2007年9月議会 一般質問 10月3日 小林伸陽

1 野生鳥獣総合対策事業について

2 里山整備の取り組みについて

3 長野県農業の振興について

4 定時制高校の統廃合について

5 上伊那地方と諏訪地方の交通対策について

6 浅川河川整備計画について

7 政策決定への県民参加について

8 廃棄物条例について

9 希望の旅事業について

1 野生鳥獣総合対策事業について

 野生鳥獣の農林業の被害が全県的に広がりを見せています。南アルプスではかつていなかった山頂付近にサルやシカが出没し高山植物が食い荒らされ、伊那市の市長宅の庭で二日間連続してツキノワグマが捕獲される。入笠牧場などでは数十頭のニホンジカが群れている。ヒノキ・唐松などの樹皮がはきとられ枯れてしまう木が大量に発生しています。山間地は一年かけ丹精込め育てた農産物が収穫直前に壊滅的被害を受けるなど、農業の意欲すらなくなる深刻な事態です。先日は小諸市に台風災害の視察に行ってまいりました。その際に台風災害も大変だが、有害鳥獣の被害はそれ以上と、その深刻さが訴えられました。さらに人的被害も多発、昨年ツキノワグマによる人身事故は16件、死亡事故は2件発生、出没件数は4,500件にも及び、その対策は緊急に求められております。

 昨年の県下の被害の実態とシカ・サル・イノシシ・クマの固体調査の結果と捕獲実績、県の補助金の支出について最初にお尋ねします。
 有害鳥獣の駆除は猟友会しか出来ない仕事ですが、狩猟税や狩猟者登録料などの負担が高額であることや若者の狩猟離れが進み、猟友会の高齢化と会員の減少は著しいものがあります。上伊那では昭和50年には1954人いたのが平成18年には539人と約4分の1に減少、60歳以上が70パーセントを占めていますが、全県の会員の実態をどの様に把握されているのか。
 また、会員への支援の充実が強く求められています。有害鳥獣の駆除に対する支援のあり方も市町村によって大きな隔たりがあり、シカ一頭の駆除に対する補助金が五万円という自治体もあけばゼロと様々です。広域的行動範囲を持っている鳥獣に対する有効な対策にも支障が生まれているが県としての統一した制度の確立が必要と思いますが所見をお尋ねします。

 上伊那地方での昨年のシカの捕獲数は2,500頭の実績ですが、それでも増え続けている、個体数が爆発的に増えているとの意見もありますが、県の調査と実態が正確に把握できているのかお尋ねします。

加藤林務部長答弁
 最初に野生鳥獣対策についてお答えいたします。まず昨年の被害状況とシカ・サル・イノシシの固体調査の結果についてでございますが、平成18年度の野生鳥獣による農林被害額は、16億5千万円余となっており、依然として深刻な被害となっております。おもな鳥獣別にみますと、ニホンジカが5億3千万円と全体の32%を占めており、次いでカモシカが2億2千万円、ツキノワグマが2億円、ニホンザルが1億6千万円、イノシシが1億5千万円となっております。

 次に、個体数調査についてですが、県ではニホンジカ・ニホンザル・ツキノワグマに関しては、特定鳥獣保護管理計画を策定し、生息調査を実施しておるところでございますが、ニホンジカは約6万2千頭、ニホンザルは120〜180群、これで6500〜1万頭、ツキノワグマは1900〜3700頭と推定しております。なおイノシシにつきましては狩猟規制がないこと等から、特定鳥獣保護管理計画を策定しておらず、また夜間に活動することが多く、生息調査が困難であって、その調査手法が確立されていないことから、調査を実施することはできておりません。

 次に、シカ・サル・イノシシ・クマの捕獲実績と県の助成についてでありますが、捕獲実績は、平成18年度におきましては、狩猟や有害鳥獣捕獲等をあわせ、ニホンジカは前年度比145%の9252頭、ニホンザルは同じく129%の1523頭、イノシシは133%の6027頭、ツキノワグマは異常出没もあったことから前年度比471%の580頭となっております。
 捕獲への県の補助につきましては、平成18年度において、個体数調整及び有害鳥獣捕獲により捕獲した個体に対しまして、ニホンジカ・イノシシについては、一頭あたり4千円、ニホンザルについては5千円の、それぞれ1/2を助成しており、総額では1320万円を交付しております。
 なお、近年シカの被害が激しいことから、平成19年度におきましては、メスジカの捕獲促進による個体数の削減を図るため、メスジカ1頭あたり5千円、オスジカを同じく2千円と改めたところでございます。
 このほか捕獲行為に対する助成を行っているとともに、ニホンジカの捕獲の促進を図るための大鹿村での大量捕獲檻の設置についてもあらたに助成しているところでございます。

 次に、猟友会の実態と駆除に対する補助金の統一した制度の確立についてのおたずねでございます。
 まず猟友会の実態についてでございますが、社団法人長野県猟友会の現在の会員数は4855人で、ピークである昭和51年の19450人に対し、25%にまで減少しております。会員の年齢構成をみますと、60歳以上が約54%と半数を超えており、このまま推移しますと、10年後には、60歳以上の会員が80%以上になるのではと懸念しているところでございます。猟友会の皆様は現在深刻な問題となっている野生鳥獣による農林業被害軽減のための鳥獣捕獲の担い手として重要な役割を担っておりますことから、新規狩猟者の確保・育成が大きな課題と認識しております。このため、狩猟免許機会を増やすなどの対策を実施しておりますが、なおいっそうの充実した施策の展開を検討してまいる所存でございます。

