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2005年 02月議会 小林議員の一般質問(3/9)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。

  1. 情報公開について
  2. コモンズ支援金について
  3. 組織再編について
  4. 廃棄物行政について
  5. 農政について
  6. 森林整備について
  7. 県産材利用について


1.情報公開について

 最初に情報公開について伺います。
 情報公開については、2月定例県議会前、開会後にも異例の総務委員会が開催され、さらに代表質問や一般質問でも議論されました。今回の知事の後援会幹部による下水道管理事業への働きかけ文書問題に始まる情報公開のあり方は、論議の過程のなかでも、また県の情報公開審査会の議論の中でも問題が明確になってきたと思います。
 そこで、改めて知事に質問しますが、今回の問題から時代の流れに即しメールを含めた公文書公開の新しい基準の作成を早急に行なうべきと考えますが、知事のご所見を伺います。

      【答弁 田中知事
       最初のご質問でございます。電子メールというもの、私が就任したころにはご存知のように県職員に1人1台のパソコン、また個人の県としてのアドレスと、公的アドレスと言うようなものはなかったわけでございまして、ここ数年で大変に変ってきたその中において利用されるようになってきたものであります。この電子メールというものはまさに東芝の問題というものが起きたときに確か筑紫哲也氏が便所の落書きだ見たいなことを言って大変な攻撃を受けたということもありますが、まさに郵便ポストに行ってはがきを出すというのではなく、自分のパソコンでクッリクをすれば相手に届いてしまうという大変に従来の伝達手段、糸電話の時代や飛脚の時代から比べれば全く意識の異なるものであります。従いましてこれは電話というものは相手がいてはじめて話せますが、そうでなくても一方的に送ることができるということでは電話以上に様々な意味合いにおいて便利なそして気軽なツールということになっているわけでございます。また、近年のIT環境の変化というのは大変に目覚しいわけでございまして、ブロムのようなものというものが既存の記者クラブ制度に守られたメディアというものをある意味では溶かしていくことになっているわけでございます。しかし、時代に即した文章の管理や公開制度の運用を考える必要があることは改めて申し上げるまでもございません。平成13年4月に現行の情報公開条例というものが施行されているわけでございます。この条例における公文書というものは実施機関の職員が職務上作成し、または取得した文章、および電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているものをいうというふうに第2条第2項で規定されているわけでございます。
       従いまして、この点で個々の職員に割り振られている公用の個人アドレスのメールというものは送受信を単にしたと言う段階では組織的に管理しているものとはいえないわけでございまして、公文書にするとの意志で印刷をし、また組織として共用した段階ではじめて公文書となってくるものであります。従いまして、公文書の公開と言うのは公開請求があった時点以降の対応方法だけを考えるのではなく、職員それぞれのメールの管理の仕方等含めて検討する必要があるわけでございます。こうした点を踏まえて電子メールを含めた電磁的記録の公文書性、公文書の定義など、情報公開条例の全般的な運用基準を定めてまいるということは必要でございまして、定めた運用基準に関しまして、公開をして公平性や透明性・公正性を図るということになろうかと思うわけでございます。



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2.コモンズ支援金について

 つぎに、コモンズ支援金についてお尋ねいたします。コモンズ支援金についても議論がありました。特に市町村から批判が出された問題点は、2月になって突然、県からの趣旨説明があり、支援対象事業や交付基準等が十分市町村と協議してこなかったことであります。この県議会にも市長会、ならびに町村長会から陳情が届いています。そこで述べられていることは、「今後は市町村予算編成に混乱を生じさせないよう、事業の改廃・統合・創設に当たっては、理念の構築の段階から市町村と十分な意思疎通を行なうよう配慮願います。」というものです。また、具体的な要望事項は8点ありますが、「総額15億円を確保すること。」、あるいは「特別枠の選定委員にも市町村長代表を加えるとともに、現地枠の選定委員の構成は、人員も含め現地に任せること。」などが提案されています。
 この提案は当然のものと思いますが、知事の所見を伺います。

      【答弁 田中知事】
       つづいてでございますが、コモンズ支援金に関しての部分でございます。先ほど例えば廃棄物に関して極めて先駆的な取り組みをしている自治体と言うものに関して上限1,000万円というまでのところで積極的に動きをサポートさせていただくということを申し上げたわけでございまして、この配分に関しましては、従来から申し上げているように一般分として概ね7割、特別分として概ね3割と言う形でございます。これは昨日も申し上げましたが、本県の目指すべき方向性というものを極めて先駆的に行なっているといったところを全県下により周知をさせていただき、またそうした取り組みが各地においても行なわれていく、こうしたことを特別分として配分させていただいていくというふうに申し上げているわけでございます。これに関しましてはコモンズ地域政策チームというまさに私どもの目指すべき方向性というものを日々市町村の状況等も踏まえながら取り組んでいるチームを中心をとして本庁での調整が望ましい事業というものの採択になっていくと考えております。ですから、それぞれの地域に根ざした一般分としての従来からの採択に加えて、良い意味での俯瞰的な視点の採択というもの、こうした複眼的な時代を見据えた戦略的総合的な意欲ある取り組みというものを特別分として支援をさせていただくということでございまして、これに関しましては本庁の職員を中心に調整をさせていただくということで従来から申し上げているところでございます。

