2009年2月定例会 一般質問 3月5日 びぜん光正

1、知事の政治姿勢について

2、発達障がい児の療育環境の整備・充実について

3、生活保護行政について

4、世界天文年にあたって

1、知事の政治姿勢について

(1)右近参事の事情聴取について
 亡くなられた右近参事には心よりご冥福を申し上げます。総務部長に伺いますが、東京地検特捜部による右近参事への事情聴取は2月21日から23日の三日間であるということですが、この三日間の勤務形態、特に23日はどうなっていたのでしょうか。

<浦野総務部長>
 右近参事の勤務の関係のお尋ねでございます。
 報道によれば、右近参事は東京地検の特捜部に聴取を受けていたとのことですが、2月21日から23日にかけて、実際に事情聴取を受けていたのか否かについては県では承知しておりません。
 その上で、申し上げますと、21日は土曜日、22日は日曜日でございまして、通常の週休日でございます。また23日の月曜日は一度登庁致しましたが、10時半以降、年次休暇を取得しております。

(2)上司としての知事責任について
 それでは知事に伺いますが、取調べの三日間は公務・休暇どちらであれ、部下である参事が地検特捜部から事情聴取をされている以上、上司に報告がないとすればおかしな話です。上司としての責任をどのように考えているのでしょうか。

<村井知事>
 右近君の死去につきまして私の責任についてお尋ねを頂きましたが、右近参事が東京地検特捜部に事情聴取を受けていたという話は、報道を通じて知ったに過ぎず、全く知りませんでした。仮に参考人として事情聴取を受けていた事実があったとしても、それが直ちに私が責任を問われるものではないと、そのように考えます。

 昨日民主党小澤党首の公設第一秘書が西松建設の裏金献金疑惑容疑で逮捕されましたが、同様な容疑での事情聴取を知事の公設第一秘書であった右近参事が受け、その直後亡くなったことについて知事は「知らぬ」では県民は納得しません。「調べる知恵がない」との答弁や、「国家権力がいつも正しいとは限らない」の発言も国家公安委員長まで歴任された知事の真意がわかりませんし、よりいっそう疑念が深まるばかりであります。西松建設や東京地検を名誉毀損で訴えるとか新政治問題研究会への返金など、自ら解明するおつもりはないか知事に伺います。

<村井知事>
 そのような考えはございません。私は捜査がきちんと行われることを期待をしております。

2、発達障がい児の療育環境の整備・充実について

 発達障がい児の療育環境の整備・充実について伺います。
 このたび「長野県特別支援教育連携協議会の報告」が2月10日に出されました。議会でも多くの論議がされ、標準法に大きく乖離した教員不足に対し一定の前進はありますが、まだ大幅に不足していることには変わりません。
 そこで連携協議会の報告では、盲学校・ろう学校に併設される分校への児童・生徒の振り分けがどのように行われるのか、その際の障害種の違い等、本人・保護者の理解と納得にどう繋げるのか、単なる数あわせではいかない大きな問題を含んでいます。さらに障害児教育のあり方を意見を聞きながらどう行っていくのかの根本的な問題もあります。
 そこでこれらについて今後どうすすめていくのか教育長にお聞きします。

<山口教育長>
 長野地区特別支援学校再編に関わるお尋ねでございます。
 最初に長野盲・ろう学校に併設する分校についてでございます。県教育委員会では、特別支援教育連携協議会報告書の提出を受けましてから、県教委案の作成に向けまして、現在学校・保護者と意見交換を行っているところでございます。朝陽校舎、三輪校舎ともに、知的障がい者を教育する分校ではありますが、過密化を解消するために単に分散化するためのものではございません。本校では専門性の更なる向上を図り、小中高一貫した教育を行い、分校においては併設する学校の専門性の活用しまして、講習・対象生徒や選考方法、教育課程の特色など、明確にして本人や保護者が適性に応じて就学や進学をできるよう、検討してまいりたいと考えております。

 次に障害のある子どもたちの教育課題の対応でございますが、今回報告を頂いた長野地区の再編計画については早急に具体化を進めてまいりますが、県内他地区の特別支援学校についても学校の形態や地域の実態に応じまして特別支援学校の在り方を検討してまいります。
 また発達障がい児への支援など、小中学校及び高等学校における特別支援教育の在り方や保健、医療、福祉、労働などとの連携などの在り方などとも検討を進めてまいりたいと考えております。