 次に駆除に対する補助金の統一した制度の確立についてでございますが、駆除に対する経費の支払いにつきましては、支払い方法から金額まで市町村によってさまざまに異なっているのが実情でございます。県といたしましては、狩猟者の減少する中で、市町村を越えて移動する鳥獣の効率的な捕獲に対処するため、広域的な連携が必要であると考えております。駆除のための報奨制度につきましては、地域のこれまでの経過や実情により定められており、制度の統一には困難な面もあろうかと思いますが、広域捕獲を推進するため、関係市町村や地元猟友会との調整を図るとともに、なおいっそうの連携を進めるための施策を検討してまいりたいと考えております。
 県の調査が実態に合っているかどうかのお尋ねでございますが、県の生息数調査につきましては環境庁のマニュアルにより最新の調査方法により調査しているところでございますが、なおモニタリング調査等を実施し、精度向上に努めてまいります。

 また猟友会へのみなさんへの支援も課題でありますが、上伊那でシカは2500頭捕獲されて、県の補助対象になっているのはたった402頭、サルは140頭で県の対象100頭、イノシシは941頭捕獲されて県の補助対象は295頭と、市町村によってはお金が無いから県に申請できないと、こういう事態でこういう差額が生まれているわけであります。ぜひ県の統一した支援体制を作っていただきたい。
 もう一つは、会に対する支援でありますが、狩猟税の免税はできないのか。車にだってゴールド免許という制度があって免許の書き換え期限が延長されている。これだけ貢献している猟友会に、免許の更新時に大変なお金がかかる。こういうものを軽減することができないか、もう一度お尋ねいたします。

加藤林務部長答弁
 狩猟税の軽減につきましては国の方で定められておりますので、現状ではなかなか困難でございますけれども、国の方でもそのような軽減を求める動きも出ておりますので、そういった動きを見極めながら対応してまいりたいと思います。しかしながら、狩猟者の確保は重要な課題でございますので、先ほど答弁したような内容によりまして、これからもいっそう狩猟者の確保に努めてまいりたいと考えております。

(すべての質問後)
 それではいくつか残った部分でありますけれど、野生鳥獣被害の問題で、県の統一した補助制度この創設はなんとしても実現をして欲しいというふうに思っているわけです。例えば、市町村で5万円の補助を出している地域にシカがあつまっていくと、その小さな町村は、財政的に破綻をしてしまうと。だから、安いところにシカを追っていって捕獲をしようと思えば、猟友会のみなさんはそんなことはとてもできないと、こういう関係にあるわけです。広域的なものっていうのはそういう関係があるわけです。
 ですからこの広域の猟友会の支援を、わたしはかえって県が統一すべきではないか、県が申請市町村事業としてやっているわけですから、市町村が申請しなければ猟友会の会員は県の補助金も受けられないんです。ですから、先日も懇談をいたしました猟友会のみなさんにしてみれば、自分達が町の出し分は寄付をしてもいいから県に申請してくれと、そうすれば、2000円上乗せになって戻ってくると。しかしそれも市町村でやってもらえない。これが県の施策として通用している。
 先ほども言いましたように、県に申請している捕獲頭数は、市町村からみればほんとうにわずかです。こういうものを市町村の事業とするんではなくて、きちっと県の事業として補助をすると。それに市町村がちゃんと支援をしなさいという状況をなんとしても作るべきではないかと思いますので、再度その辺は知事の決意をお伺いいたします。

村井知事答弁
 有害鳥獣対策は、わたくしはいろんな機会に県が本気になって取り組まなきゃならない大きな課題だと申していますのは、それはなんと申しましても、ある意味では、戦後日本がずっと経過してまいりましたある種文明的な大きな変化、具体的に言えば、森や山と関わりながら暮らしが成り立っていた時代と違いまして、石油というものに乗っかる文明になってしまった、その結果山とのかかわりも無くなった、そういったことが、今の有害鳥獣がひじょうに多く出てくるということに深く関わっていく問題でありますだけに、大変難しい問題をたくさん抱えております。
 国の法律体系の中にも、変更を求めなければならないこともありましょうし、そして、これを言いますと冗談めいて聞こえる向きもありますが、獣の側にとりましては、市町村の境界、まして県の堺なんてわかりはしないわけですから、そういうものを越えた思い切った対策をとっていかなきゃならないと思っております。もちろん権限委譲という観点から、駆除の判断を市町村に委ねるというようなことは便宜がありうるとしても、全部の責任を負わせるわけにはいかない、そういう大変な課題であるということを考えておりまして、そういうことも踏まえて、総合的な対策を練る。その中で議員ご指摘のこともよく吟味をさせていただきたいと思います。

