2011年6月定例会 一般質問 6月28日 両角友成

  1. 今回の震災を受けての対応
  2. 自然エネルギーへの転換について
  3. 医療費の窓口無料化について
  4. 30人規模学級の拡充について

1 今回の震災を受けての対応

<両角県議>
 日本共産党県議団の両角友成です。私は、発言通告にそって一般質問を行ないたいと思います。この場に立つのは始めての経験です。
 一生懸命にと、心して行ないますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 
 始めの質問事項は「今回の震災を受けての対応について」であります。

 3・11の東日本大震災、翌日に発生した県北部地震、そして、福島の原発事故と。大震災による被害者数は、警察庁のまとめで、死者1万5千人、行方不明者8千人、避難者9万人と大変な状況がつづいています。
 犠牲になられた皆様に、哀悼の意を表すとともに、被災された皆様にお見舞いを申しあげます。そして、栄村を含め一刻も早い復興を望むものです。

(1)大地震は繰り返し起こるとされています。今回発生した、栄村を中心とした県北部地震。この発生場所を見ますと、魚沼産コシヒカリで有名な新潟県津南町から長野県松本市まで延びる、津南―松本線といわれる規模の大きな断層郡、  構造線の先のほうで発生した地震であります。私たちが今、議論を展開しているこの県庁もその構造線の上にあり、現に1847年5月8日マグニチュード7.4とも言われる善光寺地震が発生し大変な被害をもたらした地域です。津南―松本線の一番下に位置する松本市もこのごろの、信濃毎日新聞報道にもありましたが、松本市「牛伏寺」(ごふくじ)断層の引き起こす地震確立が上昇か、という内容でした。長野市も松本市も同じです。地震国に生き生活している限り災害を「想定外」の言葉で責任逃れするような訳にはいきません。
 そこで、今回の大震災をうけ、長野県として地域防災計画のなにを変えようと、また、すすむべき方向をどのように考えているのか知事の見解を伺います。

 今回の震災で災害弱者といわれる皆さんの状況はどうであったのか。松本の医療現場から東北の現地に入った方の報告の中に、一部分ですが、介護施設で職員だけが逃げれば、助かったかもしれないが利用者さんを車に乗せて逃げようとしてそのまま津波に。全壊を免れた病院・診療所も、電子カルテは使えなくなり、物が散乱。停電で手術はおろか自動ドアまでが開かなくなる、透析もだめ。訪問先の人口呼吸器や在宅酸素、吸引機、電動ベッドなどを使用している方の安否確認等々。
 大変な状況、混乱している様子が報告されました。災害弱者といわれる皆さんを地域でどう守るのか、医療・介護・福祉の位置付けを明確にし、県が災害弱者対策を、責任をもって行なうべきと考えます。
 
(2)全国的に病院の統廃合をすすめベッドを減らす動き、しかし、今回の震災をうけ、国公立病院の位置付けが期待も含め高まったと聞いています。ある意味、最後の砦のような、救済の拠点の病院。この病院、県内を見たときに気になる数字があります。それは非常電源設備です。県の調査で、133の病院数のうち100病院が導入済み。しかし33病院が導入されていない。うち13病院が導入を検討しているとのことですが、今現在、2割以上も非常用発電機が備えてない現実があります。透析を行っている診療所もありますが、診療所では非常用発電機を備えているところがいかほどかと心配です。また、発電時間、消防法もあるでしょう、燃料タンクの安全性からかせいぜい5〜6時間と聞いています。燃料の優先搬入、発電機を搭載した車の配車など、待ったなしに改善しなければいけない事項です。具体的な措置を考えていただきたいがどうか、知事に伺います。
 
