2009年11月定例会 一般質問 12月4日 高村京子

1、介護保険制度について

2、失業などでの困窮者救済について

3、自立援助ホームの設置について

4、若者自立塾への支援について

1、介護保険制度について

(1)介護認定適正化事業について

<高村県議>  介護保険制度の問題についてうかがいます。
介護保険制度での「介護認定適正化事業」が本格実施されています。この4月から、認定の1次調査項目が84から74に変更となり、実際の状態が捉えられにくくなりました。その結果、介護度の認定がこれまでよりも軽度に出る傾向が出てきました。この4月から9月までは、検証期間中の経過措置として「申請者の希望で従前の介護度とする」ことができましたので、従前より軽度の判定がでた場合でも、ほとんどがこれまでと同じ介護サービスが受けられてきました。
ところが、この10月からは経過措置がなくなったことにより、信じられない事態が起きています。県内で10月に実際あったケースでは、介護度4から、何と要支援2へと出ました。この方は80歳代認知症の一人暮らしの方で1日3回の訪問介護でなんとか生活を支えていましたが、1ヶ月の利用限度額が30万6千円から10万4千円へと縮小され、今までのサービスが受けられなくなりました。
こういったケースが今後多く発生するのではと危惧されます。県内全域で起きている実態はどうでしょうか。県はこのような事態をどのように受け止め対応されるでしょうか。実態調査を行って、介護支援専門員や関係者の意見も汲み取りながら「介護認定適正化事業」の検証を行い、必要なサービスが継続して受けられ信頼がおける介護認定となるよう国に抜本的な改善を求めていただきたいと思います。認定適正化事業について実態調査、検証作業、国への提言について、社会部長にうかがいます。
<和田社会部長> 介護認定についてのご質問でございますけども、本年4月の要介護認定の見直しに対する不安の声が大きくなる中で、国は一定の経過措置を設けますとともに、検証を行いました。その結果全国的に非該当や軽度の方の割合が増加していることが明らかになったわけでございます。県内の要介護認定の審査の判定状況を見ましても、同様の傾向が見られたわけでございます。国は10月に再度見直しを行いまして、審査・判定できたデータが一定程度集まった段階で検証することとしておりますので、県もその結果を踏まえ必要な対応をしてまいりたいと、このように考えております
<高村県議> いま社会部長が必要な対応をするということでございましたけれども、やはり実態調査、検証作業、そして国への提言をぜひお願いしたいと思います。

(2)特養等の整備目標の実施について

<高村県議>  介護保険制度が始まって10年、本当に介護を社会で支える制度となっているでしょうか。今、介護の問題は大きな社会問題ともなっています。家族がいても日中独居となる要介護者のサービスを制限するなど、心無い制度へと変更され、必要なサービス提供の判断に関係者どうしが悩む場面が増えています。介護事業者評価が変更され、介護報酬のアップが図られたことはよかったのですが、各介護度のサービス利用限度額はそのままですので、利用者のサービス利用が狭められる事になりました。
 全国では、介護殺人、心中事件が後を立ちません。08年では約50件、今年1月から10月までに約40件もこういった悲惨な事件が起きています。「寝たきりの妻を10年以上介護し疲れた」「借金を抱え、母を残すに忍びない」など悲壮な介護家族の苦しみがあります。
 介護保険料は、改定期ごとに値上げされています。長野県内の平均10年前の平成12年度は2,346円が平成21年度は4,039円と値上げされています。それに見合った介護の充実が図られなければなりません。しかし特別養護老人ホーム入所希望者は増えるばかりです。県の調査資料では、平成13年の入所希望者は2,195人ですが、今年度は4,793人と8年間に2倍以上にも待機者が増えています。特別養護老人ホームのいっそうの施設整備が求められています。
 そこで社会部長にうかがいます。「第4期長野県高齢者プラン」での特養等の整備目標と現在までの到達状況はどうなっているでしょうか。保険料を払い、入所資格があるにも関わらず、入所できないのでは、保険制度の役割を果たしていません。待機者の解消は、いつになったらできるのでしょうか。平成23年度整備目標を前倒して整備するなど、新しい政権に働きかけ、目標の早期実施を行っていただきたいが、どうでしょうか社会部長にうかがいます。