2 里山整備の取り組みについて

 今回の台風被害は里山の倒木により電線の切断が多発、長期の停電など深刻な被害を生み出しました。また昨年の集中豪雨災害でも山腹の崩落、土石流のなかに大量の流木の混入など、被害を拡大しています。その原因に里山の荒廃を指摘している識者は沢山居ります。また、有害鳥獣の被害も里山の整備の遅れと同時に荒廃農地の増加が指摘されています。防災の見地からも農林業の被害の軽減の見地からも里山整備は一刻の猶予も許されない課題です。
 里山の整備は大変複雑な要素があります。私有地であり所有面積は小さく、不在地主も多く所有者の所在も広範にわたり、間伐の理解や了解を得るにも大変な労力が必要です。これらの困難な課題を解決する上でも、今里山の整備の現場で求められているものは専門的な知識を持った人材の確保です。県も市町村も殆どが数人で対応、それも専門的知識が無い事務職員もおり、この体制の強化なくして整備は進みません。県としてどの様な体制強化の方針を持っているのかお尋ねします。
 里山は電線など障害物があり農地に隣接している場所もあり、極めて能率の上がらない場所も多く、少ない所有者で広い公有林と同単価では到底進みません。補助単価の引き上げがどうしても必要です。県の補助の引き上げを強く求めますが所見を伺います。
 また、間伐の作業員は県下で3,000人と言われますが高齢者も多く増える見通しはありません。建設業者などの参入の現状と、作業員の増員を図る上出どのように考えておられるのかお尋ねします。

加藤林務部長答弁
 次に里山整備のための人づくりに関するおたずねでございますが、里山は山村集落の生活環境の一部を形成しており、山地災害の防止や野生鳥獣被害対策においては最前線でもあり、地域住民にとって重要な森林でございます。県では地方事務所に配置している林業改良指導員が市町村や地域リーダー等と連携しながら、里山においても森林整備の推進をはかっておるところでございます。また必要に応じて、治山担当者等林務課職員が一丸となって減災の森作りなどに取り組んでおります。今後いっそう里山の整備を進めるために、集落や地域のリーダーを中心に地域住民のみなさまが主体となって行う森林所有者の確定や境界の明確化などの活動を促進するとともに、ご提案の趣旨をふまえ、研修等を通じ職員の専門性を高め、さらには地域の方々と職員が一体となった里山の森林整備を推進するための体制を強化してまいりたいと考えております。

 次に、里山整備の間伐補助単価についてのおたずねでございますが、ご指摘のように里山、特に集落周辺の森林整備につきましては、所有形態、境界等が複雑で、かつ、農地が入り込むなど困難な条件があり、効率的な整備が進めにくい状況にあります。農林補助事業の運用につきましては、補助制度の性格上、標準単価を用いることから、各現地の個別の条件をすべて考慮することは難しい面がございます。けれども、今後間伐を推進していくための条件整備を整えていくとともに、地域の実情をふまえて、適切な標準単価の設定に努めてまいりたいと考えております。

 最後に、作業員の確保についてのおたずねでございますが、昨日もお答えいたしましたように、平均就労日数が140日、通年雇用や臨時雇用等、さまざまな雇用下にあります。これらの雇用期間を延長する、あるいは林業労働財団と連携して新規雇用者の確保を図るなど、森林整備事業の拡大に伴って、安定的な事業量を確保するというような、計画的な需要の確保によりまして、これらの作業に対応してまいりたいと考えております。

 里山の整備の問題では、単価の引き上げなくしては絶対に進まない、後継者も作られないと思いますので、検討すると言われましたけれども、ぜひ引き上げを具体的に提示していただきたいと思うわけであります。

(いくつかの質問・答弁ののち)
 先日の佐久地方の台風被害で、倒木の処理に市町村は大変苦慮している、また、民有地の倒木がこのまま放置されれば再び災害の危険にさらされる、こういう中で、倒木の処理に県の支援を強く要望がありました。また、個人所有の倒木を処理し、復旧作業には、大変なお金がかかるわけで、これらに対して県として支援をどのように考えているか、知事にお尋ねいたします。

村井知事答弁
 倒木と申しましても、個人の所有に関わるものですから、それをどのように県として補助するかということになりますと、これはいろいろな要素を考慮して検討しなければならない。にわかにその補助体系を作るというわけにはいかないと、私は思います。

 風倒木は個人の所有でありますけれども、道路に倒れた風倒木は市町村が処理をしなければならない、個人でなかなか処理が進まない。この現状を見て、再度その点での支援を考えないのかお尋ねをしておきます。

村井知事答弁
 風倒木処理に対する問題、突然のお尋ねでわたしも知識がございませんが、常識的にはまず道路上に風倒木があるときは、道路管理者がとりあえず処理をいたします。しかしながら、その風倒木が例えば個人の私有地から倒れ込んで、道路の往来を妨げるということになりましたら、これはたまたま最近の軽井沢周辺における樹木が倒れて、そのために電線が切断された、これに対しまして中部電力が電力の供給のためにさまざまな作業をやったわけでございますが、この経費につきまして、個人の敷地から由来するものについては、費用の支弁を求めよという動きがあるやに承知しております。これは結構大変な手続きだと思っております。
 そういうものごとの対比、類比でいうならば、そういう個人の家屋敷にある木が倒れて道路を閉鎖するというふうになりましたら、あるいはその個人に対して請求することもありうると思います。このあたりはもう少し調べてみないと正確なお答えはできませんが、常識的にはそういうことだと思います。