(3)高齢化率が高い栄村、今回の地震で犠牲者をひとりも出さなかった。避難所内、避難生活でも誰も死亡者を出さなかった。地震発生の混乱の中、避難した学校の校舎にいろんな地域の皆さんが混在していた。これを集落ごとに、各教室ご近所の皆さんが一緒になるようリーダーを中心に、お互いに配慮をした。したがって、その日のうちからいろんな相談がはじまった。いい知恵もでたと聞いています。
 仮設住宅についても集落ごとを大切にしている。県として、このことに学び、お互いに助け合う地域住民の絆を普段からどう築いていくのか、個人情報保護法との関係か、障害者・高齢者等災害弱者の地域での把握が不十分と、特に地域を預かる民生委員さんからは、心配の声が届いています。今回、東北の事例でも、普段から2階に寝かされていたおばあちゃんが津波はまぬがれたのに、救いの手が届かずに餓死していた。地域がお互いに支えあう体制。福祉マップも民生委員、地元消防団には普段から把握していただくことも大切と考えます。みすみす助かる命も助からない、そうならないための地域の絆について、知事の考えを伺います。

<阿部知事>
 両角議員のご質問に順次お答えしてまいりたいと思います。
(1)まず、地域防災計画等の見直し、県の進んでいくべき道ということでございます。3月11日の東日本大震災発生以降、いろんな課題が明らかになってまいりました。そうしたなかで、災害時における災害対策本部の態勢であるとか、あるいは情報伝達体制、あるいは、先般、上高地の土石流で一時孤立地域になるという事態がありましたが、私ども、観光県でもございますので、観光地における防災対処の在り方、こうした点において庁内全部局によるワーキンググループのなかで、対応の検討を行って参りたいと考えております。
 また、東日本大震災のように、極めて広域的な災害の場合には相互の応援態勢ということが大変重要であります。先般、県と市町村との協議の場で防災について議論を行いましたが、大規模災害に対応する広域応援体制の在り方などについて市町村の方からも課題が提起されたところでございます。今後実務レベルでの検討を行って、今回の震災を通じて明らかになった課題への対応策とあわせて、年内を目途に対応をまとめてまいりたいと考えております。
 また、原子力災害、今回の東日本大震災で、まだ現時点でも現在進行中といって差し支えないと思いますが、原子力災害の対応につきましては、事故発生原因の究明、原子力安全対策・防災対策の強化策、こうしたものを国に強く要望しております。その状況も見極めながら、今後、県と国の役割分担も含めて検討してまいりたいと考えております。
 
(2)次に、病院施設の非常用電源設備の設置ということです。災害時における救護体制を維持するという観点から、非常用電源設備の電源確保はとりわけ重要と考えております。議員のご質問のなかでも引用されていましたが、県内病院133病院中100病院は、非常用電源設備が現在あるわけですが、未設置も33病院あると。災害拠点病院については一定の設備は備わっているところですが、稼働時間等きめ細かく見ていく必要もあるのではないかと思います。現在、法律上、医療機関に非常用電源設備の設置は義務付けられていないということです。
 また、国庫補助制度はあるものの、対象は災害拠点病院に限定ということです。県としては、医療機関への非常用電源設備の導入を促進することが必要だと考えておりますので、国庫補助制度の拡充を引き続き国に求めてまいりたいと考えております。
 あわせて、非常用電源設備の設置の制度化についても要請をしてまいりたいと考えております。
 
(3)次に、地域のきずなということです。栄村避難所等、私も伺いましたが、大変コミュニティの力、結束が非常に強い地域であります。そういうところであるからこそ、お互い力を合わせてがんばっていくという思いになっていただけた部分があるかと思います。これから復興を目指していくわけですが、ぜひこの人々の絆を大切にしながら取り組んでいただきたいと思っています。
 また、東北地方においても地域の人々の絆というものが大切だということが改めて、大勢の皆さんの理解されるところとなったと思います。長野県としては、なかなか、地域の個々具体的な部分については、市町村においてのネットーワークづくりあるいは人材育成、そうしたところに負うがあるわけですが、地域をよりよくしていこうという取り組みのきっかけづくりとしての、例えば「元気づくり支援金」による支援であるとか、優良な事例、他でも紹介できるような事例の紹介等の情報提供にこれからも努めていきたいと考えております。
 いずれにしても、日本全体を見渡した時に、都市部、いわゆる都会に比べれば長野県はまだまだ人々のきずなが強い地域だと考えておりますので、そうしたものを大切にしていく県政でありたいと考えております。

