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2005年 09月議会 高村議員の一般質問(9/30)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。

  1. 松枯れ対策について
  2. 介護保険について
  3. 福祉専門職員の確保について
  4. 看護師需給計画について


1、松枯れ対策について

 はじめに、上田・小県地域の「松枯れ被害」の実態と対策について伺います。
 上田・小県地域の赤松が枯れる被害が深刻になっています。5年前には 15,000立方メートルが昨年には25,000立方メートルにも被害が進んでいます。10年前は2,000立方メートルもの被害のあった長野市では、今は見事に縮小し、下伊那地域でも5年前の被害からはかなりの縮小傾向にあります。上小地域の被害は森林の欠損率30%にも及び、とりわけ実態は深刻です。
 今までは、いわゆる「松くい虫対策」として、県は国と市町村一体となって、対策を講じてこられました。下伊那や長野地域では効果が出たものと考えますが、上田地域のような被害拡大の実態をどのように捉え、現在の松枯れ対策は予算措置を含め、どのような対策をもっておられるのか、林務部長に伺います。


      【答弁 高野林務部長
       松くい虫のおたずねでございますが、県下の被害状況につきましては、平成7年度をピークに平成11年度まで4年間連続減少してまいりましたが、平成12年度から年々増加に転じ平成14年度からはほぼ横ばいで推移しているところでございます。平成16年度の被害量は約51,000立方メートルで対前年比101%となっており、特に上小地域は24,800立方メートルと県下の約49%半分を占めており、激害地が顕在化しておるところでございます。
       また本年度の県下の被害発生状況は8月末現在で約49,000立方メートルで対前年比と同様でございます。現在の被害の対策についてでございますが、保安林など公益的機能の高い松林やあるいはマツタケ山など地域振興上重要な赤松林を地域の特性を踏まえて守るべき松林として定め、集中的、重点的に松くい虫の防除あるいは駆除を進めているところでございます。平成17年度の県全体の松くい虫被害防除対策予算額は2億5千200万円で内容は、被害木の抜刀駆除が約13,200立方メートル、空中薬剤散布面積310ヘクタール、地上薬剤散布が100ヘクタール、このほか樹幹注入や樹種転換事業を実施しております。上小地区では、8月末現在、被害木の抜刀駆除を約7,600立方メートルを実施している他、住民の健康や生態系への影響に配慮しながら空中薬剤散布を105ヘクタール、地上薬剤散布を14ヘクタール、樹幹注入や樹種転換事業を実施しており総事業費は約1億300万円を見込んでおります。また、激害地である上田市の仁古田地区におきましては、公共造林事業や治山事業によりまして合計31ヘクタールの樹種転換を行なうなど総合的な対策を進めておりところでございます。


 
もともと上田地域は降雨量が少なく乾燥地帯であり、赤松が3割を占め松林の景観やマツタケの名産地でもありましたが、とりわけ川西塩田地域の松山は現在見る影もなく、枯れまつが赤く、茶色にそして灰色から黒にとそのつらい姿をさらしております。マツタケ山は夢のまた夢となっています。人家の近くでは倒木の危険もありまして、景観・防災・松林保全・松くい虫被害拡大の阻止など多くの課題が深刻な実態となっております。喫緊の課題となっており、上田市・東御市ほか小県町村会からも喫緊の課題として「松くい虫対策事業の継続と充実」を求める要望が出されました。
 この要望では「低コストで予防効果の高い空中散布事業量の確保」を求めていますが、強い男性ホルモン阻害作用など生態系への影響や地域住民の健康被害の危険を考えると私はこのご要望を一概に支持はできないものと考えます。
 現在は「松枯れ現象」と広く捉え、さまざまな考え方があるようですが、確立された方策はないように思います。しかし命の源の山々の木々が枯れていく姿を見るのはつらいですし、また、塩田平を走る別所線からの風景は森林を大切にしている観光立県といえる景観ではありません。
 このような状況の上に立って、特に上小地域において「松枯れ対策特別プロジェクトチーム」を立ち上げて戴きたく要望いたします。この点林務部長いかがでしょうか、よろしくお願いします。