<和田社会部長> 施設整備についてのお尋ねでございます。
 第4期の高齢者プランでは特養の1,110名分のほか老人保健施設やグループホーム等の居住系サービスをあわせまして、約3,100名分の定員増加を見込んでおります。
 これに対しまして、9月の補正予算で県単の補助単価を大幅拡充するなど、財政支援を強化したところでございますが、計画初年度の現時点におきましては、1,200名程度、計画の約4割の定員増を見込んでいるところでございます。
 来年度以降も目標の達成に向けまして、引き続き積極的に施設整備を促進してまいりたいと考えておりますが、国が経済危機対策として第4期計画3年分にさらに1年分を上乗せして整備する方針を示しておりますので、県もこの方針に沿いまして、上乗せの整備分につきましても助成対象としたところでございます。
<高村県議> ぜひ政府にも強く要望いたしまして、入所の方が保険制度にふさわしく入所できるような体制を一日も早く構築していただきたいと思います。

(3)介護保険制度の再構築について

<高村県議> 介護を社会で支え、高齢者にその人らしい暮らしを応援するために、介護支援専門員や関係者が頑張っていますが、制度による縛り、利用枠の制限、保険料と利用料などの金銭的負担の問題、施設整備がまったく足りないこと、また整備すればするほどに保険料の負担が増えるなど制度の問題がますます大きくなっています。
 県は市町村と連携しての減免制度の創設や介護保険関係者と介護保険制度の実態を検証し、国に対し憲法25条の精神を踏まえた真に高齢者と家族が安心して受けられる介護保険制度への再構築を国に訴えていただきたいがいかがでしょうか。社会部長に伺います。
<和田社会部長> 減免制度の充実についてでございますけれども、現在市町村が実施している減免につきましては、地域の実情に応じて、それぞれ独自に行われているものでございますが、本来介護保険制度のなかでその充実が図られるべきものと考えております。
 これまで知事会などを通じて国に対してこの旨要望してまいりました。介護保険制度につきましては、これ以外にも福祉人材の確保やや安定した事業運営が出来る報酬体系の確立あるいはサービス基盤へ支援など、必要な方に必要な介護サービスが提供されるよう、引き続き制度の充実を国に対して要望してまいります。

2、失業などでの困窮者救済について

(1)生活保護の相談件数・申請件数・受給者数の背景と乖離について

<高村県議> 次に失業などでの困窮者救済についてうかがいます。
 昨年末の世界同時不況、製造業を中心とした厳しい経済状況の中、劣悪な労働環境におかれていた非正規労働者が大量に解雇されてきました。昨年「年末年始派遣村」に、仕事を失った働き盛りの人々が衣食住の土台さえ失い救済を求める人々であふれたことは、衝撃でした。
 その後、地方都市でも仕事を探しても仕事に就けずに、雇用保険も切れて、生活ができない人々が増えてきています。
 昨年10月から今の12月までの予定者を含む非正規雇用の失業者は、愛知県約40,000人、東京都約11,000人についで、長野県は10,806名で3位となっており、全国でも多くの労働者が解雇されている県です。有効求人倍率は少し上がって10月は0.43ですがいまだ低く、失業から這い上がることは非常に難しくなっています。生活保護を受けなければ生活できません。生活保護の相談は増えていると思いますが実態はどうでしょうか。
 県内の生活保護に関しての相談件数・申請件数・受給者数との数字の乖離に疑問があります。県がまとめた数を見ますと今年4月から10月までに3,384件の相談がありますが、申請件数は1,494件で44%しか申請に至っていません。さらに実際の受給決定は1,290件と相談者の38%、申請者の64%しか受給に至っていません。実際の受給には高いハードルがあります。この数字の背景にはどんな理由があるのでしょうか。社会部長にうかがいます。

