2009年9月定例会  10月2日  石坂ちほ

「高校授業料の無償化等を求める意見書(案)の提案説明

 議第3号「高校授業料の無償化等を求める意見書(案)」の提案説明を行ないます。
 意見書(案)でも述べていますように、長引く景気の低迷、雇用情勢の悪化による所得格差の拡大が、教育の機会均等を損ないかねない状況が生まれています。

 長野県の県立高校定時制において授業料の減免を受けた生徒の割合は昨年度24.1パーセントと10年前の4.4倍、全ニッセイを含めた全体の減免率は約1割で10年前の2.7倍になっています。日本高等学校教職員組合定時性通信部が全国規模で行なった最新の調査によれば、長野県の定時制通信制の高校生の6割以上の生徒が働いており、そのうち83パーセントの生徒が土日に働いており、働いて得た自分の収入を家計に入れている生徒が27パーセント、授業料も27パーセントとなっています。

 現在160カ国が締約している国連人権規約は第13条で中等教育および高等教育の機会をすべての者に与えるための教育費の段階的な無償化のための各国の努力を求めており、この条項を今なお留保している国は今年の5月現在、日本とマダガスカルの2カ国のみとなり、教育費無償化は世界の流れとなっています。長野県議会も今年の6月県議会で、この第13条の留保撤回を国に求める意見書を全会一致で採択しています。
 日本の教育費の公的支出は、OECD(経済協力開発機構)加盟30か国中最低水準で、高校授業料を今なお徴収しているのは日本、韓国など4カ国のみです。

 このような中で戦われた今年8月の総選挙では、子育て支援や教育費の支援が大きな議論となり、各党のマニフェストでも、自民党が就学前3年間の幼児教育の無償化、低所得者の高校授業料無償化、民主党が公立高校の授業料実質無償化、私立高校生には助成金、公明党が就学前3年間の幼児教育の無償化、就学継続困難な高校生の授業料を親の所得に合わせて段階的に減免、日本共産党が国際人権規約第13条の留保を撤回し、高校授業料無償化、社民党が高校入学金・授業料の無償化、私学助成の充実をそれぞれかかげており、国による授業料無償化や学費に対する公的支援を強めていく課題は、各党間に大きな意見の相違は無いことも明らかになっています。
 また、総選挙後、当時の文部科学大臣は、公立高校の授業料無償化にむけての検討を指示しています。

 よって、経済的な困難から進学を断念したり、退学や転学を余儀なくされることの無いように、学費の心配なく安心して学ぶことができるよう、公立高校の授業料の無償化、私立高校の授業料への補助制度が国において速やかに創設されることを要請する意見書(案)を提案したところです。議員の皆様の暖かいご理解とご賛同をお願いいたしまして提案説明とさせていただきます。