2010年11月定例会 一般質問 11月30日 高村京子

  1. 身近で買い物ができない地域が広がっている問題について
  2. 介護保険制度の抜本改正について
  3. 産業廃棄物行政について

1、身近で買い物ができない地域が広がっている問題について

<高村県議>
 大型店が進出により、地域の小売店が影響を受け次々と地域の小売店が閉鎖を余儀なくされた後、広い地域から集客し利益を上げてきた大型店が、地元の不安をよそにいつの間にか撤退し、住民は身近な地域で買い物ができなくなる、このような事態が広がっています。車を運転できない高齢者や子ども、障がい者など生活弱者は「買い物難民」となり、健康と暮らしの維持に深刻な状況が広がっています。
 政府による90年代からの規制緩和が進み1998年大店法を廃止したあとは、全国で大型店チェーン店による出店と営業時間の野放しは、いっそう加速し大型店同士の熾烈な競争が地域を破壊しています。
 商工労働部長に伺います。
 身近で買い物ができない地域がひろがっている現状をどのように認識されておられるでしょうか。大型店の進出と撤退の変化、大型店の占める売り場面積の変化はどうでしょうか。合わせて伺います。

<商工労働部長>
 高村議員から大型店の進出あるいは撤退による買い物環境の変化、これに関するご質問を頂戴いたしました。国が実施しております商業統計調査につきまして、平成9年を100とした指数で見ますと、10年後の平成19年、この10年間で小売業の従業員数は104.8、4.8%の増、それから売り場面積は119.0、19%の増というふうに増加しておりますが、事業所数は82.4、年間商品販売額は86.9と減少しているのが実態でございます。内訳を見てみますと、店舗面積1000?を超える大規模店舗、これを見てみますと、従業員数とか売り場面積が伸びておりますが、商品販売額は減少している。これに対しまして、大規店舗以外では、事業所数、従業員数、さらには商品販売額がともに減少しているという状況にございます。大規模な店舗は、最近の車社会の進展にあわせまして、消費者ニーズつまり多様な品揃えを望むニーズであるとか、あるいは一か所で買い物がいろいろできると、こういった利便性を求める、そういったニーズがありまして、そういった変化によりまして拡大しておりますけれども、その一方で中小小売店舗における後継者不足であるとか、あるいは空き店舗の増加等々の理由によりまして、地方の中心市街地が空洞化いたしまして、本来の商業機能が失われていると、こういった事態につきましては私も非常に憂慮しているところでございます。さらに地域によりましては、最近の景気低迷の影響であるとか、あるいは企業の経営の合理化等によりまして大規模店舗が撤退する、あるいは地元の店舗がいわゆる店じまいする等々によりまして、移動手段を持たない交通弱者であるとか、あるいは高齢者を中心に、買い物に支障をきたす状況にあることは私も十分認識しているところでございます。
このために、今年度新たに、これらいわゆる買い物弱者の実態調査に踏み出したところでございます。なお、お尋ねの大規模小売店の出展店舗数でございますが、最近5年間を見てみますとだいたい県内全体で510店舗前後で、大きな増減はなく、変わらずに推移しておりますし、総売り場面積に占める大型店の割合もおおむね59%から60%程度で推移しているというような実態でございます。

<高村県議>
 大型店の売り場面積は、全商店の面積の6割近くになるということで、上田市・上小地域等ではそれ以上という状況になっています。
 この夏、長和町に隣接する武石地域の大型スーパーが撤退しました。松本に近い鹿教湯や白樺湖に近い姫木平から20キロから25キロの距離から唯一利用できたスーパーが撤退したのです。今までも不便でしたがさらに遠くの丸子や旧上田市内にまで行かないと食材や生活用品を買えなくなりました。その上田市内ではJAの跡地に大型集客商業施設を来年オープンする一方で、同チェーン店の上田駅前スーパーを撤退すると最近発表しました。このような事態は県下各地でおきており、全国でも買い物難民は600万人とも800万人とも推計されています。
 大型店出店の際、その後地域に定着されてきた中での撤退の際も地元住民の不安や意向は全く無視されています。このように大きな資本力をもって身勝手な出店・撤退をこれ以上放置してよいものでしょうか。
 郊外の優良農地や美しい自然、景観、街並みがこわされ、長い歴史の中で栄えてきた商店街がシャッター通りとなり、灯りの消えた商店や空き地が増える一方で、煌煌と照明をつけ深夜営業する大規模集客施設が出現しています。便利さが受ける反面、女性を含む労働者の不安定雇用や深夜長時間労働が蔓延し、騒音や渋滞など住環境の悪化、青少年がたむろする場となるなどの悪影響は多方面に及んでいます。
 商工労働部長に伺いますが、このような大型店の「ノンルール」状態を放置せず、県として身近で安心して買い物ができる環境を守るために、大型店の出店、撤退の際、地元要望を踏まえた積極的な関与をすべきではないでしょうか。この点どのように対応されるのか、伺います。

