2007年6月議会一般質問 6月27日 びぜん光正

1 高校再編について

2 アスベスト対策について

3 地球温暖化対策について

1 高校再編について

  高等学校の統廃合問題について伺います。凍結した「実施計画」を県教委が一旦取り下げたことは評価したいと思います。
 しかし発表されました「今後の進め方」については、「再編統合が実現した地域の状況を見ても、県民の理解、とりわけ地域の理解が不可欠である」と記しているにもかかわらず、具体的には小・中・高校長会、PTA等、県議会、自治体関係者からの意見を聞くにとどまり、県民とともに作り上げて行く姿勢が読み取れません。そこで県民の声をどうくみ取っていくのか教育長に伺います。
 また、実施方法で県教委が「本年度一斉実施という進め方に無理があり」と、反省をせざるを得ない状況を作り出してきたことは重大な問題です。
 そこで今回の「一斉実施ではなく、計画がまとまったところから順次実施」という点は評価できるものです。再編は平成25年までを一区切りとしていますが、少なくとも、計画が決まった時点から実施までには生徒さんや現場への混乱を極力引き起こさないためにも、当該中学1年生が高校進学する時点までの期間を最低でも確保するべきであると考えますが教育長に伺います。

山口教育長答弁
 高校再編に関しましてのご質問に順次お答えいたします。
 まず県民の声をどう汲み取っていくのかとのお尋ねでございます。高校再編を進めるに当たっては、県民の皆様の理解、とりわけ学校現場や地域の方々の理解を得る事がもっとも大切であると考えております。今後の検討につきましては、おおむね2年間をかけて議論を進めてまいりますが、1年目は高校や小中学校の教育関係者を中心に、広く関係者のご意見をお聞きして再編計画の骨子をお示ししたいと考えております。2年目は骨子を元に、関係者の意見を聞きながら、自治体関係者等との協議を重ね、県議会のみなさまのご理解をいただいて、県教育委員会の責任において、具体的な再編計画を策定して参る所存でございます。このように検討を進める家庭の中で、各方面から県民のご意見をお聞きし、計画策定に生かして参りたいと考えております。

 次に、実施時期についてのお尋ねでございます。今回お示しいたしました新たな再編の方針および基準の一つは、再編計画を進めるにあたっては一斉実施ではなく、計画がまとまったところから順次実施していくこととした点にございます。個別の再編計画の実施までの期間につきましては、新しい高校の準備や中学生の進路選択にどのくらいの時間が必要なのか等、個々に判断する必要がございますので、生徒を送り出す側の中学校関係者などの声を十分お聞きして進めてまいりたいと考えているところでございます。
いずれに致しましても、当事者である中学生や保護者に不安や不都合を与えないよう、実施計画のスケジュールを決定して参る所存でございます。以上でございます。

 今答弁がありましたけれども、私は中一から中3年生までの中できちんと判断する時間を取って欲しいという事を言ったわけですけれども、個別に判断されるということですが、私自身今年もそして昨年も高校生に上げた親としましても、来年から実施ということが非常にたいへんだったということ、そしてこれが、今回反省の弁にも語られているということで、ぜひともこれを取り入れていただきたいというふうに思います。時間がありませんので次に参ります。

 また見過ごせないのは、定時制・通信制の多部制・単位制への移行についてです。以前の議会でも取り上げましたが、定時制・通信制高校は従来の勤労学生等の就学の場としての意味合いとともに、中学での不登校が5割もいるそうですが、高校中退などの経験や障害をお持ちの方々など、多様な人々の「学びの場」とともに「居場所」でもあります。そこに少人数でのきめ細かな学習環境で、さらに大学等への進学者も33%に増加するまでになっています。それを通学距離も遠くさせ、原則40人という大人数に機械的に集約化させることで、やっと培った学びの気持ちを削ぐようなことがあってはなりません。
 この間の学校関係者や当事者の高校生も含めた、非常に多くの県民的議論は長野県教育の宝であると思います。
 県教委が高校改革プランの無理な進め方と一斉実施に問題があったと認めたように、この際県教委の裁量で一方的に進めてしまうのではなく、県民の意見を十分に聞く機会をもつためにも、多部制・単位制への移行も一旦白紙撤回することを求めますが教育長のお考えを伺います。