<和田社会部長> 困窮者の実態ということでございますけれども、10月における生活保護人員は9,127人ということでございまして、昨年の10月に比べまして、1,673人、22%増となっております。また失業により生活保護を開始した世帯を見ますと、昨年度の下半期が149世帯であるのにたいしまして、今年度の上半期が302世帯と倍増しておりまして、大変厳しい雇用情勢を反映しているものと受け止めております。
 つぎに生活保護の相談申請・決定の数に乖離があるとのご指摘でございますけれども、まず申請件数はご指摘のように相談件数の4割にとどまっているということでございます。相談件数は延べ件数でございまして、複数回にわたる相談が含まれていることがございますので、そうしたことが大きな理由と考えられます。
 次に申請から決定に至った割合は9割弱となっておりますけれども、申請後資産等にかかる事象の調査結果にもとづく却下あるいは就職による申請の取り下げ、こうしたことなどによるものと考えております。以上でございます。

(2)生活保護財源の地方自治体の負担について

<高村県議> 数字の問題でのかい離については、一定理解しました。しかし、やはりその場からの救済が必要だと思います。「保護申請の意志が確認されたものに対しては、速やかに保護申請書を交付するとともに申請手続きについての助言を行うこと」と昨年度の通達で確認されています。また自動車所有要件に関しては「公共交通機関の利用が著しく困難な地域に住むものが通院や求職活動等で自動車を使用する場合、一定の条件のもと保有を容認する事とし、さらに自立のために更新も認めること」と考え方が緩和されています。
 ところが、49歳で半年も失業し腰痛を患っている男性は、生活保護申請で車の所有を理由に3回も申請が受理されず、仕方なく生活福祉資金等を借りてしのいでいましたが借金が膨らみ、いっそうの困窮状態で発見された事例も県内で出ています。現在の考え方の到達点を福祉事務所や市町村にどのように徹底していただいているのでしょうか。
 県内の多くの地域は公共交通事情が悪く車がないと最低のくらしの維持もできません。また国の制度であるにもかかわらず、地方自治体が生活保護財源の4分の1を負担しなければならないことは、保護決定に当たって抑制の方向につながるのではないでしょうか。生活保護者の車所有を生活用品として認め、県・市の財政負担をなくすことなどを国に求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。再度社会部長にうかがいます。
<和田社会部長> 生活保護における車所有の扱い、または財政負担の関係でございます。厚生労働省では、車の保有を原則認めないという扱いをしておりましたけれども、平成20年度以降、地域の実情あるいは自立助長の観点から保有要件を緩和してきております。取り扱いの変更につきましては、随時周知に努めておりますが、徹底を図るため、先日県市長会の場におきまして制度の適正な運用を依頼したところでございまして、さらに市町村に対しましては、改めて通知を出したいと考えております。
 車を生活用品として認めるということにつきましては、本県のような地理的条件を考慮しますとその必要性は大変高いと考えているところでございますけれども、地域での均衡あるいは住民感情、維持費等の費用の負担という点も合わせて注意を払っていくことが必要があろうかと、このように考えております。
 また財政負担の問題につきましても、国の責務という意味で全額国庫負担が望ましいとは思いとは思いますが、地方の負担につきましては、国と地方の負担のあり方の議論の中で一定の整理をされている事柄でありまして、住民に身近な地方自治体が責任をもって適正な運用を図ることにも関わってくる、このように存じております。
<高村県議> ぜひ長野県の状況におきまして、保有の問題、生活保護の財源を国にしっかりと求めていただくこと、困窮者のみなさんがしっかりとその場からと救済される、こういう環境を作っていただくように県としてのご努力も改めて申し上げたいと思います。

