2006年6月県議会

7月10日 小林伸陽議員

6月補正予算案の討論
 第1号平成18年度長野県一般会計補正予算(第1号)案の討論をおこないます。
 田中知事の今期最後となる本議会の補正予算額56億4,844万3千円は、6年間の6月議会のなかでは最大の補正予算額であります。
 そのうち52億円余は、職員給与の独自カット提案を、地公労との交渉で合意したことから当初予算で減額していた人件費を計上したものであります。
 補正予算に盛られた事業では、医師確保対策として医学生の修学資金の貸与定員の拡大、県内すべての保健所などへのエイズのじん速検査キットの導入、豪雪による農作物被害対策、交通信号機の増設など、県民の切実な要望に応えた予算として評価します。

 今回の補正に1.900万円の県債(借金)が計上されていますが、これは信号機増設に伴う分であり、それを含めても歳入全体に占める割合は9.0%と、財政改革推進プログラムの10%に抑えるという目標より少ない数字になっています。
 2006年度末の県債残高の見込みでも、公共事業中心の普通債は1兆3,068億円となり、6年連続で減少させています。普通債だけを見れば前吉村県政の引継ぎ時から2,789億円の減少です。
 普通債の減少に並々ならぬ努力が傾けられた結果といえます。

 知事の提案説明で述べたように、「借入超過から返済超過へと、2000年度(平成12年度)から転換しました。県債発行額よりも県債償還額を多くした」結果が現れています。
 ちなみに前県政は、90年代に普通債だけで1兆円の借金を増やしております。
 総務省が公表した自治体の財政健全度の指標として、新たに用いる「実質公債費比率」の2002年度から04年度の平均試算値が、7月5日の日本経済新聞に掲載されました。
 実質公債比率とは、地方税収や交付税などの収入を分母に、借金の返済にあたる元利償還額を分子として算出するものです。分子の借金には、各自治体の公営企業の借金も加えています。
 それによれば、長野県が全国トップの20.1%、第2位は岡山県で19.3%、以下島根県、北海道と続いています。
 解説では、「都道府県でもっとも高かった長野は冬季オリンピックの際の財政支出が大きな負担として残っている。」と書いてあるように、依然としてオリンピック時の財政負担の影響が残されています。
 一般会計のNTT債を除いた県債残高全体で見れば、4年連続の減少の見込みとなり、6年間で1,041億円の減少にもなります。
 このように、できるだけ借金に頼らず危機的な財政の再建への努力と、予算の重点を福祉・医療、教育、雇用、環境に移してきた点などは評価するものです。

 一方で、長野県が全国に誇るべき政策としてきたウィルス肝炎医療費の助成制度を原則入院のみに縮小したことや、強引な高校「統廃合」の進め方、公務員にはなじまない「成果主義賃金制度」の導入などは、県民の目線から見ても容認できないということを指摘しておきます。
 最後に、「安心、安全、正直」な信州の温泉推進事業費の減額修正については、県民応援減税の際にも述べましたが、広く温泉事業者のためになる事業としては、さらに検討する必要性があります。先ほども(事業に)賛成する議員のみなさんからも「非常に不十分だ」と指摘がされているとおり、さらに検討することを求めて討論を終わります。