2010年2月定例会  代表質問 2月24日  和田あき子

  1. 駒ヶ根病院クレーン転倒事故について
  2. 新年度予算について
  3. 知事の政治姿勢について
  4. 行政改革について
  5. 男女共同参画の推進について
  6. 北陸新幹線並行在来線問題について
  7. 人権問題について
  8. 元気づくり支援金について
  9. 特別養護老人ホーム待機者の解消について
  10. 医療福祉の充実について
  11. 温室効果ガス削減目標の実現について
  12. 農業振興について
  13. 浅川ダム建設について
  14. 中高一貫教育について
  15. 「核のない世界へ」について

1.駒ヶ根病院クレーン転倒事故について

<和田県議>
 日本共産党県議団を代表して質問を行います。
はじめに、一昨日、駒ヶ根病院の建設現場で起きた事故で亡くなられた大西睦男さん、私の隣村の中条の30歳の方で、まだまだ将来のある方が亡くなられたましたことに心よりご冥福をお祈り申し上げますとともに、また、重傷を負われた3人の方々にお見舞い申し上げます。
駒ヶ根病院の事故について、発注責任者である知事はどのように受けとめているのか、お伺いします。昨日の質問で事故原因は調査中とのことですが、全国的にクレーン事故の報道がされ、事故が多発している印象があります。工期に無理があるなど施工が原因という恐れはなかったのでしょうか。労働衛生面や安全管理に問題はなかったか。また、事故直後にどのような指示をしたのか、建設部長にお伺いします。

<村井知事>
 一昨日の事故でお亡くなりになられた大西さんのご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、負傷されたからの一日も早いご回復を心から願うものであります。
 県で発注した建築工事現場で4名の方が死傷されたことは誠に遺憾なことであります。工事現場の安全管理につきましては、一般的に工事請負業者や工事に携わっている者の責任であります。ただ現在、警察等によって事故原因の調査が行われているところであります。発注者である県といたしましては、今後このような事故が二度と発生しないように、工事請負者や工事監理者ともども工事現場の安全管理の徹底してまいりたいと存じます。

<入江建設部長>
 労働衛生面および安全管理、さらに事故直後の指示に関するご質問でございます。
 最初に、労働衛生面、安全管理の問題についてですが、県が発注する建築工事におきましては、各工事の工種ごとに工事方法や使用する資材などにかかる施工計画書の提出を求め、施工時の安全性の確認を行っているところですが、今般の移動式クレーン作業につきましては、現在労働基準監督署において、労働衛生面および安全管理について調査がされていることから、その結果をもって対応を図りたいと考えております。
 次に事故直後の指示に関するお尋ねでございます。事故のあった工事現場につきましては、一旦全ての工事を停止させました。また今後請負者より提出させる事故再発防止対策報告書を確認するまで、引き続き工事を停止することとしております。また、今回の事故を受けまして、事故当日他の全建築工事現場に対し、安全管理についてあらためて、総点検をするよう指示を命じたところです。さらに昨日、建設部のすべての発注機関に対し、工事現場での安全管理の徹底を文書で指示したところでございます。

<和田県議>
 県が発注した事業の建設現場での事故を重く受け止め、再発防止のために徹底的した事故の原因究明をお願いしたいと思います。さらに工期や安全管理に十分な配慮を求めます。

2、新年度予算案について

(1)新年度予算の前進面と後退面について

<和田県議>
 さて、国民の暮らしはいま、底なしの悪化を続けています。失業率は上昇して5.1%に達し、企業倒産は3年連続で増加しています。昨年の消費者物価はマイナス1.3%と過去最大の下落を記録し、デフレの様相を強めています。2010年度の政府見通しでは成長率はプラスですが、雇用者報酬はマイナス0.7%とされ、家計の所得が改善する見通しはたっていません。
 この経済危機から国民の暮らしをまもるためにも、政治の根本的な転換が求められています。日本の経済は、「リーマン・ショック以前」の10年間に、GDPの伸び率がわずか0.4%、雇用者報酬はマイナス5.2%と、先進7カ国のなかで、もっとも成長力のない脆弱な経済になっていました。そこに世界的な経済危機が襲いかかったことで、景気、経済の打撃は極めて深刻になっています。自公政権が「構造改革」、「成長戦略」の名のもとですすめてきた「強い企業をもっと強くすれば、経済が成長し、くらしもよくなる」という路線は、完全に破綻したことを示しています。この抜本的な転換こそが、経済危機打開の道であると思います。
そこで、新年度予算(案)と政治姿勢について知事に伺ってまいります。22年度当初予算(案)は、8,615億円、前年度当初比293億円の増、3.5%と3年ぶりの「積極」財政と報道されています。
 予算(案)には、医師確保、特別養護老人ホームなど福祉施設の整備、特別支援学校の教員80人の増員、新卒未就職者等人材育成事業はじめ、暮らし・福祉・雇用などにいまだかつてなく多くの予算がつき、公共事業も生活密着型という提案がされました。いままで私たち共産党県議団も要望していたことでこの点は歓迎します。
 しかし、全国的にもトップレベルの派遣切りや自殺者の増加、高齢者や女性の就業率の高い長野県で、国民の暮らしや子育ての苦労に寄り添った暖かい支援をする予算になっているのだろうか、という点での疑問もあります。また、知事は提案説明でわざわざ浅川ダム本体契約だけ抜き出し、正当性を主張して事件案の提案をされました。この点は「ダムに拠らない治水」の検討を求めている県民に対する挑戦状ではないかと思います。

<村井知事>
 新年度予算につきまして、私の基本的な考え方を申し上げたいと存じます。厳しい財政状況の下で、国の補正予算で措置されました基金などを有効に活用しまして、財政の健全化にも配慮しながら、景気や雇用など、当面する課題に対応しながら、「中期総合計画」を着実に推進するための予算として、今度の予算を仕上げたつもりであります。政権交代がありまして、事業の見直しや制度変更があったことなどから、新たな国の予算や制度の内容がなかなか明らかにならない中ではありましたけれども、なんとか予算案としてもまとめ、今議会に提出することが出来まして、私としてはほっとしているところであります。
 いずれにしましても、この予算の執行を通じまして、明日の長野県を開くために、県民の皆さんのご理解・ご協力をいただきながら、職員と一体となっていまのくらしの安心を確保するとともに、将来に向けた活力あふれる地域づくりを推進してまいる決意であります。

(2)臨時財政対策債の発行、財政健全化について

<和田県議>
 一昨年に始まった世界大不況は現在も進行中です。長野県における景気も急降下したあと「いまだ混沌」としています。県税も大幅減収となって、県財政を直撃し続けています。鳩山内閣になって地方交付税は若干増えましたが、地方の財源不足を補うには全く不十分です。地方交付税をもっと増やすべきところを、その代わりに臨時財政対策債の発行を地方に押し付けるやり方を強化してきました。この点は、自公政権時代と変わっていないどころか、むしろ拍車がかかっています。県は、税の減収を補うのに主として借金に頼らざるをえないという事態におちいったままであり、借金体質は深刻化しています。
県は、当初予算案の発表と同時に示した「平成22年度当初予算のポイント」で「臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税が増額」と記述しています。このとらえ方は総務省の説明を鵜呑みにしたものであり、誤りではないでしょうか。臨時財政対策債はあくまで県の借金です。これまで交付税で全額補てんされたことはなく、今後も補てんされる保証はありません。新年度の県債発行予定額1,411億円の約6割にもあたる834億円も臨時財政対策債が占めています。
臨時財政対策債は2001年度125億円から始まり、年々発行額が増え続け、累積で今年度3,548億円にものぼります。中期財政試算でも「増大する臨時財政対策債等の償還に係る公債費が増加することがみこまれることから、引き続き一般財源は不足する見通しとなっていると、県自身も危機感を強めているのではないでしょうか。
 臨時財政対策債はあくまで「借金」という認識なのかどうか、お聞きします。

<村井知事>
 財政の健全化と、それから臨時財政対策債につきましての私の認識のお尋ねがございました。新年度の臨時財政対策債の発行予定額が834億円と年々増額を余儀なくされているのは今さら申し上げるまでもなく、地方の財源不足を本来地方交付税で補われるところを交付税の原資である国税が不足しているために、地方が肩代わりをせざるを得ないと、それだけのことであります。臨時財政対策債は地方交付税の振り替え、すなわち実質的な地方交付税として位置づけられるものでありまして、東京都を除く道府県がこれを地方固有の財源として予算を組んでいることは、当然のことだと私は思っております。
収入に見合った支出をというご主張がございましたけれども、そもそも収入とはいったい何を指すのか、臨時財政対策債は使途が限定されない純粋な一般財源でありまして、仮にこれを活用しないとすれば、その分基金を取り崩すか、歳出の削減を行うことになりまして、いまの県の財政構造の中では、不可能なことであります。一方急増する臨時財政対策債の償還費が今後増加し、地方交付税を圧迫することは見込まれることでありまして、地方財政制度の持続可能性の面から、これは懸念するところであります。今後も地方が健全で安定した行財政運営を行えるように、財源不足の補てんを過度に起債に頼らないような制度の確立と、それから地方交付税の増額、さらには、その根幹にあります税制の抜本改革における地方消費税の充実などにつきまして、私としては、知事会等を通じて、国に要望してまいりたいと考えております。なお、通常債につきましては、たびたび申し上げておりますけれども、生活に密着した社会資本整備を進めながら、将来負担を考慮し、引き続き発行を抑制し、残高の縮減をしているところであります。
県におきましては、これまで厳しい見直しを経て、削るべきものは削ってきておりまして、必要な事業以外は、実施していない、そのように私は考えております。税収の厳しい中、県としてなすべき施策を行うための財源をいかに確保するか、これは頭の痛い問題でありまして、今後も高齢化の進行に伴いまして、社会保障費が増加するとともに、増大する臨時財政対策債等の償還にかかる公債費の増加が見込まれるわけでありまして、引き続き一般財源は不足する見通しになっておりますけれども、「行財政改革プラン」にそって、財政健全化に努めてまいりたい、このように考えるところであります。

