2007年6月議会一般質問 7月2日 石坂ちほ

1 長野県短期大学の4年制移行について

2 浅川の河川整備計画について

1 長野県短期大学の4年制移行について

 最初に、長野県短期大学の4年制移行についてお伺いします。
 この問題につきましては、今年の2月県議会で自民党県議団の小林実議員が代表質問で、また、今回の一般質問でも西沢正隆議員が、それぞれ4年制大学への移行を求めて質問されています。

 昭和4年に長野県女子専門学校として全国で6番目に創立された当時は、すでに創立されていた福岡、大阪などに比べても山間地の地方都市長野になぜ県立女子専門学校か、との県議会での活発な議論もあったそうですが、教育県長野の県民の熱い思いと当時の知事の英断でもあったとお聞きしています。長野より早く設立された各県の県立女子専門学校は、戦後相ついで4年制大学に移行し、最高時63校あった全国の公立短大は、平成18年度は40校に減少し、40校のうち23校がすでに4年制大学への移行を決定、残る17校のうち8校は4年制大学の短期大学部であるため、短大だけの公立短大というのは全国で9校となり、長野県短大は全国で最も古い、数少ない公立短大となっています。このような全国的な現状に照らして、長野県短大の果たしている役割と現状について、知事の認識をお伺いします。

 また、県立短大の4年生移行については、過去に県議会も全会一致で請願を採択しており、昨年9月、村井県政誕生後に長野市から出されたこの「新県政への提言」の中でも県立短大の4年制移行が提言されており、県民合意の条件もあると思われますが、4年制移行にあたってのりこえなければならない財政面、制度面などの課題、障害は具体的に何でしょうか。教育長にお伺いします。

村井知事答弁
 県立短期大学の役割及び現状についてのお尋ねでございます。今石坂議員からもご発言にございましたように、公立短期大学の全国的な状況を見ますと、平成14年度50校ございましたのが、平成18年度より40校となっております。学生数は平成14年度に19000人弱。これが18年度には12000人弱ということになっております。平成18年3月における高校生の短大への進学率は全国で7.1%、本県では11.5%です。短大志向は実は全国1位ということです。
 全国公立短期大学協会の資料によりますと、県の短期大学を含む25校のうち、7校で入学者定員割れを起こしておりますが、一方県短期大学定員充足率は112%と、募集定員を大きく上回る水準で推移しています。就職率におきましても、全国公立短期大学協会によれば、加盟校の平均が92.5%であるのに対しまして、県短期大学は98.7%と大きく上回っております。また、県短期大学入学者の8割以上は県内出身者でございまして、また就職者のうち、9割以上が県内へ就職をしておられます。
 こうしたことから、長野県短期大学はその魅力を発揮し、県内高校生にも企業等にも人気があり、ニーズに十分応えるという状況であり、地域に根ざす高等教育機関としての役割を果たしていると認識をいたしております。

山口教育長答弁
 県短期大学の4年生移行に当たっての財政面、制度面での課題についてお答えいたします。
 少子化に伴う大学全入時代を迎えまして、厳しい大学間競争が予想されていることから、短期大学の4年制移行は難しい問題であり、慎重な検討が必要と考えておりますが、想定されるもといたしましては、県立4年生大学として望ましい設置場所、規模に応じた用地、施設の確保、初期投資およびランニングコスト、地域への波及効果、さらに制度面でございますが、魅力ある学部・学科の構成、カリキュラムに対応して増加する教職員の確保、現短期大学との併設の県内既存大学への影響等々が課題になろうかと思っております。

 知事のご認識、及び課題について教育長からもお伺いしましたが、かつては栄養士養成などで県内で指導的な役割を果たしていた長野県短大も、4年制大学による管理栄養士養成が主流になっている時代の現状に合わなくなってきています。学長をはじめとする短大自身の努力とあいまって、 ひじょうに魅力的な教育内容・研究内容ということで、さきほど知事のご認識の中でもお話がありました、全国には短大の充足率が5割6割となっているが長野県短大は定員割れしない、これは短大であるからという側面だけでなく、魅力的な教育内容でいろんな限界はあるけどがんばっているからと、こういう部分もぜひ見ていただければなあと思うんですけれど。そういう意味では、学生の取得できる免許・資格の幅も学内努力で広がってはきたわけですけれども、県立の短大でありながら、先ほど管理栄養士のことも申し上げましたけれども、短大としての限界から社会貢献の専門的力量が発揮できなくなって、もう一度4年制へいかなければならないという事態も生じてきております。
 西沢議員も指摘されていたように、現在長野県内の4年制大学は国立1、公立1、私立5、短大は国立1、公立1、私立9で、県内の高校卒業生の進学による他県への流出率は84%で全国6位、他県からの流入率は54.6%で全国29位、長野県内への残留率は16%で結局大学が無いから他県へ行かざるをえないという、全国42位にとどまっています。4年制大学が少なすぎるための長野県の人材流出は、残念でなりません。
 長野県短大は、現状では高校1校分くらいの予算でほぼ運営されているとお聞きしていますが、現キャンバスで、栄養士養成部門の教室の部分改築等で、多額の予算をかけずに4年制への移行は可能、とのお話もありますので、実際はどうかわかりませんけれども、村井知事には、是非、現場に直接出向いていただくか、あるいは短大関係者の意見を直接聞く機会を持っていただき、独立行政法人化の全国的流れもあるわけですが、そのことも含めた長野県短大の今後のあるべきふさわしい展望について、現場の関係者と共に検討していただきたいと思いますが、知事、教育長いかがでしょうか。