山口教育長答弁
 
定時制・通信制と多部制・単位制についてのお尋ねでございます。今回の答申では北信・東信地区の多部制・単位制高校への転換計画は一端取り下げ、先行して設置された高校の状況等を見ながら、通学区内での対象校を検討して、改めて再編計画を策定することと致しました。
 これまで中信地区では平成19年4月、松本工業高校定時制を松本筑摩高校に統合いたしました。さらに南信地区では上伊那農業高校の定時制を多部制・単位制として来年度スタートする箕輪工業高校に統合する予定でございます。4つの通学区域内に1校ずつ配置する計画の多部制・単位制高校は、通学区内における定時制課程の中心校としての役割を担っておりますので、その設置と同時に、周辺の定時制通信制の適正配置についても、併せて検討してまいりたいと考えている所でございます。

 いずれにしましても同じ轍を踏まないためにも、県民の声を聞き,慎重に対応するということを求めておきたいと思います。

2 アスベスト対策について

 アスベスト問題は、一昨年のクボタやニチアスなどの従業員や工場周辺住民に肺がんや中皮腫などの深刻な健康被害が相次いで発覚し、労働者とその家族、あるいは工場周辺住民などと既に亡くなってしまった方など、国の補償の法整備はまだまだ不十分である状態に違いはありません。
 長野県でもこの問題が明るみにでてから取り組みをおこなってきておりますが、健康被害の状況、取り組みはどうなっているのでしょうか社会部長に伺います。

藤巻社会部長答弁
 
石綿作業従事者の県の取り組みについてお応えいたします。ただいまご質問がありましたように、労働者の健康被害の防止、快適な職場環境の整備といったものはたいへん重要だと考えています。労働者の健康管理に関しましては、労働安全衛生法によりまして、在職中は事業者の義務ということになっております。
とくに石綿を取り扱う業務に従事する労働者につきましては、国が事業者に対しまして6ヶ月に一回、健康診断の実施を義務付けております。またその労働者が離職する際、また離職後に症状が出た場合には、手帳を交付いたしまして、国の負担でやはり6ヶ月に一回健康診断が受けられるといった制度になっておりまして、今、手帳を受けておられる方は合計で100名余というふうに伺っております。正確な数字は上げませんが、100名以上になっております。最近このところ少しずつ増えているということでございまして、石綿はどうしても20年30年経ってから出てくると言う症状でございますので、これからも増えることがあるのではないかと危惧を致しております。
 県の取り組みでございますけれども、第一義的には国と事業者の責任ということになっておりますので、今申し上げたような制度で国と事業者が責任を持って対応をしているわけでございますが、県と致しましては、広報誌で労働福祉ながのというのを出させていただいておりますが、そういったものによりまして、石綿産業従事者等の健康被害についてPRをさせていただくとか、あるいは、労務管理者のリーダー研修といったものを各労政事務所でやっておりますけれども、そういった労働教育の場を通じまして、周知啓発に努めさせていただいているところでございます。

 アスベストの曝露(ばくろ)から30・40年経ち離職後高率に中皮腫やがんになるそうですが、この離職時にアスベストによる肺の異常がレントゲンで確かめられる人のみ健康管理手帳が交付され、年2回の無料健康診断がうけられるそうです。しかし私のところには手帳が交付されても、健診医療機関が非常に少ないため、遠方の指定医療機関へは通院できず、高齢化や持病の管理のために、かかりつけ医で有料の検診を受けざるを得ないという声がよせられています。
 これについて長野労働局に伺うと、手帳の申請は今後も増加する予測をしており、受診医療機関は県内では実際に動いているのは3病院で、かつ労働局のホームページ上では指定医療機関の記載はなく、せっかくの制度の情報周知がなされずこれも改善が必要です。
 そこで知事に伺いますが、「石綿」作業従事者に対する健康診断について、健診指定医療機関を増やし、さらに門戸を広げるよう国に申し入れるべきだと思いますがどうでしょうか。労働局は検診医療機関について、医師会との協議で選定しているそうですが、衛生行政をつかさどる県が援助し、できる限り多くの医療機関での受診が可能になるようにすべきではないでしょうか伺います。

村井知事答弁
 石綿作業従事者の、健康診断指定医療機関に関するお尋ねでございました。石綿作業従事者が離職する際、または離職後症状が出た場合には労働局長が健康管理手帳を交付しまして、この手帳によって国の負担で6ヶ月に1回の健康診断を受けられる、こういう制度になっているわけでございますが、アスベストの作業に従事された方への健康への配慮というのは、本人や家族にとっては非常に切実な問題であることは事実ございまして、健康診断が受けやすい体制を整えることは非常に大事なことだと思っております。県内で受診する医療機関が、これは長野労働局長が指定していまして、私は実際4箇所というふうに伺っておりますが、地域的なかたよりがあることは事実でございます。長野労働局に対しまして、指定医療機関の増加について働きかけて参りたいと存じます。