<和田県議>
 知事は臨時財政対策債はあくまで一般財源という認識を改めてお示しになりましたが、これは国が交付税で全額補てんされてきているということではない限りは借金と認識を持たれて対応したほうがよいと思います。長野県の借金は、2000年に1兆6000億円を超えておりまして、大変な状態でありました。当時の年間予算は1兆円。約1.6倍でありましたけれども、いま県の予算は8,000億円台。これが、臨時財政対策債なども含めて、借金は1兆6000億円を超えてきております。もう2倍ということになりますので、本当に借金財政の県政では財政の健全化が進まないと思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。

3、知事の政治姿勢について

(1)希望が持てる県政づくりについて

<和田県議>
 過去10年の税制改正を振り返ると、自民・公明政権は国民に対して増税を押し付け、他方で大企業・大資産家には減税をおこなう政策を採用してきました。これが、経済格差を広げる大きな要因になってきたことは明らかであります。
 たとえば、年金生活者への課税強化をおこないました。公的年金等控除の縮小と老年者控除の廃止は、所得税・住民税の大増税となっただけでなく、保険料や各種高齢者サービスにまで影響し、「雪だるま式」の負担増を高齢者世帯に押し付けました。また、自公政権は定率減税の廃止によって、賃金が減り続けている現役世代の可処分所得を大きく目減りさせ、生活不安を増加させました。

<村井知事>
 弱い立場の人々が希望の持てる県政をということであります。世界経済の悪化は長野県にも深刻な影響を及ぼしておりまして、県民の中に日常生活に支障を生じている方、雇用や将来に不安を感じている方、少なからずおられることはよくよく承知しております。県ではこれまでも、相談窓口の設置、あるいは求職者に対するサポート事業、職業訓練等の雇用対策や生活困窮者の住まい対策を実施するなど、必要な対策を講じてきたところでありますが、基礎自治体たる市町村ではなくて、とりわけて県がこういう弱者とされる方々の個人の生活に、どこまで踏み込んでサービスを提供するべきなのか、この辺りは私は非常に難しい問題であると考えております。
 そのようなことを申し上げましたうえで、将来の長野県のためには、県内産業の活性化を通じて、雇用の確保を図るとともに、各地域の魅力や絆を深めて、そこに住む人々が自分にも、地域にも誇りを持ち、将来とも安心して生活が送れるような地域にしていく、これが大切なことだと思っておりまして、そういう意味では県政におきましては、常にこのことを意識して、中期総合計画に沿いまして、施策に取り組んできたところでございまして、このたびの予算もまさにこういうことを狙ったものであります。

(2)消費税に対する知事の見解について

<和田県議>
 さらに消費税の免税点を年間売り上げ3,000万円から1,000万円に引き下げ、中小企業特例を縮小したことによって、小さな商店にまで消費税の実質負担が拡大し、多くの零細企業が廃業・倒産に追いやられました。庶民にとっては大増税と負担増が押しつけられ、暮らしと営業が大きな打撃を受けました。
こういう政治の中で国民生活や地域経済が疲弊しています。格差と貧困を作り出し、国民のくらし、営業を壊してきた自公政権の「負の遺産」について、真摯な反省があるべきではないでしょうか。そもそも消費税は最悪の逆進性をもつ不公平税制で弱者を痛めつける税だと思います。知事のご所見をうかがいます。

<村井知事>
 消費税について、お尋ねがございました。これまで何度も申し上げておりますけれども、現在、国・地方がともに疲弊している原因は、税制面で給付に見合う負担の在り方を構築してこなかった、このことにあります。負担はお願いしませんとこういう出来もしないことをずーっと言ってきた。これは私も含めて、すべての政治に関わった人間に責めあがるということは私はたびたび申し上げております。このために、給付と負担のギャップが生じて、福祉や医療、教育などの現場においても、様々な問題が起きているわけでございます。
 昨年7月に全国知事会が行いました試算では、今後社会保障関係費が一層増加していくことにより、平成24年度には地方の財源不足は全体で13.1兆円にまで膨らみ、基金も枯渇しまして、事実上地方財政は破綻すると警告しております。この資産に関連して、仮に全国の警察官を25,000人減らし、交番の数を現在の1/3にし、全国の教員数を28万人減らして、小中高の学級編成を1クラス60人に変更するというような、およそ現実的でないサービス水準の切り下げを行いましても、全体の歳出削減効果は、5.2兆円程度でありまして、なお8兆円近い財源不足が残るという試算がございます。こうした深刻な給付と負担のギャップを解消するために、どういった税目の負担を求めるかということにつきましては、個人や法人への所得課税というのは、所得捕捉の困難性や、それから所得の海外移転の恐れがあることに加えまして、景気の変動に左右されやすいということを考えますと、結局所得課税の課題を補うという意味で編み出された付加価値税としての消費税は、公平で景気にも左右されない税目でありまして、今後の安定財源として、拡充していくことに目を向けることは当然であると、このように私は前から申し上げているところであります。もとより、消費税を引き上げる税制の抜本改正に際しましては、例えば軽減税率のほか、給付付き税額控除の制度を検討、これはすでに与党の税制改正の中でも付言されておりますが、こういった低所得者への配慮やあるいは景気の情勢を踏まえて、引き上げの実施時期について、配慮するなど種々な課題があることはもとより承知しておりますけれども、将来にわたって国民が安心して行政サービスを享受できるための新たな税負担の住民負担につきまして、避けることなく議論し、理解を得ていかなければいけない時期にきていると、このように私は認識しているところであります。

(3)西松建設献金疑惑の真相解明について

<和田県議>
 次に西松建設の献金問題について伺います。今日2月24日は、くしくも1年前に、知事の元秘書であった右近参事が東京地検の取り調べを受けた後、自ら命を絶たれた日であります。当時、「大手ゼネコンの西松建設の裏金が知事周辺に1,000万円渡された」、「時期は、知事が衆議院議員を辞めた2005年以降、知事選挙前後」と報道されたことに対して、知事は「政治資金は適正に処理している」と全面否定され、「どうやったら本当にこのような疑念を晴らすことが出来るのか、苦しんでいるのが本当のところでございます」と昨年の議会でご答弁されています。しかし、県民の皆さんは県民世論調査では74%が「知事は説明責任を果たしていない」と回答しました。また、その後も真相究明を求めるとして、13,000筆余りの署名が知事および県議会議長あてに提出されていることについて知事はどうお考えでしょうか。
西松建設が政治家に献金するために「新政治問題研究会」というダミー団体をつくっていたことはすでに裁判で解明されています。このダミー団体からから受け取った20万円のパーティー券購入代金について昨年の2月県議会では「返還する考えはない」とおっしゃいましたが、これは明らかな政治資金規正法違反ですので、ぜひ適正な処理、つまり返還をしていただきたいと思います。知事にお伺います。

<村井知事>
 西松建設からの献金で、右近参事が東京地検に事情聴取されたという問題に関して、私の対応についてご質問を頂戴しました。この問題につきましては、これまでも県議会での質問、知事会見、あるいは市民団体からの質問等を通じて、私が知るところは、知る限り丁寧に説明してまいったつもりであります。全く心当たりのない疑いをかけられ、かけがえのない部下であり、20数年にわたる信頼する友を失うこととなった右近君を、私からすれば、誰に指摘されるまでもなく、なぜあのようなことになったのか、知りたいという思いは、それは当然強くございます。しかし、正直申し上げまして、どうしようもないことでありまして、私はこれ以上説明するすべはございません。
 パーティー券の問題につきましては、ご発言がございましたけれども、当該団体はすでに解散をしておりまして、私にとりましてはこれをどうやって処分をするのかわかりません。そういう状況であると、お答え申し上げておきます。

<和田県議>
 パーティー券の問題ですけれども、法務局に供託という方法もございます。

4、行政改革について

(1)臨時・非常勤職員の処遇改善について

<和田県議>
 次に行政改革についてお伺いします。
 知事は2月県議会への提案説明で「平成19年3月に行財政改革プランを策定し、スリムで効率的な行財政基盤の確立に努め、組織再編を行い民間活力を積極的に取り入れ、指定管理者制度や民間委託の活用を図りました。これらの結果、職員数についてはプランの目標である1,556人の削減を、1年前倒しして来年度において達成できる見込みであります。」と言われました。それぞれ、組織再編によるもの、民間活力の導入によるもの、指定管理者や民間委託によるもの等での削減の実態はどうなっているのかお伺いします。

<浦野総務部長>
 職員数の削減の状況についてのお尋ねがございました。職員数につきましては、「行財政改革プラン」に基づきまして、組織の見直し等によりまして、削減を行ってきております。具体的な項目で申し上げますと、本庁・現地機関の組織の見直し、84名。これは、22年4月までの実績とご理解いただければと思います。外郭団体の見直しによります、県職員の減で60名の減。それから、民間委託を進めるということで58名の減。それから指定管理者の導入によりまして、16名の減。それから県立5病院の地方独立行政法人化によりまして、これは確定的な数字ではございませんが、800名程度ということで削減を行ってきております。これは「行財政改革プラン」を上回っての削減になっております。

<和田県議>
 行政改革の一方で、本来は正規職員で行うべき業務を臨時的任用や行政嘱託など非正規職員に置き換えられているということになっていることはないのでしょうか。総務省が全地方公共団体の「臨時・非常勤職員」の実態把握をするための調査に対し、長野県はどのような報告を総務省に提出したのか、総務部長に伺います。

<浦野総務部長> (答弁なし)