3 長野県農業の振興について

 農水省の農業構造動態調査では、農産物を出荷・販売しているいわゆる販売農家は、2007年2月時点で、181万1300戸、前年に比べて6万8000戸も減少、こ こ10年で75万戸が減少、30アール以上、またはハウス野菜、畜産などの農業経営体も6万9000の経営体が減少し、農地の荒廃と、農家の減少は加速しているとの結果を発表しています。長野県の実態はどの様になっているのかお尋ねします。
 政府の推し進める小規模農家の切捨て、農産物の輸入自由化などで価格の下落が進み、農業の荒廃は拡大しています。農業を守る上でも、価格保障制度か所得保障制度の確立が必要です。今国会でも農産物の価格保障制度の創設が大きな争点になろうとしていますが知事としての所見をお尋ねします。

 品目横断的対策による交付金の対象となる農家は全国的に見ても販売農家のわずか3.1%にとどまっていますが、長野県の面積と対象農家どのくらいかお尋ねします。
 県下の水田地帯を見れば、白い花が一面に咲くソバの畑が大変多く見られます。昨年の私の一般質問に答弁で品目横断的経営安定策の品目にソバを入れるように国に求めることを約束したがその後どうなったかお尋ねします。
 さらに農地、水、環境保全向上対策事業も当時は詳細が分からない、国の方針が具体化した段階で市町村とも協議して推進してまいりたいとの答弁でしたが、現状と今後の取り組み状況について農政部長にお尋ねします。
村井知事答弁
 わたくしに対するお尋ね、最近の農業に対する支援をどのようにするかということで、ガット(GATT)あるいはWTOも踏まえたところから、農産物を確保するか、あるいは所得保障制度の創設というような議論がいろいろされております。日本では平成19年産から導入された、品目横断的経営安定対策というものが、いわゆる新たな食糧農業農産基本計画の重要施策の一つとして、対象を担い手に限定し、経営全体に着目した所得政策の転換という内容で、戦後の農政の流れというものを根本から見直すようなことになっております。
 先の参議院選挙では、構造改革をすすめる中で格差の一つとして、品目横断的経営安定策など、国の進める農政がいわゆる小規模農家の切り捨てではないかという議論があったと承知しております。これを踏まえまして、品目横断的経営安定対策制度の見直しについては、若林農林水産大臣が記者会見で加入面積要件について木目細かな検討の余地があると述べておられます。
 一方民主党は今国会に品目横断的経営対策に替わる所得保障対策として、農業者個別所得保障法案を提出するとしておられますが、その詳細についてはまだ明らかになっておりませんしわたしも承知しておりません。
 いずれにしましても、このあたりは、日本農業政策のありようを根本から変える問題でございますので、農業県の一つとしての長野県の知事としてこの問題には十分注意を払って参りたいと思っております。いずれにしましても、国会における論議に注目してまいりたいと考えております。

白石農政部長答弁
 まず、長野県の販売農家の推移についてのお尋ねでございます。農林業センサスの調査結果によりますと、平成7年の販売農家数は、103,674戸でございますが、平成17年には74719戸へと、28,955戸減少しております。

 続きまして、品目横断的経営安定対策の交付金対象となる県の面積等についてのおたずねでございます。平成19年度産の対策への加入実績につきましては、コメで6,973ヘクタール、麦で2,175ヘクタール、大豆で1,131ヘクタール、合計10,279ヘクタールとなっております。対象農家数につきましては、個人・法人の認定農業者数と集落営農組織を合わせまして、コメで607経営体、麦で258経営体、大豆192経営体となっておりまして、ひとつの経営で複数の作物について加入している場合があるため、実数では637の経営体の加入になっております。

 次に、品目横断的経営安定対策の対象品目へのソバの追加についてのおたずねでございます。県といたしましては、対象品目の拡大を含め、対策の充実強化について、国に対し制度設計時、農政省の品目横断推進に関わる巡回等捉えまして、随時要望してきたところでございます。しかし国ではソバは国民のカロリー供給に占める割合が低いこと、また国産ソバの評価が高く、輸入品と比べて高値で取引されている実態がある等で、外国との生産条件との不利補正対策を講ずる必要はないということでございまして、現状では対象品目への変更は行わないとしております。県といたしましては、農業者の経営安定を図るため、品目横断的経営安定対策や地域の実情をふまえ、より取り組みやすい制度となりますよう、今後も国に要望してまいりたいと考えております。

 次に、農地・水・環境保全向上対策について、12月議会後の取り組みについてのおたずねでございます。この対策は、農道や用排水路の良好な保全や景観形成を図るため、農業者だけでなく地域住民などの多様な参加を得て組織を作り、市町村との協定によって、共同活動と先進的な営農活動への取り組みに対しまして、平成19年度から5年間交付金を交付し支援をするものでございます。
 県では今年度からの実施に向けまして、市町村等と連携し、地域への啓発普及を図り、取り組みを推進してまいりました。本年4月26日には、県市町村農業団体等を構成員とする長野県農地・水・環境保全向上対策協議会を設立いたしまして、活動組織への助言等を行うとともに、事業の採択、交付金の交付を進めているところでございます。
 現在の実施状況につきましては、約270の活動組織において、協定面積11,600ヘクタールあまりで取り組まれております。今後も地域における活動が活発になり、農地・水・環境の良好な保全に繋がるよう、引き続き市町村を通じ、活動の円滑な推進等を支援してまいります。また国におきましては、平成20年度からの新規採択についても検討しているとのことでありますから、活動組織の取り組みに対し、市町村等の意向をお聞きしてまいりたいというふうに考えております