 時間が無いので、あまり質問できませんが、1つコモンズ支援金については市町村も増額を要求する、基本的には大変望まれている部分だと思うわけであります。そういう点では引続き充実をしていただきたい。



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3.組織の見直しについて

 つぎに組織の見直しについてお尋ねします。これまで組織の見直しで、縦割り行政の弊害を改め三障害者の総合支援センターの創設など、大きな成果を上げつつある分野が沢山生まれています。その一方で、目まぐるしく変り、県民から極めて分かりにくいとの声も聞かれます。急激な変化は軋みや、ついてゆけない者を生み出しかねません。高齢者のグループホームや宅幼老所なども住みなれた環境を守りながら、自立した生活を営むことが出来る新しい施設として多くの高齢者から歓迎され、スムースに移行ができているのも理解が得られているからです。誰でも受け入れられる環境を作りながら新しいものを取り入れていくことが成果を上げるうえで大きな条件です。今回の組織の見直しは残念ながら受け入れられる環境は作り出されているとは言えません。県民の目線から県民や職員にも受け入れられる組織の見直しであるべきです。
 そして組織再編にあたっては、県民サービスの低下につながるようなことがあってはなりません。何のために組織再編するのか目的を改めて伺います。
 又、県民に直接接する現地機関に対しては人的配置を厚くすべきと思いますが見解を伺います。
 
 次に衛生公害研究所と自然保護研究所の統合により、新しく環境保全研究所が生まれました。しかし残念ながら、はるさめ誤検出という重大な事故が発生しました。
 環境保全研究所の検査ミスについては、個人の厳罰処分で済ませることではなく、統合したことによる人員削減、グループ制、決裁方法、組織のあり方等々の様々な問題点を検証しない限り、再び過ちが起きないか不安であります。この際、しっかりと検証を行ない、性格の違う2つの研究所を無理やり統合することを改めるべきと思います。知事の見解を求めます。

 次に、県職員40人の警察への出向は組合との合意、出向職員個々との合意が最低限の条件であり、出向する職員だけではなく県職員全体の問題です。たとえば児童相談所に教員2名を配置することも財政的には極めて困難と言いながら、40名の職員を警察に出向させることは県民からみても納得が得られるものではないのではないでしょうか。本来の警察職員の増員要求は知事を先頭に警察と一体となって国に要望すべき課題であると思いますが、いかがでしょうか。
 松林経営戦略局長の答弁では、説明してきたが合意が無いので、通常の人事異動と同様に行うかのような答弁でしたが、想定外の仕事に本人の同意が得られ無ければ仕事の意欲もそがれ、管理者への不信を生み出し管理者の意思とはかけ離れた事態が予想されます。あくまで本人の合意と納得に基づいて行なうべきであり、強制的な人事異動は行なうべきではないと考えるものです。また、十分な教育を受けないと県職員を交番などの第一線に配置して本当に県民の安全が守られるか不安であります。知事はどのように対処されるのかお尋ねをして1回目を終わります。

