電力消費の低減であるとか、あるいは磁界の影響などへの配慮、そしてひきつづき地元へのていねいな説明と情報の開示を求めてまいりたいと考えております。
 リニア中央新幹線につきましては県内の関係地域が結集しましたリニア中央新幹線建設促進長野県協議会、あるいは県議会、あるいは県議会におけるリニア中央新幹線建設促進議員連盟におきまして、整備促進を求める決議等がなされているという重い経緯がございます。中南信をはじめとする県内交通の利便性の向上、あるいは地域の発展に寄与するものと期待する県民の声も多いわけでございまして、そういったことから県といたしましては生活環境、自然環境にあたえる影響を極力低減することを求めつつ、早期着工にむけて取り組みをすすめてまいる所存でございます。

<和田議員>
 電磁波について、山梨の実験線における調査結果のデータ、数値を県はもっているのか。この点もう一度お聞きします。
 リニア中央新幹線について、長野県の誇る南アルプスを貫通するトンネル工事という大問題を突きつけられております。安全性・経済性が検証されないまま、突き進まないよう、慎重の上にも慎重に対応をしていただきたいと思います。企画部長、再度お願い致します。

 長野電鉄屋代線は、大正11年に河東鉄道が屋代―須坂間を開業して以来路線網を拡大し、長野電鉄と合併して現在まで90年にわたって歴史を刻んでまいりました。長野電鉄で最初に開業した路線で、千曲市・長野市・須坂市を結び、沿線の通勤・通学をはじめ厚生連松代病院への通院など地域の重要な交通手段であります。
 しかし、利用客の減少、累積赤字の増大など厳しい経営状況のなか、屋代線の活性化・再生を目指して平成21年5月「長野電鉄活性化協議会」を設立し、平成22年3月「長野電鉄屋代線総合連携計画」を3か年の計画として策定をし、連携計画に基づいて、22年度から各種実証実験や利用促進などを実施しておりましたが、連携計画による実施が1年に満たない22年度途中の活性化協議会で突然無記名投票によって屋代線の廃止の結論が出され、今年度末を持って屋代線が廃止されることになってしまいました。
 屋代線廃止後の公共交通の確保は「バスによる代替」で議論されているわけでありますが、利用者が減少しているといっても年間46万人の利用者があり、バスでは輸送能力が足りないことや、定時運行の確保が困難になることと利用時間が2倍以上で不便です。国道430号線の渋滞悪化、道路改良の遅れも指摘されております。
 なによりも、長野電鉄屋代線を鉄路として存続させたいという声が、長野市若穂、松代地区からあがっております。鉄路を活用し、ディーゼル車による運行の具体策を示している方たちもおりますし、また同様に鉄路を活用しての次世代型路面電車(LRT)構想を提案している住民有志もおられます。
 県も活性化協議会の一員として、これらの提案も含め、地域住民の鉄路の存続を願う声にこたえる方策を考えることはできないものでしょうか、きめ細やかな支援を検討することはできないでしょうか、企画部長にお聞きいたします。

<企画部長>
 まず、リニア新幹線に関わる山梨実験線での電磁波データについてでございますけれども、それにつきましては環境影響評価方法書の範囲内で承知しているところでございます。これからもJR東海に対しましては引き続きていねいな説明と情報の開示を求めていきたいというふうに考えております。
 つぎに長野電鉄屋代線についてのご質問でございます。
 長野電鉄屋代線につきましては地域のみなさまに様々なご意見、あるいは思いがあったということは、わたくしも承知しているところでございます。そういった中で、沿線3市、これは、長野市、須坂市、千曲市でございますけれども、それと長野電鉄、地域住民等で構成されました長野電鉄活性化協議会、ここにおきまして住民アンケート、あるいは実証実験などふくめました、検証が行なわれておりまして、屋代線は、平成22年4月1日をもって廃止し、バスによって地域公共交通を確保するということがこの協議会で決定されたというふうに認識しております。住民の中には議員ご指摘のように、ディーゼル化による鉄路の存続というものを求める声もあるということはお聞きしておるところでございますけれども、この地域の協議会ではワーキンググループにおきまして、具体的な代替バス路線についての検討が行なわれまして、先月11月2日だというふうに認識しておりますけれども、ここで開催されました地元の協議会で路線案などが了承されたというところでございます。
 今後とも、地域住民の方々の生活の足をいかに確保していくかという観点からニーズにこたえた利便性のよいバス路線となりますよう、関係者の理解を得ながらすすめていくことが肝要ではないかというふうに考えてございます。
 県といたしましては、この地域において公共交通をどう確保していくのか、という観点から地元の協議会での論議を尊重していきたいというふうに考えております。