      【答弁 高野林務部長
       ご提案のありました特別プロジェクト事業でございますが、上小地区では市町村森林組合、地方事務所、あるいは建設業協会などすでに17団体の皆様からなる上小地方「松くい虫防除対策協議会」を設置しており、これまで松くい虫の被害調査や防除計画の検討を行なうなど新たな防除対策を目指しまして林業総合センターの協力などによりまして抵抗性赤松苗木の導入を進めるなど、新たな取り組みを進めておるところでございます。しかしながら、今後さらに被害枯損木を地域資源として活用する木炊き、と言いますか、ボイラーの導入、あるいは合板への利用、あるいは地域住民参加の防除体制作りなど、とりわけ地域が一体となった防除対策の取り組みが重要だと考えております。このようなことからご提案の趣旨を踏まえまして支援・指導してまいりたいと考えております。



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2.介護保険について

 介護保険10月からの食費・居住費の自己負担について伺います。
 「どこでサービスを受けても公平となる仕組みに変える」との方針のもと、高齢者の預かり知らぬところで決まりました。厚生省が示す標準的試算では、年金収入が266万円の要介護度5の高齢者が特養入所の場合、一ヶ月の負担は相部屋で2万5千円からユニット個室で3万円と負担が増えます。合計一ヶ月8万円から12万円の負担をしなければ入所できなくなりました。上田市の老齢基礎年金の平均は月額5万663円です。入所者の場合は低所得者の軽減措置があるにしても、施設入所できないお年寄りが出るのではないかと危惧します。また在宅をベースに暮らすショートステイでも食費・居住費の負担、デイサービス・デイケアーでは食費負担が発生します。
 私の母も介護度5で介護しております。週4日ショートステイとデイケアー・デイサービスを利用していますが、数日前ケアーマネイジャーから各施設が示した負担額の説明を受けまして、改めて負担の重さにびっくりしています。多くの家庭収入が減っている現在、在宅で頑張っている高齢者や介護に尽くしているご家族の負担も増えますが、在宅介護サービスの利用には減免制度はありません。「昼食は、おにぎりをもってゆくので、食費は取らないで!」と言う人も出てきました。
 上田市では、介護保険導入から、8種類の看護やリハビリを含めた在宅サービス利用者に独自の減免制度を実施しています。松本市では、食費・居住費の独自減免制度を10月からさらに拡大しております。また豊丘村でも村民が利用するすべての通所者介護・リハビリの利用者に一食300円の助成を決めました。
 共産党県議団としても、9月1日に「国の高齢者介護に対する公的責任の後退と言わざるを得ないものであり、県としての実態調査の実施と対策を」と強く県に申し入れをさせていただきました。
 27日の小林伸陽県議質疑に対して社会部長は、「今回の介護保険制度改正に伴う影響について早速実態調査を行い、その上で必要な対策を検討したい」とたいへん前向きな決意を述べていただきました。
 そこで知事に伺います。ぬくもりのある福祉を目指す長野県政としては、10月からの高齢者負担の実態をどのように捉えておられるのか、県独自の減免策の検討や市町村が行う独自の減免制度を応援するなど、早急に高齢者介護を守る支援策を立ち上げることを求めますがいかがですか。
 知事のご所見をお伺いします。