      【答弁 田中知事】
       組織の再編に関してでございますけれども、今議員のご指摘のところでございますが、県民に直接接する部門に関して人的配置は尽すべきではないかというのは、これは私の就任以来の大きな基本方針でございまして、これは、まさに本庁舎に勤務している者だけが県庁の人ではなくて、すべての現地機関を含めた、あるいは病院あるいは様々な機関を含めたすべての県民に対してのサービスをさせていただくものが県庁の職員ということでございます。その意味では、私どもコモンズITバスというものもより住民のもとに私どもから御用聞きに伺わせていただくと言う発想に立っているわけでございます。砂防事務所というものを砂防の分野だけにとどまらず、様々県民との窓口にさせていただくというのもこうした視点でございます。また、建設事務所というものを統合して支所化するという部分は、これはある意味ではそこに窓口は当然あるわけでございまして、また、職員の意識として、それ以外の自分の職掌分野以外のことでも、現在市町村に派遣している職員がそうしたことを自然に会得しているようにお話があれば、それをきちんと自分が営業マンとして他の担当部署にもつないでいく、また問題によってはそのことに関しても自分の直接担当ではなくても、オフサイトミーテックとして参加するという形はあるわけでございます。ですからある意味では建設事務所の支所というものはその窓口としてはより従来にも増して一人一人の職員の意識が深まることでサービスは向上してまいりますし、同時にまた建設事務所としての意思決定というもの、県民の皆様に対応するだけでなくその下で様々な判断をして、実施をしていくということのスピードはより建設事務所を統合することによって高まっていくわけでございます。つまりサービスの低下を防ぐことなく、サービスのアクセスポイント、またアクセスとしてお受けする内容に関してはより広くすると、同時にその意思決定や対応というものは早くするということが今回なお組織再編と言うものの中にあるわけでございますから、より県民に接する上で人的配置は対応が滞るというような場所は皆様からご指摘をいただいた場合に、それにすぐに検討をして対応できるような人員配置ということは行なうわけでして、これがまたまさに係ではないユニットと言う言葉を敢えて用いさせていただくというところにもつながるわけでございます。
       環境保全研究所に関しましては、これはまさに私たちが環境立県であるという環境先進県である長野県信州を目指すと言う下、いわゆる生活環境と自然環境を一元的に、また調査するだけでなく、研究をする、また実施をするというものを迅速に行なうという点から昨年に衛生公害研究所と自然保護研究所を統合させていただいたわけでございます。研究のための研究でなく社会的有用性を常に意識し、地球環境の保全と循環型社会システムの構築に向けて科学的・技術的サポートを行なうなど本県が推進する諸施策とのより緊密な連携を図った研究を進めているわけでございます。まさに、こうした中で環境保全研究所の多くの職員もそうした意欲を持って働くようになっているわけでございまして、これはまさに青山貞一氏を環境保全研究所長と任命した効果であると感じております。そしてまた、部長級の副所長というものを安茂里の庁舎にいるわけでございまして、飯綱の庁舎と安茂里庁舎にそれぞれ次長1名配置をして、所長との連絡を密にとっているわけでございます。これは青山貞一氏の奮迅ぶりというのは私も生活環境部長もあるいは衛生部長も等しく認めるところでございまして、やはりこれだけいい意味で寝食を忘れて本県の環境保全行政のためにご尽力いただいているということを議員諸氏においてもはやり謙虚に的確にご認識いただき、そのことをご評価いただきたいと私は思っております。こうした中で地球環境問題、循環型社会の形成など本県が 推進する諸施策とのより緊密な連携を図った研究を充実させるわけでございます。こうした中、自然保護研究所で行なっていた地球温暖化に関する調査も衛生公害研究所観測していたデータを解析に用いることが出来ると、あるいは機器の共用も本年度から行なうことができると言うような形が出ております。従いまして、この統合した効果というものは着実に現れているわけでございまして、議員諸氏も私の朝令暮改ということを普段は否定的におとらえでございますので、この問題に関しましては大きな方向性いうものが着実に見えておりますから、この統合というものをより効果が現れるようにすすめるところでございます。
       警察への県職員派遣に関してでございます。これは私どもの「優しさ、確かさ、美しさ」という中でその確かさということはとりわけ治安というものがあるということは申し上げているところでございます。県警への県職員の派遣に関しましては、ご存知のように今回多くのご尽力により40名の警察官の増員ということは認められたわけでございます。しかしながら、本県はいまだ人口比あたりの一人の警察官が担当する人口というものは大変に全国でも有数の多さになっているわけでございます。ある意味では1票の格差の逆のような形になっているわけでございまして、こうした中、治安の向上を図る意味では世界用語となった交番というもの、あるいは派出所というものが空き交番でないという形。まさに地域の方の安心ステーションになると言うことが必要であると、こうした観点から、平成17年4月1日から1年間の出向として派遣人員は40人程度予定をしていると言う形でございます。これは派遣する職員は警察へ出向いたしまして、警察での訓練・教育の下に県警本部長からもお話があったように、その統率下のもとで遺失物の受理や地理案内などの来訪する方への対応や活動実績等の統計業務や広報誌の作成といった交番における事務的な業務を担うことになっているわけでございまして、無論、交番には警察という範囲内のお仕事だけでなく、さまざまな住民の方、生活に関わる、あるいは県民生活に関わるさまざまなご要望であったり、ご相談であったり、あるいは困りごと、ご提案というものが当然くるわけでございまして、こうしたものをまさにきちんと対応させていただいていくというかたちでございます。2月21日から28日まで庁内公募を行いまして。複数名の職員からのご応募がありましてので、この職員を優先して派遣をし、また派遣をする職員に対しましてはそれぞれ所属長が直接本人に派遣候補である旨を伝達をして、そしてその勤務内容等を説明をし、本人の意思により判断をしていただくというかたちになっております。先ほど議員から想定外の仕事というようなお話がございましたが、しかし、これは県民へのサービスということであれば公務員を目指すという時には県民へ奉仕をするということはこれは当たり前のことでございます。私どもの1階にございます、極論すればコンシェルジュというようなものも、あるいは私の就任前に県職員に奉職をした者からすれば、想定外の仕事であるかもしれません。しかしながらこれは多くの職員に喜ばれているわけでございまして、あるいは市町村に派遣をして、市町村で研修をさせていただきながら市町村行政を共に行うと言うこと、あるいは市町村コンシェルジュというようなもの、もっと申し上げればゼロ予算事業というようなもの、あるいはもっと遡れば廃棄物に関して担当するというようなことも数十年前にはあまり想定されていなかったことかもしれません。その想定外の仕事かどうかというご質問自体がある意味では、お言葉返せばナンセンスでございまして、まさに県民へのサービスということであれば交番をステーションとしてのサービスは大変に誇り高いものでございます。ある意味では雪道お助け隊にお手伝いいただいている通常除雪作業等に携わっている土木建設業の方から、除雪のとき以上にチェーンの脱着ということを手伝うことで大変にお客様から言葉をかけて下さって、直接相対することでこんなに、まさに人のためにサービスにたずさわることの喜びを感じたことはないと言う言葉をいただいております。その意味おいては交番での勤務というものはまさに県民のために奉仕させていただくということを実体を持って職員がより実感し、また様々なデスクワークや会議だけでは得られない発想というものを得られる私は大変に得がたき機会になるとこのように感じております。