(3)年末年始の総合相談窓口の設置について

<高村県議> 11月30日は、全国のハローワーク77箇所で仕事・住まい・生活の総合支援相談窓口「ワンストップ・サービス・デイ」が試験的に実施されました。ハローワークの職業紹介に加え、住宅手当や生活保護、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付、保健所による心の健康相談、弁護士の法律相談などを一箇所で実施しました。
この「ワンストップ・サービス・デイ」事業を県内でもぜひ、年末年始の総合相談窓口として、少なくとも地方事務所の単位で実施し、国、県、市町村それぞれの力をあわせて実施していただきたいと思います。また、住居のない人にすぐ提供できるシェルターの確保も必要と予測されますけれども、どのような検討をされていますか。社会部長にうかがいます。
 商工労働部長には、年末の中小零細企業融資相談窓口の設置についてはどのように検討されておられるでしょうか。また9月に開設した緊急求職者サポートセンターなど雇用労働問題等の相談窓口の状況についてはどうでしょうか。そして、年末年始はどのような対応をされるのか、伺います。
<和田社会部長> 県のワンストップ・サービス・デイの取り組みということでございます。過日の竹内議員の質問に知事からお答えした通り、ハローワークで行うワンストップ・サービス・デイが本県において実施された場合には、生活保護や住宅手当、生活福祉資金の貸付等の相談や一定の手続きができるよう県としても積極的に協力してまいりたいと、このように考えております。
 一時宿泊施設につきましては、現在各福祉事務所においてそれぞれの地域のニーズに合わせて公的施設、あるいは安価な旅館、ホテル等の確保を図ってきております。現時点では8つの福祉事務所で公的施設が確保されておりますけれども、さらに確保につきまして、依頼をしてまいりたいと、このように考えております。
 なお国のワンストップサービスとは別に県で設けております上田と伊那の緊急求職者サポートセンターへ今月から職員を定期的に派遣いたしまして、幅広く生活相談に応じてまいりたいと考えておりますし、こうしたサービスの対象とならない地域につきましても、市町村や社会福祉協議会などの関係団体とも連携を図りながら、なんらかの対応を検討してまいりたいと、このように考えております。

<黒田商工労働部長> 中小企業の制度資金、それから雇用・労働問題の相談窓口、こういった質問でございます。とりわけ、年末の体制が大切だと私も理解をしております。そこで県庁、それから県内10ヵ所すべての地方事務所におきましては、中小企業のみなさんの年末資金の円滑化を支援するために明日12月5日、12月の最初の土曜日ですけれども、金融機関の最終営業日であります12月30日までの県庁あるいは地方事務所の閉庁日でありますけれども、相談があった場合速やかに担当者に連絡をとって相談体制を実施してまいりたいと考えております。
 このうち年末の相談体制につきましては、今月最後の土日であります26日と27日、それから閉庁日の29日、30日は県庁の経営支援課の中に相談窓口を設置しまして8時30分から午後5時15分まで担当者が常駐して相談に応ずるよう考えております。
 これに合わせまして県だけではなくて、市町村や県内の金融機関、それから長野県信用保証協会、商工団体にたいしましても相談体制を整えて、きめ細かな対応を行うよう文書により協力を依頼したところでございます。 
 それから雇用・労働問題の相談についてのでございますけれども、国と協力したうえで、ハローワークにおきまして、ワンストップサービスと合わせて実施することがもっともいい方法だと思っておりますので、今後実施日であるとか、あるいは実施内容等につきましては長野労働局と相談しながら、準備を進めているところでございます。