<和田県議>
 日本共産党県議団は繰り返し、非正規県職員の処遇改善を求めて質問をおこなってきましたが、残念ながら改善されていないので質問いたします。
 私たち日本共産党県議団では、総務省から平成21年1月23日に出された、「地方公務員の短時間勤務のあり方に関する研究会報告書」と、同じく21年4月24日に総務省自治行政局公務員部から、各都道府県総務部長・人事委員会事務局長に宛てて出された「臨時・非常勤職員及び任期付短時間勤務職員の任用について」という通知について総務省に、また人事院からは、平成20年8月26日付で出された「一般職の職員の給与に関する法律第22条第2項の非常勤職員に対する給与について」という通知について人事院に、それぞれ調査と説明を受けに行ってきました。
総務省の通知を出した背景には、全地方公共団体の「臨時・非常勤職員」の数が約50万人にものぼっており、その50万人の「臨時・非常勤職員」が(1)常勤職員と同様の本格的業務に従事しているケースがあるとの指摘、(2)報酬水準や手当ての支給について「常勤職員との均衡を図るべき」との指摘、(3)臨時・非常勤職員としての任用が長期化し、雇い止めのトラブルも発生していると問題を提起しています。
非常勤職員に対する給与について、人事院が指針を定めたので、これを踏まえて給与の適正な支給に努めるよう求められたことに関して、県はどのような対応をされたのか総務部長にお伺いします。

<浦野総務部長>
 非常勤職員の雇用改善に対するお尋ねでございます。非常勤職員の任用形態、あるいは職務の内容は、国あるいは地方公共団体ごとにかなり異なるということで、人事委員会から、昨年の10月に給与勧告に合わせて、非常勤職員についてのご報告をいただきました。その報告の通り、ただちに国の指針通りに同様に扱う状況にはないというふうに考えております。いずれにしましても、非常勤職員の処遇に関しましては、勤務形態、あるいは業務内容を勘案しながら適切に対応してまいりたいと考えております。休暇等につきましては、昨年の7月に育児介護休業法が改正されまして、この本年6月に施行されますことから、非常勤職員につきましても、この介護休暇や短期の介護休暇を新たに設けるよう、現在検討をしております。

<和田県議>
 人事委員会では石坂議員の質問に答えて、非常勤職員の業務の実態が国と異なることから、非常勤職員の報酬等についてただちに人事院の示す指針と同様に取り扱う状況には無いとのことでした。しかし、人事委員会として、非常勤職員については、ひき続き関心を持っていかなければならないといわれましたが、改めて人事委員会委員長のご所見を伺います。

<林人事委員会委員長>
 県の非常勤職員の処遇についてお答えいたします。県の非常勤職員の処遇の検討状況につきましては、昨年の11月定例会におきまして、石坂議員のご質問に対しまして、本委員会の小柳前委員長職務代理者から答弁した通りでございます。また、国におきましては、常勤の職員が行うべき業務を非常勤職員が代替していることなどから、平成20年8月に非常勤職員の給与手当に関わる人事院の指針が示されましたが、本県においては、非常勤職員の業務の実態が国と異なることから、ただちに人事院が指す指針と同様に取り扱う状況にない旨、昨年10月の人事委員会勧告にあたって報告に盛り込んだところであります。非常勤職員に対する給与等の処遇につきましては、昨年7月に提出された臨時・非常勤職員の任用等に関わる総務省通知に照らし合わせても、適正なものであると考えておりますが、今後も他の都道府県の状況を注視するなど、調査・研究をしていかなければならないと考えております。

(2)行政嘱託員の処遇改善について

<和田県議>
 行政嘱託員として専門性や経験、資格などを有し、県の行政にとって必要性のある欠かすことのできない業務を担っている、母子自立支援員、引揚者特別生活指導員、手話通訳業務嘱託員、消費生活相談員、教育指導員などをはじめとする職員の処遇のあり方について、人事院の通知に照らして改善が図られるべきだと思います。本県の場合、通勤手当は一日100円もしくは300円と、余りにも実態とかけ離れた処遇になっています。国では費用弁償が当然という考え方で、通勤手当は月に上限55,000円出しているとのことでした。さらに期末手当は6ヶ月以上継続して雇用する場合は正規職員とのバランスを考えて支給することになっています。県ではどう改善していくのか総務部長にお聞きします。

<浦野総務部長>
 それから行政嘱託員の処遇改善の同様のご質問でございます。行政嘱託員につきましては、県行政の各分野におきまして、それぞれ担当の知識や経験を必要とする業務を担っていただいております。その処遇につきましては、従事する職務の種類でありますとか、複雑性ですとか、困難性、責任の度合い、あるいは勤労の強度、あるいは勤務時間といったものを考慮しまして、適切に決定をしておりますが、今後ともこのようにしてまいりたいと考えております。

<和田県議>
 臨時・非常勤職員、また行政嘱託のみなさんの通勤手当ですけれども、一日往復100円とか、300円とかこういう手当の支給のされ方がされておりまして、この通勤手当相当分は費用弁償が当然という考えで、一刻も早く改善をしていただきたいと思いますが、その点を再度総務部長にお答えいただきたいと思います。

<浦野総務部長>
 非常勤職員の通勤にかかる経費についてのお尋ねでございますが、ご指摘にように非常勤職員の通勤にかかる経費は、交通機関を利用する方には一日につき300円、交通用具を使用する方には一日につき100円を、報酬として支給をいたしております。このレベルでございますけれども、各県におけます通勤の費用の支給状況というのは様々でございますが、レベルで申し上げますと、本県が著しく低いというような状況ではございません。各県との状況等を注視してまいりたいと考えております。

5、男女共同参画の推進について

(1)県職員の男女の昇任昇格の形態について

<和田県議>
 男女共同参画の推進についてお伺いします。まず、県職員における男女の昇任・昇格の形態はどうなっているのか、女性管理職の人数、割合はどうか、それぞれ総務部長、教育長、県警本部長にお聞きします。

<浦野総務部長>
 女性職員の登用に関するお尋ねでございます。職員の任用につきましては、男女を問わず能力、適正、意欲を考慮しまして、適切に行っているところでございます。平成21年4月1日現在の係長級以上の女性職員は248人ということで、割合は全体に対して8.7%になっておりまして、前年度に比べて、0.5%の増となっております。

<山口教育長>
 学校における女性管理職登用に関してのお尋ねでございます。学校での管理職は、校長と教頭でございますので、校長・教頭を合わせた女性の人数・割合を平成21年度分で申し上げます。小学校で120人(15.5%、全国順位31位)、中学校で19人(5%、31位)、特別支援学校で8人(20%、20位)、高等学校で8人(4.1%、32位)となっております。

<小林県警本部長> 県警察における女性警察官の昇任の形態等についてお答えいたします。警部・警部補などへの昇任は、男女の如何を問わず、競争試験によっております。県警察においては、女性警察官の採用を平成元年から開始し、現在女性警察官は180名、その比率は警察官の5.3%、またその平均年齢は約30歳であり、男性警察官の約40歳と比較して、若くなっております。そして女性警察官180名のうち、巡査部長に36名、警部補に4名を登用しております。また平成21年3月には、警察署の課長として、実働部門の指揮官となる警部が女性警察官から初めて登用されております。

(2)女性管理職登用促進の取り組みについて

<和田県議>
 女性管理職の登用について、議会として男女共同参画条例を策定し、さらに条例を実効あるものにするために、昨年、議員連盟がワーキンググループで精力的に県内外および国にも調査をし、議員連盟から「提言」が出されました。その、提言をふまえ、新年度に具体的な登用率の前進をはかっていただけるのか、知事部局・教育委員会のそれぞれについて決意の程を、総務部長、教育長にお聞きします。

<浦野総務部長>
 提言を受けた取り組みについてのお尋ねでございますけれども、第2次の女性職員の登用促進・職域拡大等の取り組み指針に基づきまして、いま申し上げました係長級以上の女性職員の積極的登用に努めているところでございます。そのためにも多様な分野へ女性職員を配置をする、職域の拡大でございます。
 それから自治大学校や国の各省への派遣研修をはじめとして、自治研修所への職域に応じた課程別研修の実施あるいは育児休業等を取得しやすい職場内の意識啓発、性別によります固定的役割分担意識の払しょくをするための意識改革の研修といったことに取り組んでおるところでございまして、今後も引き続き努力をしてまいりたいと考えております。

<山口教育長> 教育振興基本計画におけましても、女性管理職を積極的に登用し、女性の校長および教頭の順位を全国中位とすることを目標として掲げており、現段階の中間評価では、おおむね目標を達成している状況でございます。引き続き女性教員が重要な公務部署を担当する機会を増やしたり、学校マネージメント研修への参加を呼び掛けるなど、女性登用促進の取り組みに努めてまいりたいと考えております。

<和田県議> 県警本部長はご答弁の中で、男女の区別なく昇任・昇格は試験で行うということで、大変合理的な形態と思います。東京都でも試験で行っているとお聞きをしております。これも選択肢の一つと考えて、こういうやり方もご検討をいただきたいと思います。


(3)各種審議会委員等の女性比率など、目標の進捗状況について

<和田県議> あわせて、各種審議会委員等における女性の比率など、男女共同参画目標の進捗状況と今後の方針について、企画部長に伺います。

<望月企画部長>
 男女共同参画計画数値目標状況の達成状況でございますけれども、平成22年度を目標年度とする第2次計画におきまして、設定した数値目標に関しまして、これは全部で16目標ありますけれども、県が主体的にあるいは県の支援・助言等により達成を目指すもの、これは7つありまして、そのうち小中高における女性校長・教頭の割合については、先ほど教育長がお答え申し上げました通り、それぞれ全国中位ということで、目標はおおむね達成したところでございます。また県内の市町村における男女共同参画条例の制定、それから計画の策定の取り組みについては、現在策定に向け検討中の者と合わせますと、条例では18市、計画では55市町村と順調に進捗しております。
 しかしながら、一方、審議会等の委員における女性の比率でございますけれども、目標が50%ということでございまして、従来の基準年と比べ5%の増で現在28.5%でございます。この点につきましては、今後とも幅広い分野からの委員の選任など、一層の取り組みが必要な状況にあると認識しております。

