2006年6月県議会

7月10日 高村京子議員

公安委員選任に賛成の討論
 議23号公安委員の選任に賛成の討論を行ないます。
 総務委員会での審議では、今回公安委員に提案された宇都宮恒久(つねひさ)氏は、タクシー会社の社長であり、公安委員会と利害関係にある、または利害関係が生じやすい立場であるという理由で、多数の委員が不同意とされました。
 そこで、あらためて公安委員会の役割についてふれてみたいと思います。
 公安委員会の役割は、県民の代表によって警察を管理することであり、警察が、県民の判断とかけ離れた組織になることを防止するとともに、警察が、公平・中立の立場で仕事ができるために設置された機関が公安委員会です。議事の運営にあたっては、長野県公安委員会運営規則では、委員長を含む過半数で議事を決定するとされており、全会一致を要件とはしていません。
 従って、公安委員の資質として必要なのは、警察運営に対するチェックの活動を、県民の立場にたって公平・中立に健全に判断できる良識の持ち主であることであって、委員の職業等によって、その判断が左右されるものではないと考えます。
 現に、昭和56年から平成5年まで公安委員をつとめられた宇都宮元(はじめ)氏は、長野トヨタ自動車株式会社の社長であるとともに、公安委員会から古物営業の許可を受けて中古車販売業をされていましたが、健全な良識で委員をつとめられました。また、今回任期満了となる宮下行一(ゆきかず)委員長も日信サービス運輸株式会社という運送会社の社長でもありますが、公安委員長としてその職責を果たされました。
 なお、ちなみに、タクシー会社と公安委員会との関係ですが、道路運送業法に基づくハイヤー・タクシー事業は、国土交通省の許認可事業であり、公安委員会の許認可の対象ではありません。公安委員会には、交通規制、運転免許の交付、免許の停止および取り消し等の権限が与えられていますが、タクシー事業と直ちに結びつくものではありません。むしろ警察本部は、交通安全運動や子どもを守るパトロールなどの県民運動の主体として、タクシー会社へ協力をお願いする側です。

 以上、申し上げましたように、歴代の公安委員の経歴や、公安委員会の役割に照らしても、宇都宮恒久氏がタクシー会社の社長であることを理由に「利害関係が生じやすい立場である」からと公安委員として不適切とするのは的外れであり、日本共産党県議団は提案に同意する立場であることを申し上げ、賛成の討論といたします。