 組織再編ついては、現場に厚くサービスの向上をまさに目的とするという点では一層住民の皆さんから理解がある形で進めていただきたい。
 さらに、環境保全研究所の問題では、私は統廃合の問題だけではなくて、確かに優れた面も生まれてきていることは事実であります。しかし、その一方で、今回の誤検出という問題は、優れた部分があるからそれで済まされるという問題はなくて、こういう問題をきちっと検証していくことが大変大事な課題ではないかいうふうに思っておりますし、厳罰、厳しい処分をすることではなくて、組織的な解決策をきちっと作ることが求められているんではないかと思いますのでもう一度お伺いしたい。
 それから、警察への派遣については、決して警察に行くことが全く無意味だといっているのではなくて、想定をしていたかどうかと言う点は想定外だった。これは知事の思いではなくて、職員の思い私は言ったところであります。それと同時に、本部長にお尋ねしますが、警察の定数にカウントされるのか、また今後増員についての障害にはならないのかその点についてもお伺いをしたいと、またそういう努力をしても不足していたという段階なら、警察の県職員の派遣もありうると思うが、そういうことを知事いままできちっとやってきたのかどうか、その点について再度お尋ねします。

      【答弁 田中知事】
       これは私の就任当初や就任前から、本県の警察官は対人口比で非常に少ないと、また面積は全国4番目の面積でございますから、これは議員諸氏も増員をお望みになってこられましたし、私も警察庁長官とお目にかかるという形の中で、増員に関してはお願いをしてきているところでございます。この点は、国の側がその人数をきめるというかたちでございますが、今年度に関しても40名の増員ということが大変ありがたく認められたわけでございます。ただ、これをもってしても十分なかたちではありませんし、業務と言うのは多岐にわたるわけでございます。この中でとりわけ空き交番化が起きているということは、住民の精神的な安心感という点からも感化し得ない点でございますし、こうしたなか私どもが県警察本部側とお話し合いをさせていただいて、ご了解をいただいて今回のような制度となっているわけでございます。従いまして、これは警察にも深いご理解をいただいた上で行なうわけでございますし、また幸いにも多くの職員がそうした意義というものを深く認めて応募いただいております。また了解をいただいているというところであります。人事異動の発令自体はまだ内示も含めて先のことではございますが、こうした中で、滞りなく準備をいまさせていただいているところであります。ですから、この点に関しては、先ほどもお答えいたしましたように、今お答えしたとおりのものであります。定数の部分に関しましては、本部長へのご質問だったということでございますので、本部長からお答えがあるかと思います。
       職員の合意に関しては先ほども申し上げたとおりで、職員にも説明をして、合意を当然得るというかたちでございます。
       環境保全研究所に関しましては、これは先ほどご説明をしたとおりでありまして、この統合した意義というものは大変にあり、またその効果が現れているわけでざいますから、これをさらに充実させて推し進めるということであります。


      【答弁 岡警察本部長】
       このたび、知事部局より警察本部の方へ出向していただく職員の皆さんの定数上の扱いについてご説明申し上げます。この40人につきましては、警察職員の定数を決めております条例におきまして、警察官以外の一般職員の定数を暫定的に40名増員していただく条例を今議会にお願いしておるところでございまして、警察官以外の職員として40人を暫定的に増員するというものでございます。警察官の定数につきましては、議会のご支援もいただきまして国に強力に要請しておるとこでございまして、今後とも引続き要請活動を強めてまいるというふうに考えております。



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4.廃棄物行政について

 それではつぎに、廃棄物行政についてお尋ねいたします。
 商工生活環境委員会では、「信州廃棄物条例」について県下の全ての首長と懇談会を開催してまいりました。廃棄物条例の理念は異口同音に評価するというものでありました。多くの首長から一般ごみに対して県の関与が厳しすぎるとの指摘が出されました。
 私は全ての会場で「県の関与が厳しすぎるというが、これまで県は関与していなかったのか。これまでは関与どころか強力な指導でごみ処理を広域化し、大型焼却炉での対処を指導してきたのではないか。」という質問に、ほとんどの会場で答弁が得られませんでした。
 これまでの強力な県の関与にものが言えなかったのではないでしょうか、知事はこうした一般廃棄物の広域化計画を県の方針としてすすめてきたことを見直し、すでに策定後5年以上を経過した広域化計画を見直し検討すべきではないでしょうか。そうして市町村との協力関係を築くことが求められていると思うが知事の所見を伺います。
 日本共産党県議団は、県の産業廃棄物行政について排出事業者の責任で解決することを基本に、技術支援や情報提供、優良な産廃業者の育成と、不法投棄の監視、廃棄物の減量化などの指導を基本にすべきと提言してきました。県の阿智村の産業廃棄物処理の施設の対応も、中信地区の産廃施設の対応も、これまでの延長線であり、議会や地元との話し合いも、いつ再開するのかに終始してきましたが、県の産業廃棄物政策が見えてきません。
 知事は産業廃棄物行政の基本をどのように考えているのかお尋ねします。

