2006年12月県議会

12月18日 小林伸陽議員

一般質問
  1. 農業の振興策について
  2. 介護保険について
  3. 医療について
  4. 特定任期付き人事について
  5. 五輪招致委帳簿焼却問題の解明について
1.農業の振興策について

 最初に長野県農業の振興策についてお尋ねします。長野県農業はその大多数が、小規模農家によって構成され、認定農家、農業法人化などの政府が進めている小規模農家切捨て政策によって深刻です。その上、農産物の輸入自由化による価格の下落、統計情報センターの資料では、平成16年の長野県の水田作経営農家一戸当たりの農業所得は17万円と前年度比49%減少、水田だけの経営ならばワーキングプア水準以下です。さらに機械の導入や圃場整備・土地改良事業による農家の負担の増大も経営を圧迫しています、私が一般質問でも取り上げた西天竜土地改良区の水路、毎秒5.7トンの水が流れているトンネルが老朽化し、耐震性が低下、トンネルの上に住む皆さんは毎日マグマの上に暮らしている思い。下段の人は土石流に、いつ襲われるか心配している。一方、農家の皆さんは農業収入から見て、これ以上の負担は限界と言っています。中山間地の多い中川村では圃場整備の事業費は、この30年間に総額で66億円にもなり、受益者負担は20億円、農家の負担は1へクタール当たり796万円もの負担の事業もあり、この返済に農業収入だけでは足りず、他の収入をつぎ込まざるを得ず疲れ果てています。これでは後継者も育たず農業(者)は減るばかりです。知事は、こうした長野県農業をどのように認識されているのかまずお聞きします。
 また、「県食と農業・農村振興の県民条例」の趣旨を生かしてどのように計画を策定しようとしているか知事にお尋を致します。

村井知事
 長野県は約12万7千戸と全国一位の農家戸数を有し、全国有数な農業県でありますが、一方、農家1戸当りの耕地面積が90アールで全国32位、非常に規模の小さな農家の御努力によって多様な農業生産が支えられていると認識しています。国が公表しました新たな食糧農業農村基本計画では、国際化への対応、食糧の安定供給、担い手の確保などをすすめ、農業農村の健全な発展をめざすために担い手の明確化と支援の重点化をすすめていくことになっております。県といたしましては、将来の長野県農業を担う認定農業者の育成をすすめるとともに、長野県農業の特徴でもある規模の小さな農家につきましても集落営農に参加していただくなど、いろいろな配慮をいたしまして、きめの細かな施策の推進が大切であるとこのように認識しています。
 食と農業農村振興の県民条例について、どういうような像を描くのかというご指摘がございました。この条例は、長野県の食と農業農村の持続的な発展をはかるためにめざすべき方向性を適格にとらえた大変素晴らしい理念条例であると認識しております。ここで条例に基づく食と農業農村振興計画の策定をいただくということでございまして、11月に設置いたしました食と農業農村振興審議会での御審議のほか、多くの県民の皆様から幅広くご意見をいただくこととしております。条例の基本理念にのっとりまして長野県の農業と農村の持続的発展をはかるために地産地消の推進や、あるいは元気な農山村づくりに向けまして実効性のある計画を策定していただきまして、それを県としても積極的にバックアップをしてまいりたいこのような見解でございます。


 長野県の農業の実態は先ほどお示ししたわけであります。認定農家にしていく、集約化をしていくということが、長野県農業の実態から大きくかけ離れているのではないかと、このことをしっかりと認識した上で、長野県農業の対策をやっていただきたいと思います。
 
 次に国が進めている品目・横断的経営安定対策事業についてお尋ねします。
 この制度が国の農業政策の柱になってくると、長野県のような中山間地で、一律規模拡大化は不可能です。小規模農家が切り捨てられることは目に見えています。我が県の農業を守るうえで家族農業の振興策が極めて大事な点であると思いますが農政部長はどのように考えているか所見をお尋ねします。
 この制度の対象から外れた小規模農家をどう守っていくのか。
 また、この品目横断的経営安定対策の品目に、長野県で多く作られているソバが入っておりません。そのソバも入れるよう国に求めるべきと思いますがいかがでしょうか。
 
 次に農地、水、環境保全向上対策事業が対象地域ですべて取り組まれれば、全県下で38億8千万円が地域の環境整備の費用として還元されます。この事業に対する県の位置づけと指導のあり方、取り組みの現状について農政部長にお尋ねします。