 12月議会でも取り上げましたが、長野地区特別支援学校再編において養護、ろう学校などで教職員、保護者等も含めて作り上げてきた「長ようプラン」等には教育や福祉、医療との連携の中で、1人の障がい児を家族も含めて育成していく地域療育センターの設置が提案されております。昨年11月の長野養護学校での集会に参加していた方からも「気軽に相談でき、しかも専門的な対応もされる地域の療育センターが横浜市などにはあったが長野県にも是非とも欲しい」と言われました。
 これは今、急増する障害をもった児童・生徒に対し、良好な育成環境を提供し、豊かな発達の保障、そして長期的に見れば、教職員の充実はもちろんですが、養護学校の過密化の一定の解消にもつながるのではないかと思われます。そこでこのような療育センターの整備・充実についての教育長のお考えを伺います。

<山口教育長>
 次に、地域療育センターについてでございます。障害のある子どもにとって、その障害を早期に発見し、発達段階に応じた支援、適切な就学相談を行う事が大切でございます。再編に係る検討の中で、保護者の皆さんから、安心して相談や支援を受けることのできる体制づくりの要望が数多く寄せられたところでございます。
 今回の再編計画では、特別支援学校のセンター的役割に加えて、複数の障がい児に対応した早期からの教育相談等、総合的に支援を行うセンター的機能の充実を検討してまいりたいと考えておりますが、ご指摘の地域療育センターにつきましては、保健・福祉部局と連携して取り組む課題であると承知しております。以上でございます。

 私ども共産党県議団は先般、神奈川県立総合療育相談センターと横浜市東部地域療育センターを視察してまいりました。
 神奈川県立総合療育相談センターは子ども教育部、障害支援部、福祉医療部等で構成され、特に障害福祉部内に療育課を設置し、県の役割で横浜・川崎市を除く市町村を対象にした療育施設への巡回支援、保育園・学校等への相談支援、市町村において対応困難で専門的支援を必要とする個別の療育指導を行っておりました。19床の有床診療所では療育外来も行われ主として肢体不自由児・重症心身障害児の在宅支援、児童相談所とのかかわりの中で児童精神科医による情緒障害・行動障害や発達障害にかかわる診療も担っておりました。
 横浜市では同様に市内7箇所に「地域療育センター」を設置し、早期療育科はもとより、福祉保健センター、児童相談所等との連携をはかり、療育に関する技術支援を行う中核施設の役割を果たしていました。
 療育センターの設置は市町村ですが、こうした神奈川県・横浜市の取り組みは長野県でも非常に参考になると思います。そこで、これらについて一昨年の12月議会に我が党の藤沢県議が支援体制の整備について取り上げ、当時の社会部長は「10圏域に設置された地域自立支援協議会を開いて、療育体制を充実させる」と答弁されていますが、これは現在どうすすめられているのか社会部長にお聞きします。

<和田社会部長>
 地域自立支援協議会についてのお尋ねでございますけれども、10圏域の協議会におきましては療育部会を設けまして、保健、福祉、教育の連携した支援体制を構築、あるいは個別の支援教育を関しまして、協議をしているところでございます。その他出されております、教育分野との連携強化、あるいは専門職種の確保などの課題につきましては、県の療育コーディネーターによる支援開業を開きまして、情報交換のほか協議・検討しまして、より充実した療育体制となるよう、取り組んでいるところでございます。

 私は先日、松本圏域に療育システムを構築しようとしている自立支援協議会の療育部会の関係者、そして松本の療育センターで自閉症の子どもさんが過ごさせ確実に発達させてきている方とも懇談させていただきました。その中では県の役割についても要望が出されておりますが、主な点である、1、療育施策の企画・執行をおこなう部署の設置。2、県立こども病院に圏域療育センターや地域療育関連施設を人材的にも現場を支援するための療育拠点施設(基幹療育センター)の設置。3、県全体で優先的に構築すべき療育システムの策定をすべきである、などについて要望がなされていると思いますが、これについての社会部長のお考えを伺います。

<和田社会部長>
 はじめに療育施策の企画・執行を行う部署の設置ということでございますが、障がい児への療育支援は乳幼児期から成人期までのライフステージを通しまして一貫して提供できるよう、医療、教育、福祉の関係部局の相互連携が欠かせません。現在県では、専門医、支援団体、保護者などの外部員のほか、社会部、衛生部、教育委員会の職員で構成します、発達障害者支援体制整備検討委員会を設けまして、発達障害者への支援を検討しておりまして、この委員会を活用する中で、部局横断的な連携を図ってまいります。