      【答弁 田中知事】
       最初のご質問でございます。長野県ごみ処理広域化計画というものは平成11年3月に県がとりまとめたものでございまして、これはごみ処理施設から排出されるダイオキシン類の削減や分別収集の統一、リサイクルの推進によるごみ焼却炉の削減を目指して広域圏ごとに協議をし、合意を得たものというものであります。この計画策定段階ではごみ焼却施設は33施設あったわけでございます。これを平成31年度までに13施設に集約し、ダイオキシン類の排出量を削減していくというものでありまして、平成17年2月末現在では26施設というかたちになっております。この計画に沿って建設されたごみ焼却施設としては、南信州広域連合が平成14年12月に稼動を開始したものがございます。その他については策定後6年が経過をいたしておりまして、市町村合併がこの間に様々動きがございましたこと、また焼却施設を設置する地元との調整の要因、またさらにはこうしたガス化溶融路的な大きな施設というものとまたそうではないかたちでのごみへの取り組みというような社会の意識の変化と言うようなものがありますので、必ずしも広域化計画通りには施設整備が進んではいないということであります。この計画策定後のこうしたさまざまな諸事情によって広域化計画の見直しが必要となってくる場合にはこれは市町村や広域連合と協議をする上で検討するところでございます。県はこうした市町村への情報提供や情報交換の場の提供。あるいは広域的な見地に基づく調整といったことを市町村と共に行なうところなわけでございます。ちなみに現在26施設あるごみ焼却場を13施設に集約化していくことによって、そのダイオキシンの排出量で平成10年度に対して98.7%削減するというのが計画だったわけでございます。ただ先ほど申し上げましたようなさまざまなごみの問題というのはその処理の方法に関しましても非常に日進月歩で、想定している以上のスピードでございますし、減量化や分別化ということも想定以上でありますし、あるいは施設そのものの維持管理のあり方というようなもの、あるいは施設の適正規模というものやその範囲というようなものも日々変化はしてきているわけでございます。こうした、広域の中で、長野県ごみ処理広域化推進協議会というものが平成11年6月に設立されております。こうした広域単位で設置されました協議会に対して、地方事務所の生活環境課を通じて、さまざまな新しい情報提供や技術情報提供とこうしたことを行なっているところでございます。無論先ほど北山議員からお話もありましたように、リユースやリデュースということが必要でございますし、また杉並病のようなものを生み出さないかたちでのリサイクルというものもその検討のひとつに入れていくべきことなわけでございます。従いまして、その計画は単に焼却施設の高度化や集約化を図るということのみをめざしているわけではございません。全体としてのごみの減量化や分別化、あるいはリサイクルいうことを目指すものでございます。こうした中で、そうしたことを勘案した上でごみの量に見合う適正な規模の施設整備を行なうことを基本方針としているわけでございます。いずれにいたしましてもごみの問題に関しましては住民の意識の変化、あるいは産業界の対応の変化、あるいは生活様式の変化、様々なことがあるわけでございまして、そうした中で今述べましたように、適宜地域と検討するところでございます。
       産業廃棄物行政に関してでございます。これも従来はいわゆる産業廃棄物の業者や、また分けても不適切な処理を行う者への規制行政という、もぐら叩き的な後追い行政的な面が日本全体としてあったわけでございます。しかしながら本県はこうした中で新しい信州廃棄物の発生抑制と良好な環境確保に関する条例というものの要綱案の中にも示しておりますように、健全なる企業市民として、地域市民としての事業者や県民に対する情報提供や技術支援等によって廃棄物の発生抑制を推進をしていこう、このことが結果として本県に移り住む方や、本県の実態あるスリーバイスリーをすすめていくうえでのブランド化になるというふうに考えているわけでございます。こうした中、平成15年度から産業廃棄物減量化適正処理実践協定制度というものを設けたわけでございます。平成16年度において93社127件の協定締結をいたしております。これは、発生者たちの企業の意識の変化もございますし、また産業廃棄物の処理業者というものの健全な業者の育成へと、また実際に私どもの認識より深く自ら歩みだしているそうした産業廃棄物処理業者という者がいるわけでございまして、こうした者と一体になって発生抑制や適正処理を取り組むように政策誘導すると、また制度のいっそうの普及を図るということを行っているわけでございます。平成16年度には、循環型社会形成推進のため廃棄物の適正処理や資源化等の推進に率先して取り組んで顕著な実績を上げている功労者をきちんと表彰させていただくというかたちでございます。また、生活環境部にとどまらず、商工部など関係部局が林務部や農政部、土木部等さまざまございます。社会部も関係する、衛生部も関係するわけでございまして、有機的に連携し、人的のみならず財政的な支援も通じて、事業者に対する技術支援や情報提供を行っていくという形でございます。ですので、議員がご指摘のような優良業者の育成ということは私どもとしても大きく掲げて行っていくところでございます。社団法人の長野県産業環境保全協会や長野県産業廃棄物協会に対して、さまざまな研修会等の開催を委託をしたり、あるいは事業費助成も行い発生抑制、優良業者の育成に取り組んできているわけでございまして、こうした点は解体業の方々等は非常に私どもの認識をも上回る形でご協力いただくというようなかたちになってきております。


 では産業廃棄物の見直しについてお尋ねをいたしますが、優良業者の育成ということは私は大変大事な課題だと思うが、現在、阿智村に計画している県の施設、また中信地区に造ろうという施設こういうものを県が関与して、公共団体が作っていったら優良業者というのはどういう形で支援をして生まれてくるのか、なかなか見えてこないわけであります。そのへんについて具体的な対策をどうしていくのかについて知事にお尋ねをいたします。