<両角県議>
 地域防災計画につきましては、昭和38年3月22日に作成後、昨年の12月まで必要に応じ現実に即して44回の改訂を行なってきたとのことですが、この際、地域防災会議を早期に開催し英知を結集していただきたいと思います。
 現在開催が予定されているか、もし時期が決定されていれば教えていただきたいと思います。
 
 本県の、防災計画にない原発に関係しては、今知事も多少触れられましたが、本日藤岡議員より、ダムについては明日、和田議員より質問いたします。それらも含め中身の濃い防災計画にしていただきたいと申しあげておきます。

<阿部知事>
 防災会議の開催についてです。具体的な日程が確定しているわけではありませんけれども、今庁内で課題対応を検討していますので、そうしたものも含めまして、年明けの1月、もしくは2月ごろには開催していきたいと思っております。

2.自然エネルギーへの転換について

<両角県議>
 次の質問事項は、「自然エネルギーへの転換について」であります。

(1)原子力発電は日本の3割を担っているとされています。日本の原発の全てを今すぐ止めることはできませんが、原発から撤退するために、早急に自然エネルギーに転換を始めることは可能と考えます。

 自然エネルギーは、太陽光や風力、バイオマス、地熱、小規模水力など二酸化炭素を発生させることがなく再生可能な安全なエネルギーです。
 全国的に取り組まれている太陽光発電を見てみますと、太陽光エネルギーは莫大で、地球にある埋蔵ウランを全部燃やしたと仮定してもその熱量の500倍のエネルギーがあると言われています。1,000平方?の土地に太陽光発電の装置を設置した場合得られる電力は年間1000億KW。これは柏崎刈羽原発1〜7号機が1年間に発電する電力量の2倍に相当します。日本は年間9000億kWの電力を使っています。今すぐ、その全てを再生可能、自然エネルギーで賄うことはできませんが少なくとも原発に頼らない道はあると考えます。
 今後のエネルギー政策のキーワードは、エネルギーの「地産地消」と言われています。このことに対する県の姿勢はどうか、知事にお伺いをいたします。

(2)太陽光発電では、全国的にはほぼ全ての都道府県で計画中も含め取り組みが行なわれていますが、本県として、基となる予算を見ても、県独自の補助制度はありません。太陽光発電システムについて、個人の資産にどうか、相当な財政負担等の議論があったと承知していますが、「今こそ」、この時期だからこそ、個人住宅等への県の補助を考えて頂きたいがいかがでしょうか。知事に伺います。
                                 
(3)自然エネルギーについてもう一点、豊かな自然を生かしたエネルギー生産を考えたとき、ひとつに本県には小規模水力発電が向いているのではと思いますがいかがでしょうか。大町市の例を紹介しますと市の負担金3000万円を入れて事業費1億6千万円。農業用水を利用し、有効落差16.2m。最大出力136kW。発電した電力を市の施設で自家消費、施設で使う年間1000万円の電気料のうち850万円を賄っているものでした。この規模の用水は県内にはいたる所にあり大変に有効かと思いますがいかがでしょうか。知事に伺います。

 付け加えての質問ですが、用水を使用するときの水利権の問題が、歴史の長い水利問題として、管理者の土地改良区からの同意、水利権者の国土交通省・長野県と、膨大な作業と関係機関との協議と、意外と厄介な問題として浮上しています。このことについては、県が窓口になり解決に当たるべきと考えますがいかがでしょうか。県の考えを環境部長に伺います。

