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2004年 9月議会 毛利議員の一般質問(9/28)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。

  1. 県財政ついて
  2. 入札制度について
  3. 治水対策について
  4. 福祉大学校について
  5. 越県合併について


1.県財政について

 財政問題について知事にお伺いいたします。
 県の借入金残高は1兆6000億円をこえ、起債制限比率が全国ワースト2位となり、危機的な状況に直面していると2001年12月「県財政緊急事態宣言」を発表し、さらに2002年4月に「財政改革基本方針」が、2003年2月には「財政改革推進プログラム」が策定され、「単に収支の帳尻を合わせることではなく、これまでの常識や慣習をよい意味でうちやぶり、真に必要な施策に大胆な発想で財源配分を行うとともに、産業の活性化や雇用の創出を図ることにより、安定的な財源を確保し、21世紀型の新たな財政システムを構築する」と新しい財政構造の枠組みを提起しました。
 このなかでは旧来の「有利な起債」という美名のもと、国が誘導するままに借金を重ねる大型公共事業依存体質から脱却して、借金を減らしながら、身近な社会資本整備に重点をおき、福祉・医療・教育・環境・雇用を中心に県民要望にこたえるための予算を配分するという住民本位の政治への大転換がはかられました。
 それらは今議会へ提案された補正予算のなかでも宅幼老所の増設、身近な道路の補修、信号機設置、河川浚渫、林業振興ための機械購入などとなって現れています。
 結果は、公共事業費を1とした場合の社会保障費の割合が吉村県政の90年代は0.2ないし0.3であったものが0.78まで画期的にひきあげられ、歳出の構成比ではそれまでトップだった土木費を抜いて教育費がトップになりました。
 さらに、新たな借金を極力抑制するなかで、95年には歳入の2割が借金でまかなわれていましたが今ではその半分に減り、02年から03年にかけて全国でも初めて県債残高が減少に転じたことは特筆すべきこととその努力を評価するものです。
 しかし、今年の予算編成は国の大幅な地方交付税や国庫補助負担金のカットなどをうけて370億円もの財源不足となり、再び財政困難に直面しています。国の一方的なやりかたに心からの怒りを覚えるとともに、もし、財政改革をやっていなければたいへんな事態に陥っていたであろうと背筋が寒くなるおもいです。
 そこでいま「財政改革推進プログラム」の見直しが余儀なくされており、見直し案が提案されていますが、知事にいくつかお伺いいたします。
 まず、国の三位一体改革の行方は地方自治体にとって重大問題です。04年度の長野県全体への影響額は、市町村のマイナス379億円を加えれば、7百数十億円となり、松本市の年間予算に匹敵するほど膨大な額になります。
 初日の知事の提案説明のなかで、理不尽なあり方について他県の知事とも協力し合いながら中央政府にきちんと働きかけていくという強い決意が語られましたが、それとあわせて是非、5月25日には地方6団体が、立場の違いを超えて日本武道館にあつまって、総決起大会を開催したり、8月27日には「財政危機突破県民集会」が県経営者協会や連合長野など幅広い皆さんと共同の力で開催されているわけですからこの取り組みを大事にして県民世論をもりあげ、県をあげて県民の立場にたった「地方財政のありかた」を発信していって欲しいと思いますがいかがでしょうか。
 財政改革の方向として地域密着型公共事業のあり方や、3×3の方向性の基本は支持しますが、扶助費の削減や受益者負担のみなおし、特に入学金や授業料などの見直しは賛成でき難いものです。高校授業料の値上げは今年2月議会で議員の意志として条例が否決された経過もありますし、ある高校の資料によりますと、授業料の減免額は年々増加し、96年にくらべて、03年度は2倍になっており、総授業料の11%にもなっています。親の雇用環境も悪化しているなか、負担の増大はいっそう苦難をおしつけ減免の増につながり、収入に反映されるどころか、むしろ悪循環を拡大させるだけではないでしょうか。値上げによる収入増は2億円。この程度ならもっと他のムダの洗い出しや見直しをするべきであって、県民に負担をおしつけない一層の努力を求めますがいかがですか。