<和田議員>
 鉄路での存続をという声をぜひ受けとめてほしいと思っております。

3、野生鳥獣対策について

<和田議員>
 昨年度の野生鳥獣による農林業被害額は14億9千万円と前年度より減少しました。 このうち、イノシシの被害は農業被害が主で、昨年度は増加し、農林業被害全体の14%を占めています。長野市内でもイノシシによる被害を受けたという話は長野市周辺部の中山間地にとどまらず、県庁のすぐ裏手の安茂里でもイノシシの被害の話を聞くまでに広がってまいりました。
 イノシシは、農産物を食い荒らすだけにとどまらず、田畑の中で、とくに田んぼの泥のなかで転げまわったり、土を掘り返したり、さらにはところ構わず尿をするため、被害にあった農家の皆さんは「イノシシに田圃に入られると、米がくさくて収穫ができない」、「せっかく苦労した畦や水路を壊されて、やりきれない。米を作るのはもうやめようかと思う」と苦労する甲斐がない。本当にやりきれない思いをされております。長野市の西山地域は地すべり地も多く、田の畔の整備や管理は苦労の多い仕事です。私も田の畔を強くするためにたたいたり、畦をぬったり骨の折れる仕事をしてきたわけですけれども、こんな苦労をしたところに、イノシシの巨体で壊され、水が抜ければ途方にくれてしまいます。 野生鳥獣による農林業被害は、被害額もそうでありますが、精神的苦痛も含め多大であります。
 長野市では野生鳥獣の個体数調整事業で捕獲したさいイノシシ一頭当たり市は1万5千円の補助を出しており、このうち2000円が県の補助金で、市の持ち出しは1万3千円になります。さらに、平成22年では546頭の捕獲に対して県補助分は228頭とかなり市の負担が大きいです。それでも、市町村と、猟友会などご苦労されております。県として、つかんでいる捕獲状況とイノシシ捕獲の補助の増額をふくめて支援を強めていただきたいと思います。
 また、狩猟だけでなくワナ捕獲についての実情と効率的なワナ捕獲を推進していく対策について林務部長にお聞きします。
 イノシシによる被害は、農作物への被害だけにとどまらず、中山間地では農地への被害が広がっています。田の水路や畔を壊されて泣くに泣けない状況です。野生鳥獣による農地への被害は、災害のように大規模ではありまあせんが、個々の農家にとっては深刻です。
これは、わたくしは災害と同じ状況ととらえております。こういう状況をどうとらえ、農政部としてどう対策を講じているのか、支援をしているのか、農政部長にお聞きします。

<林務部長>
 イノシシのワナによる捕獲推進についてのお訪ねですが、イノシシの被害を減少させるためには防護柵の設置などと並び捕獲が有効な対策であり、県全体の捕獲頭数は平成21年度6508頭に対しまして、平成22年度1万370頭と大幅に増加しております。
 このうち平成22年どのイノシシ個体数調整による捕獲数をみますと、約8割がワナ猟によるものです。このように効率的な捕獲方法でありますワナ猟のあらたな狩猟免許取得者を増やすために、免許制度の説明会の開催や農閑期における狩猟免許試験を追加して実施しワナ捕獲者の確保につとめるとともに、免許の取得者に対しては捕獲技術向上のための研修会の開催やワナの購入軽費に対する支援を通じワナ捕獲者の育成につとめているところです。
 こうした取り組みにより新規ワナ猟免許取得者は5年前の平成18年度と比較して平成22年度は約2倍に増加しています。また、従来の猟友会を中心とした捕獲にくわえ、地域住民と猟友会が共同して集落周辺で捕獲実施するさいにとめさしや残渣処理にかかる経費へ支援をおこない集落ぐるみの捕獲体制の整備もすすめている所です。
 さらに、イノシシの特定鳥獣保護管理計画にもとづき、ワナ猟にかぎり狩猟期間を1ヶ月延長するなどさまざまな取り組みを通じまして、イノシシの捕獲を促進し被害の縮減につとめてまいります。