白石農政部長
 家族農業を守る為の振興策についてお尋ねでございます。中山間地域を抱えます長野県におきましては小規模農家が多いということで、品目横断的経営安定対策の対象にならない農家につきましては、米価の下落対策として新たに稲作構造改革促進交付金が創設されておりますので、このような制度を充分活用しながら、小規模農家対策を講じてまいりたいと考えております。また、小規模農家でありましても、地域で農作業受委託や機械の共同利用を推進することによりまして経営基盤の強化をはかることができますので引き続き集落営農の組織化に向けた支援を実施してまいりたいと思います。

 次にソバを経営安定対策の対象にするよう国に要望すべきとのお尋ねでございます。県と致しましてもソバを品目横断的経営安定対策の対象とするよう国へ要望してきたところであります。しかし、国は食糧において国民のカロリー供給に占めるソバの割合が少ないこと、国産ソバの評価が高く、輸入品と比べて高価格で取引されている実態があるため、諸外国との生産条件の不利合性(?)対策をとる必要性がないとの判断でございます。しかし、ソバにつきましては信州を代表する特産物でございますので、産地づくり交付金等を活用いたしまして生産振興をはかってまいりたいと考えてございます。
 
 次に農地・水・環境保全対策につきましてお答え申し上げます。この施策につきましては、農林水産省が今年7月に決定した経営所得安定対策等実施要綱におきまして助成にあたっての予算措置や運用等の措置が示されました。県では8月下旬に発表されました農林水産省の概算要求の考え方を参考に9月から市町村、JA等に対し説明を行うとともに、市町村と協力をしながら地域への啓発、普及をはかってまいりました。この農地・水・環境保全向上対策事業の交付金は、農地や農村環境の保全のため地域が一体となって意欲ある協働活動を行う場合に交付されるものでございます。県といたしましては市町村を通じて地域の状況を把握をしながら、適切な対応をとってまいりたいというふうに考えてございます。
 なお、交付金の交付要件、地方財政措置などまだ決定していない部分もございますので、今月下旬の政府予算案決定状況など、国の動向をみながら県として取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

 いま品目横断的事業や農地・水・環境保全事業などの状況をお尋ねいたしましたが、長野県農業が大規模化や中小の農家の切捨てというこの政治の流れに呼応していくには、本当に農家の、家族農業の振興だとか、中小零細の農家の振興がなければ守っていけないことはまちがいありません。そういう点で、知事にもう一度お尋ねします。この条例を制定していく段階で、農家の本当の声を、農家のみなさんの声をどう聞いていくか、そこが私は大変大事な部分だと思いますので、その辺をどのように対策を講じていくか、また、農政部長に農地・水・環境保全事業、まだ政府が決定していないというお話しがありますけれども、しかし来年度から実施する事業であります。政府にこのことをしっかり求めて、今から説明を十分やって、地域のみなさんが今までも本当に地域の環境を守るためにがんばっている。それに一定の補助がでるわけですから、真剣な取組をどう構築していくかもう一度お尋ねします。


村井知事
 私の理解しているところでは長野県食と農業農村振興県民条例、これはまさに県議会の皆様方の発意によりましてできた条例でございますし、また、構成メンバーにつきましてもいろいろと県議会のご意見を十分に反映してできた、そのような経過があると、承知をしている次第でありまして、まさに県民を代表する皆様のお声によってできた、そのような組織でもございます。そういうところで私の期待したいのは、まさに計画をつくるのは県民の意見をよう〜く聞いて、それを反映したものにしていただくことを期待したい。それにそって私どもとしましても農政の運営をはかってまいりたいと、このように考える次第でございます。

白石農政部長
 農地・水・環境保全向上対策に対しましては、先ほど申し上げましたように今月下旬の政府予算案の決定の時にですね、全容がですね、見えてくるというような状況もございます。一早くですね、国からの情報を市町村にお伝えするなかで、市町村の把握してます現状とですね、すり合わせしながらですね、市町村とともにこの事業を推進してまいりたいというふうに考えてございます。

 環境保全事業でありますけれども、すでにいろんな説明が地域にされているわけです。現在。そういうなかで例えば上伊那の段階では、農振地域はどうなるのか、また、減反が100%実施されなければ対象にならない。しかし、県の説明では農振地域は当然ですけれども、減反の100%完遂は条件にはいっていないという説明もあるわけです。そういう混乱が現在起きているわけで、もっと正確な説明をきちっとやっていただきたいということを申し添えておきたいと思います。


