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2005年 09月議会
長野県立病院条例の一部を改正する
条例案にたいする質疑・答弁(9/27)
小林議員

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。



 長野県立病院条例の一部を改正する条例案について質問します。この条例改定の目的は在宅生活の人と、施設入所の人との格差をなくし公平にするということが政府の方針のなかで示されていますが、極めて疑問に思います。県として本当に不公平が解消できるのか見解をおたずねします。
 つぎに介護保険の見直しにより影響を受ける県の施設数とその内容は、それぞれの施設利用者の人数はどのくらいいるのかおたずねします。
 つぎに、国基準の条例改正案で示された基準額で徴収した場合に県としてどのくらいの増収になるのかおたずねをいたします。
 つぎに現状の食事サービスで実施するとしたら、県負担はどのくらいになるのか、具体的には増えるのか、増えるとしたらどの程度の負担が増えるのかを明らかにしていただきたい。
 つぎに説明資料では、介護3施設の食料費の比較で材料費を見ると介護3施設平均で16,891円とあります。さらに介護老人福祉施設が24,936円、介護老人保健施設が13,778円、介護療養型医療施設が11,959円と介護露人福祉施設の半額以下という説明がありますが、これだけの格差が本当にあるのか大変疑問に思うわけであります。よって県の施設の中の具体的な中身を額で示していただきたい。以上を衛生部長におたずねいたします。
 
 次に介護保険の改正は当然国が行なうものですが、全国でも各自治体が減免処置、新たな支援策などが行なわれようとしております。県の裁量権はどんな分野で出来るのか。現在県として支援策を考えていたらその具体的施策をおたずねします。
 さらにいくつか、具体的な数字的な点についておたずねをさせていただきますが、県下の介護保険の利用者に実態についてまずおたずねをいたします。
 介護保険を納めている被保険者ですけれども、その数が長野県でどのくらいおるのか、さらに認定者がどのくらいおられるのか、さらに認定者の介護保険の利用率はどの程度なのか、さらに利用されている皆さんがサービスの限度額に対する利用率はどの程度になっているのか。さらに今回の制度改正により県下の利用者の負担総額はどの程度になるのか社会部長におたずねして、第1回目の質問を終わります。


      【答弁 澤田衛生部長
       小林議員のご質問にお答いたします。小林議員ご指摘のとおり、今年の10月1日から施行されます介護保険法の改正はいわゆるホテルコストと呼ばれる部分を介護保険の給付対象からはずして利用者負担にするということにしたもので、これは昨年の9月7日厚生省の告知がございまして、今年の6月にようやくその標準負担額、いったいいくら負担をするのかといったことを話しまして、それで10月1日から実施をするようになったものでございます。具体的には入所者の居住費相当部分を全額利用者負担にするとともに食費については従来の食材料費のみの負担から食材料費プラス調理費相当分を自己負担とすると変えたものでございます。
       また、通所リハビリテーションの利用者からいただいている食費につきましても同様に調理費相当分が自己負担化されました。自宅でも施設でも居住費あるいは食費がかかるので利用者負担を公平にするために税制改正したという国の説明は一面そういう考え方もできるかと思いますが、これは最も大きな制度改正の理由は介護保険の支出を削減するためであると私ども理解してございます。今回の県条例の改正は10月より介護保険から支払われなくなる費用を施設を利用する皆さんにご負担していただくためのものでありますのでご理解いただきたいと思います。
       つぎに、介護保険のこの見直しによりまして影響を受ける県の具体的な施設の数と名称と利用者の定員についてのおたずねでございます。介護保険の利用施設として50人定員の阿南介護老人保健施設と同じく、また50人定員の木曽介護老人保健施設の2つの施設が県立ではございます。阿南施設にございます療養病床45床のうち30床は介護保険適応をしておりまして、木曽病院にある療養施設・療養病床48床のうち24床もまた介護保険を適応しております。したがってこれら2つの県の施設の老人保健施設と療養病床合わせますと入院入所定員数は154名ということになります。また、通所リハビリテーションの利用者の定員は阿南病院では5名、木曽病院では10名で実際の利用者はおのおの2名程度つまり両施設で4名程度というのが実態でございます。
       つぎに県の増減、つまり県の財政負担についてご説明を申し上げます。昨年の9月7日に示されました標準負担額は居住費が大部屋で1日320円、食費は1日1,380円とされておりまして、食費と居住費を合わせて1,700円の利用者負担が増えるということになります。利用者の所得がすべて標準世帯であると仮定して県施設の利用者数を勘案して試算いたしますと、年間の利用者の負担額は8,300万円となりまして現行制度と比べて4,500万円の県の収入増ということになります。しかし、今回の税制改正によりまして、介護保険からの給付は減ります。その減る金額は施設サービス料については1日1人163円減少、食費については1人1日1,220円ないし1,140円の減収となり、1年間では総額6,600万円の収入減と見込まれます。したがって4,500万円の収入増、6,600万円の収入減を差し引きますと全体として県は標準負担額、国の示しました標準負担額を実施するとこによりまして現状の人員をこのままでいきますとそれだけで2,100万円の減収ということになります。このために食材費、光熱費、調理費などのコストダウンを図り自己負担額はできるだけ国の示した標準額を維持するようにしながら赤字にならないように努力をしてまいりたいと考えております。
       また4つ目の食材料費についてでございます。介護保険その他のところの16,000円24,000円といったところとかなり大きな差があるのではないかとのご指摘でございますが、私どもの県では阿南の介護老人福祉施設では20940円、木曽の介護保険施設では24,690円、木曽病院の療養病床では25,470円という額になっています。以上でございます。