<高村県議> 社会部、商工労働部におきましても、年末年始の特別な体制をとっていただいたり、また国との共同事業でありますワンストップ・サービス・デイの実現に向けてぜひ力を尽くしていただきたいと思います。
 このワンストップ・サービス・デイですが、その場からの救済ではなく、改めて福祉事務所や社協に行かなければならないとか、一回だけでなくせっかくの機会なので常設してほしい、ここに来て初めて知ったのでせっかくの機会なので事前に広く宣伝してほしかった、などの声も出されたようです。いっそう充実した総合窓口となるようお願いしたいと思います。
私たち日本共産党も関わって反貧困助け合いネットワークの継続的な相談支援活動を10か所ほど行っています。上田では「くらしと雇用を守る―陽だまりネット」が市の建物を提供していただき、年末年始5日間シェルターをかねた相談の家を開設することになりました。このように県としても市町村とも連携し、地方事務所ごとに民間の相談活動への支援、場所の提供や心の相談員の配置なども検討していただけないでしょうか。再度社会部長にうかがいます。

<和田社会部長> 先ほど申し上げましたように、この年末年始に向けまして国もいろいろな動きがありますので、県もしっかりそれに合わせて積極的に協力するとともに、それだけでない地域の均衡をとらないといけませんので、それにも十分注意を払いまして適切な対応をとってまいりたいと思いますし、職員の派遣につきましても、12月中旬から必要な地域におきまして、先ほど上田と伊那と申しましたが、県の福祉事務所から必要な職員が行って対応するということでございますので、そうした制度もしっかり活用しながらしっかり対応してまいりたいと、このように考えております。

(4)自殺予防対策と相談窓口での心の相談窓口の設置について

<高村県議> うつ病の患者数が初めて100万人を超えたことが12月3日、厚生労働省の調査でわかりました。過労や不安定雇用、失業・生活不安・困窮・多重債務など複数の理由で追い込まれ、うつ状態となり自殺願望に陥ってしまう人々が増えています。特に働き盛りの20代から30代が07年から08年で2倍に増えています。
過日日本共産党は県精神保健センターをお訪ねしまして、小泉所長さんより早期発見、早期関与が大切である点を伺いしました。各種相談窓口と精神科医・専門スタッフとの連携で関わり、さまざまな不安の原因を取り除くため、福祉や社会資源も活用して問題をひとつひとつ解決することで、うつ状態から救い、自殺予防へとつなげることができるとのお話しをいただきました。そのための環境整備にも精力的に活動をされていました。
 そこで衛生部長にうかがいます。全国で試験的に行った「ワンストップ・サービス・デイ」事業でも保健所による心の健康相談の体制が取られました。ぜひ県内での取組みでもこのような体制を取っていただきたいと思います。さらに日常的な各種の相談窓口での心の相談体制や医療・福祉との連携がとれるよう連携の充実を図り、急増している働き盛りの人々が自殺などに追い込まれないようにいっそう充実していただきたいと思います。年間3万人以上もの自殺者が11年も続いています。長野県では毎年約500人もが自ら命を絶っている深刻な実態の現在、県としての具体的な対策をどのように考えておられるのか衛生部長にうかがいます。

<桑島衛生部長> うつ病対策等についてご質問を頂戴しております。うつ病対策のまず一つ目といたしまして、うつ病を早期に発見することが必要と考えております。そのため本県では本年新たに「かかりつけ医うつ病対応力向上研修」を2ヵ所で開催しております。うつ病は精神症状に加えまして、身体症状が出やすく、内科等を最初に受診することが多いためこの研修会では患者にもっとも身近なかかりつけ医にたいしてうつ病の発見や診療の方法等を解説いたしまして一般医療機関と専門医療機関との連携を図っております。また保健福祉事務所や精神保健福祉センターでは精神科医による精神保健相談や患者支援の検討などを行い、地域の医療機関との連携をおこなっているところでございます。

 次に相談窓口についてでございますが、自殺対策緊急強化基金を活用しまして、弁護士相談や消費生活センターが開催いたします多重債務者相談とをあわせまして、健康相談を実施しますほか、市町村の法律相談等に健康相談員を派遣して相談の期間を設けてございます。また、先ほども出てございましたけれども、ハローワークでのワンストップ・サービス・デイが本県で今後開催される場合、心の相談が行われますよう、協力してまいりたいと考えております。
今後も関係医療機関、関係部局と連携を図りまして、様々な場面を捉えて、心の相談機会を設けますとともに、心の相談窓口を広く広報・周知をしまして、県民にとって相談しやすい体制づくりを進めてまいります。以上でございます。