 次に、県立こども病院への拠点施設の設置ということでございますが、県では10圏域の障害者総合支援センターへ療育コーディネーター15名を配置致しまして、療育に関する相談・支援を行っております。またより専門的な療育支援を行うため、信濃医療センターへ委託をしまして、全県を対象とする支援体制をとるほか、県精神保健福祉センター内に自閉症発達障害支援センターを設置致しまして、関係機関や関係職員の支援・育成をバックアップしております。さらに、松本地域におきましては、今後信大医学部の近くに情緒障害児短期治療施設が建設される予定でございます。
 こうした様々な支援機関のネットワーク化を図る中で、望ましい支援体制を検討してまいりたいと考えております。

 次に、療育システムということでございますが、地域の総合調整ということでは、ただ今申し上げました地域自立支援協議会及び療育部会を中心に対応してまいりたいと考えております。その他、乳幼児健診や障害福祉サービスの主たる実施主体でございます市町村支援という点では、県の療育コーディネーターが理学療法士などの専門職員とともに、保育所等を訪問し、技術的助言を行うなど、専門性の確保を図っておりますし、昨年度は衛生部において発達障害支援ガイドラインを、また今年度は市町村の健診や巡回相談における早期発見・早期支援のためのガイドブックの作成を行っておりまして、障害者や保護者が身近な地域において、療育支援が受けられるよう、総合的に支援してまいります。

ただいま丁寧なご答弁を頂きましたけれども、実際現場の方はですね、じゃあどこがそのことをきちんとそのことを中心に担うのかが非常に不明確であると言われているわけでございます。ぜひとも社会部長、この神奈川県の事例をぜひとも見に行っていただきたい、このことを付け加えさせていただきたくとともに、知事にうかががいたいと思いますけれども、このように社会部、衛生部、そして教育委員会が横断で連携していくことが本当に重要であるわけでありまして、そういった意味で専門の部署の設置、療育センター、あるいはそのシステムの構築についてどのように知事はお考えを伺いたいと思います。

<村井知事>
 
ずっとお話を伺っておりましたが、障害のある子どもに関わる部局、機関、これは多岐にわたっておりまして、それぞれ専門性に基づいて対応しているわけであります。個々の障害児をトータルに支援していくためには、そういうことですから、部局横断の連携というのは、必要不可欠のことだということはご指摘の通りであります。外部有識者を交えた発達障害者支援体制整備検討委員会におきまして、各ライフステージに対応する一貫した支援体制の整備について広くご検討をいただいているということであります。
発達障害につきましては、比較的新しい概念でありますことから、様々な調査や研究がなされているところでありまして、そうした成果も参考にしながら、それぞれの地域の社会資源を有効に活用しつつ、ハードにとらわれずに地域に合った療育体制の構築をすることが大切だとそのように考えている次第であります。

3、生活保護行政について

 次に、生活保護行政についてお伺いいたします。
 100年に一度といわれる未曾有の経済不況は多くの労働者の解雇問題や、先週出された厚労省の非正規労働者の雇い止め等の状況調査でも一段と雇用の悪化が発表され、本県は3度の調査ともに全国ワースト2位となっております。現在、雇用状況の悪化は多くの生活困窮者を生み出しており年末年始の派遣村は東京だけの問題ではなく、氷山の一角であって県内でも同様であることは我が党の代表質問でも触れさせていただきました。
 こうした中、私達も多くの生活相談を受けます。そして生活保護の申請を行う手続きも急増しているわけでありますけれども、そこで特に昨年からこの1月までの毎月の生活保護相談数、申請者数、そして決定者数の推移とそれぞれに占める決定数の比率はどう推移し、どういった傾向があることがわかるか社会部長に伺います。

<和田社会部長>
 生活保護につきましては、先日、小松議員のご質問にもお答えしたとおりでございますが、相談、申請、決定、いずれもここへきて増加してきておりまして、昨年度全体に比べますと、1月末現在ですが、相談件数で20.2%、申請件数で11.3%、決定件数で6.5%、それぞれ上回っております。
 申請に対する決定の割合でございますが、82.6%でございまして、昨年度と比べ、3.7ポイント低下しておりますが、これは本年1月に申請が急増しまして、一部の決定が2月にずれ込んでいるためでございます。

