2006年9月県議会

10月12日 藤沢のり子議員

議第6号 地方の道路整備財源の充実を求める意見書(案)についての反対討論
日本共産党県議団を代表し、議第6号地方の道路整備財源の充実を求める意見書案に反対の立場から討論をいたします。
 党県議団は意見書の中で述べられている日々の暮らしに欠かせない生活道路の整備、過疎地を含め国民の暮らしを守るための均衡の取れた地方の交通網の整備を否定するものではなく、充実を求める主旨には賛同をするものであります。
 しかし、意見書の中で「道路特定財源の主旨を踏まえ、一般財源化することなく」という趣旨には賛同できません。
 道路特定財源は長野県が90年代、土木費が歳出のトップを占めていたにも係らず、県道舗装整備など生活道路の整備は全国でも大変低い水準に、叉市町村道の整備も全国最低レベルであったように、大型事業が重視される一方で、切実な生活道路には回ることが少なく、むしろ整備を遅らせ、県民の願いに応えるものにはなっておりませんでした。
 今年度の予算でも採算の取れない高速道路を建設する直轄高速道路の事業費は昨年度と同額の2000億円を確保、聖域とするなど国土交通省の予算全体では三大都市圏環状道路の整備は22%増と大型事業は重視されていますが、その他一般改良等や維持修繕費はマイナス10%になるなど地域に密着した道路予算は削減されています。
 叉、特定財源という性格が弊害を生み出すことも各方面から指摘されているところであります。
 10月4日の読売新聞の論点で政府税制調査会委員の田近栄治一橋大学国際、公共政策大学院教授も「使い道の指定された特定財源は、あれば使ってしまうだけではなく、特定グループに圏益が固定化し、ひとたび導入されると当初の目的が失われても、廃止が困難となり、延々と存続してしまう。叉、失敗したプロジェクトの救済にも使われることによって事業主体の責任の所在をあいまいにしている」。として財政再建のためには見直しが必要と述べています。
 揮発油税、自動車重量税など国、地方合わせて毎年6兆円もの税金を道路建設だけに限定して使うという仕組みは不要、不急の大型道路建設を膨れ上がらせ、負債も増やし、財政の硬直化を招く要因にもなっているということであります。
 このような現状の上に800兆円とも言われる国の借金解決のためには公共投資も見直さざるを得ないという行財政改革に伴い、道路整備予算が縮小し、特定財源が余るという現象がおきています。
 今年度の予算をみても特定財源と道路支出の間には6500億円の余りが発生していますが、このうち、4500億円は国が本四公団から継承した債務の処理に、叉、2000億円は街づくり交付金や市街地再開発事業など道路以外の使途に振り向けられています。国は道路関連と位置づけていますが、道路整備特別会計ではなく一般会計として処理されています。
尚、本四公団の債務処理は今年度で終了するために、来年度にはこの道路特定財源は大幅に財源が余り、いよいよ本格的な見直しが迫られることになります。
 10月9日付けの信濃毎日新聞で紹介された公明党の冬柴鉄三国土交通大臣も一般財源化しても広い意味で自動車に係る使途に財源を当てることで納税者の理解を得たい。車の運転で排出されるCO2減らすための技術開発など温暖化対策にも当てたいとして年末までには具体策をまとめたいとしております。
 本定例会の県議の皆さんの一般質問でも、叉、質問に対する知事のご答弁でも地方交付税の削減が地方自治体の財政に大きな影を落としているということが述べられておりますが、限定された使い道だけでなく、一般財源化により生活道路の整備など住民が安心して生活のできる地方自治を確立するための地方交付税増額など財源保障として有効に機能するよう力を尽くすことこそ求められていることを申上げ、反対の討論といたします。