 農業の振興についてでありますが、県の総合計画策定の中で昨日も新たに農業参入者を何名増やすとか、いろんな検討がされているというふうに報告がありましたけれども、販売農家がこの10年間で2万戸も減っていると。減る事を考えずに増やす数だけを明記しても、わたしは長野県農業は決して振興しないと思うわけであります。いかに減らさないかということこそ、大変大事な施策だとわたしは思うわけであります。その辺の考えを農政部長に再度お聞きしたいと思います。
 それともう一つは、農地・水・環境保全対策事業ですが、これは全県的に対象になる面積すべてをこの事業でやれば38億円の補助金が国から入るわけですが、当然全面的できるわけではありませんけれども、5年間の事業でありますから、こういう制度をもっと積極的に導入を図るべきではないかと思います。その点についても農政部長にお尋ねします。

白石農政部長答弁
 農業振興の中で、今いる農業者を減らさない、そういうことが大事ではないかということでございます。まったくその通りでございますけれども、現状、65歳以上の専業の農家が64%という状況でございます。この中で自然に減少していくのはこれはもうトレンドでいたしかたないとわたしも考えております。その中で1年でも長くがんばっていただくような方策は必要だと思っておりますし、若いみなさんを農業の従事者としてとにかく入っていただく、これはまた何より重要なことだと考えております。両面作戦でいかなくてはいけないと思っております。

 それから農地水環境の関係でございます。これにつきましては、国のお金が二分の一、県が四分の一、市町村四分の一でございます。市町村につきましても私どもも、この仕事の重要性につきまして啓蒙を進めているわけでございますけれども、財源の問題もございます。市町村と十分に相談をさせていただきたいと考えております。

4 定時制高校の統廃合について

  6月に発表した。「高等学校改革プランの今後の進め方について」のなかで述べていることをここで紹介します。最終報告以降の経過と現状の中では『地域の理解が十分には得られなかった。県教育委員会としては、このことを重く受け止め、今後に生かしていかなければならない』とし、今後の高校再編を進めるにあたってでは「本県の地理的特性を考慮すれば、地域における高校教育の機会を保障するという点についても検討する必要がある」更に、『高校再編と言う大きな事業を進めるには、県民の理解、とりわけ地域の理解が不可欠である』と述べていますが、上伊那農業高校定時制の廃校に伊那市議会は圧倒的多数で「多部制・単位制高校に統廃合する計画の再検討を求める意見書」「存続を求める意見書」が採択され、同窓会もPTAも統廃合には強く反対している。入学希望者も増え続け定員を上回り現在80名が学んでおり、来年4月から募集を停止することは、県教育委員会の方針から見ても到底理解が出来ません。
 県民の理解、とりわけ地域の理解が不可欠としているが、現状で何を持って地域の理解が得られていると判断されたのか具体的にお答えいただきたい。

山口教育長答弁
 定時制統合に関するご質問にお答えいたします。平成17年3月の高等学校改革プラン検討委員会の最終報告では、4通学区にそれぞれ定時制課程の中心校として整備する多部制・単位制高校は、定時制の適正配置の課題にも応えるものであるとの提言をいただいております。
 また近年、定時制入学者の実態は、不登校経験のある生徒が50パーセントを超えており、必ずしも夜間ではなく昼間に学びの場があればそちらで学びたいという生徒も多いと考えられることから、午前・午後・夜間校を持つ多部制・単位制高校を設置し、周辺の定時制の適正配置を進めております。
 本年4月には、松本筑摩高校が本県初の多部制・単位制高校に転換し、松本工業高校定時制と統合し、スタートいたしました。来年4月には箕輪工業高校が2校目の多部制・単位制高校に転換し、上伊那農業高校定時制と統合することとしておりますが、この計画は対策推進委員会の報告およびそれを踏まえて策定された実施計画以来一貫してすすめて参ったところでございます。

 この間、上伊那農業高校定時制の存続を求める地元関係者と懇談を重ね、箕輪新校――仮に箕輪工業高校の新しい高校をこんなふうに呼ばせていただきますが――がこれまで夜間定時制の果たしてきた役割を十分継承し、さまざまな生徒のニーズに応えられるよう協議してまいりました。具体的に申し上げれば、入学者選抜において、不登校経験者に配慮すること、厨房付き食堂や保健相談室を備えた新校舎を建設すること、少人数集団のホームルームを設置して居場所を確保すること、電車通学者の帰宅時間に配慮した日課とすることなど、地元からのさまざまなご要望を実現できるようにしてきたところでございます。
 地元のみなさまからはこうした対応にご理解をいただき、箕輪新校においては上伊那農業高校定時制の受け皿としての環境が整いつつあり、これまで以上に定時制教育が期待できるとの評価もいただきました。地元のみなさま、とくに上伊那農業高校定時制関係者の皆様が同校定時制の存続を願う気持ちは十分承知しており、在校生の教育につきましても、卒業まで責任をもって保障してまいります。
 教育委員会といたしましては、地域の要望に最大限の配慮をし一定の理解も頂いていますところから、予定通り来年4月に両校の統合を実施する所存でございます。

 定時制高校の問題でありますが、さきほども言ったように、高校再編については地域・地元のみなさんの理解が不可欠だと、これは教育委員会が言っているんです。今の現状を地域が理解したと判断をしているのか、教育委員長にお尋ねをいたします。