<農政部長>
 イノシシによります農地、農作物被害を防止するための支援についてのお訪ねでございます。
 山間地域などにおきましては、小規模な田や畑が散在しておりますので、やむなく個々の農業者が圃場ごとに電気柵などを設置することが多いというようなことから、畦畔だとか水路まで被害がおよぶ場合があります。
 こういった地域では、隣接農地の耕作者が共同で畦畔や水路をふくめて電気柵で囲むことが、低コストで効果的でございますので野生鳥獣被害対策チームや市町村と連携いたしまして耕作者間の合意形成だとか、電気柵の設置方法などキメ細やかな支援を行なってまいりたいと思っております。こうした地域の実情に即しまして、簡便で効果の高い被害防止対策事例収集だとか紹介にいっそうつとめてまいりたいというふうに思います。

<和田議員>
 被害が減ったと実感できるよう林務と農政の連携でいっそう予算面での充実もふくめてお願いをしたいと思います。

4、浅川ダムについて

<和田議員>
 つぎに浅川ダムについて伺います。
 9月県議会の石坂議員の質問に対して、知事は「浅川ダムについては工事着手後も掘削工事により現れた基礎岩盤、あるいは断層等について安全性を随時確認しているところです。しかしながら県民の皆さんの中には東日本大震災の発生ということもあって、FV断層について不安を感じている方もおられると思っていますので、こうしたことから今回、説明責任を果たすべく改めて掘削を行いましてダム敷およびダム敷以外の場所も含めて、FV断層の安全性の再確認を行っていきたいと思っております。」と答弁され、FV断層の調査を産業技術総合研究所に依頼されました。県が依頼した産業技術総合研究所の佃氏と吉岡氏は、10月30日の午後1時半から5時ごろまで現場の観察を行ない、翌31日に佃氏が調査の内容について県に説明をされました。そして、追加の調査を求めて帰られました。
 産総研による調査からすでに1か月が経ちました。追加の調査にかかる期間はあとどのくらいでしょうか。今後の調査の進行と、追加調査の結果については、引き続き、産総研の先生方によって解明されるとお聞きをしておりますが、その結果の住民への説明会も行うと昨日も答弁がありました。丁寧な説明を行っていただきたいと思います。今後の予定について建設部長にお聞きします。

<建設部長>
 浅川ダムのFV断層再確認における追加調査についてのお訪ねでございます。独立行政法人産業技術総合研究所の専門家から求められました追加調査の期間につきましては当初1ヶ月程度と見込んでおりましたが掘削の範囲を広げ採取資料を増やしたことからおおむね1ヶ月半となる見込みでございます。12月中旬を目途にこの現地調査を終了いたしましてそのあと専門家に意見を求めることとしております。その後そういった結果につきましては住民のみなさまにも公開し説明していきたいというふうに考えております。

<和田議員>
 私たちは知事に繰り返し工事を中止して調査をと申し上げてきました。それに対し知事は、「浅川ダムは行政に対する信頼の問題。できる限りの調査をしていく」。また「予断を持たずに行う」とも言われています。
 「予断を持たず」ということは、最初から安全か、そうでないかの結論をもたずということですから、そうである以上、浅川ダム建設工事はFV断層はじめとする調査結果の検証で安全が確認されるまでは、工事を中止するべきではないでしょうか。昨日もこの点は質問があったわけですけれども、再度、知事にお伺いいたします。

<阿部知事>
 浅川ダムの調査については、わたくしは予断をもたず行なっていきたいというふうに思っております。予断をもたずというのは、これからダム計画をつくりますという時点ではないわけでありまして、すでに工事をすすめているわけでありますから、これからまったく白紙でやるときの予断をもたずと、いますでにやっているときの予断を持たずというのは、それは当然ちがうわけでありまして、わたくしとしては、いままでは安全であるということですすめてきているわけでありますから、その判断を変える調査結果が、今の時点では出ていないわけですから、これまでの判断を尊重していくということで予断をもたずにやっていきたい、というふうに思っております。
 そういう意味で、これ、和田さんは、反対のお立場なんですかね。反対のお立場ですからそういうスタンスなんでしょうけれども、わたしとしてはそれが必ずしもニュートラルではないというふうに思っております。
 しかしながら工事優先ということではなくて、わたくしは十分調査をおこなうということをつねづね言っておりますし、建設部にもそういう指示をしているわけであります。現実に、粛々と工事をすすめていたとすれば、もっと工事の進捗早くなってきていると思いますので、まったく工事に影響をおよぼしてないわけではなくて、あくまでも調査を優先しておこなっているということを、この場で、しっかりと申し上げておきたいと思います。