 また県以外の自治体による自主的な取り組みに期待する目標値というものは、9つございまして、そのうち公民館長ですとか、PTA会長、議員、農業委員の4つにつきましては、女性の割合が徐々に増加しております。ご案内の通り、県会議員につきましては、全国トップ、それから市町村議会も全国平均を上回っており、第9位という状況でございます。ただ自治会長につきましては0.8%で低い数字にとどまっております。

 それから職場環境の整備に関する目標でございますけれども、病児保育を実施する市の数が目標を達成をしておりますけれども、男性労働者の育児休業取得者が非常に難しく、目標の達成が容易ならざる面があるというような状況でございます。いずれにしましても、来年度計画の最終年度にあたりますので、目標達成に向けまして、さらに一層取り組みますとともに、また来年度は平成23年度を初年度とする第3次の男女共同参画計画を策定することとなっておりますので、現計画の目標の達成状況を評価、すでに昨年実施しております県民意識調査の結果、国で策定中の基本計画の内容などを踏まえまして、また新たな計画を策定しまして男女共同参画づくりの実現に向けた政策を展開してまいりたいと考えております。

6、並行在来線問題について

<和田県議>
 並行在来線の存続についてお聞きします。
 前原国土交通大臣は公の場で「政府与党合意は白紙になった」と述べていますが、一方で「既に着工している整備新幹線については、JRは並行在来線は切り離すこという前提で合意をして建設を進めている」とも述べています。しかし、長野以北の並行在来線は有数の豪雪地で安全・安定的な運行を確保するのはJR以外では至難の問題であります。並行在来線の存続に向け、改めて地方、国、JRの3者が一丸となって取り組むべき課題と思います。
 国とJRは、並行在来線の存続を今までは地方自治体に課していたわけでありますが、果たしてそれでいいのかという議論は、新たな視点で必要になっているのではないでしょうか。北陸新幹線が金沢まで延伸することになると、並行在来線というものは複数の県にまたぐということになるわけで、もちろん複数の県で並行在来線を受け持つという考え方もあるかもしれません。
他方で各県の事情には大きな温度差もあり、新潟県では上越新幹線との関係もありますし、北陸線は1日に40本以上のJR貨物が通っております。貨物輸送の大動脈であることは間違いないわけです。
知事は並行在来線を存続する立場で大変ご努力いただいています。長野以北は豪雪地であり、乗降客も少ない路線で経営も厳しいからこそ、地方財政の厳しい現状の中で、並行在来線存続のために過度な負担と責任を地方自治体に負わせることのない方針を出せないものか、国とJRに引き続き要望して欲しいと思います。この点を企画部長にお伺いします。

<望月企画部長>
 並行在来線の存続に向けた取り組みでございます。この問題につきましては、すでに風間議員、竹内議員の代表質問にお答えした通りでございます。並行在来線を将来にわたって、安定的に確保するためには、いわば地方に丸投げと言われる現行スキームに改めまして、「国それからJRの関与が不可欠」ということは、議員ご指摘の通りでございます。これまで私ども訴えてきたところでございます。そのうえで、2月17日に開催されました整備新幹線問題調整会議におきましては、知事からこの並行在来線の問題解決に向けた方向性としまして、一つはJRが引き続き運行をして国及び県が赤字補助をする方式が一つの提案。それから二つ目としまして、地方とJRが共同出資して新会社を設立する方式、これが二つ目の提案。こういった形で提案を申し上げました。また、しなの鉄道に対しましては、JR貸付料が利用した支援策を講ずるよう求めてきたところでございます。この調整会議におきましては、今後JR関係者の意見をお聞きしながら、検討を進めるとなっておりますので、引き続き関係方面と連携いたしまして、政府・与党等に対して、要請してまいりたいと考えております。

7、人権問題について

(1)「長野県人権政策推進基本方針」の策定について

<和田県議>
 長野県人権政策推進基本方針が策定されましたが、なぜ同和問題を上位にしたのか、その理由を伺います。
県では2008年6月に「人権に関する県民意識調査」を実施しています。そのなかで人権に関る事柄のうち、関心があるものはどれかという問にたいし、上位から障がい者(67.5%)、高齢者、子ども、北朝鮮当局拉致被害者、女性、インターネットによる人権侵害とあり、次に同和問題(34.9%)となっています。この結果は、この間の特別対策や関係者の努力によって改善がすすんだことを表しているのではないでしょうか。
 県内の自治体でも団体補助金の廃止や縮減、同和行政を完全に中止したところもあります。ところが、この「調査結果」では、同和問題について「自分の問題として解決に努力する」との回答が、「前回調査時より減った」などの理由から、人権政策審議会では、「県民意識が後退している」などの意見が出たと報道されました。
 前回より減ったのは総務省の見解のとおり、同和問題そのものが解決してきたからです。県民意識の後退があると勝手にこじつけ、同和行政を特別に重視するなど後戻りであります。その後、審議会では同和問題と外国人問題を重点においた「答申」となり、それをうけて県の「基本方針」となりました。
 そこで、なぜわざわざ「同和問題」をトップにしたのか、明確な理由を伺います。

<望月企画部長>
 県の人権政策推進基本方針に対する同和対策の位置付けに対するご質問でございます。ご案内のように、このたび策定いたしました人権政策の基本方針では、人権が尊重される長野県づくりを基本理念といたしまして、11分野の人権課題について、今後の施策の方向性を示したところでございまして、県といたしましては、いずれの人権課題についても、重要な課題であると すべて重要な課題であると認識しております。基本方針の前提となる審議会の答申の経過を若干申し上げますと、平成19年12月の諮問がございまして、それから11回に及ぶ熱心な討議がなされました。そういった中で議員から先ほど県民意識調査の結果を捉えてご質問がございましたけれども、それのみでなく諸団体からの意見募集あるいは実際に審議会の場に来ていただき、ヒアリング、従来からの人権課題についての経緯、現況、こういったことを総合的に分析した結果本県においては、同和問題、あるいは外国人問題が特筆される人権課題と審議会で判断されまして、こういった分野別の課題を冒頭に明記したと、こういう答申が昨年3月に出されたわけでございます。

(2)「基本方針」が、現在の流れに逆行しないか

<和田県議>
 基本方針に対する県民意見では、「同和問題」に多数の応募が寄せられ、多くの意見を「方針」に取り入れているのですが、すでに国でも前県政でも特別対策を中止し、「残された課題は、一般対策で」となり、「人権同和教育」ではなく、「人権教育」と表現するようになりました。今回の「基本方針」が、こういう流れに逆行することにはならないか企画部長に伺います。

<望月企画部長>
 県といたしましては、基本方針における各々の人権課題を記載の順序でございますけれども、この答申の内容と記載の順番を十分尊重いたしまして、踏襲したところでございます。誤解のないように申し上げておきますけれども、したがって人権課題による上位ですとか、下位ですとかこういった視点での位置付けではまったくないことをご理解願いたいと思います。

<和田県議>
 人権施策の問題でありますが、「県行政のすべての分野で人権の視点に立ち、総合的に行政を推進する」という考えであることで確認をさせていただきます。

8、元気づくり支援金について

<和田県議>
 元気づくり支援金は、地域で創意工夫をし、さまざまな取り組みが事業化され採択されています。県内各地の採択された事業をみると、地域、地域で特色はあっても類似したものがかなりあるように思われます。そして事業採択され、元気をだして取り組んだところでも予算は1年かぎりで、翌年度以降まで継続できないとか、規模を縮小したなど、残念なお話をお聞きしたところもあります。元気づくり支援金を活用して、地域で知恵とずくを出したものを生かすために、むしろ県で事業化したほうがよいと思われるものを継続して、地域の活動を安定的に支援してはどうかと思いますが、総務部長にお伺いします。

<浦野総務部長>
 元気づくり支援金についてのお尋ねでございますが、地域発元気づくり支援金は、市町村や公共的団体が住民と共同して自らの知恵と工夫により、自主的主体的に取り組む事業を支援いたしております。それによって地域づくりの機運を高めると、こういうことを目的としております。
 平成22年度からは、発展性を伴う複数年度にわたる事業については、毎年度の選定を経たうえで、原則3年以内を限度に、助成の対象とするといったようなことなど、より計画的に、あるいは継続的に事業が進められるよう制度の拡充をいたしたところでございます。
 地域づくりについては、住民や市町村の自主性を尊重する立場からは、県としては、表彰や優良事例集の配布など他の地域への普及に努めることと、こういったことに力を注いでまいりたいと考えております。

9、特養入所待機者のない長野県を目指すことについて

(1)創設・増築される特養の経済波及効果、雇用の見込みについて

<和田県議>
 新年度予算案で介護保険施設の整備のために53億円が盛られました。内訳は広域型の創設7施設、増築3施設、小規模特養の創設10施設などあわせて22施設、認知症高齢者グループホームの創設33施設、小規模多機能型居宅介護事業所の創設23施設、認知症デイサービスセンター他が29施設とのことであり、合計107施設とお聞きをしております。いままでになく大変に多くの予算を付けていただき、施設建設に進んでいくわけでありますが、これに関わる関係業者など、地元建設業者などへの経済波及効果をどのくらいと見込まれているのでしょうか。また、創設・増築した施設での介護職員など雇用の見込みはどのくらいになるのでしょうか。社会部長にお伺いします。

<和田社会部長>
 来年度の特養等の施設整備による雇用創出の見込み、地元への経済波及効果でございます。今回の予算にかかる建設総事業費は212億円と推計しておりまして、県の産業連関表を用いて試算いたしますと、2次波及を含む生産誘発額で約350億円。またこれに伴う雇用の創出で約3,000 人が見込まれるところでございます。

(2)「第4期高齢者プラン」以上の特養増設は可能か

<和田県議>
 今回の施設整備で第4期高齢者プランの目標の達成にかなり近づくと思います。しかし、このプランを実施してもなお、特養の入所者待ちの4,800人の解消にはならないと思います。
ぎりぎりまでがんばって、それでも入所をと希望され待たれている。お一人お一人のお年寄り、ご家族の期待のためも、第4期プランの目標を上回っての特養の増設を求めますがいかがでしょうか。