      【答弁 田中知事】
       これこそ私が小さな政府イコール、優勝劣敗ではなくて、小さな国、小さいというのは縮み思考ではなくて、ということを述べている点でもあります。無論、財源に限りがあるとはいえ国や自治体が負担しきれないから制度を見直すということでは、納税者立脚ではありません。まさに弱きものに対してこそ生命や財産を守るということが行政や国家の存立であるならば、そうした改正でないといけないと思っております。今回の改正は、持続可能な介護保険制度のために介護給付の効率化重点が必要と言っているが、抽象的ですから個別論になればこの意味が鎧の下が何かはわかりませんが、そしてもう一つは、どこでサービスを受けても給付と負担が公平となる仕組みを目指すというわけで、いずれも文面の上では理解できるということです。ただ実際に入所されている高齢者の方が、この自己負担額が払えず退所を余儀なくされるということになるとこれはもうアメリカの健康保険制度の破綻と同様なことになってしまいますから、その意味で言うと低所得者層への細かな配慮が必要ではあります。しかしながらその点はあまり述べられていませんが、先ほど来申し上げているように、そうした方々ほどエスエム的エムを求められるような社会への表明をなさっているというところがたいへん不可解です。
       低所得者に対しての負担軽減対策というのは社会福祉法人による生計困難者に対する利用者負担減免などが国の制度として県が市町村と共に行なっているものの中にはございます。10月からの介護保険制度の改正によって利用者の負担増が具体的にどのようになってくるのかということに関しては、これは市町村と共同で社会部が実態調査を行うことになっております。この調査結果を踏まえて、きちんと提言することを無論行なっていくと、この中ではいわゆる低所得者と呼ばれる方々への対策の充実というところに関してとりわけ実態に即して提言を行なうという予定であります。現在、市町村が行なっている独自の負担軽減制度というものは、これはもともと介護保険というものがそれぞれ市町村ごとにいろいろなメニューの中から選ばれるというかたちになってきておりますから、これは保険者である市町村の判断と責任で行なわれていくというところであると思っております。そして介護保険というものに関して、もともと少子高齢社会にはなってきているわけですから、もともとは子ども4人に対して1人の高齢者を見るというような形でしたが、もう1992年を境にその状況は逆転して、15歳から65歳までの働く年齢層と呼ばれる方々も減っていくわけでございます。その中で、本県はご存知のように長寿日本一という形であります。たいへんに百歳を越えたご高齢の方の人数でいうと本県はそうではなくて、本県は良い意味で平均的に長寿であると、どなたかだけが突出して長寿という形じゃないと、そしていままでのところは、老人の健康保険というものあるいは老人医療というものは非常に良い意味で低い額に抑えられていると、これは一人一人の努力の結果であります。ですから、その意味で言うと今後も本県がこうした観点から、日本の、また少子高齢のスピードも速いということを考えれば、本県から本県の実態に基づいての取り組みということが日本全体を変えていくことにもなろうかと思っております。こうした中では、宅幼老所というもの、コモンズハウスとも呼んでおりますが、こうした形を行なっているわけでございまして、まさにそれぞれの地域で泰阜村の松島貞治氏が言うように、そこで生まれ育ち、あるいは嫁ぎ育った、移り育った、その原風景の中で願わくは家族やコモンズの方に見守られて天寿をまっとうすることを実現してこそ最大の行政福祉だと、行政サービスだと言うことでありまして、これをやはり日本全体に広げていけるように本県が実態をきちんとつかんで提言をしていくということもまた本県発の大事なことであろうと思っております。この件に関しましては、最近出納長や衛生部長はじめ、話す機会がありまして、こうした中で、話だけに終わらせないようにするということがやはり本県からはじめる介護保険改革へつながろうかと思います。


 長野県は全国トップの女性で言えば長寿県でございます。こういった中にありまして、戦中戦後筆舌に尽くせないご苦労をされた高齢者を苦しめる制度に対しまして、国に対して、予算の使い方を根本から改め、温かい介護保障制度・安心して老いてゆける社会づくりを真剣に検討するよう知事において是非国に提言をしていただきたいと思います。また先ほどの追加ですけれども、長野県においては、家族介護に対して「介護慰労金制度」があり年3万円の支援が行われていました。知事は最近「県税の減税を実施する」と決意を語られていますが、まず要介護高齢者への支援として実施されるよう強く要望いたしたいと思いますが、国への提言につきまして、知事からもう一度ご答弁をお願いいたします。