<商工労働部長>
 買い物のための支援策あるいは大型店の出店退去への関与についてのご質問を頂戴いたしました。大規模小売店舗の出店につきましては、大規模小売店舗立地法という法律に基づきまして、事前の届出が義務付けられておりますけれども、これは駐車場、あるいは騒音といった、周辺地域の生活環境という観点から、施設の配置であるとか、あるいは運営の方法について適正な配慮を求めたものということが制度の建前となっております。また撤退につきましても、法律では届出を行う以外特段の規制はありません。こういったことから、大規模店舗の出店あるいは撤去に、現在の法律以上に何らかの制限を課すということは先ほど申し上げましたように、多様な品揃え等々を求める消費者の利益、こういったものを考慮すると、なかなか難しいのではないかと考えております。
 しかしながら、議員からご指摘のありましたとおり、高齢者等々地域で暮らす住民の買い物環境の確保は大変重要なことであると認識しておりまして、高齢者だけではなく子育て家族への支援、あるいは防犯防災、そういった地域のコミュニティーとしての役割を担っております商店街、これを維持、活性化することによりまして、買い物の場を確保する、このことが必要だと考えております。長野県では今年度から商店街にぎわいパッケージ事業というものを実施しておりまして、市街地の賑わい創出でありますとか、あるいは空き店舗対策、後継者対策のモデル事業等々、商店街が抱えている課題解決のための総合的対策を講じているところでありまして、地域あるいは市町村とも協力いたしまして、実はこの地域・市町村というのは一番大事な役割でございまして、そういった方の努力に対しまして引き続き商店街の活性化に向けた支援を継続してまいりたいと考えております。

<高村県議>
 高齢者や買い物難民等のために商店街対策等も強めていただいていることは承知しております。しかし現状では、身近な地域で食材などの買い物が出来ないと、高齢者、障がい者のみなさんは命と健康に関わる事態にも今なっているわけです。街のにぎわいやお祭りなどの地域文化を守るためにも、大手スーパーの身勝手な進出・撤退に弱い立場に置かれた住民の代弁者として、法律を超えて県が関与すべきではないかと思います。
 また、小売り店舗を出したい人ですとか、移動販売車、スーパーに買い物のためバスの運行や送迎車を出すなど、地域の様々な工夫やがんばりたい、お店を出したいという皆さんも出てきております。県といたしましてもぜひご検討いただきまして、今経済産業省でもそこに視点を当てたような方向が見え始めております。国に対してもこのような地域の力を生かした街づくりの支援を強化するとともに、大型開発、集中型都市政策をやめていただきまして、先ほど部長さんもおっしゃいました、地方自治体、市町村が本当に身近な自治体として実効ある大型店の規制が出来るように、長野県のそういった役割もできるような法改正を国に求めていただくべきではないかと思っております。
 上小地域では平成3年から19年の16年間に、卸、小売店ですけれども、740件、約4分の1以上が閉業しております。ここ2−3年の間にも大型店の出店・撤退の大きな動きが起きており、3年ごとに行われている商業統計平成21年調査がどのような結果なのかと伺って、驚きました。平成21年の商業統計調査は廃止され、総務省と経済産業省に置いて平成23年度に調査を統合し、新たな経済センサスとして平成24年2月に調査されるとのことでした。
 そこで企画部長に伺いますが、一体どのような統計調査になるのでしょうか。平成24年に行われる調査内容とその発表はいつになる予定でしょうか。

