2006年9月臨時県議会

9月15日 藤沢のり子議員

高校統合について議会の同意を求める議案に対する討論
 高等学校の統合について議会の同意を求める議案第12号大町高校と大町北高校の統合について不同意の立場から討論をいたします。
 以下反対の理由について申し上げますが、12号議案に留まらず、その他の反対の議案にも共通するものであることを申し添えておきます。
 不同意の最大の理由は地域を始め教育現場での合意形成がなされていないことであります。
 ご承知の通り、今議会に統合案の白紙撤回を求める請願書が大町市民の代表、大町市長、大町市議会議長連名で提出されました。
 正に地域あげての存続を求める要請であります。
 これまでも大町市の約7割に及ぶ2万5千800人余の統合反対の署名を始め大町市議会での全会一致での見直しを求める決議など統合反対が地域住民の総意であることが示されており、統合への合意形成は全くなされていないといわざるをえません。
 その背景には、どちらの高校もがかけがえのない地域の宝であるという住民の皆さんと教職員の熱い思いが見えてきます。
 大町高校は全校生が全員クラブ活動に参加し、県大会、全国大会での活躍を始め、現役での大学進学率は80% を越えるなど、文武両道での活躍に地域からの期待は大変大きいといわれています。
 叉、大町北高校は正に地域あげて特色ある高校作りに取組んでいます。
 生徒と教師、PTA、同窓会が一体となって22年間に渡り続けてきたアジアアフリカ難民支援運動は全国的にも知られ、大変賞賛されていますし、放送部は昨年度高等学校総合文化祭全国最優秀賞受賞をはじめ大変優秀な作品作りを続けています。
 これらの成果は生徒と教職員、そして地元関係者のたゆまぬ努力で作り上げてきたものとお聞きしています。
 このような努力を受け止めることなく、地域や関係者の強い反対を押し切って新しい高校を設置して、果たして地域に愛される魅力ある高校として発展できるのでしょうか。
 信頼関係を断ち切っての改革が進むはずはありません。
 更に県教委が統合の理由としている生徒数の減少は当地では説得力を持たないということであります。
 旧12通学区の中学卒業生は平成25年度まで減少しないどころか、平成19年度と21年度には現在よりも一学級規模増加します。
 統合後の募集は現行の七学級分でありまして、増加の一学級分はどこで対応されるのでしょうか。
 叉県教委は現場では着実に準備が進んでいると言っていますが、職員配置をはじめ教育課程の中身も教職員の間では合意が出来ていないとお聞きしています。
 このように地域でも教育現場でも合意なく統合だけを先行させることは子どもたちによりよい学習環境は提供できず到底同意できるものではありません。
 高校生が集会で語りました。教育委員会の人たちは高校の魅力って言うのは学校の選択肢の多様性というが、僕たちにとって学校の魅力って言うのは学校での思い出に胸が熱くなるということだと思います。未来は私たち高校生そのもので、魅力って言うのは高校生そのものだと思います。
 そして学校の主人公である僕たちの声を改革に活かしてもらえない。
 県議会は僕たちのために何をしてくれるのと問いかけました。
 未来を担う高校生たちの母校を守りたいという切実な願いに真摯に応え、がんばれば道は開かれるという希望を開いてあげようではありませんか。
 松田教育委員長は昨日、文教委員会の集中審議の中で、生徒にとって授業は生活、高校生が主体的に学ぶ教育の必要性と生徒たちが送ってきているシグナルに早急に応えなくてはならないと熱く語られました。
 松田教育委員長が述べられたように、今、生き方を見つけられない若者、人間としての尊厳を守って生きていけない青年たちが増えている中、人間として生きる力を育てる教育は急務であります。
 そのためにも改めて高校改革が「統廃合ありき」ではなく、真に子どもたちを大切にする、そして県民と共に進める改革として前進させようではありませんか。
 村井知事も提案説明で、地域住民との合意を尊重し、合意が形成された地域から着手し、合意がなされないものは白紙に戻して再検討をする必要があるという自らの意思を述べられたうえで、教育委員会の権限に踏み込めないという知事としての限界を踏まえて、その意志を県議会に託されました。
 私たち長野県議会は県民の願いには党派を超えて共同していくという長野モデルを全国に発信しようではありませんか。
 以上申し上げ統合には反対の討論といたします。