      【答弁 田中社会部長
       引き続き、小林議員のご質問にお答申し上げます。まず介護保険の実態につきまして最初ご説明させていただきます。
       まず平成17年7月31日現在ですが、介護保険の第1号被保険者数が518,556名となってございます。また要介護認定者数が83,480名となっております。そして現在介護保険を利用しておられる方が、これは平成17年5月31日現在ですけれども在宅サービスで52,697名、施設サービスで16,714名となっております。また在宅サービスにおけますサービス利用率は、これは平成16年度速報値でございますが、43.9%となっております。
       また今回の施設給付の見直しによります影響ということですが、影響を受ける方が総勢で約63,870名、月額で負担額として4億9千万というかたちでいま推計しております。そして、現在の低所得者対策ということですが、現在すでに低所得者の利用者負担対策の制度としまして国庫補助事業として訪問介護を利用する障害者に対する支援措置、社会福祉法人等に対する生計困難者に対する利用者負担減免措置、振興山村等地域に於ける特別地域加算にかかる利用者負担軽減措置がありましてこれに県も4分の1補助をしております。また、今回のこの施設給付の見直しによりましていくつかの市町村が独自で利用者負担の軽減を図るという記事等も出ておりますが、それ以外にもすでに現在73市町村で様々な独自の減免が行なわれているという状況にございます。そして県の裁量ということですが、このような市町村独自で行なっておられます負担軽減措置に対して県として単独で上乗せをしていくという裁量の余地はありますが、現時点におきましては市町村の判断と責任で行なわれていくものと考えております。
       なお今回この施設給付の見直しによりまして自己負担ができないということで必要な方が施設に入ることが出来ない、あるいは今施設に入られている方が自己負担することができないので退所をせざるを得ないという状況は県としても避けなければならないということは大変大切なことと考えております。それに向けまして長野県といたしましては利用者の負担がどうなっているのかということにつきまして、県の施設につきましてすべて調査を行って実態を把握していきたいということを考えております。そして調査の結果によりまして必要であれば当然国に要望をあげて行きたいですし、また更なる検討をしていきたいと現段階では申し上げることが精一杯でございます。よろしくお願いします。