 あらかじめいただいたデータで私なりに出してみましたが、保護決定の率は昨年4月から12月までは相談のうち3〜4割あったものが1月には2割台、申請に対しては8〜9割あったものが6割代に急落しています。急激に相談・申請数ともにそれまでの約2倍ということがありますが、相談しても申請、さらには決定にまで至らない方々が増えている傾向が見えます。そこで相談時に窓口でしばしば問題になるのが自動車等の保有です。
 この間寄せられた相談でも、県内の50代の女性で、夫によるDVで暴力により頚椎損傷とうつ病の治療のため、主治医のいる病院までは公共交通では現実的には行かれず、そうした中でも懸命にホームヘルパーとして働くなかで自家用車は不可欠であるわけであります。市の担当課では車の必要性は認めつつも「一年後には車の使用をしなくても良くなるように努力する」との保護を受けるための誓約書の提出が求められており死活問題だと困惑されています。
 このような、自家用車の保有をかたくなに認めないことは、本県が公共交通機関が次々と無くなり、深刻な不況が追い討ちをかけている中でなんと冷たい対応ではないでしょうか。
 このことで岐阜県では、自家用車の保有や住居の喪失等について、生活困窮となった申請者について、処分価格が小さいと判断されるものについて保有を認めたり、居宅がないことを理由とした申請の不受理は申請権の侵害にあたると厳に慎むとともに、扶養義務者の扶養を理由に申請を受け付けないことも同様とすること、そして保護の早期決定に努める、旨の通達が健康福祉部長名で2月に出されています。
 そこで長野県もこのような取り組みを行うべきだと思いますが社会部長の答弁を求めます。

<和田社会部長>
 生活保護の運営につきましては、国の基準等の改正に合わせまして、通知あるいは会議により周知徹底を図っておりますけれども、今般の経済状況を踏まえましての対応につきましては昨年の12月に、またホームレス支援体制につきましては今年2月に、それぞれ万全を期すよう私の名前で要請したところでございます。
 それからちなみに、自家用自動車の件でございますけれども、必要とにおける自家用車は処分価値の小さいものにつきまして、国の通知に基づきまして、処分保留を認めておりまして、それぞれ個々の状況に応じて、判断をしているところでございます。

 ただいまご答弁がありましたけれども、市町村、現場ではそのようになっていないわけですね。同様に行うという気持ちがあるのであれば、再度、私が岐阜県の例を紹介させていただきました、この点について再徹底していただくということ、そしてそういった誓約書などを書かせるということ自体が私は問題だと思います。これについて、再度ご答弁をお願いします。

<和田社会部長>
 岐阜県の通達の例が先ほどお話がありましたけれども、岐阜県のものを見させていただきましたが、それは私が申し上げさせていただきました国で言っております「処分価値の小さいものにつきまして、県独自の基準を定めた」という内容でございます。それにつきましては、基準を定めることが果たして適当かどうかにつきましては、私どもいささか心配を抱いておりまして、それはやはり個々の状況に応じてですね、それについて判断をしていくと。これが適切であると判断しております。

 県独自の基準をぜひとも作って頂きたい。長野県は自動車保有率は全国8位だと思いますね。車がなければ生活が出来ない。まさしく車は財産ではなく、むしろ生活必需品であるということは、誰もが多くの方が認めることではないかと思います。再度ご答弁をお願いします。

<和田社会部長>
 生活保護につきましては、必要な人に必要な給付がなされまして、自立支援に結び付くように私も努めてまいりたいと、こう考えております。

<備前県議> ぜひとも暖かい支援をどうぞよろしくお願いします。

4、世界天文年にあたって

(1)理科教育の充実について
 次に、世界天文年にあたって理科教育の充実について伺います。
 昨年は4人の日本人のノーベル賞受賞は久々に嬉しいニュースであり、日本の基礎科学分野の底力が世界に示されました。
 ところで今年は世界天文年で、ユネスコ・国連等が協力する形で運営されます。日本では国立天文台名誉教授で、ハワイのすばる天文台や野辺山の電波天文台の所長でもあった海部宣男さんが日本委員会委員長をつとめています。
 世界天文年は1609年にガリレオが自作の望遠鏡を人類史上始めて月に向けてから400年を記念し、世界中で様々なイベントが行われ、県内でも親子を対象にガリレオの望遠鏡作りや観測会など目白押しであります。
 この中で、今年日本では7月22日に皆既日食が見られるそうであります。長野県内でも75%欠ける部分日食になるのですが、これほど欠ける日食は1963年以降46年ぶりで、十分見ごたえがあるものと言われる貴重な機会です。
 そこでこのような機会に子ども達に日食の原理を教え、実際に見る経験をすることは、理科への興味をおぼえる教育上重要な機会であると思います。そのために観察用教材の確保とともに、授業の中で多くの子どもたちに見てもらえる機会とすることはもちろん、また多くの県民が情報共有できるよう県総合教育センターの望遠鏡等を活用してのリアルタイムの画像をインターネット配信するなどして生涯学習にも活用することなどもできないか教育長に伺います。