<高村県議> 再度、商工労働部長と衛生部長にお伺いしたいと思います。上田の「陽だまりネット」の相談会に悲痛な面持ちで49歳の男性が相談に訪れました。「来月で雇用保険が切れる。どう暮らしていったらいいのか不安です」とここに至る経過を吐露されました。「国立大学を卒業してエンジニアでバリバリ仕事をしました。成果を上げると会社はいっそう成果を上げるように指示し、毎日夜中まで仕事をし、過労で体調を崩し、うつ状態となりました。子どももいますが、家庭もうまくいかず、離婚し生活が行きづまり、死にたいと思った。いまは、実家の離れに暮らしているが、家族からもうとまれ、離れで別に暮らしている。エンジニアでも仕事は派遣しかない。一生懸命働いてきたけど、もうだめです。全部おれが悪いんですか」と苦しい胸の内を吐露されました。

 商工労働部長に伺います。このように職を求める人々の中に、精神を病む人が多くいると感じます。雇用・労働問題の相談窓口にも心の健康相談を位置付けるべきと考えます。相談のその場から医療や福祉へとケアをつなげば、うつ病の早期治療、自殺予防につながると考えます。ぜひ雇用労働相談窓口に心の相談の体制をとっていただきたいと思います。

 また衛生部長にも伺います。県精神保健センターの最近のまとめでは、昨年県内の自殺した20代の男性は49人です。前年の22人の2倍以上となっています。そのうち40人は無職でした。45人が健康問題を抱えており、26人がうつ状態でした。うつ病で病んでいても、治療を受けていない人も増えています。この数字は分かっているだけの数字でございます。岩手医科大学に併設されている救命救急センターでは、実際自殺を実行し、搬送された救急医療から精神科医やケースワーカーが関わり、回復に向けて生活保護申請や住居の支援などを福祉や行政との支援を行い、治療と合わせて自立への支援へと奮闘されています。このような取り組みに学び、県の精神医療と、自殺予防とがいっそう有機的に連携がとれる仕組みをぜひ検討していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

<黒田商工労働部長> 緊急求職者サポートセンターの機能ということでのお尋ねでございます。議員から大変胸の痛むようなお話を頂戴したわけでございますけれども、現在もこのサポートセンターの生活相談の一部の中で必要があれば必要な機関におつなぎしているというふうな状態かと思っておりますけれども、制度が出来たばかりでございますから、いろんな方のご意見をうかがいながら、改善を重ねているところでございますので、さらに必要があるということがあれば、長野労働局ともよく話し合ってまいりたいと思っております。

<桑島衛生部長> 自殺対策と医療との関係でございます。先ほど来申し上げてございますように、うつ病と自殺が非常に関連が深いわけでございまして、そういう意味では早期に発見をして医療に結びつけるということが非常に大切だと思います。先ほどもご説明申しあげましたように、内科、かかりつけ医がいかにうつ病を理解し、それで専門医療機関に結び付けていくかということが大事だと思いますので、先ほど申し上げましたような、かかりつけ医の研修等今後さらに充実していきますとともに、保健福祉事務所、あるいはいろんな相談事業と医療を結び付けるようなことも非常に大事だと。そういった施策の充実を図ってまいりたいと考えてございます。以上でございます。
<高村県議> 各診療科と精神科医との連携、またそれぞれの福祉や行政との連携、それぞれの担当部長に強化をお願いをしたいと思います。