 2回目の質問をさせていただきます。衛生部長のほうから答弁がありましたけれども、介護保険の今回の改定の最大の目的は介護保険の支出を削減することにあると、まさに私はここに深刻な事態が全県に広がろうとしているのではないかと思うわけです。特にそういう中で、在宅の皆さんとそれから施設入所の皆さんの不公平を解消すると言っておりますけれども、その具体的な中身も見ますと特別養護老人ホームの多床室では今回の改定によって入所者の負担増、54%の人が負担が増額になると、これは15,000円から25,000円これは国基準であります。しかし、国基準を上回る負担の増額が予想される自体も広がってきているわけであります。老人保健施設の利用者、これについては実に92%が負担の増を強いられると、それも24,000円の増が見込まれるわけですし、さらに在宅で通所利用しておられるショートスティやデイサービス、デイケアなどなどは利用者の100%が増額を強いられるという点から見れば施設そのものを利用している人の引き上げをし、さらに通所利用の皆さんの負担をこれほど引き上げることが今回の法改正から見てもまさに異常な事態ではないかと思うわけであります。そういう点で衛生部長におたずねいたしますけれども、特別養護老人ホームの入所者の割合が示されていりますが、第1段階が20%、第2段階が25%、第3段階が38%、第4段階16%という割合になっているわけですが、この割合がどうしてこういう状況がおきてくるのか、これは老健施設の場合95%近くが第4段階で認定されるわけです。こういう矛盾が今の制度の中でおきてきているのですが、これについて県の入所者の割合がどの程度になっているのか、そしてそれがどうしてこういう通所者、短期の利用者に重たい負担になっていくのか、その点について再度おたずねいたします。


      【答弁 澤田衛生部長
       お答えいたします。小林議員の今の割合の問題そして前段の負担額の増減の問題でございますが、現在の状況で前にも申しましたように県としては2,100万円の減収ということになります。そしてこれは非常に急なかたちでこの10月1日から施行しろとまいりまして、私どもの方といたしましては現在、ご指摘のような通所の方々の実際の負担額そして入所の方々の負担額、在宅の方々の負担額とその割合といったことをきっちと県内全体網羅した数字としてまだ確認するに至っておりません。10月1日からということで今回の条例改正お願いいたしまして、その上でその三者の比較をきちっとした上で、一体その2,100万円の県の負担減収ということが適正かどうかということを改めて検討してまいりたいと思っております。
       また、今の第1段階から第4段階のことでございますが、確かに県といたしまして食費に関しましてもその割合負担は第1段階が1.0、第2段階が1.5、第3段階も1.5、第4段階が2.6ということに増えて第4段階の方に多く増えてきておりますし、実際にその負担額も第4段階が最も多くなるということに試算ではなります。これは私どもも今申し上げましたように県内全体の負担を受けて受給を受けておられる方々の総数並びにその割合、実態をすべてまだ把握しきれておりませんので、それをきっちと把握した上でもう一度社会部と共に検討してまいりたいと考
      えております。


 いま、衛生部長から答弁ありましたように県のわずかな施設、50床、50床ぐらいの施設でも2,400万円の減収にならざるを得ないと、これ民間の施設から見ると大変なことで、これだけ減収にそれぞれの施設がなるわけですから本当に経営が成り立つのかどうかと、この部分をおそらく民間では、これ国の基準でやってもこういう減収になるわけですからこれがもし民間でやればこの分まで上乗せするということが当然考えられるわけであります。そうなったら本当に入所者にとっては支払い不可能という事態も起きるわけであります。
 そういうなかで、社会部長におたずねをいたしますが、先ほど社会部長は負担が多くて入所ができなくなったという部分については十分調査をして県として対応をしていくというふうに答弁されましたが、具体的にどういう対応をされようとしているのか、この条例を通す段階できちんと県民に説明しなければ県民からこの条例を通して安心なのかどうかということが問われると思うわけであります。そういう点で、いまの実態の中で入所者の負担が出来ない場合にどのような具体的な対処を検討しているのか、その点についておたずねして私の質問を終わります。


      【答弁 田中社会部長
       ただいまのご質問にお答いたします。10月から実態調査というのをまずきっちりやるというところが具体的にお示しできることでございます。その結果をきちんと分析をして必要なものが何かということを見極めていくという作業に入っていくということをしていきたいと考えております。よろしくお願いします。



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