2.介護保険について

 次に介護保険制度の改悪により、介護難民、医療難民が多数生まれているとマスコミなどで報道されております。県民の影響についてお尋ねします。
 先日県が発表した「介護保険施設給付の見直しに関する実態調査」では、見直しで影響を受けた人はサービスの利用者58,855人のうち197人、低所得者ではわずか34人が影響を受けたと報告されています。行政の調査があまりにも現実とかけ離れた調査だと、現場から怒りの声が沢山寄せられています。
 箕輪町では、影響を受けた人はたった1人と、考えられない調査結果です。利用者負担の増大が原因で影響受けているのに、この調査からは負担の深刻さは対象からはずされています。
 Hという老人保健施設に、私が県の調査項目と入所者の負担の増大について調査お願いしたところ、入所者が100人の施設で、負担が1.5倍〜2倍に増えたが67.3%。2倍〜2.5倍の負担増は2.8%。利用日数を減らした人は18.7%と、わずか100人の施設で86人が影響を受けている。全県でたったの197人が影響とは現実とあまりにもかけ離れているのです。さらに、病院から追い出された人、ケア・マネの相談を受けた人でも「とても利用料が高額で使えない」「家族や親戚に援助を要請した」などの事例はこれらの数字をさらに上回ります。相談にも行けない人も数多く(居ることが)予想されます。
 また施設の影響は深刻です。経営が成り立たずに閉鎖する施設も生まれております。県がこの調査結果を介護保険と県民の生活実態と認識してしまえば、県民の深刻さはまったく見えてきません。 県はこの調査結果を疑問もなく公表したのか、まずお伺いします。
 また、県民の生活現場の現状を正確に把握するために、現場からの実態調査を再度実施することを強く求めますが社会部長の所見をお尋ねします。

板倉副知事・社会部長職務代理者
 介護保険に関する実態調査についてお答えいたします。介護保険制度の改正に伴う施設給付の見直しは、在宅で生活している方との公平性を確保するというような観点から昨年の10月から実施をされたところでございます。具体的に申しますと特別養護老人ホームですとか、ショートスティの利用者に対して、いわゆる居住費と食費、また、デイサービス利用者に対しては食費の自己負担をお願いするということであります。県が行いました調査は、昨年の9月末の時点で、介護保険のサービスを利用していた方の全員、約59,000人を対象といたしまして、10月以降、利用状況に変化が生じたかどうかを調べたものであります。最初の調査は12月の末の時点で行い、2回目の調査は本年の3月の末の時点で行いました。
 調査方法と致しましては、保険者である全ての市町村、広域連合に対しまして居住費、食費の負担増を理由として施設からの退所があったかどうか、個室から大部屋への異動があったかどうか、サービス利用日数・回数が減ったかどうか、利用料を滞納している人がいるかどうかというような状況になった人がいるかどうかについて照会を行ったものであります。市町村や広域連合は、サービスの利用状況に変化があった理由が、施設給付の見直しによるものか否かについて、特別養護老人ホームや老健施設等の事業所、ケアマネージャー、ご家族などに確認をしています。
 調査結果に疑問をもたずに公表したのかということでございますが、調査の方法、考え方は今述べたとおりでございまして、しかも、この調査が実態を反映するものとなりますように、保険者であります市町村、広域連合に対しまして、対象者の把握方法について助言を行い、そのうえで2回の調査ともすべての保険者から回答をいただき、それを県の方で精査をおこなった上で全県分として集計し、公表をしたものでございます。
 県民の生活現場での実態調査を実施したらどうかという御提案でございますけれども、現在、県におきましては、本年7月から適用されました税制改正によりますサービス利用への影響について調査をしている最中であります。また、各地で行われます介護関係のシンポジウムですとか、ケアマネージャーなどの介護関係者との意見交換、こういう機会を通じまして現場における利用者の生の声を十分把握をしてまいりたいと考えております。県といたしましては、今後ともこうした取組によりまして制度上の課題などについて研究をすすめ、必要に応じて国に提言してまいりたいと考えております。


 それぞれの介護施設、ケア・マネに状況も確認したといわれておりますけれども、まったく施設には何の連絡もないし、ケア・マネが県からそういう調査があったかと、質問にもまったくどこもありませんでした。ぜひ実態調査をしていただきたいと思いますが再度お尋ねいたします。