      【答弁 田中知事
       私が就任したのは平成12年の10月26日でございます。途中で不信任も受けておりますけれども、その12年の2月の議事録というのをずーと見ておりますとですね、県の側はですね、平成16年には収支の均衡が取り戻せる見込みと言ってまして、これは日本共産党のみならず当時の社会県民連合の柳沢政安さんがやはり県財政を起債依存から健全財政に切り替えるときじゃないかというふうに言ってんですが、県の側はですね、平成16年度には県の基金を一切使わないでですね安定した県財政になるっていってたわけでございます。ですから私はそんなことはないと言うことを申し上げたわけです。そんなことはないと、財政再建団体なりかけてるというふうに申し上げて起債制限比率ワースト2だと申し上げたとき、この議場において幾たびもおまえがそのようなことを言うから県の景気に影響するというお叱りを受けました。
       しかしながら今お話があったように仮に私どもが財政の再建ということをしてこなければ1日あたり3,300万円、年間120億4000万円の利息の減額というような形をしてこなければ、これはもう本当にいま総務省の進駐軍がやってきていたわけでございます。今のご質問のところでございます。
       それぞれの自己の負担というようなものはこれはどんな国においてもあるかたちではございます。今のご指摘は大変耳が痛いところはございますが、しかしながら、私ども今回もう財政再建プログラムをごらんいただいていると思いますが、これだけの努力を重ね当初を上回る基金残高になってもなお300億円を超える交付税のやおらの減額ということがあってすすめるわけですから、その中においても、教育・医療・福祉・環境また雇用ということに関して力を注ぐと申し上げております。その努力は重ねて参りますがですね、やはり幾ばくかの自己負担というものに関してはお許しをいただくというのではなく、むしろ皆様が厳しい県財政というものを先ほどの山口村の話じゃございませんが、全員でご認識いただいて一緒に、もちろん私や県職員が、あるいは県議会の皆様がわけても身を切って努力していくべきことでございますが、今の点に関してさようでございます、そのように見直しをさせていただきますというふうにまではちょっと言えないというのが現在の大変厳しい状況で、これは金庫番の青山篤も同様の見解ではなかろうかと思うところでございます。

 自己負担の問題について、私は全然負担がないようにしろというふうに申し上げているわけではありません。しかしながら、今のこの財政難の時期に子どもたちの問題にそれを振り向けることが果たしていいのかという点で提案をさせていただいたわけであります。例えばですね、ほかの無駄の洗い出しや見直しと申し上げましたけれども、県民の指摘ももちろん大事ですがそれらがきちんと出来るのは業務内容を熟知している職員ではないでしょうか。職員が自ら行っている業務に自信と誇りを持って当たっていることは当然ですがともすれば、縦割り行政のなかで自分の守備範囲を聖域にしがちです。
 過日、党県議団は、堀金村の小野沢砂防えん堤を視察してきました。ここは一つの河川に連続して2つの砂防えん堤を建設することになっており1号はこの5月に完成していましたが2号は土砂災害対策をハードからソフトに転換したことによって休止となったもので、災害に対する緊急度も低く、一見しても、これ以上必要ないと判断されるものでした。これにともなって5億円弱の節約が出来たのですから、豊科建設事務所の英断を高く評価するものです。また1.5車線道路もそうですが、土石流をワイヤーネットで防止するとりくみなど、少ない投資で効果の得られる工夫もいっそう求められています。
 さらに、国直轄の事業であっても県負担が求められるわけですから積極的に見直しを提言していって欲しいと思います。国営アルプスあずみの公園は過日予定面積の1割が開園しましたが年間の管理費が3億円、その45%を県が見ていかなくてはならないのです。 
 財政改革は県民はもちろん職員の協力がなくてはできません。だからこそ、狭いセクト意識にとらわれない、職員のさらなる意識改革が必要で、その職員の指摘に基づいてどこで無駄を省くかという点で住民に負担を押し付けないあり方を改めて求めますがいかがでしょうか


