2008年1月臨時議会 1月13日 毛利栄子

平成20年度一般会計補正予算(第5号)に対する賛成討論

 平成20年度一般会計補正予算(第5号)に賛成の討論をいたします。
 現在の深刻な景気悪化は、前FRB(連邦準備制度理事会)議長が言っているように「100年に一度あるか無いかの金融危機」であり、エコノミストの水野和夫氏は16世紀からの資本主義始まって以来の最大の危機が起きていると分析しています。
 県が昨年末に行なった「緊急中小企業経営実態調査」でも昨年同期と比べて売り上げや受注が減少している事業所は68%、資金繰りが苦しい事業所は64.4%、人員削減を行った事業所は今後の予定を含め36.6%、賃金カットを行った事業所は予定を含め22.4%となっており、あらゆる分野で深刻な事態が広がっています。

 雇用問題では、厚生労働省の調査で、この3月までに派遣契約が解除される労働者は全国で8万5000人に上ると予想され、なかでも長野県は愛知県に次いで全国2番目に多い、4000人余が首切りされるとの数字が公表されました。企業への聞き取り調査とのことで、実際にはこの何倍もの数にのぼるのではないかと危惧されます。派遣労働者は仕事を失うことが住居を失うことと連動しているために日比谷公園での「年越し派遣村」に象徴されるように、政治災害とも言うべき事態となっています。
 この様な状況下で、党県議団は事態を重く見て、昨年12月18日、県として、年越しできるかどうか悩み、困憊している県民のためにワンストップで相談に応じられる体制をとってほしい、必要なら専決処分や臨時議会を開いても財政措置をして欲しいと求めてきました。
 さっそく24日には「緊急経済対策総合相談窓口」が部局横断で設置され、年末も30日まで開設して182件の相談に応じていただき、新年になっても引き続き体制をとっていただいていることは大変うれしいことであり、臨時議会の招集を決断して頂いたことと合わせ、迅速で丁寧な県の取り組みを評価するものです。

 提案された補正予算については、事業費ベースで71億9845万4000円、予算対応では56億667万9000円ですが、ほとんどは震度計や防災行政無線、交通安全施設などの県民生活の安全を担保するものや、高校や特別支援学校の耐震改修、県営住宅の建て替えなど私どもがかねがね求めてきた住民生活に必要な生活密着型の公共事業を優先的に実施していること。
 また、従来もセーフテイネット貸付けの必要性を訴えて来たところですが、離職、失業などで生活の困難に直面する勤労者に対し、利率1%、融資限度額100万円で、据え置き1年、返済期間10年以内といった借り手の立場にたった使いやすい「生活資金緊急融資事業」を創設し、生活者支援をうちだしていることなどから賛成するものです。

 雇用問題では、全国では18県、県内でも市段階で行政として緊急の臨時雇用を行う自治体などもあるので、たとえば降雪時、県道の歩道の除雪や排雪など求められている仕事などもあり、県としても努力をしてほしいこと、さらに県民生活の動向を注視しながら地域的な需要と供給のアンバランスもあることや、さらなる失業者も予想されるため、引き続き住居の確保や、中小企業対策の支援制度を実態に合ったものに改善・充実を図ってほしいことなどを要望いたします。
 また、緊急事態だから借金をしてでも公共事業を増やせといった議論もありますが、今回の提案でも国の2次補正との絡みで流動的な30億7000万円の県債が盛られています。21年度事業の前倒しが組み込まれているので、新年度予算や国の2次補正との絡みで県債は調整されていくものと思いますが、根本的には国の責任において経済対策を行うべきであり、地方交付税を減らしつつ、臨時財政対策債の名のもとに借金を押し付けることは受け入れがたいものです。元金償還の範囲内での借金という知事の当初の考え方を踏み越えることなく、借金はこれ以上増やさないために、公共事業の優先度をチェックし、検討するなど柔軟な対応をして欲しいことを求め討論といたします。