2006年9月臨時県議会

9月13日 石坂ちほ議員

腰原愛正(よしまさ)氏の副知事選任に反対の討論
  最初に申し上げておきますが、日本共産党県議団の人事案に対する基本的な立場は、知事の人事選任権を尊重する立場であり、政治的立場の違いや個人の資質などを理由に人事案に反対するものではなく、従来からよほどのことがない限り、人事案には基本的に賛成してきました。残念ながら、今回の腰原氏の副知事提案は、社会一般の常識からみても節度を越えたものであり、到底賛成することはできません。
 腰原氏が、今回の知事選で村井知事陣営の選対本部長を務めたこと、8月末まで、村井知事後援会「輝く81の会」の事務局長だったこと、この事実は動かすことはできません。小林議員が述べた、公職選挙法上の連座制にも問われる立場というのは、選挙違反があったという意味ではなくて、それほど重い立場の選対や後援会の中枢幹部という意味ですが、そういう幹部を公職の中枢に起用する人事を、論功行賞と言わずして何と言うのでしょうか。8月30日付の信濃毎日新聞の報道によれば、村井知事は、8月29日、諏訪市内で開かれた支援者との「語る会」で、人事に関する考え方に触れ、「私はイエスマンを近くにおかない。」と述べたそうですが、副知事と言う最も近いところに選対本部長と言うイエスマン中のイエスマンを置くというのでは、県民の期待を大きく裏切るものです。
 副知事に市町村政に明るい市長経験者を、という考え方も理解はできますが、その条件を満たす人は、腰原氏以外にもいるはずです。腰原氏でなければならない理由にはなりません。県民のなかには、「そもそも市長として、みずから人事に携わってきた人なら、選対本部長や後援会事務局長を副知事にするなどという人事はおかしいと自分のほうから断るのが筋だ。」との声も多く聞かれます。腰原氏が、そのことに疑問も感じずに承諾したのだとすれば、むしろその見識をも私は疑わざるを得ないと思います。
 長野県議会に設置された「県下水道事業に対する知事後援会幹部の働きかけ等に関する調査特別委員会」、いわゆる100条委員会は、田中前知事の後援会事務局長が、頻繁に県庁に出入りしていたことを「特別扱いだった」と問題にし、調査報告書でも指摘をいたしました。この件については、私たちも、田中前知事の節度ある態度が必要だったことを指摘してきました。後援会事務局長が、県庁に頻繁に出入りするどころか、公職の副知事に起用されると言うのでは、節度も何もなく、公私混同、側近人事の最たるものであり、良識ある議員の皆様は到底認めるわけにはいかないのではないでしょうか。
 議員の中には、提案されてもいない任期つき職員としての秘書の採用などを見送ることを条件に、この人事案を認めるようなご意見もあるようですが、一部に。副知事の選任はそのような交換条件で決める性格のものではありません。ガラス張りの知事室がなくなるとともに、県民の見えないところで早くも暗闇取引県政が始まってしまったのでしょうか。
 私たちは、できることならば提案そのものを再検討していただけるように、9月1日に村井知事が会派にごあいさつに見えました際、緊急を要する6項目を文書で申し入れさせていただき、この件についての慎重な検討もお願いしましたし、9月6日の会派代表者と知事との懇談会の際にも発言をさせていただきました。私たちとして、できる努力はしてきましたが、このような形で、村井県政がスタートをきることは、たいへん残念なことです。
 県知事選挙では県民を二分するたたかいであっても、当選されれば県民の知事です。どうか、応援した県民も、そうでない県民も、みんなが気持ちよく協力できる論功行賞とは無縁な人事を行なって、さわやかに県政運営を行っていただけるようにお願いをいたしまして、反対の討論といたします。