      【答弁 田中知事】
       廃棄物に関してでございます。中信地区における廃棄物処理施設に関しましては、これはもうすでにお話しておりますように県がきちんと関与をするということを前提に民間事業者の参入ということを積極的に必要に応じて促進するというかたちですでにお伝えをしているところでございます。また、阿智村におきます廃棄物処理施設に関しましては、またこの議場の場で幾度かお話をしておりますように、産業廃棄物の実態調査の速報値というものに基づいて当初の計画していた状況とはかなり受入廃棄物の減量化が進んでいて採算性という面、また料金収入ということで公的な関与という中においてどのように判断をするかということで現在検討が行なわれているというところなわけでございます。



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5.農政について

 つぎに農政施策についておたずねいたします。
 農政の課題について順次質問します。
 最初に、特色ある米作り農家への支援について伺います。豊科町では昨年12月、有機米、特別栽培米に取り組む農家に対し、10アール当たり1万円の補助金を交付したとのことであります。
 国の補助金が一部の担い手農家のみに絞られ、多くの農家が切り捨てられようとしているなかで、町独自に特色ある米作りの支援策として注目する必要があります。
 有機米や特別栽培米をつくっている農家の努力と工夫は想像以上に大変であります。この労苦に町が応え、支援をしているのです。農家に意欲をおこさせ、励ましているのです。ぜひ県としてもこのような農家への支援をすべきです。有機米、特別栽培米への見解と支援について鮎沢農政部長におたずねをいたします。
 次に、小諸市の県営畑地帯総合整備事業について伺います。
 いわゆる小諸市御牧ヶ原の10万トンのため池事業は、本来、平成10年度から14年度までの事業でしたが、事業の途中で「ため池」の下流にあたる浅科村八幡区入の沢の住民から安全性への疑問や説明不足などを理由に反対運動が起こり、事業が凍結状態となっていました。
 昨年暮れ、県は工事の再開を通告し、そのことについて、1月15日に入の沢住民代表から県知事宛に文書が届けられています。どのように返答されたのでしょうか。また、どのように対応されるのか知事に伺います。
 この事業は県営事業ですが小諸市ではこの事業と合わせて、ため池を観光に利用するため農村公園整備事業を実施しています。
 小諸市長は3月3日の市議会において、この農村公園整備事業は芝生をはる程度に「縮小する方向で見直す」との答弁を行ないました。
 そこで伺いますが、当初の計画に観光利用がセットされており、すでに池の中に釣り客用のコンクリートの施設が作られるなど、この事業は公園整備と一体で進められてきましたが、小諸市が計画の縮小・見直しを表明したことにより、今後の県営畑総事業にどのような影響が考えられるでしょうか。
 また、地権者への説明及び意見聴取の必要性がでてくると思いますが、小諸市と共に早急に対応すべきではないでしょうか知事の見解を伺います。

      【答弁 鮎沢農政部長】
       
      お答えいたします。有機米や特別栽培米などに対する支援というお尋ねでございます。取り組みの状況について少しお話をしたいと思っております。県では、従来から有機米や特別栽培米の生産を地域の特色を生かした売れる米作りの取り組みの一つと位置づけ、環境に優しい農産物表示認証制度や農業者相互の情報交換、研修を行なうオーガニックライスネットの開催を通じました支援を行なってまいりました。県内では現在約77ヘクタールで化学合成農薬あるいは化学肥料を使わない米の栽培が行なわれており、特別栽培米等の化学合成農薬、化学肥料を削減した栽培を含めますとその面積は全水稲作付け面積、約3万5千500ヘクタールの、15年の数字ですけれども、これの2.4%850ヘクタール程度となっておるところでございます。平成16年度から「環境に付加を与る農業から自然と共生する農業へ」を政策目標としたしまして信州農業再生プロジェクトにより化学合成農薬、化学肥料を削減する栽培への展開を図っておりところでございまして、平成17年度にはこれらの支援策を大幅に拡充し、米のレス50栽培や化学合成農薬、化学肥料の代替技術の導入拡大に取り組む意欲的な実践者を支援したいと考えておるところでございます。ご提案ございました豊科町での取り組み、いわゆる10アール1万円の支援している、こういう部分についてでございますけれども直接的にこういう取り組みについて県が支援するということは現状では困難というふうに思っておりますけれども、私たちはこういう取り組み、有機栽培も含めて、こういう環境に優しい農業、これを目指している取り組みについて特に有機栽培農業者に対しましては今まで県の施策の目が十分行き届いていなかったと認識しているところでございまして、こういう取り組みも含めていろいろな活動している皆様方のご協力を得ないと県が農業者の皆さんと一緒になって環境に優しい農業を実現しようと、この実現は不可能だと考えておりますので、こういう取り組みをされている方々に対して活動費の助成につきましては17年度の予算で今議会の方でご審議いただいております中に載せてございますので、それらをわずかでございますけども使って活動支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