      【答弁 田中知事】
       日本共産党県議団の方からも狭いセクト主義に陥らない新しい未来をという言葉をいただいたことは、これはもう大変なエールでございますし、深い感銘でございます。
       やはりイデオロギーを超えた前向きな議論がですね長野県において着実に迅速に醸成されているということで嬉しく、感謝申し上げるところです。これはおっしゃるとおりでございまして、私どもの豊科建設事務所長だった青木がですね、現在道路維持課長努めております。私は本当に土木部の職員が最も意識が変わってきたと、それはやはり一番現場に出ていることが多かったからでございます。そして現場で県民の声を今までも聞いていてもいてもなかなかそれが途中でバリヤーあったものが、きちんと県民も伝えられる、職員も伝えられるようになったと私はやはり土木部あるいは農政部の意識の変化というものは最も県民に近いところにあると、現地機関のみならず本庁舎にいても現場に行くということがあったからだと思っておりますし、これらのことを今後事務系のとりわけ職員というものの意識を変えてことによってですね、より大きな変化につながるというふうに期待しておりますし、心しているところです。
       この点に関しましては、例えば社会福祉関係に関しましても、やはり多くそれぞれ、むろん福祉という名の下で必要なことに行うために福祉の中でそれが漏水のようになっている部分というものをきちんと見直さねばならないと私は思っておりますし、こうした点に関しましては任期付任用の職員が社会部にも2人おりますが、彼らのやはり新しい目と、私はやはり小布施町が活性化したのが、ばか者・よそ者・若者といっております。とんがったお菓子屋さんたちがいて、そこによそ者が入ってきて新しい意欲を与え、そして年齢に関係なく若い意識を持った人が変えて行ったことが現在の小布施町の都市計画によらない、大規模な都市計画によらない活性でございます。
       その意味においては私たちの予算をきちんとより県民のために乏しい財政の中でも使って行く、厳しい財政運営の中でも使って行くためにはこの職員の中にまさに良い意味でとんがったばか者、これは馬鹿なんではございません。やはり次の時代をつくる、真に時代を創るドンキホーテでございます。ばか者そしてよそ者また意識が常に若々しい若者と、自分や家族のためでなく、横に住んでいらっしゃる公務員ではない方の願いというものをつねに感じる職員の目によって今おっしゃられましたような見直しということはこれからも鋭意すすめるところでございますし、そうした機運は充分ございますし、また逆にいえば皆様からも、職員でなくても逆によそ者の目として、職員も中に居ると見えなくなることがございます。私もそうでございます。皆様はやはり県政のチェック機能でございますから、よそ者としてきちんと伝えていただきたいというふうに思っております。

 職員をあげてぜひ足元から財政改革についても対応していっていただきたいと思いますし、なによりも新しい財政改革推進プログラムの見直しにつきましては県民参加でやっていくことが大事ではないかと思いますので是非よろしくお願いします。



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2.入札制度について

 次に入札制度の改善について、談合をなくし入札制度の透明性、公平性、客観性、競争性を確保し、よりよい仕事をする業者が報われる制度にと、現在入札制度の改革が行われ、従来なかなか仕事のとれなかったD・E業者にも仕事が回るようになったり、地域密着型の仕事が行われ、建設業の構造改革支援や、除雪・災害復旧工事のあり方がより実情にそった現実性のあるものに見直されるなど、前進面は評価しますが、不十分な点について改善を求め、土木部長に質問いたします。
 いま、仕事量が減ってくるもとで、「家族や従業員を路頭に迷わすわけにはいかない、生き残りのために、何としても仕事の確保を」と赤字覚悟の低価格入札が行なわれ、熾烈なたたきあいが行われていることはあらためて申すまでもありません。
 当然このような状態では30%、40%の賃金カットは当たり前、ボーナスもだせず、子育て真最中の40代でも年間200万円そこそこ。地域に密着し、基盤整備に情熱を持ち、技術力も磨いて人の役に立っているという誇りをもってまじめに精一杯やってきたがもう限界だ。これでは先が見えず新規学卒者もとれない。このままでは技術の継承も出来ずこの先どうなるのか本当に不安だとそんな訴えが届いています。
 県としても、入札等適正化委員会、また発注技術検討委員会などで検討をすすめ、直接建設業者から声を聞く機会を精力的にとってきているわけですが、平成15年度の実施状況のうち工事の平均落札率は73.1%、委託は平均52.4%、低入札価格調査は8.2%もあり、失格も10%とまったく異常な状態で、果たしてこれが適正な改革といえるのか疑問です。
 このような状況を一体どう分析し、どう対応されようとしておられるのか。伺います。