<阿部知事>
(1)自然エネルギーの関係で、エネルギー政策に関する県の取り組み姿勢ということです。
 原油価格の高騰、あるいは新興国のエネルギー需要の急増、さらには温暖化問題の対応、そうしたこれまで言われてきたエネルギーの背景に加えまして、東日本大震災の原発事故を契機として、自然エネルギーの重要性についての認識はかつてないほど高まっていると考えております。こうしたなか長野県は日照時間が長く、冷涼な気候であるうえに豊富な水資源、森林資源、温泉資源などの自然エネルギーの可能性に非常に富んだ地域だと考えております。こうした自然エネルギーの可能性に富んだ長野県の資源を積極的に活用する、活かすことによって、ぜひエネルギーの地産地消を進めていきたいと考えております。
 
(2)住宅用太陽光発電についての県の補助の創設というお尋ねです。補助事業の実施、太陽光発電の設置を促す効果的な施策であるとは考えておりますが、平成20年度から国の補助金制度が再開されて平成21年11月から余剰電力の買い取り価格が約2倍程度に引き上げられました。これとあわせて、平成23年度は県内47市町村が住宅用太陽光発電の補助を行っておりまして、そうした財政支援と合わせると概ね10年程度で資金回収が可能となっています。
 県内での住宅用太陽光発電の導入状況、国の補助制度の交付決定件数で見ますと、平成20年度629件、21年度2929件、22年度は集計途中で見込みでありますが約3900件ということで、国の制度再開に伴って着実に設置件数が伸びている状況です。
 私は、この補助制度はむしろ県の単独事業で行うのであればより早い段階で行った方が効果的だったんじゃないかと思いますが、電力の全量買い取り制度の議論も行われている中で、エネルギーを取り巻く環境はいろいろ変わっています。そうしたことも含めて、現段階においてさらなる補助を実施することが本当に効果的なのかどうか、慎重な検討が必要だと考えております。
 
(3)次に、長野県における小規模発電の可能性ということです。議員ご指摘の通り、長野県は多くの水源に恵まれて、また、流量、落差も大きい地点が多いわけでして、小水力発電ポテンシャルは大きいと考えております。環境省が平成22年度に行った再生可能エネルギーポテンシャル調査報告書における本県のポテンシャルは、3万キロワット未満の中小水力発電の導入ポテンシャルは地点数で1619地点、新潟県に並び全国第1位、設備容量では89・1万キロワットで全国第6位ということで、全国的にも高いポテンシャルを本県は有していると考えております。


<環境部長>
 小水力発電にかかる水利権許可の簡素化等についてのお尋ねでございます。
 河川または農業用水路を利用して小水力発電を設置する場合は、取水元となる河川の水利使用の許可が、申請が必要となってまいります。昨今の水力発電の関心の高まりから、18年3月に水利権の許可が不要な場合の規定の追加、あるいは23年3月には河川法施行例の一部改正によりまして一部の許可権限が国土交通大臣から都道府県知事に権限委譲されるなど、手続きが簡素化され、順次改善が図られてきているところであります。
 しかしながら、小水力発電をはじめとしてその他の自然エネルギーを推進する上でも、まだまだ多くの課題があると聞いているところです。この件を含めまして、今後、県や市町村がどういう役割を果たしていくべきか、市町村との協働による自然エネルギーの推進研究会の場において検討を進めるとともに、内容によっては国にさらなる制度改正等を要請してまいりたいと考えています。

<両角県議>
 太陽光については、全国であと9県しか、実際に県が補助金を出していないところはないということを指摘しておきたいと思います。水力発電については自然エネルギーの取り組みという点で進めていきたいという、前向きな答弁とも受け取れるものでありました。
 そこでもう一歩すすめ、物づくりの本県としていろんなケース、いろんな用水に対応できる発電機そのものを生産する産業の創設、あるいは既存企業への応援となるものにしていただきたい。設置工事の発注等もしていただきたい。これらにより地域の中小企業の仕事を創造することにつながると考えますが、このことに対する考えを、商工労働部長に伺います。