<和田社会部長>
 また特養等のさらなる拡充につきましては、昨日風間議員のご質問にお答えした通り、来年度以降も市町村等の意向を十分お聞きしながら、第4期プランを超える整備を含め、積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。

<和田県議>
 社会部長におかれましては、施設整備は今後も市町村の意見を聞いて積極的に行うということでありましたので、期待をしております。よろしくお願いします。

(3)介護職員の医療的ケアの実施について

<和田県議>
 介護施設での医療的ケアの必要な方々への対応について、9月議会の備前県議の質問で、長野県における、医療的ケアの必要な方々の介護についての施設介護の状況はどうなっているのか、また入所できない方々についての対応はどう考えているのか社会部長に質問しました。この質問に対し、社会部長は、「国におきましては、痰の吸引等の一部の医療処置につきまして、その実施を特養の介護職員にも認めるべきかどうか、こういった検討を行っておりまして、今年度内に報告をまとめることとしておりますので、その状況を見極めながら、入所者ニーズに応えるための制度改正を要望してまいりたいと、このように考えております。」と答弁されました。その後、これはどうなっているのか。お聞きします。

<和田社会部長>
 特養での医療行為に関する国の検討状況でございますが、介護職員と看護職員の連携によって、痰の口腔内吸引と経管栄養の二つの医療行為が適切に実施できるかどうかを検証するモデル事業が全国125の特別養護老人ホーム、内県内では1ヵ所で昨年の9月から12月末まで行われました。現在国が設置した有識者による検討会でその評価が行われているところであり、3月には報告を取りまとめる予定であると聞いておりますので、その動向を注視しているところでございます。

(4)透析患者への福祉と医療の施策について

<和田県議>
 透析を行っている患者さんは2007年に27万5,000人以上にのぼり、毎年1万人増え続けているとお聞きをしております。日本全体が高齢化の問題を抱えていますが、透析患者についても、平均年齢が約60歳と高齢化が進んでいます。 それにともなって、介護を必要とする透析患者も増加しています。
私が受けたご相談は、90歳女性で介護度4、透析を5年前から開始した方です。ご家族が懸命に在宅で介護をし、週に2度の透析も家族で送迎をしています。体力が落ちているため、透析のあと病院から自宅のベットまでが本当に大変だと言われました。「がんばってきたが今回、家族の事情でどうしても1週間ほど、どこかの施設に預かってもらわなければならなくなったが、どこも受け入れてくれるところがない」と本当に深刻なご相談でした。
慢性の治療では病院の入院もできず、介護施設に入所して透析のときだけ通院ということもできない。家族は途方にくれました。それでもケアマネの方が必死に情報を集めて紹介してくれたのは透析ができる病院と併設されている有料老人施設でした。しかし、この施設は「今回は1週間」というような短期の入所でありましたけれども、これは基本的に短期は受け入れないとのことでした。「入所すれば月々15万円以上の費用が必要になり、経済的にはとても困難」と言われております。年々透析患者が増え続け、高齢になっていかれる方たちに、医療と介護とどちらも同じくらいに必要でありながら、医療も介護も受けられない、こういうはざまにいるみなさんに対し、他にも様々な慢性的に医療的ケアが必要で介護度も高くなっている方のご家族やご本人に対して、どのように県として対策をされるのか。また、国へも対策の取り組みを要望していくべきと思いますが、社会部長にお伺いします。

<和田社会部長>
 人工透析のように専門的な医療が必要な場合、介護施設へ入所しながら処置をうけるケースは、ほとんど無いのが実態でございます。しかしながら、今後介護施設以外の場では生活困難な方が増加するとともに、透析など、常時医療が必要な方の入所ニーズも増加すると見込まれます。どのような制度的改善が必要であるかを研究し、国への要望につなげてまいりたいと考えておりますけれども、当面県では、新たに訪問看護師の養成に取り組み、在宅看護体制の充実を図っていくほか、医療と福祉の連携強化に向けた諸課題の調査・検討を行い、必要な支援策の事業化を進めていくこととしておりまして、施設の整備とともに、在宅で暮らし続ける支援体制の整備も推進してまいりたいとこのように考えております。

<和田県議>
 医療と介護のはざまにある方々に対して、様々な支援体制を検討するというお話でありまして、この点では本当に今深刻なケースのご相談が殺到しておりまして、これについては検討をしていただくのは、早めていただいて、すぐにでも結論が導かれるように望んでいるわけであります。
 今回のように生活密着型の公共事業を福祉などの視点で、地元業者の仕事や介護現場の雇用の拡大、こういうところには二重、三重に経済効果・雇用効果がある事業でありますので、さらなる促進を求めておきます。

10、子ども医療費について

(1)入院・通院の医療費無料化の年齢引き上げについて

<和田県議>
 長野県の人口は8年連続の減少になっていることをどうとらえるのか、いくつかの要因が重なっていることではありますが、少子化が進行していることも大きな要因といえると思います。
長野県中期総合計画、7つの挑戦プロジェクトのひとつとして、「出産・子育てにやさしい県への挑戦」では、「急速な少子化の進行にできるだけ歯止めをかけられるよう、地域や県民一人ひとりが役割を果たしつつ、連携・協同により安心して子どもを生み育てられる社会をめざす。」としています。
少子化の進行に歯止めをかけるために、長野県内でも下条村のように早い時期から子どもの医療費無料化を中学卒業まで拡大し、子育て世代を村内に定住させる政策を実施して出生率を高める努力をされて実効あるものになっているところもあります。
また、県下の市町村では高校卒業まで、あるいは中学卒業までと子どもの医療費の無料化の年齢の大幅な拡大をしております。この年齢拡大も1,2年という短期間に拡大をしておりますが、子育て世代の要望が自治体を動かしていることはあきらかです。
県では、4月から子どもの医療費については対象年齢が入院が小学3年生まで年齢引き上げの提案があり、前進することは歓迎しますが、入院にとどめず通院についても小学3年生まで引き上げるべきではないかと思いますが、衛生部長に伺います。

<桑島衛生部長>
 福祉医療制度におけます乳幼児の対象範囲を小学校3年の通院まで拡大すべきとのご質問でございます。乳幼児対象範囲の拡大は今年度に開催されました「長野県福祉医療給付事業検討会」におきましてご報告をいただいたものでありまして、県といたしまして、検討会報告の通り、対象範囲を拡大することとし、必要な予算を計上しているところでございます。
「小学校3年生の入院まで」とした理由につきましては、就学前の乳幼児ほどではございませんけど、まだ医療費のかかる小学校の低学年の児童につきまして、通院に比べ圧倒的に医療費の負担が重い入院の部分に着目しまして、対象範囲を拡大するものでございます。
 一方で持続可能な制度としていくことが重要な視点であると考えまして、その意味でこの拡大案による財政負担の増加と持続可能な制度ということのギリギリのところで両立をするものと考えておりますので、今回の拡大の範囲につきましては、ご理解を頂戴したいものと考えております。

(2)福祉医療費自己負担金の引き上げの見直しについて

<和田県議>
 また、昨年自己負担金500円に引き上げたことは、子育て世代に大変に不評です。国を挙げて子育て支援を強めようとしている流れに逆行していています。本当に残念です。ぜひとも見直して欲しいと思いますがいかがでしょうか。

<桑島衛生部長>
 受給者負担金の引き上げを見直すべきとのご質問でございます。受給者負担金の引き上げにつきましては、昨年度に開催されました「長野県福祉医療給付事業検討会」におきまして、県民の皆様がおおむね従前と変わらず医療サービスが受けられるよう持続可能な制度としていくため決定をしたものであります。
 引き上げにつきましては、制度を維持していく上でやむをえないとして、実際に受給者と接していただいております市町村長の代表とともに、検討会において決断をしたものでございます。県としては、この報告を受けまして、県補助基準における受給者負担金の引き上げを決定したものでありまして、ご理解を頂戴したいものと考えております。

<和田県議> 
 子どもの医療費の課題でありますけれども、県はギリギリのところで選択をしたと衛生部長はおっしゃいますが、子育てにやさしい長野県と言う視点で考えていくと、本当に残念な結果でありまして、群馬県でも山梨県でも中学卒業まで、しかも窓口無料で実施をしている。こういうところが隣の県で次々に出てきているわけでありまして、長野県も思い切った重点的な施策を進める、こういう視点もぜひ持っていただきたいと思いますが、再度衛生部長の答弁をお願いします。

<桑島衛生部長>
 各県によりまして、窓口無料化や対象範囲の拡大など様々な対応がございます。例えば窓口を無料化した場合、県および市町村が本来負担する必要のない、国庫負担金の減額調整がございましたり、あるいは健保組合の賦課給付額までも負担することになるのではないでしょうか。財政上妥当を欠くことが懸念されることから従来長野県の「福祉医療費給付事業検討会」におけまして、窓口無料化等につきましては、行わないということで議論されております。
 また対象範囲の拡大につきましても、先ほどご答弁申し上げました通り、やはり持続可能な制度というのが私どもの基本的な認識でございまして、そうしたこととの調整をする中で、やはりギリギリの調整・両立を図るという観点から必要なことと考えてございます。

