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2005年 2月議会

長野県緊急対処事態本部条例など
武力攻撃事態法に基づく条例案に対する反対討論

小林議員(3/23)    

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。



長野県緊急対処事態対策本部条例など武力攻撃事態法にもとずく条例、「長野県国民保護協議会条例案(第39号)」、「長野県国民保護対策本部条例案(第40号)」、「長野県緊急対処事態対策本部条例案(第41号)」、「一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案(第38号)」の4件の条例案に反対の討論を行ないます。
 いずれも憲法を踏みにじり自衛隊の海外派兵の道を作り出した有事立法の制定に伴い提案されたものです。有事法制化には与野党共にこれでは国民が保護されないとの批判のなかで、新たに国民保護を口実に地方自治体まで有事に動員しようとするものであり、平和を願う多くの県民もこの条例には反対しており、このような条例を法律で押し付ける国のやり方にこそ抗議し、わが党もきっぱりと反対するものです。
 今後、「国民保護計画」を2005年度中に県で、2006年度中には市町村に作成させるため、この3月4日に国は国民保護計画のモデル案として「国民の保護に関する基本指針案」を公表しました。この「指針案」の問題点は、「有事」における国民総動員体制の設計書であるということです。県に対しては「防災体制と併せて担当職員による当直等24時間即応可能な体制の確保」というように平時からの有事即応体制の強化を求めています。
 国民には「国民保護措置」に「協力」するよう求め、「平素から教育や学習の場も含め様々な機会を通じて広く啓発に努める」として、学校教育の利用も打ち出しています。さらに「国民保護措置の訓練への参加の要請」も求めています。このように国民一人ひとりを有事の体制に組み込んでいこうとする意図が表れています。また、報道機関など指定地方公共機関を設け、公共機関も動員する仕組みになっており、大変危険なものとなっています。
 本来の国民の保護対策という面からは、産経新聞(3月5日付け)は、「住民自身が消火活動や被災者救援でどんな役割を果たすのかという核心部分が抜け落ちている」と指摘。中日新聞は、「現時点では、国民の不安解消には至っていない」と書いています。
 議第38 号は、国民の保護のための具体策の第一歩として、一般職の職員の給与に関する条例を改正して、国等から派遣された職員に武力攻撃災害等派遣手当を支給」するというものです。
 議第39号、40号、41号についてもその問題点は明らかです。
 台風や地震などは、自然災害であり、自然災害を防ぐことは不可能です。したがって自然災害に対しては、被害を未然に防ぎ、また最小限の被害に限定する対策が求められます。一方、「武力攻撃事態」は、本質的には政治的努力で回避可能なものです。いわゆる「武力攻撃災害」は戦争政策を第一にした政治ではなく、平和外交による政治によってこそ回避できるものです。日本国憲法第9条と相反する武力攻撃事態を想定した今回の「条例案」に基づく協議会の設置等は認められません。
 しかも消防庁が今回の条例の「参考例」まで示して促しているのは、条例制定を上から促進することと、全国の条例をほとんど同じ内容の条例にすることに目的があり、ここにも有事法制が本質的に内包している中央集権的な危険性が含まれています。これでは「国民保護」の名のもとに地方分権が形骸化されることになります。
 第2点は、現職自衛官の参加問題です。「県国民保護協議会条例案」では、第2条で「定数」を知事や県警本部長、教育長、自衛官などを除き40名と決めていますが、これはすでに設置されている「県防災会議」と同じ考え方です。従って今回提案されている協議会にも現役の自衛官(松本駐屯の陸自第13普通化連隊幹部)が参加することになっています。他県での自衛官の協議会参加人数を決めているところでは3名、あるいは4名としている県もあり、人数が増えることによって自衛官の発言力が強まることが危惧されています。
 今のところ県の協議会には自衛官は1名のようですが、40人の中に自衛官OBが参加することも予想されるが、今以上に参加しないよう望むものです。
 第3点は、第5条にある「部会」の設置です。この部会の具体的内容は明らかにされておらず、人数の規定についても明記されず、極めてあいまいな内容となっています。
「国民保護対策本部」、「緊急事態対策本部」の設置についても必要性がなく、災害等については現在ある「防災会議」を充実させることにより対処できると考えます。
 今こそ日本の平和憲法を守り、世界に向かっていかなる国際紛争も武力による解決は放棄せよ、このことこそが国民を武力攻撃事態から守る確かな保障です。改めて国の施策に抗議し、長野県から恒久平和の願いを世界に広げることを心から訴えて、反対討論とします。


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