<企画部長>
 新たな平成24年経済センサスがどのようになるかというお尋ねでございますけれども、これまで実施している経済関係統計調査は製造業、それから商業などの各分野ごとにそれぞれ異なる年次、あるいは周期で実施されておったところです。これに対しまして、平成24年経済センサス活動調査、これは従来の事業所、企業所統計調査、商業統計調査などの個々の経済関係大規模調査を見直し統合することなどによりまして、全産業分野の企業等の経済活動の実態を同一時点でいっせいに調査し、全国及び地域別にその状況を把握するといったものとされています。内容等については現在鋭意つめているというところと聞いておりますけれども、この経済センサスはその後5年ごとに実施される予定でございまして、お尋ねの商業統計に関する調査につきましてはその中間年にも実施される予定と伺っております。それからこの経済センサス活動調査、平成24年2月に実施される予定となっていますが、速報としてはおよそ1年後の平成25年1月という形で発表されまして、最終的な確報は25年夏ごろから順次公表されるというふうに伺っております。

<高村県議>
 平成21年の商業調査は行われず、調査は23年度中の平成24年の2月、発表はさらに翌年の平成25年の夏ごろ。これでは平成20年から5年間、発表までは6年間も商業統計の実態が把握できないことになります。
 また、深刻な消費不況の影響についても5年から6年も把握できないことも問題ではないでしょうか。
 商工労働部長に伺います。県独自にも商業統計調査に取り組み、年々大きく変化する商業実態を把握し、対策を講ずる必要があると考えます。
 平成21年、前回から3年経過での商業統計が昨年行われていません。
 また、長野県として買い物難民を、地域の皆さんがお店を出したいとか、販売車を出したいとか、スーパーにお買い物に行く皆さんのお車を心配するとか、バスがスーパー前に定期的に行かれるようなことを組むとか、そういうことに対する支援についてもっと踏み込んで、県が買い物難民対策支援をしていただきたいと思いますが、そのことも併せて商工労働部長にお伺いしたいと思います。

<商工労働部長>
 2つご質問頂戴いたしました。まず商業小売統計ということの独自調査に関するご質問でございます。これは言うまでもございませんが、従来の商業統計調査は全国一斉ということで実施されておりまして、調査方法につきましても、例えば全国に支店のある大企業は数多くあるわけですが、こういったものについては経済産業省が本店を一括調査しまして調査結果を各都道府県に送付するということで、全国調査のメリットを生かして効率的に実施されておったということでございまして、仮に本県で同規模のものをやろうということになりますと、費用面からも手法の面からもなかなか難しいと考えております。県としましても、業統計調査はご案内の通り、商業振興施策を検討する上では重要な統計資料だと考えておりまして、今回の国の調査制度変更によりまして、議員からご指摘のありました、一定期間調査がなされないということにつきましては残念な状況であると考えております。
 ただ今回のケースは、調査制度の変更に伴う過渡的なものだと考えておりまして、もしこの間に我々の商工行政に具体的な支障があれば、代替の方法も考えていかなければならないと考えておりますけれども、現時点では平成24年度以降の経済センサス実施によりまして、従来通り実態の把握が可能であると考えております。
 県独自で買い物難民、こういった課題に対して施策を講じられないかということでございます。先ほど申し上げましたけれども、議員からもご指摘ありました、今回は国からの補正予算でそういった施策を講じておりますけれども、私どもは実は今年度の当初予算の段階で、先ほど申し上げました、県内の高齢者が買い物のために利用する店舗までの距離だとか移動手段、そういった買い物環境、それからご指摘のありました生鮮食料品、そういった取扱店がない地域におけます高齢者購買意欲、こういったものを調査しておりまして、今後こういった調査結果を踏まえまして、中山間地を多く抱える長野県ですので、それにふさわしい支援の在り方につきまして、市町村、あるいは民間事業者、こういった方々との連携策も含めて、検討してまいりたいと考えておりますし、また、議員地元の上田市、丸子の商店街では今年度から県のモデル事業の一環として取り組みを始めているというところでございます。
 これから一生懸命取り組んでいこうというところでございます。

<高村県議>
 私はやはり、今この数年の大きな商業の変化というのを非常に危惧しております。本当に命と健康を守るところに問題が生じつつあると思っております。県では商業統計の間のあることで支障が起きればということですが、私はもう起き始めていると、そのことに真剣に視点を置きながら、生活、健康を守る施策について踏み込んでいっそうの充実を図っていただきたいと思います。