      【答弁 田中知事】
       小諸市の畑地帯総合整備事業に関してでございます。このため池工事はいわゆる御牧ヶ原に点在をしておりましたため池を統合して新たなため池を築造するという工事で平成11年度に着手したわけでございます。その後、事前の説明というものが十分でなかったことから、隣接する浅科村の住民の方々をはじめ、個人に対する不安、まさに台地の上でございますので、この池の安全性というような点、あるいは巨大なものであるという点からの様々な意見をいただいたわけでございまして、平成13年工事を一時中止をしたしまして、農政部を主体として話し合いをしてきております。昨年の12月に工事の一部を再開したい旨の方針を地元に伝えたわけでございますが、これに対しまして、私どもの方に文章をいただいたわけでございます。この文章では再開方針に対する不安、あるいは知事としての私の現地視察をお求めになっているわけでございます。新潟の中越地震の際に国の基準で作られたため池の堤の部分に亀裂が入って住民が避難したというような情報もあるということで、この10万トンの調整池というものが安全であるかというご指摘なわけでございます。また、住民の方からの申し出によれば、この池の場所というものは地籍的には悪土山(あくじやま)と悪い土の山というふうに書く地名であるということからも、これは歴史的に見てもいかがであとろうかというようなご指摘をいただいているわけでございまして、私としても現時点、雪等があるという中で農政部とも相談をして、この春の訪れと共にできるだけ早期に私も現場にお伺いをいたし、関係の方々とお話し合いをきちんとさせていただこうというふうに考えております。
       小諸市の側の農業公園整備事業というものが縮小見直しというふうに小諸の芹澤勤市長が議会で答弁なさっているとご指摘でございます。この事業自体は小諸市の単独事業として県営のため池整備にあわせて、いわゆる農村公園の整備を行なうというものであるというふうにうかがっております。この公園計画の縮小見直しということはその意味においては小諸市の単独事業でございますので、小諸市がご判断なさることであります。ただ、この公園計画自体はため池の周辺をあくまでもどう利用するかということなわけでございます。従いまして私どものこの県営事業に付随して小諸市の側の計画というものにも逆に影響はあるということであります。ただ小諸市は私どものこの計画が一時中止している中で農業公園の整備事業事態を縮小見直しされるというふうにご発言をなさっているということであります。従いまして県営事業の側への直接の影響ということが何等か生ずるというものでは直接無かろうと考えています。



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6.森林整備について

 つぎに森林整備についておたずねいたします。
 里山整備の促進について質問します。
 森林間伐は着実に進んでおります。私は山歩きが好きで山菜取りに良く出かけますが間伐した材木が放置され歩けない山も増えており、近年間伐が飛躍的に進んでいることを実感しています。その一方で里山の民有林は手の入らないところが多いことに危機感を持つものです。4〜50年前は枯れ枝や落ち葉も無いほど綺麗な里山であったが、今は人の手はまったく入らず放置されたまま、すでに間伐の時機を失し線香林といわれる林も多数見受けられます。山に入れば風倒木が幾重にも沢川に重なり、V字型に削られた谷は人の侵入すら拒み、集中豪雨に見舞われれば土石流となって民家を襲う危険が広がっております。
 これらの民有地は世代が変わり所有者すら分からず、放置されているのです。こうした中でどんなに森林整備を呼びかけても所有者に自覚が無いのと、補助事業がどんなものがあり、何が対象になるかも分からないなかでは整備は進みません。補助事業の内容と利用の実体はどうなっているのか、また所有者の実態すら分からないなかで、これらの現状を把握した山作りの指導的役割を担える人材が無ければ解決できない課題です。又、森林改良普及員や林業士、指導林家などの役割をこうした課題に結びつけることが必要と思いますが、どう考えておるでしょうか。

      【答弁 鷹野林務部長】
       お答えを申し上げます。まず里山関係についてでございますけれども、本県の森林の状態でございますけれども、本会議ご答弁で申し上げたところでございますけれども、今後10年から15年が間伐のピークというふうなことでございまして、間伐を必要とする面積は約25万1千ヘクタールになろうということでございまして、新たな間伐総合対策におきまして、平成16年度から20年度までの5年ヶ間で8万6千ヘクタールの間伐を計画しているところです。現在策定中の森林づくり  に沿って間伐を中心にした森林整備を積極的に推進してまいりたいと考えております。特に里山についてでございますけれども、これにつきましては今回施行されました森林づくり条例に基づきまして里山整備利用地域の制度があるわけでございまして、この認定を進めながら、その整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。このため、従来からの里山整備のための補助制度に加えまして平成17年度新たに景観上重要な森林なので早急に整備が必要な森林につきまして、特に県と市町村が協力いたしまして、所有者負担なしで間伐等行ないます、公的里山機能強化整備事業を計画しているところでございます。また、森林整備事業の制度周知等についてのご質問があったわけでございますが、現在地方事務所の林業改良普及員が地域懇談会あるいは個別の森林所有者を対象に、間伐や間伐に関わる補助制度の理解の促進を図っているほか、毎年補助制度解説用の冊子等も作成いたしまして、市町村・森林組合等に配布するなどにより理解促進を図っているところでございます。里山の現況に鑑みてどう進めていくかというふうなご質問かと思いますが、これにつきましては、今申し上げましたこうした林業改良指導員の普及活動による補助制度等に関する理解促進、さらにはその活用による森林整備の促進を基本といたしまして、市町村あるいは林業士など地域の森林林業関係者とも連携をいたしまして、条例に基づく里山整備推進協議会の活動ですとか地域懇談会、自治会の会合等に寄合い参加活動といたしまして職員が積極低に出向きまして、補助制度等を説明することによりまして、地域の皆様の自主的・主体的な里山整備の仕組みとしてのコモンズづくりを支援いたしまして里山の整備を促進してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、手入れが行き届かない、行き届ききっていない里山などの森林整備は大きな課題でございます。森林づくり条例に基づく県民の主体的な参加による新たな森林づくりを積極的に進めまして整備保全を図ってまいる所存でございます。