 この今日のアスベストのお話をさせていただくのは、実は労働現場で働いている方々の深刻な状況です。 しかし工場周辺の方やあるいはその家族の保障にはまだまだ手が届かないということで、この問題についてはまた次回に延ばしていきたいと思います。どうぞ国への申し入れをよろしくお願いします。

3 地球温暖化対策について

 この24日には環境省が呼びかけ5回目を迎えた「CO2削減ライトダウンキャンペーン2007」が20時から22時まで行なわれました。そこで、このキャンペーンへの県内の参加施設数や節約された電力量はどうであったのか、この間の県の取り組みも含め生環部長に伺います。

白井生活環境部長答弁
 CO2削減ライトダウンキャンペーンの取り組み状況についてお答え申し上げます。長野県内におきましては、去る6月22日から24日までの3日間、参加した数は、全国地球温暖化防止活動推進センター取りまとめによりますと、スタートいたしました2003年は二箇所であったものが、年々増加いたしまして、2006年は384箇所、今年は若干減りましたが、226箇所というふうになっております。県の方では、職員に対して参加も求めました他に、市町村を通じ県民の皆さんへの参加も呼びかけたところでございます。
 参加施設の電力の削減量につきましては、県別のものはございませんが、全国では今年の取り組みによりまして、293万キロワットアワー削減されたと報告されております。

 ところでこの6月中・下旬は辰野町など県内各地でほたる祭りが行なわれていますが、23日には塩尻でも行なわれ、長年の取り組みを反映し、子どもから高齢者まで多くの参加者であふれました。
 ほたるは微かな光の信号のやり取りで繁殖行動を行なうため、育成には人工灯の影響が懸念されています。そのため、塩尻ではほたるの生態とともに、光害の影響の講演も行なわれ、実際に会場近くのワインメーカーの看板のライトアップの消灯の協力が得られました。
 街中でほたるや天の川が見えなくなり、見たことのない大人世代が増えて久しいのですが、今年9月、市制100周年の松本市では「第19回星空の街・あおぞらの街」全国大会が開催されます。松本の小学生が行なった星空観察を通して、街の夜空の暗さ等について報告されるそうです。これは一昨年の17回大会は佐久市で開催され、やはり空の暗さと、ほたるなどの光の影響を受ける生物の全市的な調査報告が表彰されました。
 そこで省エネとともに、環境のバロメーターともいえるほたるの育成や星空を取り戻すために、県としての援助と光害対策も強化すべきであると考えますが、これについての生環部長の答弁を求めます。
 さらに広報「ながのけん」5月号には、環境月間を控えたこの5月であるにもかかわらず、ライトダウンキャンペーンの掲載はありません。先ほどの生活環境部長の答弁では参加施設数は県内226施設、全国的に293万キロワットアワーの電力が削減されたそうですが、二酸化炭素CO2にすれば1300トン、金額では6300万円が削減されたことになります。もっとこのようなことを宣伝をしていただくことを申し上げまして、一切の質問を終えたいと思います。

白井生活環境部長答弁
 ほたる、星空といった、いわゆる夜の環境に関するご質問でございます。
 地域の活動として行われておりますほたるの育成、あるいはきれいな星空を取り戻すための取り組みに対しましては、現在「地域発元気づくり支援金」の制度によりまして支援を行っているところでございます。2006年度はほたる復活事業などの10事業に支援が行われておりまして、今年度はこれまでにほたるの水路整備や星空観察など4事業の支援を予定しております。
 また、9月29・30日には、さきほど議員からお話もございましたが、「星空の街・青空の街」の第19回目の全国大会が松本市におきまして環境省等とともに開催をするところでございます。星空を楽しみ、身近な自然や生命、地球、宇宙に目を向けてもらうといったきっかけにするということで開催されるものでございます。
 また光害につきましては、睡眠、あるいは農作物の育成に影響を及ぼす他、星空観察にも支障をきたすということでございます。環境省の光害対策ガイドラインが昨年12月に改正されましたので、建築士会、あるいは建設業協会などの関係団体や市町村を通じまして、光害対策の周知をしたところでございます。また大規模小売店舗立地法の届出の際には、夜間照明への配慮について確認をして、必要な助言を行っているというところを取り組んでおります。
 地球環境に対する関心が今非常に高まってきております。そういった中で、地域の夜間の環境ですとか、あるいは自らのライフスタイルがどうあるべきかについても、これを機会にそれぞれが考え、自分達の暮らしを考えるということも大切なことだというふうに思うところでございます。今後ともそういった地域の取り組みがいっそう広がるように、県としてもいろいろ広報・周知等はして参りたいというふうに考えております。