<和田議員>
 知事は、わたしがダムに反対だ。というようなことを、いま言われたわけですけれども、浅川に、ダムに、賛成か、反対か、それこそ予断をもっているということではないでしょうか。この安全の問題もそうでございます。予断を持たずにおこなうというのであれば、本当に予断をもたずにきちんと詳細な調査を行なっていただきたいと思います。
 
 つぎに、浅川ダム予算に関わってお聞きします。
 浅川ダム建設費は平成20年度2億5千万円の予算に対し、決算額は7千600万円。21年度は17億円の予算に対し、決算額は3億1200万円。22年度は25億円の予算に対し、決算額は16億1300万円となっており、3年間で44億5000万円に対して22億5000万円。3年間を通して5割しか使われていないわけであります。平成20年度以降、浅川ダム建設の予算は毎年多額に繰り越されています。予算額対して、このように繰越額の多い事業はほかにもあるのか。総務部長にお伺いを致します。

<総務部長>
 予算額に対して繰越金額が多い事業があるのかというお訪ねでございますけれども、事業の繰越にあたりましては、たとえば用地買収の遅れでございますとか、地元との調整に時間を要するというようなことで、当初、想定しえなかったような事態が発生した場合に十分な工期がとれない事業について適正な工期を確保して円滑に事業をすすめるために繰越明許費を計上するというふうにいたしております。
 平成22年度の繰越事業でございますけれども、たとえば道路改築事業、あるいは砂防事業、こういった大規模な建設工事におきましては、繰越額が大きくなっているというのが現状でございます。

<和田議員>
 当初つけた予算が繰り越すにあたっては、不測の事態がおきたからだというふうな場合が往々にしてあるわけですけれども、それでは浅川ダムについてお聞きしますけれども、浅川ダムは当初予定していなかったような不測の事態が毎年毎年おこってこのように繰り越されているのかどうか。建設部長にお聞きをいたします。

<建設部長>
 浅川ダムの繰越についてでございますけれども、極力縮減すべく努力しているところでございます。しかしながら工事用道路の用地、あるいは地すべり対策の用地問題もございまして繰越が出ているという状況でございます。今後も繰越を減らすという努力をしていきたいと考えております。

<和田議員>
 いま部長のご答弁でも、不測の事態が起こって半分以上も使わない、繰り越すようなそういう事態があるということは、いまひとつもいわれなかったわけであります。にもかかわらず毎年、毎年、国にも補助金要請してこのように多額に予算をつけてきました。
 知事、3年間で予算の5割も繰越をしているということは、厳しい県財政の運営をしているなかで、私は異常な事態だと思っております。今年度の予算も使いきれない状況は明らかであります。来年度、国に対して補助金を申請するのでしょうか。予算の半分は国の補助金としても、あとは県債を発行して財源手当てをしている。こういうことをどうとらえているのでしょうか。繰越をしたダム建設予算を使い切れない状況で来年度、24年度、予算をつける必要はないのではないでしょうか。知事にお伺いします。

<阿部知事>
 FV断層について予断をもたず対応していきたいというふうに思っておりますし、いま予算のお話もありました、24年度以降どうするかという点について、これは財源は限られた財源でありますから、十分精査した上で必要な予算を計上していくということで取り組みたいと思っております。

<和田議員>
 浅川ダムの予算については、本当に十分なうえにも十分な精査をしていただきたいと思います。この過去3年間この予算の使い方も、本当にこれだけのお金が他にまわしていただけていたら、もっと重要な有用な仕事ができたのではないかという思いであります。
 知事はゼロベースではない、建設がはじめっていたとおっしゃいますけれども実際に去年のこの11月議会で知事があの論点再確認をおこなって、ゴーサインを出したのが、阿部県政ではじまった事実上のはじまりととらえて、わたしはおりますので、ぜひこの点では知事もそこをしっかりと押さえていただきたいと思います。

 最後に、屋代線を鉄路で存続したい。住民の強い思いによりそうのが、行政、政治ではないでしょうか。次世代型路面電車は、環境にやさしく、エネルギー効率も優れていおります。国の補助金も期待できると、新たしい時代を展望して、歴史の町、松代で住民が夢を語っております。ぜひ、県政でも応援をしていただきたいと思います。このことを要望して質問を終わります。