2、介護保険制度の抜本改正について

<高村県議>
 介護保険制度が始まって10年たちました。厚生省は来年介護制度の抜本改正を検討しています。現行の制度が「保険料の負担は重く、介護サービスは不足」となっている現状を改革するものとなるよう切に願うものです。
 現行の制度は、高齢者の年金額や生活実態を考慮しないまま、保険料や施設の食費・入居費などの負担を増やしてきました。一方、選択できるはずの介護サービスは、まず認定で限度額が決められ、デイサービスやショートステイ、入所施設が不足し、利用者の希望に添えるケアプランが組めません。サービスをコーディネートするケアマネージャーは常に悩み苦しんでいます。また1割の利用料が払えなければサービスの利用を控えなければなりません。
 過日の11月5日、長野県民主医療機関連合会は、ケアマネージャー・看護職・介護職員がかかわった「介護困難事例集」を公表し、介護にかかわる様々な解決困難の事例100例を通して、現状の介護保険制度では解決できないこと救われないことを怒りを持って告発しています。また、同日県介護支援室との懇談も行われました。
 そこで、健康福祉部長に伺います。
 介護保険現行制度や長野県高齢者プランでの第4期介護保険支援計画の到達点も踏まえ、介護現場で突き当たる壁となっている次の4つの問題について、どのように受け止めておられるか伺います。

  1. 費用負担が大きく、支払いができない。限度額に収まらないサービスは自己負担になり、サービスを控えることになる。
  2. 施設整備が間に合わず、入所待ちが5000人以上にもなっており、入れるところがない。
  3. 認知症への対応が大きな課題となっている。
  4. 介護認定で、状態は変化ないのに軽度になるケースが多く出る。

このような問題解決に向けてどのように取り組まれるのかも合わせて伺います。

<健康福祉部長>
 介護保険制度の実態についてお尋ねを頂きました。介護保険制度は平成12年に制度が創設されておりますけれども、この間県内の要介護認定者は1.9倍の9万4千人、サービス利用者は2.2倍の8万2千人となるなど、高齢者を支える社会保障制度の中核として着実に普及していると認識しております。一方内閣府が今月発表していますけれども、介護保険制度に関する世論調査では過半数の方が制度導入を評価されているというような現状もございます。
 様々な困難事例につきましてご指摘を頂戴しましたが、ひとつ目に、費用負担といった課題につきましては例えば、一定額を超える負担については、高額介護サービス費の支給ですとか、あるいは平成20年度からは介護と医療それぞれに負担が伴う世帯に対しては高額医療合算介護サービス費の支給が設けられるなど、制度の改正が実施されています。
 設備整備の促進といった課題についてですが、これは国の経済対策に連動いたしまして、県としましても施設整備拡充のために大幅な予算確保をしてきた点でございます。
 認知症の対応につきましても、認知症高齢者グループホーム等、平成18年度の見直しから地域密着サービスが実施されておりまして、認知症高齢者に対する制度拡充が図られています。県としてもそのような対応の充実を図ってきているところです。
 要介護認定につきまして、平成21年度の改正では、ご指摘の通り、従来の認定より低く認定されるケースも見られているところから、システムの改善が図られていまして、さらにその経過措置が現在図られまして、今10月にそれが終ったところだと聞いております。
 さまざまなご指摘、その都度制度の見直し等が図られてきているところでございますが、先ほど申し上げました世論調査においても、制度導入を逆に評価しないという方が3割はおられるといった背景には、今ご指摘の通り、費用負担や施設整備、認知症といった様々な課題への対応がまだまだ不十分だと、十分ではないという状況が根底にはあると認識しております。
 いずれにいたしましても現在、国では平成24年度の介護保険制度の見直しにむけて検討が進められておりますので、こうした課題について利用者や保険者の意見を十分に反映し、活発な議論が交わされた上で見直しが行われると期待しております。

<高村県議>
 県はこの間、特別養護老人ホーム等100か所近い整備計画を進めていただいておりますので、そういったことはありがたく思いますけれども、しかしまだまだ5千人以上待っているという状況では、いっそうの整備計画が必要です。その点、今後どのように考えていますか。また県独自の宅幼老所整備とともに緊急宿支援事業は、ショートステイがすぐに確保できにくい現状では、歓迎されている制度ですが、実態はどのようになっていますか。
 現状では、保険料の負担をいただきながら、受けられるサービスがまったく不足しています。10年後の2020年には高齢化率は30%を超え、高齢者の夫婦のみの世帯や高齢者一人世帯がいっそう増え、介護を必要とする高齢者もいっそう増えてゆきます。国も県も真剣になって、介護施設やサービスの整備充足を進めなければなりません。しかし現行制度の枠組みでは、介護施設やサービスを充実すると介護保険料の値上げにつながり、高齢者の負担が重くなり、お財布との相談では、逆にサービスが受けられない事態となっております。この点について、健康福祉部長にお伺いします。