綿貫教育委員会委員長答弁
 教育委員長として地域の理解が得られているというふうに思うかというご質問だと想います。
 極力地域の状況についてはわたしもお話を聞いて理解をしていこうとしておりますが、これまでのわたしの理解では一生懸命に検討された上で、それぞれのみなさんの持っている思いというものを十分にお話いただいた上で、理解ができているという上で、わたくしは解釈をしております。
 過去のこれまでのことに対するいろいろな思いも、みなさんお持ちと思いますし、また、未来に対しての呼びかけというものも考えていかなければ地域は育っていかないというふうに思っておりますが、当面の問題として未来を見据えながらどのように構築していくかという発想のもとに、みなさんもご理解をしておられるというふうに理解をしております。

 伊那の市議会も反対の意見書を上げている、PTAも保護者も生徒も反対だと。これを「理解している」というふうに判断されているのか、教育委員長、もう一回その点をお答えください。

綿貫教育委員会委員長答弁
 これまでの経過にくわしい教育長からお答えさせていただきますので。わたしはそういった議論を聞いております。方向としてわたしは理解しております。

 地域も理解していると。

綿貫教育委員会委員長答弁
 はい。そういう把握をしております。

 これで理解されていると判断する教育がされたら、長野県教育はほんとうに深刻になるんではないかと思います。

(すべての質問後)
 それから、もう一回だけ、定時制の高校の問題でありますが、子どもに地域の理解を得ることが不可欠だと、子ども達に教えるときに、その地域の議会も反対だ、その高校の生徒もPTAも反対だ、同窓会も反対だ、こういう中で地域の理解が得られたというふうな教え方をするのかどうか、教育長にお尋ねします。

山口教育長答弁
 さきほどと重なることもございますけれども、わたくしの認識も含めてお話し申し上げます。学校関係者の皆さん、地元の関係者を含めて、当初箕輪工業高校の多部制・単位制の設置、そこへの統合につきまして、関係の方からさまざまな要請をいただいております。これは教育委員長の方に要請をいただいたのでございますが、たとえば、不登校経験者の居場所となるための環境整備に配慮するとか、あるいは担任が細かい配慮をできるように学級の少人数の編成を配慮して欲しいとか、あるいは夜間部専用の施設整備の確保ですとか、あるいは心のケアのための生徒相談室の整備といったものをいただきました。
 その要望に応えるべく、本年度予算、19年度当初予算におきましても新しい教室を作るべく8500万余の予算を認めていただきまして、来年度の完成に向けて今準備をしているところでございます。従って、これまでの経過を踏まえてトータルとして申し上げているわけでございまして、確かに、議会への意見書を教育委員会もいただいておることは承知しております。しかし、ご理解いただけないものであればまた直接お話することに吝かではございません。しかしながら、今までの経過を含めてそれぞれ出てきた要望をわたしどもなりにクリアをしてきたということで申し上げていることでございます。
 それから生徒のみなさんを今の上伊那農業高校の定時制で教育を受けているみなさんの教育を今奪ってそこへ移れということを申し上げているわけではありません。そんなふうな点から、規定方針通りの形でやらせていただくということでございます。

 上伊那農業定時制校舎、ほんとうにおそまつな校舎です。あんな高校にほんとうに行く人があるかというような大変な校舎です。それに子ども達が行っているんです。どんなに魅力ある高校かということをしっかりわきまえて、対応していただくことを強く求めます。

5 上伊那地方と諏訪地方の交通対策について

 上伊那地方は岡谷・下諏訪地方のベッドタウンとして開発が進み通勤地のラッシュは深刻です。岡谷・下諏訪地方を結ぶ道路は県道が一本しかなく。また、塩尻・松本方面の道路も国道が一本あるだけで通勤時間帯は渋滞が日常化し、たとえば箕輪から岡谷の通勤者は渋滞を避けるために午前6時前に、冬季間は凍結した暗闇のなかを出勤する人も沢山おります。
 現在県道辰野岡谷間の改良を進めているが現状の二車線の改良が精一杯、四車線化やバイパスなどの抜本的対策は到底出来そうもありません。
 そこで中央道の利用促進で通勤帯の渋滞を解消できないかお尋ねします。
 高速道料金の割引が社会実験として全国各地で実施されております。県下でも中津川から豊科間で平日夕方、塩尻北から豊科間で平日昼間、など多様な形態で実施されています。この制度の導入に当たっては、道路会社・国交省・県土木部で構成する高速道路料金社会実験協議会で協議され実施されていると聞いていますが、この協議会に県として具体的な箇所や、割引率など提案できないものか、出来るとしたら、伊北から岡谷・塩尻間の通勤帯導入と、伊北・岡谷区間の料金を100円程度にした社会実験を行うことは県道の渋滞解消に大きな役割を果すと思います。実現のために県として最大限の努力を求めますがいかがでしょうか。

 また、当面の解決策として、通称春日街道を中央道伊北インターと町道の東西線まで延長すれば、渋滞の大きな原因でもある右折車両を大幅に減らすことが出来ます。距離としても200〜300メートルくらいのものであり実現を求めますがいかがでしょうか。