      【答弁 田中知事】
       先ほど述べたところではあります。実は私が25年前に書いた「なんとなくクリスタル」という本の一番最後には老人の医療費というか、老人の保険の負担率と、それから合計特殊出産率の表が注の後ろに載っています。これを見るとまさに「なんとなくクリスタル」の物質の生活だけでは日本は進まないということで述べているわけでして、実は日本の評論家は誰もここに言及しません。  という新聞はここの点に唯一言及して、今の豊な日本とこの先行きの見えない日本ということを書いてくれたことを思い出しました。
       その意味で言うと、そのスピードが25年の間に予想を上回る形できていると、合計特殊出生率は議員ご存知のように2.17人である場合にようやっと病死や事故死の方を除いて人口が推移するという形ですが、今はもう1.29人という形ですから、その意味で本県も1992年からのピークに変転しまして、2005年の長野県は0歳から15歳未満は14.5%、65歳以上が23.4%と小児一人に対して高齢者が1.6人ですから社会保障制度は現在のものは15歳未満の子ども4人に対して65歳以上の高齢者が1人という割合を前提にして築かれてきているわけですから、もう破綻をしているということです。なので、この点に関して、本県が本県での様々な市町村80余になりますが、その中で非常に努力しているところ、例えばですね、村とか市を2・3選んで実態に即してどのような形で持続可能な高齢者の介護になるかということを本県がきちんと提言をしていく、そしてそれを、新党日本を通じて国レベルにおいても、日本共産党もですか、日本共産党とは相容れないところもあるかもしれませんが、その点に関して、私は長野県知事であり、新党日本代表であり、その前に田中康夫という個人でありますから不可分であります。ですから、いずれにしてもそのような空論の県議会でいくら議論しても違うわけで、現実のレベルを本県の中から良い意味できちんと、即して提言をしていくと、プランを出していくということは大事なことだと思っております。そのような話をすでにしているところでございます。



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3. 福祉専門職員の確保について

 つぎに県職員・福祉部門の専門性確保と人事政策について伺います。
 この度の組織改正で、健康福祉部(局)として統一し、県民の保健・医療・福祉を一体で総合的に支援する案が示されました。
 知事が常々言われる「現場に出て思いを共有し、ともに悩みともに考え検討する」こういう県職員の心構えもたいへん大切な事です。地域の皆さんから「県の職員は親切でよく相談に乗ってくれる」と日頃の職員の評価も以前から比べると格段に良くなっています。私はこのような県職員の姿に誇りを感じます。
 今回の組織改正では、どのような県民益創出効果を目指すのか、そのこころ・理念を社会部長に伺います。

      【答弁 田中社会部長】
       ただいま議員より県職員に対して、現場職員に対して大変なお褒めの言葉をいただきましてありがとうございます。大変嬉しく思っております。
       さて今回の組織改正につきましてですが、18年度の組織改正につきましては利用される県民の皆様に対する利便性アップという考えから機能的で柔軟、スピーディな組織を再編するものということでございますけれども、特に保健・医療・福祉分野に関しましては福祉健康局となることで今まで以上に健康・療育・生活などの様々な問題をより広い視点から一貫したサポートを行なうことで、住み慣れた地域で安心して暮らしていきたいという高齢者も障害者も、またすべての県民の思いを実現したいということでございます。
       具体的な事例でいくつかご紹介させていただきます。一つ目が、生後間もない子どもを持つ一人のお母さんが自分自身も体調を崩して働けなくなって困っているケースというのを想定していただきたいと思います。今までは子どもの発達については、保健所の保健士による子どもの心と体の相談をして、生活相談に関しては福祉事務所のケースワーカーにそれぞれ相談をする必要があったということでございます。しかし、これが福祉健康事務所として、保健士とケースワーカーが一緒に子どもの発達と生活についての相談に応じることになり、本当に家族のために一体となって支援をできるということがでてきます。
       また二つ目に、アルコール依存症の夫の暴力に悩む女性が相談に訪れたケースを想定してください。今までは暴力を受けられた妻の方の援助というのは福祉事務所の女性相談員が行なってアルコール依存症の夫に対する対応については福祉事務所から保健所につなげ、保健士から援助を受けているという形になっています。もし、これが福祉健康事務所をお認めいただければ、この妻の方は福祉健康事務所において保健士と女性相談員から一緒に相談を受けることができ、早い段階からトータルにその夫の方の悩みを受け入れることが出来るし、また二人の関係についてもアドバイスすることができるというこのような支援が可能になります。
       また三つ目として、先ほどお褒め頂きました県職員の現場で一生懸命働いている県職員も指揮命令系統が一本化されるということで非常に動きやすくなると言う声はひしひし感じております。そして、そのことが結果的に県民の相談者の方に保健・医療・福祉の総合的な支援がより迅速に実効されると確信しております。
       また四つ目として、ここの本庁舎で働いている我々も社会部と衛生部が一緒になって仕事をすることによって、いまの長野県があります長寿日本一、あるいは一番少ない老人医療費こういったものを10年後、20年後、30年後にも担保するためにどんな施策をとったらいいかということをきっちりと一緒になって考えていけるという効果があると認識しておりまして、今回の組織改正につきましては、県職員の願いです。県職員の願いというのは、私たちは日々接してる県民の願いです。ですから、そういう点含めまして是非今回の組織改正につきましては議員の皆様のご理解をお願いしたいと思います。以上です。


