2008年2月議会 2月27日 小林伸陽 

議第1号  「道路特定財源関連法案の年度内成立を求める意見書(案)」に対する反対討論

議第1号 道路特定財源関連法案の年度内成立を求める意見書案について討論します。

 今、地方と都市の格差が広がり、その広がりは深刻です。その原因は企業も人も大都会に集中、その結果税収も大都会に集中し、地方は高齢化が進み税収入は落ち込み、益々格差が拡大する仕組みになりつつあります。
 先日、我が議員団はタクシー業界や、運輸業界、医療機関や老人福祉施設などを訪問し懇談を行ってまいりました。異口同音に「この燃料の高騰で経営が成り立たない。この深刻な石油の高騰に何らかの対策を講じてもらわないと困る。対策を講じないのは政治の怠慢」と原油の減税を強く求められてまいりました。こうした皆さんの願いに答えるには暫定税率を廃止して、石油価格の値下げを実現することが国民的願いとなっているのではないでしょうか。
   
 暫定税率分の減収により県の財政が大変との意見もありますが、それ以上に深刻な事態は地方交付税の削減です。この8年で地方交付税の削減は長野県でも年々増え続け、741億円を上回ります。県の土木部の説明でも道路特定財源を無くせば道路は全くできないと説明されておりますが、この間の地方交付税の削減は道路特定財源を上回り、県財政の硬直化が進み来年度の予算でも県単事業の削減が容赦なく行われております。

 私達は、老朽化した橋梁等の修繕、砂防、なだれ対策など道路の災害、防災、耐震対策、通学路の歩道整備などの交通事故対策のような県民のいのちと安全にかかわる緊急を要する道路整備や、バリアフリー化や維持補修など暮らしにかかわる道路整備は最優先しなければならないと考えています。
 こうした道路整備や維持補修は、県や市町村が一般財源で整備しているのが現状です。地方道の維持補修には補助がありません。そのため、財政難を理由に地方自治体は、生活密着型の道路整備の実施を縮小しています。意見書案では、「仮に現行の暫定税率が廃止された場合、地方においては大幅な減収が生じることとなり、道路整備は深刻な事態におちいるばかりか、危機的状況にある地方財政を直撃し、教育や福祉といった他の行政サービスの低下にもつながりかねない」とのべています。

 しかし、道路整備の財源に限らず、住民の暮らしや、福祉や教育、安心して住み続けられるまちづくりなど、生活を支える財源が不足し、住民の負担増や、制度の後退を余儀なくされている状況にありますが、このおおもとは、90年代の公共投資のつけと、自民・公明政権がすすめてきた「構造改革」や、「三位一体改革」などによる地方交付税の削減や生活密着型公共事業関係予算の削減などが拍車をかけているのであって、道路特定財源を維持したからといって、現行の国に厚く地方に薄い制度では地方財政が好転するものではありません。道路整備予算をみても県は6割、市町村では7割が地方の一般財源と地方債でまかなわれており、道路特定財源の比重は小さいのが実態です。

 暫定税率による上乗せ部分を撤廃することで一番困る問題は、特定財源でまかなっていた借金の返済に、一般財源から補てんする額が増えることにあります。その解決策として、税収が減収となる分を、これまでの国に厚く地方に薄かった、道路特定財源を一般財源化し、その分を地方交付税の増額などによって確保すべきであります。

 先日、長野市長と長野市選出の県議との懇談会が行われたそうです、そのとき鷲沢長野市長からも、「今年はすでに道路特定財源を予算に組み込んであるので、堅持してもらわなければ困るが、自民党には申し訳ないが特定財源にはこだわらない、今後は交付税の増額がもっとも望ましい」と表明されたようです。すでに何十年も続いた道路特定財源の矛盾は自民党政府の中からも見直さなければならないとの声も広がっておいます。
 昨年9月に我が長野県議会では「地方が真に必要とする道路の整備促進に関する」意見書が全会派一致で採択されました。この中身こそが県民の要望に合致したものと思います。現在の矛盾に満ちた道路特定財源堅持よりも県民のくらしを応援できる改革を長野から発信できるよう、皆様のご賛同をお願いし本意見書に反対の討論と致します。