原土木部長答弁
 中央自動車道の高速料金の割引についてお答えいたします。すでに平成17年1月から行われております平日の料金割引、これは朝の6時から9時まで、そして夕方の17時から20時の間で走行距離100km以下のETC利用者に限り、5割引の通勤割引が実施されております。また加えまして、本年の8月20日からは中津川ICから豊科IC間に限り、15時から17時まで3割引の平日夕方割引の社会実験も開始されたところであります。
 ご質問の伊那・岡谷区間も利用は割引の対象となっております。この社会実験は昨年の12月8日に閣議決定した道路特定財源の見直しに関する具体策を設けて実施するものであり、一般道路から高速道路へ交通を転換させることにより、地域の課題である渋滞緩和や沿道環境改善を目的とし、全国の高速道路の中から区間を選定して実施しております。
 今回の社会実験は全国一律の条件の中で料金引き下げに伴う効果と影響等の把握を目的としておりますが、県としてはこの調査結果が取りまとめられた段階で、必要な意見を申し上げて参ります。

 次に北■地区の道路整備でございます。議員ご指摘の通り、伊北IC周辺の国道153号では交通混雑が顕在化しており、並行する道路の整備が有効な対策と認識しております。153号と並行する主要地方道伊那箕輪線は、伊那西部広域農道から南の区間を平成17年度に供用しております。その策定につきましては、地方道を東西線へ接続する案で、平成10年度に地元にお示ししたもののご了解を得るまでには至らなかった経緯がございます。このため、伊那建設事務所では平成16年度から辰野町道路懇談会を開催し、住民参加により伊北IC付近を含めた辰野町内の道路の課題や、対応策について意見交換をいただいているところであります。策定の整備につきましてはこのような取り組みを通じて地域の合意が得られた段階で、再開を検討していきたいと考えております。

 伊那伊北IC付近の渋滞解消のために、春日街道東西線の早期の実現のために、地元の皆さんと真剣な議論をしていただいて、実現を強く求めていきます。
(議場からの声)…という人もおりますが、人の町ではなくて、まさに箕輪の問題であります。障害にならないようにひとつ気をつけていただきたい。

6 浅川河川整備計画について

 浅川ダム計画は、公共事業評価監視委員会において「中止」と決定したと受け止めていましたが、今回の国に認可された浅川河川整備計画を決定する課程では、公共事業評価監視委員会に諮ることなくダム計画を復活しています。委員会の結論に反する方針に変更になったのになぜ、諮らなかったのでしょうか。今後、諮る予定はないか伺います。

村井知事答弁
 いくつかお尋ねのありましたこと、順次お答えさせていただきます。

 まず第一に浅川ダムの公共事業評価監視委員会での審議ということについてのお尋ねでございます。従来の浅川ダムは平成15年度の公共事業評価監視委員会に諮って、これは中止という方針で諮って、その手続きを経て、県として中止を決めたものでありまして、この事業はすでになくなっているということであります。
 そのダム無しのさまざまな代替案が検討されたと承知しておりますが、結果的に実現可能な計画が得られず、それで今回穴開きダムの計画を、新たに策定したということであります。再評価と、それからダム及び河川事業の関係につきましては、国が定めております要領で運用させていただきます。河川法に基づき、「学識経験者等から構成される委員会等での審議を経て、河川整備計画の策定変更を行った場合には、再評価の手続きが行われたものとして位置付けるものとする」(引用おわり)とされています。
 浅川河川整備計画につきましても、河川法に基づき、公聴会や学識経験者らの意見をお聞きし、今日の河川整備計画を策定し、さらに関係首長ーー長野市と小布施町長でございますがーー、この同意も得ておるわけでございまして、そういう意味では、この要領に従って再評価の手続きが行われたものと認識をしています。
 そもそも今回の計画はダム無しからダムありまですべて選択肢にし、検討を行いまして策定した、新たな計画でございまして、一定期間は経過した事業を評価する公共事業再評価監視委員会に諮る案件ではないと考えております。

7 政策決定への県民参加について

 さる9月3日に、日本共産党県議団は9月県議会に関する申入れを知事に行いました。その際、村井知事は県政の政策決定に県民が参加することについて、それは県議会の仕事であり、決定権は県民にはないと明言されました。村井知事は、この間の浅川ダムの決定でも、県議会はもとより県民のなかにもダムに賛否両論あるなかで、住民に十分な説明の無いままにダム建設を決めてしまいました。
 また、個人情報の保護に問題がある住民基本台帳ネットワークへの接続も県民に意見を聞くことなく決めてしまい、各種審議委員の選任においても公募方式は少なくなりました。前県政が行っていた「ようこそ知事室」や、車座集会は継続していますが、県政への県民参加についてどのように考えているのか伺います。確かに議会は住民の間接民主主義を反映した機関ではあり、最終的に決定する機関でありますが、決定するまでにどれだけ県民の意見を取り入れるかは民主主義の原則です。最初から県民には決定権はないというような考え方で今後も臨むのかお尋ねします。

