2007年2月議会 3月12日 石坂千穂
2007年度長野県一般会計予算案の反対討論

私は、2007年度長野県一般会計当初予算案に限って反対の討論を行ないます。

 村井知事が編成した初めての当初予算案は、予算総額8462億円、前年比で6年ぶりに増額となり、212億円、2.6%の増です。
 歳出のなかで、日本共産党県議団も繰りかえし要望してきた災害対策、医師確保対策や助産師の活用、障害者自立支援法による激変緩和、宅老所、特養ホームの充実、浅川と千曲川合流点の排水機場の能力アップ、排水ポンプ車整備、間伐予算の増額などが実現したことは大いに歓迎するものです。
 歳入の特徴は、県税収入が2601億円、前年比461億円の増で9年ぶりに構成比30.7%でトップになりましたが、先ほど林議員も述べたように地方譲与税が365億円の減、地方交付税が2193億円で構成比25.9%、前年比68億円の減となり、県税収入は増えたのに、一般財源全体は約61億円の減となっています。ちなみに県税増収分461億円のうち、所得税などの税源移譲分が290億円ですが、定率減税廃止や高齢者の非課税措置撤廃による市県民税の増税など県民の税負担が増えていることを見ておかなければなりません。
 一般財源の減額を補って積極予算を組む財源となっているのが、県債と国庫支出金ですが、そのうち、新年度から行政改革推進債を5年間で500億円、初年度は100億円導入することとなりました。「予算は政治の顔」と言われますが、この行政改革推進債を「活用」することで、長野県の予算の性格は大きく変わらざるを得なくなることが予想され、日本共産党県議団が新年度予算案に反対する最大の理由はここにあります。
 行政改革推進債は、総務省の「新地方行革指針」に基づいた行政改革――長野県の場合は、事務事業の見直し、外郭団体の見直しや、職員給与の総額削減、職員定数を組織再編や県立病院、社会福祉施設、試験研究機関などの独立行政法人化や民営化、学校統廃合などで約1550人減らすことを交換条件として国から借りるものです。
 県民サービスの大きな後退につながりかねない危険性をもっています。しかも、行革推進債は社会資本整備、公共事業にしか使うことができず、地方交付税の基準財政需要額に参入されると言う措置も無いため、全額行政改革での節約で返済するしかありません。借金に頼り、治水効果の薄い、安全性の保障も無い浅川の穴あきダム建設はじめ、大型公共事業の費用を将来にわたって確保する一方で、受益者負担と言う名の県民負担を強めていくのでは、いったい、何のための県政でしょうか。新年度高校授業料や県立病院の分娩費はじめ5議案の値上げが予定されていますが、私たちは賛成できません。
 知事は、県債残高を増やさない範囲での活用と言いますが、だとすれば、予算総額に占める公共事業費の比率が、県として当然果たさなければならない公的なサービスの後退と反比例して増えていくことにもなりかねず、毛利議員が代表質問で「毒薬」と表現した危険な方向に、県政を進めていくこととなります。まさに、国が押しつけてきた、「改革」の名による改革の後戻りではないでしょうか。全国の総額3000億円の行革推進債の枠に対し、18年度「活用」しなかった都府県が14あることもふまえ、行革推進債および、同じく団塊世代の大量退職に対処するためとは言え、将来の人件費削減を条件とする退職手当債の活用にも、改めて慎重な対応を求めます。
 以上申し上げまして、反対の討論といたします。