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2004年 12月議会
「県議会議場の日章旗を撤去する決議」
毛利議員の提案説明(12/13)

小林議員の賛成討論(12/13)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。



毛利議員の提案説明

 議第3号「県議会議場の日章旗を撤去する決議」につきまして提案説明をいたします。

 去る10月8日、県議会議場へ「日の丸」を掲げる問題ではじめて全員協議会が開催されました。この席上において、本質的な話し合いには入れないまま決め方を話し合っている段階で、慎重に時間をかけて審議してほしいという意見を無視し、「採決先にありき」で採決が強行され、本定例会から掲揚されています。そもそも議会運営委員会、各派代表者会議の議論を経て、全員協議会の場に議論が移されたのは、それらの会議では一致を見ることができず、一人一人の議員の内心の自由にかかわる問題であるがゆえに対等の立場に立ってそれぞれの思いのなかで、意義や目的など十分な議論を尽くすことにあったのではないでしょうか。
 決定方法に抗議し2割以上の議員が退場するなか、出席者の3分の2以上ということで、一方的に強行採決したやり方は慎重さと配慮に欠け、民主主義のルールからもかけ離れています。
 「日の丸」は戦前の軍国主義の時代に、他国への侵略戦争に際して、国民の戦意高揚のために使用された歴史的経緯があり、日本国民ならず、世界の人々とりわけアジアの人々に深い悲しみと憤りをもたらしました。
 「日の丸」に接することで、辛く悲しい思い出を想起したり、国民主権を制定した憲法の基本原則にふさわしくないという信条を持ったりする国民も少なくありません。
 憲法19条では「思想および良心の自由はこれを侵してはならない」と規定しています。「日の丸」を掲げるか否かはすべからく思想・良心など内心の自由にかかわる問題であり、「国旗・国歌」と制定するまでに半世紀以上の歳月を費やし、これを制定した国会においても当時の小渕内閣総理大臣は「国旗の掲揚に関して義務付けを行うことは考えていない」旨答弁しています。議場は議員ばかりでなく様々な考え方や感情をもった県民が傍聴にくる公の場です。県民の思想信条内心の自由に慎重に配慮した対応でなければなりません。
 「日の丸」は既に慣習として定着しており、長野県以外の全ての都道府県の議場において掲揚されているとの議論もありますが、満蒙開拓団を日本でダントツ一番多く送った県であり、中国残留孤児問題もクローズアップされているもとで、今なお癒されることのない苦難を強いられている皆さんも多く、「日の丸」掲揚が県民の利益につながるとは思えずむしろ掲げないことが誇りではないでしょうか。
 「日の丸」掲揚問題の核心は強制しないことにあります。いま東京都の教育現場では「日の丸」掲揚、「君が代」斉唱の強制をめぐって起立や斉唱しない生徒にたいし、教師を大量に処分するという大変な事態がおきています。全員協議会での採決の強行はこのような強制につながるものであり、改めて時間をかけて慎重に議論することが求められていると思います。
 以上の理由から「県議会議場への日章旗を撤去する決議」をあげていただきますようお願いいたします。

 



小林議員の賛成討論

 議題3号についての賛成討論をいたします。
 この問題はこの間議会運営委員会や各派代表者会議でも議論をして、その結論がいたらないまま全員協議会で議論をしようということで全員協議会にはかられたものであります。この中で何が大事か、全員協議会で十分な議論をし、そして合意が出来て初めて実現する課題だということであります。しかし、残念ながら全員協議会では議場に「日の丸」を掲げる目的もその理由も一言の提案もありませんでした。ただ出されたのは議場に掲げるか、掲げないかの採決をしようという提案でありました。これは皆さんご承知のとおりであります。こういう中で本当に必要なのか何が目的なのか議論をしようということで多くの議員が議論を十分保障すべきだと、採決を提案するべきでないという意見が続きました。しかし、残念ながらそういう状況には至らず、採決を強行するこういう時点で多くの議員が全員協議会の席から退席をせざるを得なかったこの事実も皆さんご承知のとおりであります。そういう中で私たちはこの問題が本当に全員協議会の場で十分議論を保障することが何故できないのか、このことを強く訴えたいと思っているわけであります。そういう民主主義のルールからいっても本来議論をしようというのに、その提案説明もないまま議論が打ち切られる、こういうあり方が民主主義という大事な場でやられていいのかどうか、ここはしっかり考えていただきたいと思うわけであります。さらにもうひとつはこの「日の丸」というのが多数で決めればいいとかそういう問題ではなく、あの内閣総理大臣、私が言うのでありません。国の総理大臣がこの国旗としての位置づけを強制的に押し付けるものではない、明確に言っているわけであります。国会での公式な見解になっているわけであります。強制してはならないということはどうなのか、先ほど多数で決めて民主的な議論を経て決めた、だから強制ではない当たり前のことだこういっております。しかし皆さん、内心の自由というものは多数決で決めるとかいう問題ではないということを内閣総理大臣も国会の場で認めて、天皇陛下ですらあの東京都に「日の丸」を強要してはならないと表明しているではありませんか。こういう中で法律とは違います。税金を取るという法律を決めて強制すること、道路交通法を作って強制することとはわけが違うんです。内心の自由というのはそういう強制をすべきことではないということを国会でも明らかにし、そういう中で、自主的に掲げることに私は何の異論も示すものではありません。そういう中で内心の自由を保障する最も大事な議会で全員一致でやることが私は本来あるべき姿だということを一貫して申し上げてきたし、これまでもそのことが当然として議場に「日の丸」を掲げずに長年長野県では経緯をしてきた経過があるわけです。こういう先輩の大変貴重なこれまでの意見を大いに尊重をして、議場からの「日の丸」の撤去を心から皆さんに訴えて賛成の討論させていただきます。



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