(5)労働者派遣法の見直しについて

<高村県議> 1990年の労働者派遣法によって大企業は、非正規労働者をまるで物のように働かせ、不況となれば一番に解雇しました。同時に住居からも追い出し、雇用保険も掛けていないなど、解雇された人々は即生活が立ち行かなくなります。
知事にうかがいます。このような非人間的な働かせ方を許している国に対し派遣労働法を見直し、雇用は正規雇用が当たり前とする労働法制への転換を求めてください。まじめに働く人が健康で文化的な生活ができるような社会でこそ、県内経済や家庭・社会が安定する事となります。強く国に訴えていただきたいが、いかがでしょうか。知事にお願いします。
<村井知事> 県として雇用について国にたいして要請すべきというご議論でございます。昨年秋以来の不況でございますけれども、世界的な金融危機が我が国の実体経済に深刻な影響を及ぼしまして、県内におきましても、とりわけて製造業を中心に輸出や設備投資の需要が大変大きく減少しまして、雇用が目に見えて悪化したということで、ただいまご指摘のような事態が顕在化しているということであります。最近の有効求人倍率ですとか失業率をみましても、わずかながら改善はみられますものの、依然として厳しい水準にある。私は大変憂慮しております。
 長野県としましては、雇用をもたらす実体経済の改善、これが一番大事だと。このように考えまして、昨年12月以来、切れ目なく経済対策を実施しまして、需要の喚起、そしてひいては雇用の確保、こういうことに努めてまいりたいというわけでございますが、なかなか成果が上がらない。企業におけましても、雇用調整助成金も非常に申請が増えて、こういう実態がございますけれども、苦しい経営状態の中でもなんとか努力して雇用を維持するということはやっていると私は見ておりますけれども、議員ご指摘のような問題はあることはその通りだと思います。
 そこで国が実施する雇用保険制度につきまして、これまで支給要件の見直しや、給付日数の延長など改正の努力がされていることを押さえながら、労働者派遣制度の問題。これにつきましては、厚生労働省の労働政策審議会に諮問をされまして、現在検討が進められているということでございます。これは産業の国際競争力というのも考えなければならないという観点から、結構難しい問題だと思います。いずれにしましても、これからも国の動向を注視してまいりたいとこのように考えております。
<高村県議> 厳しい経済状況と雇用不安があります。非正規労働者のみなさんは人間的なくらしの土台さえも築けないというような状況にあります。産業の競争力を優先するのか、それとも長野県民のくらしや命を大切にするのか、こういう立場での知事のご努力をぜひお願いしたいと思います。国に対して、取り組んでいただきはじめているようですので、派遣労働法の非正規雇用の労働法をやめていただくように、ぜひ強く国に求めていただきたいと思います。

3、自立援助ホームの設置について

<高村県議> 自立援助ホームについて、伺います。
保護者や家庭に恵まれない子どもが義務教育終了後、児童養護施設を退所したあとの自立を援助するホームが必要です。
3年前、県内で初めて上田市に「丸太の家」が自立支援ホームとして認定されました。施設運営費は年、国と県で合わせて500万円代から600万円代しかなく運営は非常にきびしく、まさに職員みなさん方の心意気で運営されていました。しかし、今年から入所者の人数によって運営費が出る仕組みとなり、数人対応の丸太の家は、運営が困難となり今年4月から閉鎖となっています。
県はこの施設の必要性をどのようにお考えでしょうか。県内にはこのような施設で自立を援助する必要があると思われる子どもたちはどのくらいいると思われますか。社会部長にうかがいます。合わせて、県としてこの事業を立ち上げるためのご努力はどのようにされているのかも伺います。