      【答弁 島田土木部長】
       入札制度の改革についてお答えをいたします。入札制度の改革は今お話がありましたように3つの理念、それから5つの柱、そういうことで実現するために長野県公共工事入札等適正化委員会や長野県発注技術等検討委員会の提言をふまえながらすすめてきておりまして、透明性・競争性・公正性などの面においておおむね初期の目的が達成しつつあるとこういうふうに考えております。しかしながら、先に開催をいたしました建設業に従事している方々との意見交換会において低価格入札などに対する改善要望が多く出されたことをふまえましてこれらの課題に取り組みながら制度の定着を図って行くことが必要だと考えております。
       お話の低入札価格調査制度の見直しについてでございますが、まず8月2日以降の開札から委託業務に関わる低入札の調査を廃止したところであります。工事につきましては現行の失格基準が直接工事費の80%に諸経費25%加算した額でありますけども、これではまったく赤字になってしまうという意見が建設業者から多く寄せられているところでございます。
       それから低入札調査に時間がかかり、受注者、発注者ともに負担が大きい。また、低価格入札のしわ寄せが下請け業者やメーカーにおよんでいるそのような指摘も寄せられているところであります。そこでコスト調査というものを今実施することにいたしまして、県の発注工事のうち公募により93件これは昨日までの件数でございますけども、その工事を選定をいたしましてコストの調査を開始したところでございます。
       その見直しについてでございますけども、コスト調査の結果を分析しまして失格基準価格および調査基準価格を見直して行く、それから2つ目には時間のかかる低入札価格調査方法を見直して行く、さらに下請けへのしわ寄せを防止するために施行体制の確認や現地指導など無届業者に対する監督強化に取り組んで行くと、また会計局に設けられております下請け110番制度とともにこれと連携しまして下請け業者に相談に応じていくこととしております。以上です。



 低入札価格調査制度につきましてはいま具体的なサンプルに基づいて改革、改善が検討されているようですので是非よろしくお願いしたいと思います。
 県はいま、失格を決める場合に変動最低制限価格制度と低入札価格調査制度を併用した方法をとっており、その基準として県の積算にたいし、直接工事費の80%に諸経費を25%乗じて許容範囲を3%見ているわけですが、この計算式が適正なものかどうかということにも疑問がなげかけられています。また下位5社の平均値の80%未満という場合に相対的な基準ですので、低価格競争が激しければはげしいほど、失格基準は実情にそぐわない形で下がる可能性があるわけです。仕事をとるためにその基準すれすれで応札するわけですが、業者はとてもそんな価格ではできない、県の担当者は現場に足を運んで実情をつぶさに見て欲しいともいっています。
 談合を排し、受注価格がさがることは県民にとっての利益につながることは明らかですが、一方で過剰な低価格競争は粗悪工事や下請けイジメ、賃金未払い、倒産を引き起こすことになり、ひいては地域経済全体の疲弊にもつながります。
 中小企業庁は積算価格の原価率を90%に見込むなど、適正な入札のための措置を講じていますが、県の積算の根拠はいったい何か、また「価格だけにたよらない入札制度にする」といっていますが、もちろん地域貢献や環境への配慮、技術力など総合的に見ていかなければならないことは理解しますが、生活できる賃金を保障しなければならないこともまた重要な視点のひとつです。
 県の基準が適性かどうかについても検証し、ぜひ見直して欲しいと思いますが見解をお聞かせ下さい。あわせて、昨年度だけでも低入札価格調査の対象は783件、本当に先ほどもお話ありましたが、調査する職員の仕事量も膨大なものでありますので、是非これの見直しをお願いをしたいと思います。
 これらを総合的に考えたときに、私は低入札価格調査制度は見直して、固定的な最低制限価格制度で運用することを求めますがいかがでしょうか。昨年12月議会で石坂議員が同様の質問をしており、副知事は国ではやっていないと応えていますが、地方自治体では東京や三重をはじめ導入していますので、その立場からお伺いするものです。



      【答弁 島田土木部長】
       コスト調査につきましては先ほど申し上げましたように、それから今出されております案件事項を分析しましてですね、安全管理費だとか技術管理あるいはその経営に必要な経費等をどういう形でいまなっているのか分析して、その結果、失格基準価格に反映をさせていこうとこういう考え方でございまして、その結果についてある時期がくれば見直しができるんではないかとこういうふうに考えております。
       積算の価格でございますけども、標準価格ということによりまして私ども積算をしているわけでございますが、市場価格いろいろ変化する場面もありますので、その都度その調査を厳正にしまして市場価格との乖離のないような形で取り組んでまいりたいとこんなふうに思っております。
       それから、最低制限価格制度とこういうことでありますけども、地方自治体がとれる方法としましては今行っております低入札価格調査制度とそれから最低限度価格制の2つがあります。それぞれに長所・短所があるわけでございますけれども、最低制限価格をやった場合にはその価格付近にすべて入札が集中してくじ引きになるというような弊害が指摘をされているところでございます。県では従来から低入札価格調査制度を用いてきておりまして、15年の12月から実質的な最低制限価格である失格基準を導入しているとこういうことでご理解をお願いしたいと思います。


