2006年9月臨時県議会

9月15日 毛利栄子議員

2006年9月臨時会における岡谷東・岡谷南の統合事件案に不同意の討論
 日本共産党県議団を代表し、岡谷東高校と岡谷南高校の統合に不同意の意見を述べます。「I LOVE 東」「南高不落」これは今年の岡谷東高校、岡谷南高校文化祭のスローガンです。南高(なんこう)は漢字で「南、高い」と書くのですが「攻めにくく容易に陥落しない」難攻不落をもじっています。
 私は新聞紙上でこの記事を見つけたとき、高校生なかなかやるなとその知恵と心意気、秘められた闘志に心から勇気を与えられるとともに、文化祭のスローガンになるほど高校改革が高校生達の胸を痛めていることに改めて責任の重さを痛感しました。
 もとより、少子化が進行し、社会環境も様々に変化している中で、1校たりとも減らしてはならないと言う立場をとるわけではありません。
 日本全国で教育の構造改革と称して同じようなパターンで、高校の再編・統廃合が進められています。
 そしてその手法も押しなべて地域住民や生徒、関係者の声に耳を貸すことなく一方的であることが共通しています。
 岡谷東と岡谷南を統合するという方針は昨年11月23日に突如としてきめられました。県教委が14の高校を減らすと一方的に名指しで示し、南信地域では3校受け持たなければいけないということのなかで、原案になかった諏訪地域にたいし、均等に痛みわけすべきとおしつけられた苦渋の選択の結果です。
 これが報道されるや「寝耳に水」の諏訪地域では当然大騒ぎになりました。
 高校再編整備の理由の一つに生徒数の減少、魅力ある高校づくりが上げられていますが、諏訪地域では生徒数は減るどころかむしろむこう10数年増加傾向で、200人近く増えるのです。もし、減らせば他の数校の募集定員を増やさなくてはならず、何のための1校削減なのかおよそ説明がつきません。
 また岡谷東高校は伝統ある校風の中でオリンピック選手を輩出し、福祉ボランティアも活発に行なっており、幾多の卒業生を社会に送り出し、地域社会発展のために各方面で活躍しています。
 岡谷南高校は豪放磊落な校風のもと、進学校として、文武両道の精神を発揮し、放送部の活躍や国際交流も旺盛に行ない、卒業生は地元をはじめ日本各地で活躍しています。
 それぞれが魅力ある高校として輝いており、いっそう努力を重ねているとお聞きしています。
 該当校のPTA・同窓会・学校関係者・6市町村の首長・議会・教育委員会・PTA連合会・教職員組合・生徒・商工会議所などつぎつぎと納得できないと立ち上がり、署名も9万近く集められました。暮れも、正月もなく寒風のなか、街頭署名や高校生の寄せ書き運動がすすめられ、県議会や理事者、県教委への度重なる陳情など、苦悩の日々が続いてきました。
 この動きをねじふせて改革を断行しても地域に根ざし、地域に支えられる住民参加の開かれた教育が行えるはずがありません。不信感を増幅させるばかりです。
 一部に改革は一斉に行わなければごね得や損をするところが出てくるとの議論や費用対効果を論ずるむきもあります。結果として「損得」で語られるようであればそのような改革は、改革自身をリセットすべきではないでしょうか。
 「人は城」は昔からいわれてきたことであり、否定する人はいません。長野県の借金の9割が公共事業で占められ、その利子払いに教育関係費の4分の1、年間500億円も支払われていたことを思えば、必ず未来に還元され、限りない可能性と素晴らしい子供達の人間形成のために投じられるお金は決して過大なものとはいえません。
 県民的な参加と議論の中で、必要なところ、総合的に検討してやむを得ないと判断されるところ、時間をかければ住民合意のできるところは統合しても、当面、必要性も住民合意もない岡谷東と岡谷南は1年先送りすればゴーできると言うものでもなく、私は白紙撤回こそが妥当と考えます。
 教育をめぐって子供達を含めこのような議論が活発に行われたことは長野県政史上かつてないものであろうし、全国的に見ても画期をなすものだと思います。
 今回の議論が発端となって、より良い高校教育のあり方をめぐり、真剣な議論がこれからも旺盛に続くことを願って討論を終わります。