 それから、森林整備の問題では、林業改良普及員などなどが積極的な様々な分野に指導や援助を与えておると言われていますが、例えば上伊那に林業改良普及員が何人おられてどこの配置がされておるのか、具体的にお聞きをしたい。

      【答弁 鷹野林務部長】
       上伊那地域に於ける林業改良指導員の配置状況でございますが、4名でございます。



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7.県産材利用について

 つぎに県産材の利用促進についておたずねします。
 地球温暖化の一因として、森林の減少を危惧しています。日本の木材のほとんどが外材に頼り世界の森林食い漁っているとの批判が寄せられております。その一方で国産材の利用はなかなか進みません。間伐材の利用の促進は様々な補助事業で進みつつありますが、林業は100年のサイクルと気の遠くなるようなサイクルの産業だけに、夢をもてるようにしなければ山林の再生は出来ません。利用促進のために、消費者と県産材の加工業者、生産者などのミスマッチがたくさん生まれていることもこの間調査の中でわかりました。これらを解消することは、成木材の利用は進めるうえでも大変大事なことであります。今から県産材の調達、製材、販売ルートの確立が求められますが、どのような対策を講じようとしているのか、県産材の安価な供給が必要ですがこれにどう考えておられるか。
 長野市の北信木材流通加工センターでの経験も生かし、全県的なネットワークを検討すべきと思いますが、林務部長のご所見を伺います。

      【答弁 鷹野林務部長】
       つぎに県産材利用に関してのご質問でございます。ご質問にございました、北信木材流通加工センターでございますが、北信地域の森林林業林産業関係者が一体となりまして、地域材の生産から流通・加工にいたる安定供給体制を確立するため平成7年から10年にかけて整備され素材生産・流通・加工の3部門ごとに協同組合により運営されているものでございます。私ども、これまでに生産・流通体制整備の一貫としまして北信地域のほか、原木流通拠点施設3箇所、県産材製品加工流通拠点3箇所など供給側、川上側でございますが、これを中心に体制整備を進めてきたところでございます。議員ご指摘のとおり、県産材の調達・製材・販売ルートの確立は急務でございます。県産材流通の現状を見ますと、最大の課題は需要拡大にあると考えております。このためエンドユーザーの視点に立った販売戦略を立て、需要拡大に積極的に取り組みますとともに、現有の供給体制を最大限に生かしたエンドユーザー側、川下からでございますが、その川下からの調達、製材販売ルートづくりを進めて参りたいと考えております。このためエンドユーザーの視点に立ったルートづくりの一貫といたしまして信州木材認証製品センターによる県産材製品や県産材を使った住宅建築に関する情報提供の強化と産地・品質の認証制度の強化を積極的に進めますと共に、中小木材製品認証工場を核とした一定の品質の県産材製品が安定供給されるネットワークの強化をして支援してまいります。また、近年素材生産から流通、住宅建築までの関係者が連携いたしまして地域材を使った顔の見える家作りを進める動きが活発化しておりますので、新たな県産材利用のネットワークとしたしまして、信州木づくりの家認定制度により住宅部と連携して積極的に活動をして、支援してまいります。いずれにいたしましても当面する森林・林業行政の最大の課題の一つがこの県産材の利用促進でございます。今後ともこれら施策を駆使いたしまして、鋭意利用促進に取り組んでまいる所存でございます。以上です。

 それから、県産材を活用するうえで私はいくつものところを歩いて調査をしてまいりましたが、まさにありが象に挑むような状況なんだと、県産材を使うという業者は。その多くが何が問題なのかといえば、消費者、県産材や木造で住宅を建てたいと言う人は比較的、若干高くても作りたいと言う人が出始めてきていると、しかし、こういう人達がそういう要望に応えられるかということになると、大工さんはなかなか材料が手に入らない。また設計者にしてみると、木造建築で利用者に期待に応えられるような設計がどこでも提供できるかと言えばこれもまだまだ甚だ問題だと、いうような様々な矛盾。また製材業者は材木がほしいと言うけれども、それが受け入れられない。こういう問題も沢山あるので、そのへんの現場をしっかり見つめたミスマッチの解消対策をもう一度お伺いいたします。

      【答弁 鷹野林務部長】
       それから、もう一つ県産材の流通に関わって、流通に関してミスマッチが起こっているではないかと、それについてどう取り組むのかというお話でございます。業界なりユーザー側のお話をお聞きする中ではやはり欲しいけれどもなかなか県産材が見えない、手に入らないという状況、あるいは一般的に高いといったようなお話もお聞きするわけでございます。そういう中で議員ご指摘のとおり、そういう部分でも流れをよくすると言うことが必要かと思っております。そうふうな点でいきますと私先ほど申し上げたとおり、川下からの流通体制の確立ということを目指して進めて行きたい。それからもう一つ大事なことは、需要拡大ということがございますので、ユーザーの目線に立った対応を進めていく必要があるというふうなことで、先ほどは県産材に関わる情報提供体制あるいは県産材に関わる産地ですとか品質に関わる認証制度の強化と申し上げたわけでございますけれども、私ども自身はそのような中で新たな県産材利用の取り組みというふうな動きも地域に起こっているわけですから、業界の皆様とも十分ご相談しながら県内の流通体制の抜本的な見直しに取り組んでまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。以上でございます。


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