<健康福祉部長>
 今後の施設整備並びにその緊急宿泊支援事業の実態についてお尋ねを頂戴しました。
 現在、平成23年度末までの第4期高齢者プランに基づきまして、平成22年の時点で、特別養護老人ホームは1110ベッドの目標に対しまして、1068ベッド、96%に着手しております。老人保健施設は635ベッドに対して475ベッド、75%の着手、認知症の高齢者グループホームについては690の定員に対して700の定員の着手をそれぞれ見込むなど、プランを超える整備を認めながら、目標達成にむけて着実な整備を進めているところでございます。
 それに続きまして平成24年度から始まる第5期の高齢者プランにおきましても、今後の高齢化の見通しや市町村の実情・要望を踏まえまして、介護サービスの基盤の充実に向けて、支援を進めていきたいと考えています。
 それからもうひとつお尋ねをいただきました。宅幼老所等における緊急宿泊支援事業でございます。実施市町村は年々増加しておりまして、平成22年度は28市町村において94施設、のべ2950回の利用見込みがございまして、今年度につきましてこれに対する支援を現在行っております。
 家庭で介護に携わる皆様方の負担軽減を図る上で非常に有効な施策であり、多くの市町村に制度の趣旨を十分ご理解いただきまして、積極的な実施につながりますよう県としても事業の周知にさらに努めてまいりたいと考えております。

<高村県議>
 施設整備ですけれども、在宅でおられる方が5千人以上もお待ちでいらっしゃると、そしてこの数は施設整備以上に毎年増えていくという状況になっておりまして、このことを本当に関係者の皆さんと今後の第5期の介護施設整備計画につきまして、踏み込んだ検討、充実をお願いしたいと思います。

 共産党県議団では、この間、県民なんでもアンケートに取り組んでいます。今までに1500通を超える切実な声が寄せられております。深刻な地域経済不況や家計収入の落ち込みの中で、ぎりぎりの中で生きている悲鳴のような声がたくさん寄せられています。

などなど、介護保険料の支払いにも難儀をしている高齢者の実態があります。命と人権にかかわる問題にもなっています。
 民主党は政権公約で、介護保険財源を8000億円増額すると公約しましたが、今回の介護保険制度抜本改正で検討されている内容は、要支援や軽度の要支援者のサービスを介護保険から外す、年間所得200万円の人は利用者の負担を1割から2悪に増やす、現在無料のケアプラン作成の有料化などであり、高齢者の実態を踏まえ、負担を軽くするどころか、必要な介護保険財源を、いっそう利用者の犠牲と負担増に求める方向です。また介護職員の処遇改善策も見えません。
 再度健康福祉部長に伺います。
 このような制度改正の方向では、高齢者の介護を守ることはできません。いっそう老齢者の暮らしと健康を脅かすものです。
 日本ホームヘルパー協会長の因利恵さんは、「弱った体で家事など無理をすればもっと弱る“家事は家族で”との発想は、介護の社会化という介護保険の理念と相いれない」と述べています。また日本介護支援専門員協会長の木村氏は「ケアプランを有料化したら必要な時に必要なサービスの利用ができなくなる。“介護の社会化”の理念に立ち返るべきだ」と述べて、今回の制度改正の方向を批判しています。
 長野県として、強く国に対し公約どおりの国庫支出金の増額を強く求め、国庫負担割合を最低でも現行の25%以上、大幅に引き上げるよう強く要請していただきたい。介護困難事例など現場の実態から、真に介護の社会化を図り、お金の心配なく必要な介護サービスが保障される制度改正となるよう、国に強く働きかけていただきたい。この点どのようにお考えでしょうか。伺いたいと思います。