 いわゆる団塊の世代があと数年で定年を迎える事となり、その後福祉専門職員が急激に減る事態になっています。児童虐待にかかわる相談と障害自立支援は求められる専門性が違うと思います。各福祉分野での専門職員の必要人員の確保は待ったなしの状況ではないでしょうか。また児童相談所においては、児童の安全を守るため一時保護措置の執行を行うなど、まさに専門性と経験にもとづいての冷静で的確な判断が求められます。児童相談所での勤務異動の期間はどのようになっているでしょうか。落ち着いて福祉業務に取り組めるようにすべきだと考えます。その点社会部長に実態をうかがいたいと思います。
 

      【答弁 田中社会部長】
       県の福祉職というのは、社会福祉職、心理職、施設介護職、および保育士は福祉の専門職と規定されております。児童相談所、福祉事務所、障害者福祉施設等に配置されております。現在必要な社会福祉職員数というのは定数上確保されていますけれども、このうち臨時的任用職員によって充足しているという部分が他部局も合わせて40名ございます。これにつきまして、我々も問題意識を持っておりましてこれに関しましては平成19年度末に西駒郷への職員派遣が終了すること、さらに新規職員を採用すること等によりまして解消に努めて参りたいと考えております。しかしながら、児童相談所における専門職につきましては、今後も深刻化する児童虐待問題をはじめとした様々な課題に対応するため一層の充実が必要となっておりますのでこれにつきましては今後ますます増員できますようしていきたいと思います。
       児童相談所職員の勤務期間ですが、児童相談所において平成17年4月1日付けで異動した職員の平均勤務年数は概ね3年となっておりますけれども、そのあと引続き別の児童相談所へ異動している方も含まれております。ただ1箇所で長く地域に根ざして、そこの地域資源をきちんと把握しながら相談業務をしていくということが非常に重要なことだと思っておりますので、これまでの人事異動に改善することが多々ありますので、今後現地の職員の機関の長の話も重々聞いて、満足のいく、納得のいく異動をかけていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。



 私は自分の経験ですが、県民の皆さんや市町村と一人一人の職員との信頼関係築いていくには福祉に携わる専門職員として誇りとやりがいを持っていただくことが大切だと思います。仕事に携わり、同僚から指導援助を受けながら、また県民からも学びつつ、経験を重ねてさらに日々の仕事に生かしていくことが大切ではないかと思っております。
 高い専門性を持って指導援助できる各分野のスペシャリストの育成は、急務な課題と考えます。長野県福祉行政が県民にとっても市町村のよりどころとしても専門的レベルの確保と維持向上を踏まえた、研修計画や人事政策が求められています。それらの課題についてどう取り組むのか社会部長に伺います。
 

      【答弁 田中社会部長】
       現在、県の福祉職員のうち今後5年間で退職の見込まれている数が約70名弱ということで約4分の1の方が退職ということで非常に年齢上のギャップが今後生まれてくるということ問題意識を持っております。その点つきまして、今後の職員の採用等につきましてですが、市町村の合併による業務量の減少ですとか、西駒郷への職員派遣の縮小等も考慮しつつ、平成18年4月には社会福祉職、および心理職の必要な相当数の職員の採用をすることが予定しております。今後も引続き必要となる福祉職員の計画的な確保を進めてまいりたいと思っております。また、残されている職員の資質をきちんと上げていくためにも専門研修、これは現場の職員が自らつくる研修が一番効果があると思っておりますので、そういったいままでなかなか上がりづらかった現場職員の声をきちんと吸い上げて、それを効果のある研修を施していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。