11、温室効果ガス削減目標の実現について

<和田県議>
 温室効果ガス削減目標の実現に向けて、再生可能エネルギーの利用を抜本的に強化することについて4点、環境部長にお聞きします。

(1)住宅用太陽光発電の県の補助制度創設について

<和田県議>
 1つ、長野県は他の都道府県と比較して抜群に日射量が多く、まさに太陽光発電に適した県であることに注目し、環境先進県を目指して積極的に太陽光発電を取り入れていくべきと思います。県有施設への設置はされますが、個人住宅に設置を促進するために県が助成を行うこともすべきだと思います。昨年、毛利県議の質問に対して知事は「住宅用太陽光発電の設置に対して、県として助成をするには財政負担が大変重い、個人の資産になるわけであるので慎重に検討する必要がある」と答弁されました。
 しかし、全国的には昨年6月の時点で、19都府県が個人住宅への設置に直接補助、ないしは実施市町村への助成などしていました。それが、現在は25都府県に助成が拡大しています。
 また、林務部と住宅課が県産材の活用に着目して行ってきた「信州ふるさとの住まい助成金」事業が今年度廃止され、これに替えて新年度からは「信州エコ型住宅・環の住まい整備促進事業」で、新築・購入に100万円、リフォームに40万円まで助成することになりました。
 信州エコ型住宅は省エネ・県産材の利用・長寿命化・バリアフリー化・総合環境性能の5つの基本項目を実施したうえに、さらに7項目の選択事項から3項目以上を実施することが条件になり、この7つの選択項目の1項目に自然エネルギーの利用が入っています。個人の資産につながる助成に慎重にということではありますが、環境と地域の産業に貢献する住宅用太陽光発電の設置に県の助成制度を、このエコ型住宅だけでなく、別枠でするべきと思いますがご答弁をお願いします。

<白井環境部長>
 1点目は住宅用太陽光発電の設置に対する県の補助制度創設についてのご質問でございます。県の補助事業によりまして、太陽光発電普及の効果を上げようとする場合には、継続的な実施が必要となります。これには相当な財政負担があることから、慎重な検討がされるものと考えております。県では県有施設に太陽光発電を率先導入するとともに、昨年8月からスタートいたしました。信州エコポイント事業におきまして、住宅用太陽光発電設備の購入にポイントの対象とするなど、県民へのみなさんへの普及・啓発に努めているところでございます。
 また9月補正において、中小企業等が太陽光発電設備を含めた省エネ設備を導入する際の補助制度を創設しまして、支援を行っているところであり、これらの事業を通じて、さらなる普及を図ってまいりたいと考えております。

(2)太陽光発電の電力買取制度について

<和田県議>
 2つ、電力会社の買い取り価格は2009年11月から10年間48円と従来の倍に引き上げられ、期間も10年としたことで、普及拡大の動機づけがされました。1994年度から2005年度にかけて導入量は60倍、設置コストは6分の1になり、日本の太陽光発電導入量の約8割は住宅用です。
 しかし、電力会社の買い取り価格を倍に引き上げる際に、「買取費用は電気を使用する方々全員で薄く広くご負担いただきます」と月々の電気代に一般家庭で数10円から100円程度の負担増になっています。そして、今後太陽光発電の普及がさらに進めば発電量が増え、さらに一般家庭の負担が増えることになります。電力会社も自ら発電施設への設備投資なしで発電された電力を買い取れるわけですから、消費者に負担を求めるのではなく、本来は電力会社が負担すべきものと思います。新たに消費者の負担にならないよう国や電力会社に求めるべきではないでしょうか。

<白井環境部長>
 電力会社の買い取り価格について、新たに消費者の負担増にならないように国に求めていくべきというご質問であります。電力の固定価格買い取り制度は太陽光発電の導入促進にインセンティブの働く制度でありまして、諸外国では、ドイツ、スペイン、イタリア等でも採用されて一定の効果をあげておりまが、買い取りにかかった費用は、各国においても基本的に電力料金に上乗せされているところでございます。
 日本の場合は、余剰電力分にかかる買い取り費用を翌年度の電気料金に上乗せし、電気利用者全員で負担することといたしております。実質的な上乗せが始まる平成23年度では、標準的な一般家庭で月額30円程度とされておりまして、今後普及が進んでいくと、将来的には100円程度の負担になるという試算がされております。温暖化対策を進める上でのコスト負担については、国民の理解と協力を得るということが重要でありますけれども、鳩山政権では再生可能エネルギーの全量買い取りに関する検討も始めておりますので、その過程における国民負担の在り方についての議論の動向を見守ってまいりたいと考えております。

(3)小水力発電の普及について

<和田県議>
 3つ、小水力発電についてです。1月に波田町で小水力発電の取り組みを見てきました。波田町では梓川の水が9,000haの田畑をうるおす水路が町の中を通り、この水路に昔は粉をひく水車が回っていた。一時は水力から電力に取って代られたが、今度は小水力で電気を作る。電力の地産地消に夢を持って取り組んでいるというお話を伺いました。絶えず流れる水を利用しての発電はエネルギーの地産地消になり、環境意識の形成につながると思いました。
小水力発電は、県内の再生可能エネルギー資源として非常に高い可能性を持っていると思います。小水力がさらに普及できるよう、県としてどのような施策を行っていくのかお伺います。

<白井環境部長>
 小水力発電の普及のための施策についてのご質問でございます。小水力発電は現在、農業用水路や消火栓の活用を中心とした取り組みが行われておりますけれども、小水力発電の導入の可能性は、上下水道施設、さらには温泉水など幅広い分野にわたっております。県では国の二次補正予算における緑の分権改革事業を活用しまして、今議会に補正予算として計上した「再生可能エネルギー導入可能性調査事業」のなかで、中小河川や農業用水路はもとより、上下水道施設や温泉施設と、新たな分野での活用の検討のために、導入に適した個所をデータ収集や実証調査を行うとともに、地域住民や市町村など、地域の活動主体を交えた研究会の開催などを通じまして、小水力発電の県下へのより一層の普及促進を図ることとしております。

(4)省エネ事業を行っている民間企業への支援策について

<和田県議>
 4つ、環境モデル都市、飯田市で、今日も発電施設を作ると新聞報道がありましたけれども、「おひさまパワーでエネルギーも地産地消」、「エネルギーの自給率向上を目指して」と頑張っている飯田市の「おひさま進歩エネルギー(株)」のお話を伺いました。お話の中心は太陽光発電の取り組みでありましたが、「おひさま進歩」ではもう一歩踏み込んで、省エネ事業も行っていました。市内の美術館や福祉施設、レストランなどの空調や給湯など省エネ診断と省エネ機器の設置でエネルギーとコストの削減をする、これが地元企業の省エネ改修の促進をはかり、それが地域の仕事おこしになっているということでした。企業の省エネを、このような民間の取り組みで促進できる仕組みを県はどう捉えているのか、またこういう形で普及していくのでしょうか、環境部長にお尋ねします。

<白井環境部長>
 企業の省エネを支援する取り組みは温暖化を防止対策を進める上で、大変重要なものであると考えております。本県においては、従来から企業が派遣する隊員で構成する、「信州省エネパトロール隊」が無償で他の企業の省エネ診断を行っております。
 県では平成17年度からその活動を支援しているところでございます。また今年度からは、新経済対策に基づき、アドバイザーの派遣や中小企業者等が行う設備整備への助成を行いまして、企業の省エネに対する支援を強化しております。今後ともこのような取り組みと合わせて、研修会やセミナー等において、県内企業の優れた事業を紹介するなど、省エネ対策の普及に努めてまいる所存です。

<和田県議>
 その他にも、太陽熱、木質バイオマス ペレットストーブ・ボイラー 薪ストーブなど地域の資源を利用した自然エネルギーを環境の時代にふさわしく位置づけて、地域の仕事おこし、雇用につなげて欲しいと要望します。

12、農業振興について

(1)戸別所得補償制度について

<和田県議>
 戸別所得補償制度について、現場に戸惑いや混乱が広がり、輸入自由化への不安も強まっています。いずれにしても所得補償という考え方は今までの農政にはなかった大きな政策の転換であります。米をはじめ農産物価格の下落に歯止めがかからないなかで出された政策であります。米作農家とって生産費が補てんされ、経営が安定するような制度になるよう、国に制度の充実を求めていただきたいと思います。特に長野県は中山間地や小規模農家の生産費の補てんに貢献する制度になっているのか。

<萩原農政部長>
 戸別所得補償制度につきまして、ご質問をいただきました。初めに戸別所得補償制度の生産費補てんについてのお尋ねでございます。今回の米の戸別所得補償モデル事業につきましては、全国の平均の標準的な生産に要する費用と標準的な販売価格の差額の恒常的な赤字部分を補てんする定額部分と年ごとの米価の下落に対して価格を補てんする変動部分を組み合わせて農家の生産費を補てんする制度となっております。
 しかし、風間議員のご質問にお答えいたしました通り、モデル事業については交付金の算定基準が全国一律として生産費が割高な条件不利地等の農業者には課題があるという風に考えております。

(2)転作作物等への助成金の激変緩和措置について

<和田県議>
 また、転作助成で地域の重点作物として助成されていた作物の収入が大幅に減るとことがあるということで激変緩和の措置がされるといいますが、県内では問題は生じないのでしょうか。現状と大きな変化があるとすれば、現状を維持するために県として独自の支援をして欲しいと思いますが、農政部長にお伺いします。

<萩原農政部長>
 転作物等への助成金の激変緩和対策についてのお尋ねでございますが、新たな事業については、交付単価が原則全国一律とされたことから、対象作物等によっては、現在に比べ交付金が大幅に減少してしまうなどの課題が出されているところであります。このため、県といたしまして、県段階において一定の作物間の単価調整を行うとともに国の激変緩和調整枠を県内の75の水田農業推進協議会(地域の協議会)に配分をして、地域の生産農家の影響の緩和できますように、現在それぞれの地区でご検討いただいているところでございます。なお、制度の本格実施にあたりましては、地域の実情に十分配慮した制度になりますよう、国に対して強く要望してまいりたいと考えております。

(3)遊休荒廃地、耕作放棄地を活用した事業への支援策について

<和田県議>
 遊休荒廃地や耕作放棄地を活用して、県内では様々な個人やグループなどで、菜種やそば大豆を作って頑張っておられます。先日も佐久で菜種と小麦を中心に取り組んでいる方からお話をお聞きしました。この方は、菜種を頑張って作っても、このとった菜種から油を絞る場合に、近隣で良い機械がないために、茨城まで行って加工しているとのことでした。県内にも油を絞る機械はあるけれども、焙煎の仕方など、自分たちの本当に良い菜種油を絞るためには向いていないということで、わざわざ遠くまで行っているとのことでした。
昔は油を絞る機械や米などを製粉所が近くにあったけれども、今は使えないとのことでした。せっかくやる気を出して取り組んでいる方々に対して、油や粉など製品にならなければやる気も失せてしまいますので、こういう方たちへやる気を出すためにも、このような具体的な加工設備を導入するための支援策を考えられないでしょうか。農政部長にお伺いします。