<山口教育長>
 世界天文年にあたっての県総合教育センターの活用についてのお尋ねでございます。
 本年7月に見られる日食の観測に関しましては、多くの子どもたちが観測できるように、県校長会や市町村教育委員会等を通じまして、保護メガネ等の教具の購入や日食観測に向けた計画的な指導など、お願いしてきたところでございます。県総合教育センターでは、観測のための指導者講座や県民を対象とした天文観測会を開催する予定でございますので、県総合教育センターのホームページなどでの通知をはかり、より多くの子どもたちがこの機会を体験できるようにすすめてまいりたいと考えております。

 こうした中、県出身の油井亀美也さんが宇宙飛行士候補に選ばれるニュースも飛び込んできています。生まれ育った川上村の美しい星空の体験を通し、天文学者や宇宙飛行士の夢を描いたと言われ、長野県の良好な環境も大きく寄与していると思われます。
 本県は、木曽や乗鞍などには大学天文台、そして野辺山、臼田の電波天文台など国内の有数の天体観測のメッカとも言えます。そこで世界天文年の年にこうした本県の特性も生かして天文台職員による講演会や観察会などと連携し、すべての子ども達への宇宙をはじめとした自然科学への親しみを深めさせ理科教育の振興につなげていくべきであると思いますが、教育委員長のご所見を伺います。

<矢崎教育委員長>
 世界天文年にあたっての理科振興についてのお尋ねであります。基本的な方向につきましては、教育長、いまお答えした通りであります。ご指摘のように、子どもたちが宇宙への夢やあこがれを抱いて、身近な自然を進んで探究するこの体験は、科学への知的好奇心を高めていく上で大変重要であると認識しているところでありますし、日本が理科学振興に多少問題があるというご指摘を頂いているところでありますから、こうした機会を活かしながら、理科学の振興について教育委員会も応援してまいりたい、このように考えております。

(2)光害防止条例について
 世界天文年と連動し、本県の良好な夜空の環境を維持していくために、今回私5度目になりますが提案させていただきたい。ですが、他会派の議員からも要望されている、光害防止のための条例の制定について伺います。
 この間の議会では環境省の「光害対策ガイドライン」に沿った運用の指導を行う旨の回答をされております。
 しかし、私は環境省がよびかける全国光害調査に取り組み、また独自に塩尻市内80箇所にもおよぶ夜空の明るさの定点測定を2003年から塩尻星の会のみなさんと行ってきました。これがそのグラフでありますが、星の明るさで約1等級、夜空の明るさでは2.5倍ですが、夜空が着実に明るくなり、光が市街地から郊外に広がっている傾向があるわけです。そこで、必要以上の電気エネルギーを抑制し地球温暖化対策と、県内各地で取り組まれている蛍の育成等や良好な長野県の夜空の環境を呼び戻すために世界天文年の年、光害防止の条例化やあるいはその前段である広域的な地域照明環境計画づくりに着手するおつもりはないか知事のお考えを伺います。

<村井知事>
 光害防止条例の制定についてお尋ねを頂戴いたしました。
 目的物以外の所を照らす照明というのは、野生動物やあるいは農作物の生育にも影響を及ぼすほか、天体観測にも支障をきたすのはご指摘のとおりであります。このため、長野県では、県有施設や道路における光害に配慮した照明の設置、大規模小売店舗立地法の届け出の際の夜間照明の配慮についての助言、ライトダウンキャンペーンの実施などを行ってまいりました。
 また市町村や建築関係者などにたいしまして、照明設備への配慮が盛り込まれた国の「光害対策ガイドライン」の周知を図ってまいったつもりであります。夜間の照明は、安全への配慮や自然環境との調和など、地域の実情に応じた対応が求められるものであります。また光害について盛り込まれた他県の条例を点検してみますと、いずれも努力規定というものにとどめております。このため、良好な光環境の実現に向けましては、県条例によるのではなく、地域ごとに望ましい照明方法などを定める「地域照明環境計画づくり」などを市町村に対して推奨してまいりたいと存じます。

 ガイドラインの周知がですね、先ほどのような結果になっております。ぜひとも「地域照明環境計画づくり」にですね各自治体、そして広域での取り組みが重要になってくると思います。これにたいする県の取り組みをぜひお願いしたいと思います。やはりこういった調査がですね、地道にできてこそ、そのような効果が発揮することが可能になるわけであります。ぜひともそのこともお願いさせていただきまして、私の質問を終わらさせていただきます。