板倉副知事
 先ほど申し上げましたとおり、県が行いました調査は保険者であります市町村なり、広域連合を通じて把握している介護保険の関係者の調査を行ったということでございます。そういう意味でいろいろ実態を反映していないのではないかということでございますけれども、調査の目的なり方法については、それなりの答がでているのではないかと思いますけれども、いろいろ苦しくなった声がございます。それにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、介護関係のシンポジウムですとか、ケアマネージャーなど介護の関係者との意見交換をするなどして、できるだけ実態を把握できるように努めて、当面はそのようにして実態把握に努めてまいりたいと考えております。


 時間が無いので先に進みますけれども、まったく実態を把握していないと、このことを私はしっかりと受けとめていただきたいと思います。

3.医療について

 次に医療制度の改悪に伴う実態も深刻であります。長野県保険医協会が行った「リハビリテーションの日数制限による患者の影響調査結果」がここにありますが、県内の125ヶ所のリハビリ施設を対象に調査、回答は62施設、2,126人の患者から回答が寄せられ、治療が打ち切られ医療保険から介護保険に移行した588人、病院では対応不可能と退院を余儀なくされた人354人。2,126人中、942人がリハビリを中断され、病院から追い出されています。
 さらに、政府が推し進めようとしている介護型療養病床の削減の方向が打ち出されておりますが、長野県の療養型病床は4,250床と十万人の病床数で841床と、全国的に見れば山形県についで下から二番目、全国最高の高知県では4,027床、四分の一にも満たない、絶対数不足であります。県は国に対して削減の中止を求めるべきと思いますが衛生部長の所見を伺います。
 
 また現在、長野県では準看護師が5,555人おり、この皆さんが看護師の資格を取る看護専門学校の閉鎖は、到底理解されるものではありません。衛生部長の説明では民間が開校して対応できるとしているが、県立看護専門校の入学料は6,550円、民間では最大で18万円と30倍であります。授業料は11万5千円から最大36万円ともなります。現在働きながら子育てを行っている皆さんにとって、財政的負担からも地理的条件からも到底理解が得られるものではありません。衛生部長の所見を伺います。
 
 全国ではその対策として通信制の学校があります。徳島県や北海道では県立の通信制学校を開校しています。その設置費用は徳島県で空き教室の利用で、3,500万円程度で開校しております。長野県としてこうした対策を検討したのか衛生部長にお尋ねします。
 
 次に公衆衛生専門学校の見直しについても授業料は何倍にも引きあがります。そういうなかで遠距離の皆さんにとって交通費、下宿代などの負担と合せれば大変です。公衆衛生専門校は南信唯一の学校で南信地方の歯科医にとっては死活問題であります。到底理解がされないと思います。これで看護師不足に悩む医療現場を歯科医にまで県が広げてしまうものではないかと大変心配です。南信地方の支援策もなく廃止を考えているのか衛生部長にお尋ねいたします。

渡辺衛生部長
 療養病床の削減につきまして国に見直しを求めるべきであるというご質問にお答えいたします。県では10月1日を基準日といたしまして療養病床を持つ全医療機関に対しまして今後の対応策や現在入院中の患者の現状についてアンケート調査を行いました。調査結果は現在、集計中でございますけれども、療養病床の転換移行や介護保険施設の設置移行とともに、ある程度療養病床の実態が明らかになるものと考えております。療養病床が減少されることによりまして介護難民が出ないような対応策を今後とっていきたいと考えております。
 
 また、県立看護専門学校の見直しによりまして、学生の負担が増えることへの支援策についてお答えいたします。県立看護専門学校の入学料と授業料は、他の民間校と比べて低額となっておりますために、県立の2年課程を閉鎖した場合には、民間校へ進学することとなりまして入学料等の負担が増えることは事実でございます。しかし、資格自体は個人に帰するものでございます。学生は卒業後、その資格を生かして、就職できますので、ある程度の御負担はお願いしたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 
 また、通信制の専門学校の検討についてのご質問でございますけれども、10年以上の就業経験を持つ準看護師を対象といたしまして、平成16年度から設置できるようになりました制度でございます。県では平成15年10月に県内に働きます準看護師5,468人を対象に通信制の2年課程の就学意向調査を実施いたしております。調査結果をもとに検討いたしましたけれども、継続して入学生が確保できないということ、また通信学習という点から学校が県内になくてもあまり支障がないのではないかということから県では設置しないということといたしました。通信制の学校は現在、全国に19校ございます。近県にも6校が開設されまして本県からも現在32人の方が進学しております。進学される方に対する修学資金の貸与や、近県の通信制の学校は県内での病院実習が実施できるように依頼するなど、ひき続き支援してまいりますので御理解を賜りたいと思います。
 