 最低制限価格の問題につきまして、決めればそこにみんなが集中するというお話がありました。東京などにつきましては私も調べてまいりましたが、東京の場合も入札に行くときはくじ引きに行くと言って出かけて行くそうですが、無理もないと思ったわけです。それはですね、予定価格を公表し、最低価格の積算のやり方も公表しているのでそれはもう当然同じところに集中してくじ引きになるというのもやむを得ないかなというふうに思ったわけでありますが、長野県の場合は予定価格の公表をしないというふうに決めてやっていますので、私は是非いま申し上げましたように、ダンピングを防止して県内の中小の業者守るという観点に立って是非最低制限価格を適正な価格で設定してほしいというふうに思いますので、そのことにつきましてまた土木部長のほうから答弁をお願いしたいと思います。
 中小建設業者への発注拡大施策は基本的には官公需法に基づいて行われていますが、地域を支えて頑張っている9割の中小業者が報われ、元気の出る施策を入札制度の改善とあわせて行っていただきたいということを強く要望いたします。
 時間がないので次にすすみます



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3.治水対策について

 次に治水対策について、あわせて土木部長に伺います。
 この7月新潟・福島・福井をおそった集中豪雨は死者15人を含む甚大な被害をもたらしました。時間雨量80ミリ、総雨量400ミリなどという従来では考えられない予想を越えた多量の雨がふり、詳細な分析は今後の調査研究に待つというものの、犠牲を大きくしたのは一瞬のうちに破堤し、一気に土砂が流れ出したことが原因だというのが大方の見方です。このような事態のなかで、「だからダム建設が必要だ」と短絡的な声も聞かれますが、何を教訓とし、何を備えなければならないかを明らかにすることが大事ではないでしょうか。
 国土交通省北陸地方整備局が監修している「ほっとほくりく」という雑誌が、その臨時増刊号で7月13日の新潟水害を特集しています。
 そのなかで新潟県の平山知事は「ダムの効果がなかったわけではないが予想を上回る豪雨でダムだけでは対応できなかった。五十嵐川の河川改修は必要性が理解されていながら進捗状況が思わしくなく事業が終わっていなかった。洪水でも破堤がなければあれほどの泥土が流れ込むことはなかった」「安全対策は一朝一夕にはできない。一歩一歩休まず着実にすすめることが必要」と語っています。
 地球温暖化がすすむもとで、この豪雨が長野県におきない保障はありません。また基本高水をクリアーしているから安全だということも言えないでしょう。
 だったら最悪な事態にならないよう、犠牲を最小限にとどめるうえでも、限られた財政に見合った豪雨災害等への対策として堤防の強化、河川改修の着実な実施、ハザードマップの作成と公開、周知、情報伝達の徹底、適切な避難勧告の発令、防災体制の強化など総合的な取り組みがいっそう求められると思いますが、土木部長の見解を伺います。


      【答弁 島田土木部長】
       先に、最低制限価格の件でございます。現在ですね、県のほうでは予定価格は公表しておりませんが、現実には  単価というのがいまパソコンの中でほとんど正確に積算されるようなのが現在の状況でございます。従いまして、結果的には先ほど言ったように同じところに集中してしまうとこういうことでございます。現在の失格価格基準についてもですね、非常にその線のところにいま一線に積算が集中しているというようなころでありますのでご理解をいただきたいと思います。
       それからいまの新潟災害、あるいは福島災害、福井災害ですか。この中でお話のように今回堤防が破堤したとこういうことで大きな被害につながっております。基本的には堤防を強くするそういうハードの補助事業もできればそれが一番いいんですけども、非常に大きなお金が必要というような中でなかなか進まないということで、いずれにいましてもソフト対策ですねハザードマップだとか情報の伝達、あるいは避難そういうものを県としましても市町村ともども充実をさせていくのが肝要ではないかと思っております。