<健康福祉部長>
 介護保険制度の見直しについては社会保障審議会介護保険部会が今月の25日に意見書を報告したところですが、この中では低所得者への配慮として保険料負担の軽減や特養の個室やグループホームの利用者負担の軽減について提言がなされています。
 現在国が原則として25%負担している公費負担については、先ほどの内閣府の調査によりますと、保険料の抑制や介護サービス充実の財源として、4割を超える方々が引き上げることを希望されております。しかしながら審議会では、公費負担の割合については、安定した財源の確保や社会保障と財源の在り方など、さまざまな面から議論がされておりまして、公費負担の在り方については、全国知事会として地方自治体の大幅な負担増とならないよう、国において恒久的な財源の確保も含めて検討することが必要である旨、国へ要望しているところでございます。
 今後とも、介護保険制度の課題につきましては、県と様々な機会を通じまして国に要望してまいりたいと考えております。

<高村県議>
 年金から介護保険料や後期高齢者医療保険料を引かれるということで、高齢者の皆さんは困窮したり、どうしてこんなに年寄りがいじめられるのかということで本当に不安な思いでおられる方が増えていると思います。ですので、知事会でも要請はしていただいておりますけれども、引き続き、来年度の制度改正の方向が見え始めたところで、いっそう長野県からも強く抜本的な制度改正、充実について改めての意見提案をお願いしたいと思っております。

3、産業廃棄物行政について

<高村県議>
 
「廃棄物の適正な処理の確保に関する条例」が制定されて、1年8か月が経過しました。新しい条例が「施設建設での地元合意を必要としない」条例となったことで、地元住民の皆さんの意見が反映されない事態が発生しているのではないかと危惧します。条例が目標としている、処理施設の設置に関する周辺住民との合意形成や廃棄物の適正処理と県民生活環境の保全について、環境部長に伺います。
(1) まず、条例の第4節廃棄物の処理施設の設置に関する合意形成の手続き第2節で規定している事業計画協議の状況は、条例制定後どうなっているでしょうか。
(2) また事業計画協議過程の中で、途中で計画を中止した事例があると聞きますが、事業者が事業計画どおりの推進を強行しようとした場合はどうするのでしょうか。
(3) 住民があくまでも反対した場合に、たとえば市町村長の意見の扱いをどうするのかなど、どのように対応されるのか、環境部長に伺います。

<環境部長>
 廃棄物行政についてのお尋ねでございます。
 はじめに、平成21年3月1日に施行されました廃棄物条例に基づく事業計画協議の状況についてでございます。これまでに産業廃棄物処分業、収集運搬業、再生利用業、自動車リサイクル業等などの事業計画者から34件の協議がございました。そのうちすでに協議が終了したものが6件、現在協議中のものが25件、協議の途中で計画を廃止したものが3件となっております。協議が終了した6件についてみますと、協議の開始から終了までに約6カ月から、長いものは13カ月の期間を要している状況です。
 次にこの事業計画協議の進め方についてのお尋ねです。条例の手続きがすべて終了したこの6件については誠実に説明会等を実施しまして、地域の皆さんからの事業計画についての疑問点や意見に対して十分な議論を重ねながら合意形成が図られたものと受けとめているところでございます。一方、事業計画協議の途中で事業計画を廃止した3件の事業につきましては、地域の理解を得ることが難しかったこと等によりまして、事業者の側から事業計画廃止届の提出があった者でございます。
 事業者が事業計画通りに推進を図ろうとする場合、県といたしましては手続きが終了した事例、あるいは途中で廃止した事例などを参考にしながら、事業者に対しまして、事業計画の内容、あるいは説明会の進め方等について再考を促しながら、地域住民との合意形成を図るように指導していくこととしています。
 それから3番目の、住民の反対がある場合、例えば市町村長の意見をどう取り扱うのかといったお尋ねでございます。
 条例に基づく手続きにおいて、この事業計画に対する住民の不安が解消されない中でなかなか合意形成に至らないケースも出てまいります。こうしたケースにつきましては、事業者に対して、機械的画一的な説明ではなくて、住民が懸念する事項について一つ一つ、具体的な対応策を説明するなどして住民の理解を得るように指導しているところでございます。お話のように、市町村長の意見の取り扱いにつきましては、条例の中でも事業者は市町村長の意見を尊重するよう規定をされております。従いましてこの精神を十分尊重しまして、地域の環境保全のために必要な対策を講ずるように、私どもは事業者を指導していくこととしております。こういう対応をしております。