<商工労働部長>
 小水力発電機を生産する産業についてのご質問についてお答え申し上げます。
 エネルギー環境関連の産業につきましては、国はもとより本県におきましても今後の成長が期待される分野と認識しております。このうち、ご質問の小水力発電機におきましては、国内外に多くのメーカーが存在していることから、県内中小企業が新規に参入するためには、発電効率やコストなどで既存の製品に優位性を持つ製品を開発することが必要と考えております。このため、長野県テクノ財団におきまして小水力発電にかかる企業向けの先進事例見学会を開催したり、あるいは、同じく企業向けの自然エネルギー関連の技術、市場動向に関する研究会を継続的に開催しているところです。
 今後も、県内におけるエネルギー環境関連など、成長期待分野の産業創出と雇用拡大に向け総合的に支援をしてまいりたいと考えております。

3.医療費の窓口無料化について

<両角県議>
 次の質問事項は「医療費の窓口無料化について」であります。

 少子化がすすむ中、本県として子育てを応援することはごく自然のことと考えます。お金の心配なく安心して医療にかかれるためにも、いったん病院の窓口で支払う償還払いとなっている制度の改善を求めます。また、レセプト1枚につき500円の患者負担金も親御さんからは大変に評判が悪い県の制度です。このことについては廃止を求めますがいかがでしょうか。
 
 名古屋から引っ越してきたお母さんの声ですが、5歳と2歳の子どもさん、受給者証と保険証を持ってゆけば、窓口でまったくお金はかからなかったので、安心して生活できた。子どもはいつ具合が悪くなるか分からないので、長野県に来てからは、お医者さんに掛かるお金を残しておかなくてはならないので、常にプレッシャーを感じている。少し具合が悪くても我慢させてしまう。一度かかれば、2,000円、3,000円の出費となるので大変。ぜひ窓口無料にしてほしい。
 償還払いの改善の問題では、障害をお持ちの皆さんからも、医療機関に掛かる頻度がどうしても高く、月に、外来で6〜7万円、入院では20万円かかる。その経費が大変であり生活を圧迫している。3ヶ月4ヵ月後に返してもらえるものなら、最初から払わなくてすむ方法を考えてほしいとの切実な要望が寄せられています。このことに対する見解も、知事に伺います。

<阿部知事>
 子どもの医療費窓口無料化についてです。福祉医療制度の改正にあたりましては、この制度の実施主体が市町村ですので、市町村の代表者と県で構成する検討会が医療現場の声や子育て支援に取り組んでいらっしゃる団体の皆様等のご意見もお聞きしながら行ってきているところでございます。窓口無料化を実施した場合には、受給者の経済的負担は直接的には変わらないにも関わらず、国民健康保険の国庫負担金の減額措置や健康保険組合等の賦課給付停止によりまして、市町村に新たな費用負担が生じることになります。また、受給者負担金の廃止による影響もあわせますと、その規模は概ね25億円から30億円程度の負担増となる可能性があります。こうしたことを背景として現行の方式が採用されていると考えております。
 私もいろんなところで住んだことがありますので、子どもの医療費が地域によって保護者の皆様方の負担が極めて違いが大きいということについてのいろんなご意見があるということは十分承知をしております。
 また、それぞれの自治体がある意味で競うような形で福祉医療制度を拡充してきているわけですが、私は、現時点のように全国的に福祉医療制度が広まっている段階では、もはや各自治体が独自に取り組んで、さらに、いわゆる競争しているような形ではなくて、むしろ社会保障政策全体に位置付けて、国の責任でしっかりと措置されるべき問題だと考えております。
 現在、社会保障と税の一体改革の議論が行われてきているわけでありまして、そのなかでも中央の単独事業を含めた社会保障給付の全体像について検討が行われる、中央単独事業についても今の案では視野に入れるような形に、修正がなされてきているわけです。
 私としては、様々な機会をとらえて、地域の単独事業も含めた社会保障、本当に国民全体が安心して暮らせるような社会保障の仕組みを構築してもらうように、強く、引き続き国に要請していきたいと考えております。