<萩原農政部長>
 加工施設の導入に関するお尋ねでございますが、遊休農地の活用によりまして、菜種を栽培し、菜種油などに加工する取り組みがされておりますが、搾油設備がない団体では、搾油率がよくてコストも安い県外業者へ委託する事例もあると聞いております。一方、大町市美麻の菜の花農業生産組合では、平成17年度に県の支援金を活用しまして、搾油設備を整備したほか、米粉を製粉する設備につきましても、本年度県下2か所で地域発元気づくり支援金を活用して整備もしております。
 この他設備等の大きな設備につきましては、国の交付金の活用も可能ですけれども、施設整備の費用負担だとか製造コストとか、こういったものを十分検討したうえで、取り組みが必要ではないかと思います。

(4)日米FTA、日豪EPAについて

<和田県議>
 世界的に食料不足が言われているなかで、日本の食料自給率を上げることが大前提になっていますので、輸出大企業の利益を第一にして、食料を際限なく外国にゆだね、農業をつぶしてきた政治を根本から転換し、各国の食料主権を保障する貿易ルールの確立を求めることと、日米FTA、日豪EPAには反対をしていただきたいと重ねてご要望しておいきたいと思います。

13、浅川ダムについて

(1)流域住民との合意づくりについて

<和田県議>
 知事は、「浅川ダムについてはすでに住民参加で、専門家も交えて十分な検討と議論を重ねており、改めて検証する必要はない」と国土交通省に言われているようですが、これは結論のすり替えではないでしょうか。
浅川ダムについてはすでに住民参加で、専門家も交えて十分な検討と議論を重ねたのは、2001年「長野県治水・利水ダム等検討委員会」であり、浅川部会の場でありました。部会は、ダムサイトのF-V断層の追加掘削調査を行い、第四紀断層(活断層)であることを立ち会った5名全員の専門家によって確認しました。そのため2002年6月の「県治水・利水ダム等検討委員会」の浅川部会では、ダム建設には賛否が分かれている部会委員でさえ全員一致で、「今後構造物をつくる場合には再調査が必要」という答申を出していました。
 「治水・利水ダム等検討委員会」は、浅川のダムによらない治水対策を答申しました。そして、ダム建設は中止、本体工事の契約解除がされ、総合的な治水対策の検討が始まり、一つの案として「河道内遊水地」というものがコンサルタントから示されたのであって、今回の穴あきダムとはまったく別のものであり、この案も採用されたわけではありませんでした。まだ、治水対策の検討の最中に、2006年の知事選で村井知事が当選され、選挙中の公約になかった「穴あきダム」建設へと方針が変更されたという経緯です。「住民参加で専門家もまじえて充分な検討をした」結論を、穴あきダムに変更した後には、住民参加で専門家もまじえた充分な検討はされないままではないでしょうか。知事に伺います。

<村井知事>
 浅川の治水につきましては、長年にわたり流域住民の強い要望がありまして、河川管理者としての知事の立場という責任を考えまして、十分な手続きを尽くし、国土交通省とのすり合わせを行い、さらにいまご指摘の水理模型実験なども行いまして、丁寧な合意を作ったと私は考えております。

(2)低入札価格について

<和田県議>
 低価格入札については、会計局において問題がないとの結果を出しているが、品質の確保が本当にできるのでしょうか。昨年10月に愛知県から建設資材を偽った手抜き工事で裁判に訴えられている業者が、長野県で同様の事をしないと保障できるのでしょうか。大林組は、「赤字覚悟で施工する」とのことですが、下請けへのしわ寄せが絶対に起こらないといえるのでしょうか。県の公共事業は、これからも業者に赤字覚悟で発注するのでしょうか。また、県が現場監督を行うとのことですが、昨日の竹内議員の駒ヶ根病院のクレーン事故の質問への答弁では、建設部長は「大きな工事は施行業者が現場監督をおくことになっている」と言われました。本来は受注業者が行うべきことなのではないのでしょうか。
 「大林組」「ダンピング」とインターネットで検索をすれば2,640件もヒットします。全国各地で公正取引委員会から「勧告」を受けている業者に、施工監視委員会まで設置して、何がなんでも発注しなければならないのでしょうか。建設部長にお伺いします。

<入江建設部長>
 浅川ダム本体工事の品質確保と監督に関するお尋ねでございます。昨日の風間県議のご質問にもお答えした通りですが、監督職員の常駐による監理・監督の強化やダム技術・地質などの専門家による施工監視委員会設置などにより、入札時に提出された施工内容が適正に履行され、適正な品質が確保されるよう、万全の態勢で臨む所存であります。
 また工事の監督に関するお尋ねでございますが、通常工事を進めるにあたっては、請負業者側で配置する、いわゆる現場監督と発注者側である県が配置し、業者への指導や監理などを行う監督員などでございます。浅川ダム本体工事では、県が現場監督員を現場に常駐・配置することとしておりまして、これまでもダム工事は低入札いかんにかかわらず同様に行っております。また、当然のことながら、請負者側からの現場監督もおります。以上でございます。

(3)平成21年度浅川ダム関連の予算の計上について

<和田県議>
 21年度予算に計上された浅川ダム建設予算17億円は、浅川ダム本体の請負契約が今議会に議案として提案され、この議案が可決されてようやく工事に着手することになります。つまり、昨年度予算に計上された21年度の予算に計上された17億円は今年度中には使えなかったわけです。
昨日提案された追加分の議案の繰越明許に15億6,200万円記載があるとおりです。昨年の2月議会本会議で、私は浅川ダム建設着手の予算について質問をしました。
1つは21年度予算案で浅川治水専用ダム17億円でどういう工事をするのか。2つは2008年に行われた水理模型実験を委託したニュージェックから最終報告がこの段階でされたのか、詳細設計は完成しているのか。そして、浅川ダム本体発注はいつになるか。という質問に対して、北沢前建設部長は、一つ目は、「17億円の内訳は、ダム基礎面までの掘削、それにより生じた法面の保護など浅川ダム本体工事の一部と貯水により不安定化が想定される斜面の地滑り対策などでございます」、「二つ目は、現在最終報告書の作成を行っております。また、詳細設計につきましても、模型実験の結果を受け、取りまとめを行っている段階でございます」、「そして、浅川ダム本体発注時期に関しては、今後積算等の作業を行いまして来年度中に実施したいと思います」との答弁でした。
 いよいよ浅川ダム本体工事を発注するといいながら、17億円も予算を計上しながら、その内容は白紙のまま県議会に承認を求めたことになっています。これは通常は考えられないことです。そして、結果、21年度予算額のほぼ全額を繰り越します。というのは本当に県議会に対しても、県民に対しても、無責任極まりありません。
なかなか進捗しない生活密着型公共事業の切実な要望がある中で、浅川ダムだけは、破格の扱いで使えない予算を計上してしまう、本当に許されないことといわなければなりません。このような予算計上についての反省はないのでしょうか。知事の見解をお伺いします。

<村井知事>
 平成21年度の予算についてのご質問がございましたが、浅川ダム本体工事は、大規模かつ高度な工事であることを踏まえまして、地域経済への配慮等も踏まえまして、発注方法等について検討を行い、所定の手続きを経て今日に至ったものでございまして、いずれにしましても、浅川ダムの完成によりまして、一日も早く安全・安心な浅川流域を実現するように考えております。平成21年度の予算に計上したことは、私はなんら問題ないとこのように考えています。

<和田県議>
 浅川ダムは危険な地すべり地にダムを造っても、浅川の最下流で繰り返しおこっている内水災害を防ぐ効果は全くありません。ダムより先に、内水対策を優先するべきと考えます。さらに、県の厳しい財政の下、ダムよりも優先される事業があります。ダム建設を強引にすすめることを見直すことを再度強く求めます。

14、公立での中高一貫校設置について

(1)中高一貫教育について

<和田県議>
 公立での中高一貫校設置についてお聞きします。昨年12月の県教育委員会定例会において県立屋代高校に県立中学を併設させる計画が正式決定され、平成24年度4月の開校をめざすと方針が示されたことについて伺います。
 まず、公立の中高一貫校をなぜ設置するのかということです。平成9年(1997年)中教審答申で「21世紀を展望した我が国の教育のあり方について」として中高一貫教育の意義と導入が提言されました。そこでは、中高一貫教育は様々な利点があるが、特に「ゆとり」ある学校生活を送ることを可能にするということの意義は大である。このため中高一貫教育を享受する機会をより広く提供していくことが適当。入学者を定める方法については、学力試験を行わず、学校の個性や特色に応じて、抽選、面接、推薦等の多様な方法を適切に組み合わせることが適当。と言われました。以来13年、全国ではすでに44都道府県で公立中高一貫校が設置されましたが、長野県ではこの間設置せずにきたのが、何故いま設置されようとしているのでしょうか。
 また、中教審では「ゆとり」ある学校生活の利点があるとしましたが、全国的に受験競争の低年齢化、受験エリート校化が危惧されたため、国会で「受験エリート校にしない」と付帯決議がされ、入学選抜にあたって学力検査を行わず、小学校からの調査書、適性検査、作文、面接などで適切に選抜できるとしていますが、現実には高い倍率になり、入学のために小学校から「お受験」競争が起こっています。
また、私たちが調査に行った中高一貫校ではあるが、受験エリート校化しなかった香川県の「のぞみが丘中学」は、平成14年度開校からわずか5年で破綻し、平成20年度は募集停止という事態も起こっています。全国の中高一貫校の事例を見て、どうしても設置する必要性はないと考えます。
 平成24年4月開校を目指すとしている屋代高校との併設中学の教育環境の準備はどうなるのでしょうか。中学校では技術家庭や木工室、給食施設も必要ではないかと思います。教室の施設整備だけでなく、クラブや部活動などはどうなるのでしょうか。中学は2クラス80人を併設校で募集した場合、地元中学への影響はどう考えているのですか。また、県教育委員会は将来的には東北信に1校、中南信に1校の計画で当面は屋代1校開校で中南信に開校するまでの間は全県からの入学を受入れるとのことですが、自宅からの通学ができない生徒にはどのように対応するのですか。
 長野県では平成19年度に地元の合意もつくれないまま、一斉に高校再編を実施するというやり方が、県民や地域に理解が得られなかったことを県教委としては重く受け止め、今後に生かしていかなければならない。と反省した経緯がありますが、今回の中高一貫校設置の進め方からはこの反省したことが生かされていないように思われます。ことは慎重にすべきではないでしょうか。
教育はすべての子どもたちに平等に教育の機会を保障することこそが大事なことであって、受験競争の激化・低年齢化を生み出したり、公立学校でありながら通学なども含め経済的な理由などで差別化されるようなことは避けるべきではないでしょうか。教育の場でありながら子どもたちを巻き込んで振り回すようなことはやめるべきです。さらなる検討を慎重におこなっていただきたいと思いますが、教育長の見解を伺います。