村井知事答弁
 県立短大につきまして、独立行政法人化というような問題を含めて今後の展望について努めよとこういうことでございますが、現場で直接関係者のご意見を伺うということでございますが、今年の4月にようこそ知事室で、同窓会組織であります六鈴会の皆様がおいでいただきまして、ご意見をうかがわせていただきました。また、佐久市で開催しました車座集会、あるいは5月飯山市で開かれました車座集会におきましても、同様にご意見を頂戴いたしました。いずれにしましても、今後十分な議論と検討を行う必要があるとこのように認識しております。短大の関係者を含めて、さまざまな立場で表明されますご意見を、十分大切にして参りたいと考えております。
 ただ、独立行政法人化につきましては、県短期大学を含めて、行政機構審議会に民間協働専門部会と申しますものを、今年度後半に設置いたしまして、独立行政法人化の問題と併せまして、アウトソーシング、あるいは市場化テストですとかいうような、行政にマーケットの力を入れていくというような発想を併せまして、いろいろ検討をいただくことにしています。そこでしっかりと議論していただくことが大事ではないか。こういったことを含めまして、広く議論をして参りたいと思います。

山口教育長答弁
 短大の関係者の皆さんとの今後の話し合いを続けていくことでございますけれども、従来も六鈴会同窓会の皆様方と、お話合いをもちました。陳情をいただいたこともございます。また昨年前年度の学校評価をまとめた冊子をお持ちになって、上條学長とまた短大の現中心的な先生方と一緒にこの件について意見交換をさせていただいたこともございます。たいへんいろいろな観点から強い要望をいただいておりますけれども、今後ともさまざまな角度からやはり慎重に、私どもの言葉で使いますと、慎重に検討しなければいけないという部分も多々ありますので、意見交換、あるいは情報交換を含めまして、しっかりやっていかなきゃならない。こういう立場はこれからも続けていかなければならないと思っております。

2 浅川の河川整備計画について

 次に浅川の河川整備計画についてお伺いします。
 河川法が第16条の2で「河川管理者は…公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。」と定めているのは、単に住民の意見を聞けばよいと言うことではなく、その意見を反映させる努力を求めているものだと考えます。公聴会の94人の公述人が、ダムの賛否を超えて圧倒的に望んだのは内水対策としての遊水地の設置や千曲川の根本的な改修でした。「遊水地の設置をはじめとする各種の対策を視野に入れながら…」などというあいまいな表現でなく、住民が一番望んでいる遊水地設置などの内水対策こそ優先して実施するべきではないでしょうか。遊水地は20年間の計画の中で実施するんでしょうか、土木部長にお伺いします。

原土木部長答弁
 
内水対策用の遊水地についてお答えいたします。公聴会等を通じまして、内水対策用の遊水地について多くの方からご要望をいただき、この設置の必要性についても認識をしております。しかしながら、河川管理者といたしましては、被災地の社会的な影響,現在の河川の状況等を総合的に勘案し、早期の効果発現
 を念頭に、より効果的な対策から順次進めていく必要がございます。浅川におきましては、河川改修や治水専用ダムにより外水対策を優先的に進めるべきであり、また内水対策においてはまず浸水被害対処にもっとも効果的である浅川排水機場の増強を実施すべきものと判断をしております。内水対策用の遊水地に関しましては、河川整備計画の案に記載の通り、技術的な検討、地域の皆様との話し合いを通じまして、実現に向けた具体的案の策定に今後入ってまいります。

一番望んでいることから、優先的にお願いします。
 浅川ダムの安全性について、知事は、繰り返し、国土交通省の技術研究機関のアドバイスを受けているから大丈夫と言われますが、その国土交通省の直轄で、予想される地すべり対策は万全を期したと言う奈良県大滝ダムで、ダム完成後も際限なく地滑り対策を行なわなければならない事態になって、白屋地区の全戸集団移転の悲劇も生まれています。住民が、ダムを造ると危険なことになるから移転させてほしいとダム建設前に要望したのに、絶対安全だと国土交通省は聞き入れなかった結果です。浅川ダムについては、学識経験者も、今回は、以前に安全だといった人たちを集めて意見を聞いたのですから、全員一致なんてあたり前です。安全というのは、最初からわかっていましたが、「予想しなかったところ、過去にすべっていないところで地滑りが起こる」と言う初生地すべりが、浅川で起こる可能性は無いのでしょうか。土木部長にお伺いします。

