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2006年 2月議会
「100条委員会」
(「県下水道事業に対する知事後援会幹部の働きかけ等に関する調査特別委員会」)の
委員長報告に反対の討論
石坂議員

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。



 日本共産党県議団を代表して、委員長報告に反対の討論を行ないます。

 日本共産党県議団は、当初から、この調査特別委員会の設置には反対しました。なぜなら、4つの調査項目で問題にしている内容は、すでに、特別委員会設置前に総務委員会や文教委員会などで問題点の指摘や議論がされており、そこで明らかになった問題を建設的に県政運営の改善に結び付けていくことこそ重要だと考えたからです。

 委員長報告に反対する理由は、4つの調査項目のそれぞれの結論にあたる重要な部分の事実認定に賛成できないからです。また、出頭拒否の認定、記録提出拒否の認定、知事および職員の5つの偽証認定については、すべて反対です。

 第1の調査項目では、県内業者を優先する下水道維持管理業務の入札改革は必要とされた流れであり、私たち日本共産党や県議会全体も主張してきたことで、後援会幹部の働きかけの内容は不当なものではありませんでした。政策秘書室などに自由に頻繁に出入りできたという特別扱いは改めるべきですが、後援会幹部は、「自分の会社に受注させるように」働きかけたわけではなく、一般競争入札に参加して業務を受注しているのであり、「地位を利用し、関係する法人の利益を導いた。」とは言えません。

 調査項目2では、問題にされている「公文書」とは、知事後援会幹部が、下水道業務に地元業者を優先的に入れてほしいという持論を県職員に語った、いわゆる「おしゃべりメモ」的なものであり、この文書がなくなったからといって県の業務はまわらないわけでもなく、この文書が破棄されたことを持って刑法258条の「公用文書等毀棄(きき)罪」を適用するのには無理があります。のちにこの文書は再度の情報公開で公開されており、本来公開されても何の問題もない、一業者の働きかけのメモです。
 報告書では「田中知事からの『公開しない方向で調整せよ』という直接の指示の有無について確認することはできなかった。」としながら、「私からの直接の指示はありません。」という知事の証言を偽証と認定する。これもかなりの無理があります。
 
 調査項目3では、公職選挙法第199条の5に対する知事および知事後援会の当初の理解は不充分であり、公職選挙法が認めている「後援団体の設立目的により行なう事業や行事」とは、後援会主催の総会や行事など、あくまで支持者や後援会員を対象としたものであり、不特定多数を対象とはしていません。
 しかし、後援会長や当初の後援会事務局長は、知事の面会や会合の相手も目的も聞かずに知事が立て替えた懇親会費などを支出し、その支出を知った県職員や審議会委員などはその費用を返還しています。県の人事作業に使用したホテル代は公費で支払うべきものとして県が返還しました。また、現在の後援会会計責任者は、返還にあたっての会計処理について、「長野県」調査委員会委員だった醍醐聡氏の「私の分は知事後援会が負担していないという状態、私の自己負担に改めてもらうべきだ。」という申し出を受けて、「企業会計からすれば原価の戻しで、立替金が戻ったようなもの」と証言しており、立替金だと主張しています。後援会が組織的に方針を持って、県職員や審議会委員への飲食の提供などをしていたのではないことは明確です
 
 調査項目4では、当時、実験に協力してくれる市町村名を明かさないためには、財務規則を無視しなければ実験ができないと思い込み、国から派遣されていた担当課長に知らせずに準備を進めようとして、必要な手続きが大幅に遅れてしまったといえます。しかし、市町村課長は、実験の開始を知って、「通常の手続きとは異なりますが、最低限必要となる書類を一式まとめて整えたうえで、22日に起案し、22日中に決済を終えています。」と陳述書で述べているように、関係職員の努力により、手続きは整い、ルールに従って行なわれたものであり、実験は財務規則や法令には違反していません。

 時間の都合ですべてについて触れることはできませんが、賛成多数で認定されたものは、推測に基づくものや、見解の違いにすぎないものです。多数決で行なった事実認定に、いったいどれほどの効力があるのでしょうか。地方自治法にもとづく100条委員会における「虚偽の陳述」の認定は、「三ヶ月以上五年以下の禁固」という処罰を前提とした刑事告発の対象になるものだけに、推測や見解の違いなどを理由に、他人を罪に陥れるというようなことを、県議会が行なっても良いのだろうか、と私は大いに疑問です。法を犯した疑いがある、と認定された人たちの名誉毀損や誣告罪などの訴えがされた場合にも、果たして耐えうるだけの認定内容でしょうか。

 「真実の解明」をうたいながら、結局は「多数は真実」という調査結果を出した委員会となりましたが、告発に値するものは何ひとつありません。この調査結果がいたずらに政争の具にならないように願い、この委員会に費やした膨大な時間とエネルギーをできることなら、不況に苦しむ多くの県民やお年寄りや障害者など弱い立場の人たちに、どうしたら温かい県政の光をあてることができるのかという議論のために使いたかったという私の思いを述べて、反対の討論といたします。


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