村井知事答弁
 
政策決定への住民参加についてのご質問でございます。
 わたくしは常々、政策決定過程における住民参加というのは大変大切なことだと考えています。なぜなら、いわゆる、執行機関あるいは、その補助機関としての役所が持っている認識、あるいは理論、これが絶対に正しいなどということはまさにそのような立場にあるもののおごりにほかならないと認識しているからでございます。政策を決定するまでの段階において、住民に参加をいただくことで、よりよい結論を見出せる、導き出されたという事例は枚挙にいとまがないとわたしも認識しております。
 しかし、このような住民参加の手法を取り入れずとも、間接民主主義の制度のもとにおきましては、政策の決定は住民によって選ばれたそれ相応の重い責任のある地方自治体の長、ならびに議会が担うべきものだと思っております。そして、その決定が正しかったかどうかということは、選挙を通じて住民が最終的に判断をくだすべきものだと思っております。このことをもう一度敷衍して申し上げれば、県議会は選挙によって一定の事柄について授権されている。そのことは県知事も同様であります。さまざまの事柄について、いちいち選挙民の意見を正す手続き、たとえば一例ですが住民による直接投票の方法を取るということは、わたくしはある意味では議員としてあるいは知事として、職責を果たさないものだとさえ思っております。

8 廃棄物条例について

 現在、廃棄物の適正処理の確保等に関する条例骨子案では、現在の要綱で規定している産廃施設の設置への地元同意書の添付をやめるという方向ですが、県民のなかからはこのことによって反対があっても設置が推進されてしまうのではないかという不安を聞きます。
 この間、報道されている民間業者の計画に対し、信濃町では町長も議会も反対をしており、飯綱町では地元住民が反対しております。
 先の申入れの際に、村井知事は「地元同意とは100%の賛成という意味では、これからの設置がストップしてしまう」と述べられました。同意を取らないということはどんなに地元が反対しても強行することにならないか大変心配です。
 わが党県議団でも、すでに地元同意書はとらず、事前協議制を導入している岩手県に調査に行ってきました。
 確かに地元への説明会を実施して意見を聞くことや、その場ででた意見への対応が不十分な場合は指導をするようになっています。また、地元意見や技術的に問題があり「不調」という結果で、実際取り下げた例もありました。
 産廃施設の設置に対し、首長をはじめ議会や地元の区が反対しているような事例に対しては、県民の意思をどのように条例案に反映する制度とするのか見解をお尋ねします。

村井知事答弁
 廃棄物条例につきまして、廃棄物処理施設設置について、地元の意見を反映させる制度につきましてのご質問です。
 最終処分場などの廃棄物処理施設の設置は、法で定める許可要件を満たしていれば、県はこれを許可しなければならない、これが基本的な法理であります。しかしながら、そうした施設の設置計画に対して、地元から反対の声が上がるということはきわめて頻繁にあることであります。県としてはこれまでにその事業者に対して、あらかじめ地元の同意書を取るなど、地域における合意形成に努めるよう指導してきたところであります。しかしながら、この地元の同意書ということにつきましては、同意書の取得をめぐるトラブルがまた頻発していることも事実であります。さらに法律の運用ということに立ち返りますと、同意書が無い事のみを以って不受理、あるいは不足とすることも、法的には困難であります。
 ので、今回の条例案骨子では、地元同意に替えて、事業計画協議制度というものを導入いたしまして、よく地元と相談してください、ということにしたわけであります。この事業計画協議制度においては、事業者に事業計画の説明会を義務付け、それから知事が地域の住民などの意見を踏まえて、必要な場合には公聴会も開催し、事業者に対して意見を言う、こういったことを通じまして、合意形成過程を透明化し、木目細かな合意形成の促進を目指すということにしているわけであります。県民各層からのご意見をお聞きする中で、この事業計画協議制度が地域住民や市町村長も、地域の実情に即した意見を事業計画に反映し、より確かな合意形成を図るための制度となるよう、今後さらに検討を深めてもらいたいと存じます。

9 希望の旅事業について

 最後に、希望の旅事業についてお尋ねいたします。この間続けていた、障害者希望の旅事業が見直しの対象となり、関係者から継続が強く望まれております。障害者からはただでさえ生きることが大変だ、障害者にも希望の持てる社会を求めているところでございます。ほんとうにささやかな旅、希望の旅、これが廃止されようという方針が出されているわけであります。先日もわたしのところに来て、この障害者のささやかな希望まで奪ってしまうのか。村井知事さんにぜひ聞いて欲しい、こういう希望が寄せられました。
 そこで知事にお尋ねいたしますが、この障害者のほんとうにささやかな希望であります希望の旅事業、わずかな補助であります。継続を強く求めますが、知事はどのように考えておられるのが、お尋ねをいたします。

村井知事答弁
 希望の旅事業につきましてお尋ねがございました。
 希望の旅事業は、外出する機会が少ない重度障害者や、その介護をなさっている方に対して、生きがいをもって豊かな生活を送れるよう、旅行を通じて社会参加をすることを支援する事業として、昭和53年度から実施してまいったものであります。昨年度から施行された障害者自立支援法によりまして、希望の旅事業のような社会参加などの身近な事業は市町村の役割という整備がされまして、県に求められる役割が変わってきているところから、廃止を含めて事業の見直しを図ることにいたしたわけであります。
 この事業の見直しにつきまして、6月の議会で福島議員からのご質問を受けまして、市町村及び、市町村社会福祉協議会に改めて意見の照会をさせていただきましたところ、廃止あるいは継続、それぞれの意見が寄せられたところであります。この事業のあり方につきましては、県の役割や、あるいは市町村等の意見を考慮しながら、平成20年度の予算編成に向けて、さらに検討して参りたいとこのように考える次第でございます。