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2004年 12月議会
「自衛隊のイラクへの派兵延長を取りやめ撤退を求める意見書(案)」提案説明

藤沢議員(12/13)    

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。



 議第5号自衛隊のイラク派兵延長を取りやめ撤退を求める意見書(案)についての提案説明をいたします。
 12月14日期限切れを迎える、自衛隊のイラク派兵を、政府は一年延長することを閣議決定しました。
 朝日、日経などマスコミ各紙の世論調査でも派兵延長には6割を超える多数の国民が反対を表明しているにもかかわらず、小泉政権がこの世論を無視し、国民への説明責任、国会での審議という最低限の義務も放棄して独断で決めたことは、国民はもとより、与党である自民党関係者からも大きな怒りの声があがっているのはご承知のとおりであります。
 私自身も心からの怒りを覚えます。
 提案にあたり、様々な思いはありますが、三点について主旨を述べさせていただきます。まず一点は派兵先のサマ−ワを特措法に規定した「非戦闘地域」としてきた政府の説明は根底から崩れているということです。
 イラク特措法第二条は自衛隊が活動できる地域を現に戦闘が行われておらず、かつ、そこで実施される期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域と規定をしています。 
 政府が派兵を一年延長する一方で基本計画に自衛隊撤退を想定した項目と宿営地を狙った攻撃に対処するための対迫撃砲レ−ダ−を配備することを追加したことは政府自身が戦闘がありうることを認めたことに他なりません。
 サマーワではこの数ヶ月間で8回の迫撃砲ロケット弾がうちこまれ、オランダ兵に死傷者が出て、オランダ軍は来年三月で撤退することになりました。
 又、宿営地には 爆発をしなかったとはいえすでに二度も迫撃砲の二倍の威力を持つロケット砲弾が打ち込まれました。政府はこのような状況下で自衛隊員の安全を守る責任を果たすことができるのでしょうか。
 派兵自体が憲法違反でありますが、イラク特措法をもってしても自衛隊の撤退は自明の理であります。
 二点目は米軍のファル−ジャ住民への無差別攻撃をはじめ無法な武力弾圧がイラク国民の怒りを拡大し、イラク情勢の深刻な悪化を招いている中で、自衛隊が多国籍軍の一員として活動を続けることは、イラク国民との取り返しのつかない事態に繋がりかねないきわめて危険な状況に日本を陥らせていることです。
 大野防衛庁長官はわずか五時間半の、それも治安責任者との会談もないイラク、サマーワへの治安状況調査の結果を予断は許さないが、安定している、自衛隊はイラクで歓迎されていると述べていますが本当にそうでしょうか。
 私はイラクの人々を支援されてきたボランティアの皆さんのお話を聞く機会が何度かありましたが、イラクの人々の日本人や日本に対する感情は大きく様変わりしてきたといいます。
 もともとイラクの人々は日本が大変好きであったとのことですが、米軍の蛮行を評価する小泉首相、日本政府の言動や自衛隊の派兵以後反感と憎しみの目で接してくるようになったといいます。
 とりわけ、6千人もの民間人を犠牲にしたファル−ジャ総攻撃を成功させるべきと全面的に支持した小泉首相の言動と政府の対応は、イラク国民の日本に対する反感を益々大きくしたといわれています。
 四方八方からファル−ジャの町を包囲した米軍は、テロリスト掃討を理由にして、多くの罪のない女性や子供たちまで殺したのです。
 マスコミが取り上げた現地からの声です。「私たちに何の罪があるのですか。私はテロリストですか、子供たちはテロリストですか。米軍は家の全てを破壊し、持ち去りました。これからどうやって生きていけというのか。」米軍に真っ黒に焼き尽くされた家の中で泣叫ぶ女性です。
 「米軍はクラスタ−爆弾をはじめ、あらゆる種類の兵器を投入して地区を破壊し尽くした。米兵は建物の屋上に上がり、そこから、老人、女性、子供の区別なく、動くもの全てを銃撃した。私たちは民間人です。と告げる暇さえ与えず、銃撃してくるのです。テロを口実にこのような攻撃をする米軍こそテロリストではないか」と訴える父親の怒り、足をもがれた瀕死の子供たちを助ける術もないイラクの医師たちは、「世界よ助けて」と呼びかけています。
 この叫びを、怒りを私たちは正面から受け止めるべきではないでしょうか。
 アメリカは自由と民主主義の戦いと言いながら、子供たちから生きる自由さえ奪っているのです。
 テロ掃討のためと言いながらテロを再生産する憎しみの連鎖を生み出しているのです。
 日本はこれ以上米軍の共犯者としての道に踏み込むことはなんとしても避けなければなりません。自衛隊の撤退で日本の良心を示すことを政府に求めようではありませんか。
 三点目は大儀が根底から崩れたイラク戦争への加担は世界の流れと逆行するという点です。
 フセイン政権は大量破壊兵器を保有せず、開発計画も無かった。との米調査団による報告書が発表され、イラク侵略の大儀が根底から崩壊しました。
 米国の言い分をオウム返しに繰り返してきた日本政府の立場も根底から崩れたと言うことであります。
 大量破壊兵器があると戦争をはじめ、その口実が崩れるとテロとの戦いなどとして戦争と占領に固執し昨年の開戦以来、10万人ものイラク民間人の命を奪った無法な戦争を続けるアメリカと支援者に世界から厳しい目が向けられています。
 イラク戦争を支持しているのは、国連加盟国191ヶ国のうち49ヶ国そのうち派兵は37ヶ国です。しかもスペインをはじめ7ヶ国がすでに完全撤退し、現在継続を決めているのは20ヶ国に過ぎません。
 今年9月、北京でアジア政党国際会議が開かれました。
 35ヶ国から83の政党代表が参加して確認された北京宣言には国連憲章に基づく戦争の無い世界、テロを無くすための理性的な方策、各国の自主的発展の尊重と内政不干渉が圧倒的多数の政党の合意として盛り込まれました。
 わが国がアジアに広がる大きな平和の流れに逆行し、孤立することの無いよう、道を誤ることの無いよう長野県議会の名に於いて、政府に自衛隊の撤退を求めようではありませんか。議員の皆さんのご賛同を心からお願い申し上げ提案説明とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。


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