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4.看護師需給計画について

 次に看護師の医療現場における実態と看護需給計画について伺います。
 厚生労働省は、2006年から次の5年間の看護師需給計画を本年12月までに策定するため、各都道府県に看護職員実態調査を行ったうえで、9月末までに次の5年間の需給計画を提出する事を求めています。
そこで、衛生部長に伺います。
 まず、今までの5年間の需給見通しの結果は、2005年の今年度は2万3338人の需給計画に対して、2万3519人の就業者実績となり、数字の上からは需給計画は順調に達成しているとの評価になります。
 しかし、実際の看護現場では常に慢性的な看護婦不足に追われ、看護レベルと患者さんの安全をまもるため、常に看護婦確保対策に追われている看護管理者の苦労されている姿とはかけ離れた感があります。
 私も、小さな診療所の看護師長としての経験がありますが、それは実感です。
 日本医療労働組合連合会の実態調査によりますと、看護師の6割が「とても疲れる」、と答え、仕事に追いまくられ満足な医療・看護ができない中で、バーンアウトが後をたたない状況が出ています。慢性疲労が8割、健康不安が7割を占め、看護職全体の3分の2が仕事を辞めたいと思っているという危機的状況があります。
 全国病院団体の調査でも、7割の病院が看護職員の確保が困難と回答しています。
 そこで、今回7月に行われた看護現場の調査に基づき算定された、次の需給計画には、その点の深刻な実態を踏まえて、解消が図られる方向となっているでしょうか。医療現場の最前線でのご経験のある澤田衛生部長に伺います。現在の看護現場の状況をどのようにお受けとめになっておられるのか、長野県として次の5ヵ年の看護師需給計画に盛り込むべき課題をどう捕らえておられるのか、7月に行われました、県下の看護職員需給計画での調査項目に、反映されたのか衛生部長に伺います。


      【答弁 澤田衛生部長】
       看護師の需給見通しと、看護の実態、そして将来計画についてのお問い合わせでございますが、まず、看護の現在の実態という高村議員のところの話から入らせていただきます。実際に私も看護現場を見ておりまして忙しくてしょうがないというのはよくわかります。ただ、忙しい理由が2つございます。
       1つは、高度先進医療機器が入ってきたことによってむしろそれを使いこなさなければいけないという部分での看護業務が増えているということがまず第1点に挙げられると思います。
       第2点は、これは今入院の日数を短くしろ、短くしろというふうに追いまくられておりますが、入院が短くなってくればなってくるほど、そこに対する作業量が増えます。どういうことかと言いますと、入ってくるとその家族に対してどういう好みですか、どんなことがいつからありましたか、といった様々な病歴をきちっと取り込みます。そして今は電子カルテのようになっておりますのでそこへまた打ち込みます。そしてその患者さんは1晩であくる日退院していくと今度はその1日の間に何が行なったかという退院の総括をしなければなりません。つまり看護業務で忙しい、忙しいと追いまくられているというその忙しさの実態は患者さんに対する看護ではなくて、看護業務という文書の作成や記録に関わる時間が多すぎて、それが追いまくられているというのが実態であります。つまりあおの患者さんにこういう看護をしなければ、あの人にはこれはということよりも、書類をつくり記録を整えるといったことに追われているというのが看護業務の実態でございます。従って私はこれは余分なことになりますが、看護とは一体何かということをもう一度考え直すべきだと考えております。先日も長野県全体の総看護師長、昔の看護婦長さんの集まりがございましてそこでお願い申し上げたのですが、様々なことを教えることはもちろん大事ですが、では一体、真に看護とは何かといったことをもう一度考え直すといったところから看護現場を考え直す必要があるのではないかと考えております。
       それから、需給見直しの実態についてですが、この7月にも行ないましたがこれは今年の国の看護需給見通しが少し変わってきております。今年は13年から17年までの5ヵ年間で18年以降についてのということで需給見直しをしておるんですが、その検討項目がマイナーチェンジを行なわれてきておりますので、今までとは違いますので私どもは県としては新たな看護見直しはしておりません。将来的には、今のところ私たちの県は何とかバランスがとれていると思われますが、むしろ看護の現場の実際に行なわれる看護業務の見直しを行なうことによって少し改善していくことができるのかなといったふうに将来の看護現場を考えております。以上です。