<高村県議>
 県はあくまでも事業所に対して地元住民との合意形成を図ると、その過程を重視するという、条例上はそういうわけで仕方がないわけですけれども、しかし、地元自治会あげての反対署名活動をしたり、反対集会で反対決議をあげる、あるいは地元の市町村議会でこのことに賛同、事業所進出に反対の地元の意見を汲んだ決議をするというときに、真剣にふるさとの環境を守りたい、後世に引き継ぐためにも産廃施設とは共存できないと考える人々の意見を尊重し、許可をしない指導をきちっとする、そういう立場に県もたつべきではないかと考えます。みんなのかけがえのない宝、美しいふるさとを守る姿勢も県はしっかりと持つべきです強く要請いたします。
 最後に優良事業所の育成や環境保全に対する指導、また、地元住民との合意形成の課題など、廃棄物行政をつかさどる県の姿勢を改めて伺います。地元の皆さんの思い、地域あげての産廃施設とは共存できないとの思いをどのように県としてどのようにくみ取るのか、そのことを環境部長に伺いたいと思います。

<環境部長>
 優良事業者の育成、指導など廃棄物行政を担当する姿勢、先ほどのお話に関連するご質問がございました。はじめに、循環型社会を形成し持続可能な社会の実現、あるいは経済活動を支えるために、産業廃棄物処理業者の存在は不可欠でございます。そんななかで優良事業者の育成は県の重要な責務でもあると考えております。
 こうしたことから、廃棄物処理業者に対しまして、毎年度事業研修会を開催し、資質の向上を図っております。この他法令順守はもとより、積極的な情報公開、また環境配慮に取り組む優良事業者の認定制度、表彰、さらには、処理事業者と県が締結する、産業廃棄物減量化適正処理実践協定、こういった締結等も通じまして、優良な処理事業者を育成しているところです。
 また、県では廃棄物処理法に基づき、許可にあたっては厳正な審査を行いまして、また処理業者の事業活動に対する監視指導を徹底し、不適正な処理には厳正に対処してまいります。こうしたことを通じまして、廃棄物の適正な処理および生活環境の保全を推進し県民の暮らしの安心を確保してまいりたいという姿勢でございます。
 それから先ほどのことに戻りますが、地域の理解というものがこうした手続きのなかでなかなか進まないといったケースの取り扱い、これは私どもでも一番大きな課題があると受けとめております。ただ私どもの条例でできている協議の制度というのは、環境保全に対する具体的なご意見を寄せていただきまして、それに対して事業者が個々の改善をし、そういうやり取りを通じながら合意形成を図っていくと、こういう制度でございます。従ってそのへんのところを、一方的に話の中身というものを良く聞いていただきながらそのへんのやり取りをしていただきたいと思っているところです。一つの例としては、地域の皆さんと事業者の間でいろんな地域の要望について環境保全協定を結ぶといった方法でこれを解決している事業者もいます。
 そんなことを参考にしながら、できるだけご理解を深めて頂くような形で私どもも事業者にアドバイス、指導もしてまいりたいと思いますし、市町村等とも私どももまた意見交換もしながら、適正な処理と環境の保全の両立ということで精いっぱいの努力をしていきたいと思います。

<高村県議>
 2002年2月に藤沢のり子県議が指摘しておりますように、地元合意をなくしたというなかでは、地域の皆さんが大切にしている水や空気や環境を大切にしている地域に、力のある業者が乗り込んでやりたいと言ったときに、地域の皆さんはものすごいエネルギーを使って話し合いをし、集会を重ね署名をし、いろいろなことにエネルギーを割かなければなりません。両立をするようにというふうに県はおっしゃいますけれども、両立できないからやめてもらいたいと、こういうふうに地域の皆さんは長い間地域を大切にしてきた先祖代々の思いを大切にして言っているわけです。やはり、地元の皆さんの思いというものを本当に県がくみ取るということにもっとしっかり関与していただきたいと思います。
 廃棄物行政で大事なことは、廃棄物の排出抑制に各企業が務めるよう指導すること。そしてできるだけ燃やさない、埋め立てない、最後の最後まで資源としての再生を目指すこと、最後まで環境保全に責任を持つことなど産業廃棄物事業所を育成指導するよう県のいっそうのご努力、そして地元の思いをくみ取っていただく産業廃棄物条例を強く要望して、質問を終わります。