原土木部長答弁
 初生地すべりの可能性についてのお尋ねでございます。ご質問にございました初生地すべり、これは過去に地すべりの履歴がない場所で発生する地すべり、これを総称して言っております。地球の長い歴史の中で形成されて参りました地形・地質、こういうものでございますので、その内部の状況や影響の有無等をすべて把握することは、いくら力を注いだとしてもなしうるものではございません。また、工学の領域におきましては、それはあまり意味を持たないものでもございます。科学的な根拠をもちまして、必要な情報を的確に把握し、現在の技術で最善の対策を講じる事こそ大事なことであると考えております。このようなことから、これまで蓄積して参りました調査結果を元に、最善の対策を講じて参ります

 浅川で起こることはないのか。そして新しくおこっている大滝ダムの資料をとりよせて検討したのか、もう一度お答えください。

原土木部長答弁
 お答えいたします。初生地すべりがおこるか否かということでございますが、これは本来私どもの調査の中では、これを把握することはひじょうに難しいものでございます。地すべりと申しますのは、以前にもお答えしましたとおり、事象が起きてからそれに対する対策を講じるものでありまして、それを現在の状態のままでそれを把握して、それに対策を講じる、これはひじょうに困難であるし、また予算的な面でも非合理的なものでございます。
 そのような面で私どもは、これまで調査してきた中では、ダム本体のところは裾花凝灰岩であって、これは地すべりのおきるようなものではございませんし、その上の地すべりブロックに対しては必要な対策を講じていくということでご説明しているとおりでございます。
 大滝ダムの現象につきましては、私どもも把握をしております。

後になってから、何か起こって初生地すべりって言われても、ほんとうに住民は困るんですよ。ほんとうに安全は保障できるのか、今なお疑問が解決できません。

 知事にお伺いします。
 公聴会での公述は、あくまで県が発表し、説明した原案について行なわれています。ところがその後、長野市議会の答弁や、この議会でも、今まで説明されなかった予備の洪水吐を造る計画もちらついています。公聴会前に説明した計画に変更があれば、その計画で公聴会を再度行なわなければ無責任だと思います。それから国への申請をするべきではないでしょうか。

村井知事答弁
 河川整備計画策定に当たっての公聴会についてのご質問でございますけれども、河川整備計画は計画対象期間、20年30年間における河川整備の目標と、これを実現するための対策、これを明らかにすることを目的にして策定するものでございます。従いまして、公聴会や学識経験者の意見を聞いた結果、これらの内容に大きな修正を加えるべきであるという判断があれば、再度意見を聞くこともありうるものと認識しております。今回の浅川に関しては、地域の皆様や学識経験者のご意見をお聞きした上で原案の骨子であります、河川整備の目標や対策については修正を加えないという判断を下しておりまして、再度公聴会等によって意見をお聞きする必要は無いものと判断をいたしました。またこの河川整備計画の案に関しましては、長野市長、小布施町長からも、同意する旨の意見を頂戴しております。しかるべき時期に認可申請をするつもりでございます。

 先日、県の弁護士会主催の「浅川の整備計画を検証するシンポジウム」が開かれました。石曽根会長は、「このシンポジウムはダムの賛成、反対を議論するのではなく、手続きが適正かどうかを検証するもの」とあいさつされましたが、県にも出席を求めたが出席してもらえなかったと報告されていました。県としての説明責任はどうなるのでしょう。なぜ、出席されなかったのか、土木部長お答えください。

原土木部長答弁
 弁護士会主催のシンポジウムになぜ出席しなかったのかというご質問でございます。長野県弁護士会からは今回の浅川の河川整備計画の作成に併せまして、5月2日に河川法の手続き上瑕疵があるのではないかという意見書を頂いております。県といたしましては、この河川法の定めるところにより法手続きを進めておりまして、問題ないものと考えております。このことについては原案策定以降の説明会等、また今県会におきましても、いろいろとご説明させていただいているところでございます。このように河川法の瑕疵の観点からは、私どもはすでに議論の余地がないものというふうに判断しておりまして、そういう面で出席については見合わせ、差し控えさせていただいたということでございます。

 都合のいい学者、都合のいい人の意見だけ聞いて、都合の悪いところには説明にも行かない。これで納得せよというほうが無理ではないでしょうか。
 県が本当に自信を持って、住民の安全のためにこのダム計画をやるというならば、ぜひ責任もって説明をし、責任ある立場で推進して欲しいことをお願いいたしまして、わたしの質問を終わらせていただきます。