 ただいまの澤田衛生部長のご答弁いただきましたが、私はちょっと辛い思いでございます。諸外国に比べた場合、100床あたりの看護師数は日本42.8人でドイツ102人の半分以下、イギリス129.2人の3分の1、アメリカ230人の5分の1という大変劣悪な人員配置の状況となっています。また看護業務を整理する必要があるとお話いただきました。しかし、私はその方の生き方に沿いながら、その方の療養生活をご援助する、そのすべてが看護でございます。やはり私は必要な人員が、人が大切だと思うわけでございます。
 次の5年間の実態調査からの需給見通しでは、新卒者の確保定着と再就職希望者の雇用支援が大切と思われますが、看護師養成計画と県内への就職状況、はどうでしょうか。
 看護師養成では、駒ヶ根看護専門学校が閉鎖され、駒ヶ根看護大学にレギュラー3年過程の看護学科の併設を強く望む、こういった声に応えて検討していただけないでしょうか。松本大学に看護学科ができるとも聞いていますが、看護師養成見通しはどうなっておりますでしょうか。また準看護師の国家資格を取るための支援策はどうでしょうか。よろしくお願いいたします。


      【答弁 澤田衛生部長】
       過去5年間に県内の看護師等の養成学校を卒業し、県内に就職された看護師の就業割合は概ね60%程度で推移しております。また、議員のおたずねの準看護師の支援制度でございますが、実は厚生労働省は今世紀つまり21世紀の早い時期に準看護師制度というものは廃止するという方針を打ち出しています。先月私どもは、県内にあります準看護師学校に対しましてその閉鎖の予定の有無を尋ねましたが、県内の準看護師学校ではどこも閉鎖の予定は全く立てていないということでございます。どこにどういう落とし穴があるのかわかりませんが、私どもは県立の準看護師さんから今度は正規の正看護師さんに上がっていく進学校は廃止いたすことにしておりますがいずれ医療看護の高度先進化に伴って準看護師の養成所というものは無くなっていく運命にあるかと思います。また現在、準看護師を持っていて、あるいは学校に学んでいてその方々が将来正看護師となっていくような望みがあるということでそれを進学コースというふうに申しますが、それを2年制の養成課程3校がございます。佐久と上田と長野にございますが、そこに対しまして県は平成16年時点で4,209万円の補助金を出してその方々の養成に努めております。また駒ヶ根の看護大学に3年課程の看護師養成学校をということでございますが、今須坂と木曽にある3年制の養成学校で今のところ新しい看護師さんの養成数というか需給はいまのところ望めない需要はないということで県としては目下のところそこに3年課程を併設する予定は持っておりません。以上です。

 看護師の離職理由や産休・育児休暇などの取得状況の実態調査などはされているのでしょうか。
 医労連の調査では20代の看護師は過度のストレスと慢性の疲労のため不眠と答えている人が約半分おります。新卒の離職者は約1割にもなっております。また妊婦の看護師では切迫早産の比率が女性の他の就労者よりもダントツに高くなっております。
 いったん看護現場を離れた看護師の再雇用の支援をする、ナースバンク・ナースセンター事業は、現在県看護協会が担っていますが、実効性あるものにするための協会の努力にもかかわらず、県のナースセンター委託料は年毎に削減されています。県としてこの事業の必要性や実状をどのように把握され認識されているでしょうか。さらに実効あるものにするための県としてともに取り組む姿勢が求められていると思いますが、その点を衛生部長に伺います。


      【答弁 澤田衛生部長】
       国のレベルで看護師の出産者に対する育児休業取得率、あるいは育児休業期間といったデータが出ております。それによりますと1986年からこの統計が出されていますが、当初1986年時点では育児休業を取った方が48.3%でございましたが、1998年の段階では85.3%にまで伸びております。また育児休業期間は6.3ヶ月が8.1ヶ月というふうに大幅に延びてきております。また今ご指摘の離職、看護師さんを辞めていかれる方の大きな理由がこの出産育児の問題でありまして、12.1%の方がそれをあげられ、そしてまた同じ12.1%の方が結婚ということで離職されることになっております。あとは本人の健康の問題が10%、あとの65%は様々な問題ということになります。ただこれは国レベルの数字でございまして、長野県としては特にデータは出しておりません。今ご指摘の今後の問題点といたしましては、産休・産後の休暇であるとか、育児休暇それから介護休暇の取得、休暇取得中の代替職員の確保といったことが大きな問題として挙げられておりますし、今後の新しい看護師の需給計画に対して特に今申しました代替職員といった問題が大きく問題になっております。特に看護師職というのは看護師と名前が改まってもちろん男性もおりますが、現実は95%までが女性です。どうしても出産・育児といった事柄に支援環境を十二分に把握した上で県としてはできるだけの援助をして行きたいと考えております。以上です。