<山口教育長>
 中高一貫教育についてのお尋ねでございます。
 本県がモデルケースとして目指します中高一貫教育は、子どもたちへの多様な学びの場の提供という観点から、新しいタイプの学校の一つとして生徒と保護者の選択肢を広げるものであると考えておりまして、豊かな人間性の涵養と学力の向上の二つを二つを柱とし、様々な分野でリーダーシップを発揮できる人材の育成を教育理念としております。ご指摘のような全国の状況や本県においての設置の方針を決定をしてきた経緯を踏まえまして、検討を行ってきたところでございます。
 慎重にというようなご指摘でございますけれども、さかのぼれば外部者を含めました検討会議を設置しまして、さらにその後1年の中学校3校、高校3校のモデル校で 実践的な研究もしまして、県教育委員会として、平成13年にはこの併設型中高一貫につきましては、平成16年度以降の設置を決定したわけでありますけれども、ご承知のような経緯がございまして、棚上げになったということでございます。
 改めて生徒減の中で、高校再編を考えるときの一番基盤になりました、外部者をお願いしての検討でございますけれども、平成17年1月に出しました基本的な考え方の中にもこの中高一貫校につきましても位置付けがしてございます。
 ご指摘の様々な懸念があるということも承知しております。それもクリアする形でどういう工夫があるかということを考えておりまして、こういうことを踏まえたうえでの最終的な決定と、こんな風に考えております。
 屋代高校の設置の決定にあたりましては、地域の検討組織や当該校からの要望によりまして、市町村教育委員会、小中校長会、職員団体など、学校関係者の意見をお聞きし、パブリックコメントおよび県内3ヵ所におきまして、保護者や県民との懇談会を実施するなどして、十分に時間をかけて検討をしてまいりました。今後の設置が検討されております中南信につきましても、地域や学校からの提言や要望を踏まえまして十分な議論を行って計画を進めていく予定でございます。

(2)公立学校と私立学校の果たす役割について

<和田県議>
 先日、長野市長と長野市選出県議の懇談会で、長野市に私学の小学校が設置される問題について、鷲沢市長は「私立の小学校ができることは公立学校の実践が否定されるようで反対だ」と言明し、小中学校を圧倒的に公立学校で担っている長野県で、私学の小中学校の役割について教育のあり方の問題としての根本的な議論が必要ではないかという鷲沢市長からの問題提起がありました。公立の中高一貫校の必要性の問題も含め、公立、私立の果たす役割について教育長の見解をお伺いします。

<山口教育長>
  また、公私の役割についてのご指摘もございましたけれども、一般論として申し上げますけれども、私は公私と言う設置者のいかんにかかわらずともに本県の公教育を支えていることには違いはないという観点をベースに考えております。ときにはよりよい教育を提供するために、いい意味で競い合うということはあってしかるべきだと思いますけれども、それぞれの特色を生かして本県の公教育を担うというつもりで公私が連携して、協調して、本県教育を支えていくという基本的な考え方をもってやっているつもりでございます。以上でございます。

<和田県議> 教育長が今まで繰り返し検討してきたとおっしゃっておりますが、教育は、繰り返しますけれども、すべての子どもたちに平等に教育の機会を保障することが大事なことでありまして、そして受験競争の渦中に子どもたちを巻き込むということで、本当に大変になるようなことがないように、最後までご努力を頂きたいと思います。

15、「核のない世界へ」について

 <和田県議>
 世界は大きく「核のない世界」へと歩みを始めている。「核兵器のない世界」の実現にむけて、いま重要な節目をむかえようとしています。
 5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議では、核兵器廃絶への一歩をふみだせるかどうかが問われています。5月2日には、ニューヨークで反核運動の国際共同行動がおこなわれ、被爆国日本からも1,000人以上が参加する予定です。長野県からも若者を中心に約20人が参加するとお聞きしております。
 昨春のオバマ米大統領のプラハ演説以降、核兵器廃絶への新たな機運が広がってきました。同時に、その実現のためには乗りこえなければならない問題があります。アメリカの上院では、共和党議員らが、核兵器近代化の予算を強く要求し、オバマ政権内部でも、「核兵器のない世界」を「行き過ぎ」と批判する声があると、報じられています。オバマ大統領自身も、「核兵器のない世界」実現への決意を表明する一方で、「おそらく私の生きているうちには達成されないだろう」とのべ、核兵器のあるかぎり、「抑止力」は必要であるとも主張しています。
昨秋、潘基文(パンギムン)国連事務総長は、「核抑止力」論を批判するとともに、核兵器廃絶のための交渉を求めた自身の提案への支持をよびかけました。昨年12月の第64回国連総会では、核兵器全面禁止・廃絶条約の早期締結にむけた交渉の開始を求める決議が、圧倒的多数の賛成で採択されました。核保有国の中国、NPTに加わらないインド、パキスタン、北朝鮮も賛成し、反対したのは核保有国のアメリカなど一部の国だけでした。
 世界の反核平和運動にも新しい発展があります。昨年の国連NGOの年次総会は、「核兵器の使用や使用の脅しに基づく『核抑止力』論との対決」を表明し、核兵器廃絶への「戦略」のかなめは、核兵器禁止条約交渉を成功させることだと強調しました。5月のニューヨークでの国際行動も、日本の運動の働きかけもあり、はじめて核兵器廃絶条約の締結を正面からよびかけ、準備されています。
 日本の鳩山由紀夫首相は、「核兵器のない世界」実現への決意を表明しながらも、アメリカの「核の傘」は必要だという「核抑止力」を支持する立場をとり続けています。世界の流れにも、被爆国としての役割にも背くこの姿勢は恥ずべきものであり、改められなければならないと思います。
 核兵器廃絶への前向きの変化をつくりだしてきた根本の力は、被爆者を先頭とする、世界諸国民の世論と運動でした。長野県では全国に先駆けて、1988年には県民人口過半数をこえる107万人の署名で非核の意思を示しました。それだけに、この変化を現実の前進にむすびつけるには、これまでにもまして反核世論を大きく結集することが必要です。その要は、日本と世界でいま取り組まれている「核兵器のない世界を」国際署名の運動であり、国内1,200万筆の目標をやりとげることが、(圧倒的な被爆国民の声を署名に託し、)国連や諸国政府を動かし、「核兵器のない世界」の実現を迫っていく力になると確信しています。
「核兵器完全廃絶」の約束の実行が問われる核不拡散条約(NPT)再検討会議(5月3〜28日、ニューヨークで)を2カ月後に控えるなか、再検討会議最終日までに「核兵器のない世界を」署名の目標1,200万筆の達成をめざす取り組みが行われております。すでに全国の3分の1を超える自治体首長をはじめ署名が370万筆を超えたことを確認し、NPT再検討会議までに署名目標をやりとげよう活動が続いています。
村井知事には、県民の平和と核廃絶の願いの先頭に立っていただくことを強く要望しますが、知事はNPTにむけて「核兵器のない世界を」国際署名に署名されるのかお伺いします。

<村井知事>
 世界で唯一の被爆国であります日本において、核兵器の廃絶と恒久平和の実現というのは、全国民の願いであるということは、当然のことであります。しかしながら世界の現実を見ますと、このNPTが再検討会議でございますけれども、旧締約国でありますインド、パキスタン、イスラエルが核保有国という立場でありますし、核が拡散していると現実は これはまた世界の不安定をもたらしていることもまぎれもない事実であります。
 これまで長野県議会でさまざまな決議が行われてきたことも承知しております。県として、当然のことでありますが、一日も早い平和な世界の実現のために広報、啓発活動を通じた県民意識の高揚を図っていることもご案内の通りでございます。その意味で、このたびの5年ごとに開催されているNPT再検討会議が5月に開催され、成果を上げられるということは大いに期待したいことではありますが、私は個人の思想信条というのは、また全然別の話だと思いますけれども、知事と言う公職で署名への態度を申し上げるというのは、避けさせていただきたいと考えております。

<和田県議>
 先ほどの「核兵器のない世界へ」の国際署名について、知事は個人としては署名を行わないということでありました。そのことを表明されなくても結構ですけれども、ご署名をご協力いただければと思っております。5月まではまだ間がありますので、ご協力お願いします。
 すでに、望月県議会議長は、「核兵器廃絶は人類共通の課題である」として、ご署名いただいたとのことです。県内では32の市町村長がすでに署名されたとお聞きしています。議場の議員各位におかれましても「核兵器のない世界を」国際署名で核兵器をなくす行動に立たれることをお訴えし、私の代表質問を終わります。

以上