<両角県議>
 次に医療費の窓口無料化についてでありますが、この場で何回か県議団として取り上げてきた経過は承知をしているつもりですが、ほとんど変わらない答弁が返ってきています。今回もそのようで残念です。
市町村の負担が25億円という、知事の答弁がありました。たしかに国保の運営は各市町村本当に大変です。従いまして、わが長野県が行っていませんが、市町村国保に対して県が独自に支援する、このことも大変大切かと思います。その財源をもってすればいかがでしょうか。
 子どもさんに限って言えばすでに34都府県が実施をしています。しかし、  本県は実施できない、他の自治体にできてなぜ本県はできないのか、なにがネックになっているのか。また以前の答弁に、国に働き掛ける、あるいは掛けているとのことですが、知事会の感触も含め今現在どんな状況か、全国にいけばどうなのか、どうすれば実施できるのか。ある病院の専務いわく、県のやる気だといわれました。県民が納得する答弁を知事に求めます。

<阿部知事>
 医療費の窓口無料化の話であります。変わらない答弁ということでありますが、私は、単に財政負担の問題だけではなく、やはり国と地方の関係性の問題ではないかという強い問題意識を持っております。自治体が、財政力の余裕のあるところは非常に手厚い措置を講じて、あるいはそうでないところはなかなか講じたくても講じられないというのが現状だと思いますので、こうしたことからすると、これだけ日本全体に制度が広がっているわけですから、国がより踏み込んで意識をしなければならない。むしろ、こういう制度をとることによってペナルティ的なことが行われているというのは全く逆の発想ではないかと思いますので、そうしたことを国の制度の中でしっかりと議論をしていただくと。
 さきほど、税と社会保障の一体改革の話のなかでと申し上げましたけれども、地方の声の反映は必ずしも十分ではないということを知事会も含めてずっと言ってきているわけでありますので、そうしたなかで、地域の声、国民の声、両角先生のご指摘も安定した制度をどういう自治体の財政力であろうともつくるべきではないかということが基本であると思いますので、私としては国に対して引き続き強く働きかけていきたい。そのことによって、知事会でも議論して多くの自治体が声を挙げていくということが必要ではないかと思っております。

4.30人規模学級の拡充について

<両角県議>
 次の質問事項は30人規模学級の拡充についであります。
 中学1年生まで拡大され県下各地から歓迎の声が上がっています。せっかくの制度、2年生になったら昔に戻るのもいかがかと思います。教師の数も増やすことになる。教室も足りなくなる学校も出てくる等、課題を乗り越えるのは簡単とは思いませんが、教育県とされる長野県のためにも拡充を願うものですがいかがでしょうか。教育長に伺います。

<教育長>
 30人規模学級の中学校2年生、3年生への拡充についてのご質問でございます。
 今年度、中学校1学年につきましては少人数学習編成との選択制で30人規模学級をいたしたところです。保護者や教職員への4月末のアンケートの一部をご紹介いたします。
・教室にゆとりがあり、兄のときと比べ落ち着きがある
・一人ひとりが活躍する場が増えて活気がある
・先生が全部の生徒を見回って助言をし、全員の学習カードに丸を付け、生徒も達成感があるようだ
 一部でありますが、こういった評価を頂いているところです。
 県教育委員会では、中学校2年生、3年生への導入については、学年進行により実現するのがベストと考えておりますけれども、国や県の財政状況が厳しいなかでありますので、国が進めている小学校35人以下学級の2学年への拡大の動向を注視しつつ、全ての市町村教育委員会の皆様との意見交換などを通しまして、中学校1年への導入についての成果の検証を行った上で、実現にむけて努力してまいりたいと考えております。

<両角県議>
 最後に、30人規模学級の中学校2年生3年生までの拡充については、ぜひとも実施の方向ですすめていただきたいと申しあげ、県議会、初登壇の、私の質問を終ります。ありがとうございました。