 ただいまのご答弁は大変ありがたく思います。ナースバンク・ナースセンター事業等は看護協会が委託を受けておりますが、今衛生部長がおっしゃっていただいたような長野県としての状況はどうか、こうようなところは是非一緒になってとりくんでいただくと、県が直接調査をするよりも、看護協会の中での調査の方が生の現場の声が出るのではないかと私は思います。
 政府はここ数年医療福祉の国民負担・個人負担をどんどん増やしています。医療費の値上げ、介護保険料の値上げ、そしてこの10月からの食費・居住費の自己負担の押し付け、さらに高齢者控除の廃止による負担などなどなど、医療・福祉の現場では医師・看護師の不足で患者様や利用者さんの安全安心の環境が脅かされています。この現実を直視し、国政においては、憲法25条の精神に立ち返り、医療現場での看護師配置基準の大幅な改善と診療報酬での保障、看護師が結婚し、安心して子どもを生み働き続けられる職場環境作りに力を入れていただくよう、長野県として国に求めて戴きたく思います。知事のご所見を伺います。

 

      【答弁 田中知事】
       先ほど議員もおっしゃいましたように、他の国に比べると看護師数というのは病床数に比べると非常に日本は劣悪でございます。これはやはり国の政策変更というのが非常に急務な
      ことであると思います。県内のすべての病院が看護師の配置基準自体は満たしているんですね、しかしながら非常に大変な状況にあると、これは急性期の患者さんを診る在院日数が身近い病院というのは非常に離職率が高いという形です。比較的在院日数が長い病院の方がまだ離職率が低いんです。ですから忙しさが看護職の負担に直結していますし、また配置基準を満たしても今申し上げたように先進国の中では低いと、そしてこうした点をまさに人的サービスこそが、そして人的サービスのよりよいものに対してきちんと評価をしていくということとは違う、前から申し上げているように医師会の集票マシーンよりも外資系の保険会社や製薬会社あるいはそれに連なる構造改革論者の集金マシーンを優先しているということはあろうかと思います。17時まで日勤をした日の夜の午後9時半から深夜勤務を入るというような日が一月のうち5日あるというような看護師の実態というようなものもあろうかと思います。ただアメリカのみならず、他の国の場合には看護師に関しても、いままでの日本の準看護師、看護師というような非常に形骸化した形ではなくて、例えば本当に看護師の中でも専門的知識をお持ちであって優れた方と、また看護師見習い的な方で非常に日常的な例えばその患者の検温とか、排泄物の片付けとか、そういう方とそうでない看護師というような形もあります。これは決して差別ではなくて、皆さんもご存知のレストランやホテルであったってお皿だけをさげるバスボーイというのもあれば、注文をとるものも、マネージメントもいたり、あるいは料理の専門的知識を持ったものもいるわけでして、やはりこの点を看護師がすべてのことをコンビニエンスストアのようにすべてやるということが逆に看護師の労働負担になっていますし、あるいはまたその看護師が一律そうした給与であることが現在の医療報酬体系の点数の中で賄い切れないということになります。ですから決して職業格差をつけるというようなこととは違う意味でこうした点を勘案する必要もあろうかと思います。ただいずれにいたしましても、この点に関しても先ほどの少子高齢社会の本県からのプラン同様に具体的に案を作って提言をしていくということをいたしたいとこのように思っております。

 国連ではILOの看護職員条約を1966年ですけれども作成をして各国に批准を呼びかけております。看護の仕事というのは国民の命を守る仕事であり、また24時間病棟においてはずっと継続する仕事であります。看護のあり方、看護師の労働、生活条件をどうするか、これはまさに看護師の問題だけではなくて、国民の健康をどう守っていくか、ここに直結する課題だということを申し上げまして私の質問を終わります。



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