<和田社会部長> こうした児童養護施設を退所し、進学あるいは就職している児童についての把握でございますけれども、入所していた施設あるいは措置をしました児童相談所、あるいは市町村等が児童本人にあるいは民生・児童委員等に生活状況を把握しているところでございます。それによりますと、該当児童は全県で10人で、そのうち同居をしていない児童は2人でございまして、関係機関が相談支援を行っているところでございます。
 お話の児童自立援助ホームへの県の支援ということでございまして、お話のようにこれまで国2分の1、県2分の1の割合で助成をしてまいりました。本年度措置費による財政支援によりまして、事業規模に応じたものから利用人員によるものに変更されたため、昨年度の利用者が月平均1.2人とこういう程度であったため、このホームの安定した運営が困難となった次第であります。県としてこうしたものを代わりに設置をするということを考えますと、これは昨今の情勢の中ではなかなか難しい状況でございますけれども、対象児童の促進するためには何らかの形で児童自立援助ホームの機能を県内におく必要があると、このように考えておりまして、長野県児童福祉施設連盟とともに検討をしているところでございます。国に対しましては、算定方法の改善を含めまして、支援体制の充実が図られるよう、引き続き要望をしてまいりたいと、このように考えております。

<高村県議> 社会部長からご答弁をいただきましたけれども、今年度から補助金は子ども一人当たり20万円です。たとえば子ども3人でも1ヶ月60万円、1年で760万円です。これでは職員体制と家の土台の設備も安定しません。ですから県は施設を立ち上げる支援をするのであれば、安定的な施設運営ができる補助金を拠出するべきではないでしょうか。国への施設充実、補助金の充実、県も独自に県の必要な施策として力を入れていただきたいと思いますので、もう一度この点社会部長にお伺いします。
<和田社会部長> 若者自立援助ホームへの県の支援でございますけれども、さきほど申し上げましたように県としてですね国に申し上げることはきちんと申し上げまして、県としてどのような支援が可能かということにつきましては、長野県児童福祉施設連盟とともにですね検討してまいりたいと考えております。

4、若者自立塾への支援について

<高村県議> 最後に、行政刷新会議の「事業仕分け」で「いったん廃止」の方向とされた若者自立塾についてうかがいます。
若者自立塾はニートや引きこもりで社会に出れない若者を寮生活の中で丁寧に丁寧に、育ち直しを行い、少しずつ自信や社会性を身につけ自立を目指すための施設です。制度ではたった3ヶ月分の一人28万円しか補助されません。その後は自費負担とならざるを得ません。様々な苦悩や困難を抱えた若者への24時間365日の職員体制を維持することは初めから無理な仕組みです。それでも、施設長や職員さんが、社会に出られない若者への支援を「いったんはじめた以上は社会的使命がある。やめるわけにはいかない」と決意され、夜の当直はいまでもまったくのボランティアで家族同様に対応し、奮闘しておられます。このような施設に対して、今回の事業仕分けでは「コストに対して成果が小さすぎる」などと廃止の方向を決めています。
社会部長にうかがいます。県はこの事業の必要性をどのように受け止めておられるでしょうか。乱暴に廃止をする国に対して、現状をしっかり把握・評価し、実状に見合った施設運営費を出すよう要請していただきたい。それでも廃止の方向が確実に決まった場合は、県として存続のための支援策を講じていただきたいが、いかがでしょうか。
<和田社会部長> (答弁なし)
<高村県議> 小泉構造改革を進めてきた人たちが仕分け人に入っておられます。議論が現場の実態からずれており、充実の方向は見えておりません。社会的弱者や弱い皆さん、困窮者への目線が感じられません。民主党の中からも、そういった批判が起きております。もっと大きな軍事費とか、大企業への法人税減税の見直しにメスを入れれば、12兆円の財源があると日本共産党は呼び掛けています。長野県でも同じように、いまどこにお金を優先的に使うのか、限られた財源をどこに使うのか、これをいま真剣に考える必要があるのではないでしょうか。
 いま毎日の食事や居場所も不安定なみなさんがいます。まさに命の危機になっているわけです。このときに私は県民のみなさんの意見が分かれております、反対の意見も多い浅川ダムの建設をいったん止めていただいて、いま限られた財源を命とくらしを守る方向に進めていただきたいと思います。知事にご所見を伺いまして、質問のすべてを終わります。
<村井知事> 県民にとって必要な事業を予算の範囲内で粛々と進めていくというのが、私の立場でございます。