 次に公衆衛生専門学校の見直しについてお答えいたします。議員ご指摘のとおり見直しによりまして遠距離通学や下宿をせざるを得ない場合が生じることもあろうかと思います。しかしながら資格を得るために、ある程度のご負担はお願いしたいと考えておりますのでよろしくお願いしたいと思います。
 


 30倍にもなって、ある程度の負担はやむを得ないと、こういう認識で本当にいいか、私は大変深刻だと思います。時間がないので次にいきます。

(再質問)また、衛生部長には、30倍にもなっても負担が大したことはないと思っているのかその点をもう1度お聞きして私の質問を終わります。</p>


渡辺衛生部長
 お答えいたします。入学金と授業料を見てみますと、入学金がかなり大幅な差があるということは事実でございます。いろいろな利用する修学資金の制度がございますので、学生の皆様方にはそのあたりの、いわゆる奨学金等を充分活用していただきながら勉学していただければと考えております。

4.特定任期付き人事について

 次に、特定任期付職員についてお尋ねします。
 私たちは知事の人事権は尊重すべきと吉村知事時代はすべて賛成し、田中知事時代に3人の提案に反対。村井知事になって副知事の人事に反対してきました。村井知事が外部から選任した5人のうち、副知事には知事の選対本部長、特定任期付き職員3人はすべてを自分の秘書、これではどんな言い訳をしようと「側近人事」といわれることは当然です。知事の説明では優れた人材はすべて知事の回りに集まっていると言われていますが、それでは県の職員から遊離してしまい「側近人事」から「側近政治」になってしまうのではないかと大変心配です。その一方、知事は監査委員の補充には議会の意向を見極めると慎重な態度でしたが、任期付職員は議会の多数が反対してもこれを無視していくつもりなのかお尋ねします。
 

村井知事
 副知事を選任、そして3人の特定任期付職員の採用につきましてのご意見は、よくうけ承りました。私といたしましては、そのような「側近政治」とか、そのような御批判にならないように充分に留意してまいりたいと存じます。

5.五輪招致委帳簿焼却問題の解明について

 次に、冬季オリンピック招致委員会の会計帳簿焼却問題についてお尋ねします。
 この問題は多くの県民から解明が求められ続けてきた問題です。県の調査委員会は当時の責任者である吉村前知事も、塚田前(長野)市長の協力を得られず、きわめて不十分な調査に終わったことも報告されています。村井知事は吉村前知事や塚田(前)市長と面談し解明する努力をすべきではないですか。
 議会も解明のために百条委員会の設置を求める動議が可決され、解明しようとしているなか、知事は前田中知事がこれだけ努力したからもう良いというのではなく、議会とあいまって徹底して調査をすべき県民に納得のいく説明と決意をお伺いしたいと思います。

村井知事
 オリンピック招致委員会の会計の帳簿問題ですけれども、今議会でも何回かお答えしております。林議員、今井議員のご質問にもお答えしたとおりでありますけれど、繰り返しになりますが、この問題につきましては県として大変な時間と費用をかけまして、調査委員会による調査を実施してきたわけでございます。委員会として調査を完了し、私はその結果をかなり丁寧に読ませていただきましたが、県としても完了したという判断をせざるを得ないということだと考えております。従いましてこの件につきましては、県としてこれ以上の調査はするつもりはないと重ねて申し上げます。


 吉村前知事、塚田前市長に聞くつもりはないか、もう1度お尋ねします。

村井知事
 率直に申しまして、やはり、あれだけの大プロジェクトでございましたから、やはり、かなりの数の方々が関わっておられまして、そういう意味では真相の究明というのは、元知事、または前長野市長にお尋ねしても、私は特段新しい事情が明らかになるとは思えません。そういう意味では長野県調査委員会のご努力に改めて敬意を表したいと存じます。


 私が心配するのは、県民のみなさんが県から補助金をもらって何に使ってもわからず、焼却しちゃって、わかりませんで通るかどうか、こういうことが今問われているんです。誰の処分も無くこんなことが幕引きされることが県として許されるか、このことを私は知事に聞いているわけであります。

村井知事
 私の見解は、非常に釈然としないというお気持ちがあろうことは、これはよくわかりますけれども、15年経ってですね、あのような環境の中でいろいろなことがあの調査委員会の報告書にも書かれております。私はわかったかも知れないが、それ以上のことはやはりわからないのではないかということを繰り返し申し上げている次第でございます。