 次に浅川の治水対策について青山出納長に伺います。
 昨夜、第10回流域協議会を傍聴させていただきましたが、過大に設定された450トンの基本高水と100年確立の治水安全度にこだわって、巨大な河道内遊水池の設置などこの間の議論の到達点にほとんど配慮しないコンサルタントの流出解析が説明されました。浅川治水対策のカナメはどこにあるかを見失えば、このような数字あ
わせになってしまうのではないでしょうか。参加者の何人かから内水災害について問題提起がされ、千曲川が荒れるたびに20センチは土砂で埋まるとのお話もありました。流域協議会では「ダム代替案」はじめにありきで、いったんきめた基本高水を1トンももらさない流量のカットにばかり目がうばわれていますが、この間の河川改修や河床の掘り下げによる、具体的な治水効果についてもきちんと明らかにしつつ、どうやったら災害を最小限に抑えることができるか、平成9年の河川法の精神や内容なども学びつつ、千曲川の内水対策をどうするかを付けたしでなくてしっかりセットしながら土木対策だけでない総合的な治水対策を検討していくべきだと思いますが、いかがですか。
 また、昨夜の議論の受けとめについて田中知事から一定の答弁がありましたが、直接参加しておられました青山出納長自身はどう受け止められたかについてもあわせてうかがいます。



      【答弁 青山出納長】
       はじめに、内水対策の問題についてですけども、先ほど知事の方から答弁をさせていただきましたけども、決して内水対策を付録的な考え方じゃなくて、むしろ下流の地域のみなさんにつきましては、まず内水対策というのは非常に重要であるという認識のもとに早急に調査に入るというこういう答弁をさせていただきましたので、私もそれにつきましては同じでございまして下流のみなさんの一番大きな悩みであるその内水というものを早急に解決できる方法を見出してですね、具体的な対策を打って行くとうそういうとこに入っていきたいとこのように思っています。
       それからもう一つの昨日の流域協議会のお話でございますけども、いろんな意見がでました。これは議員さんもご承知のとおりだと思いますけども、私としましては、治水安全度というものを急激に上げることは財政面もそうですし、順序としても早急にはできないのは現実でございます。従って合意の取れたとこから治水安全度を徐々に上げていくという方策というのも一つの選択肢になるんじゃないかと私はそういう感じをしております。それでですね、基本高水の問題につきまして確かに高水ありきじゃないかというご意見多かったのも事実でございますけども、ここで一番いまやらなくてはいけないというのは、これは流域の皆さん、議会の皆さんも合意である河川改修の再開ですね、これをとにかく今年度早急にやらなくてはいけない、予算的には6億の一応予算を盛ってありますので、それを早急にやらなくてはいけないこれが第一段階じゃないかと思うわけです。そういうものを地道にやることによって治水安全度というのが徐々に上がって行くんじゃないかとこれが1点でございます。それからご指摘のありましたとおり実際に河川改修してもですね水が出た後やはり土砂がたまって予定の流量の確保ができないという状況になりますとこまめな浚渫というのは当然大事になってくるということで、これは今回の補正予算にもそうでございますけども、田中知事になってからその方針というのを明確に出しておりまして、こまめな浚渫をして常にその河川流量を確保していくというこの姿勢は今後も貫いて対応していきたいこのように思っています。
       いろいろ議論ある中でできるだけ合意を作っていくというこういう努力を私どもこれから最善の力を尽くしてやっていきたいと思っております。以上でございます。



 具体的な河川改修につきましては是非がんばってやっていただきたいということをご要望いたしますし、あわせて流域協議会の持ち方についてですけれども、昨日もそうですが本当にやっぱり時間をかけて適宜開催しながらそこにご出席のみなさんが本当に思っていることが納得のいくかたちで充分話し合えるような機会にしていただきたいと、しかもその内容について先ほど申し上げましたように基本高水だけにこだわらない、どうやったら本当に安全なくらしができるか、そのための河川にしてゆくことができるのかということに力点を置いて総合的にがんばっていただきたいというこ
とを述べさせていただきます。



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4.福祉大学校について

 次に、福祉大学校の充実について社会部長にうかがいます。
 福祉大学校は現状では2年間の修業年限のなかで保育士資格しかとれません。国の施策が幼保一元化に向かってすすみつつあるなかで、幼保一元化のよしあしは別にして、現場では保育士に対して幼稚園教諭免許をあわせてもつ人材が求められています。
 卒業生は県下の乳幼児保育をになう中核としてこれまで重要な役割を果たしてきました。保育士の資格を持つ新卒者の84%は幼稚園資格を合わせて持っていると報告されています。是非、福祉大学校でも幼稚園免許の取れる体制の整備を検討してほしいと考えますがいかがでしょうか。


      【答弁 堀内社会部長】
       お答えいたします。福祉大学校での幼稚園教諭免許の取得についてでございますが、現在福祉大学校につきましては保育士と介護福祉士の資格の取得が可能となっております。また県内においては公立・私立あわせまして保育士の養成機関7校ございますが福祉大学校を除く6校で幼稚園教諭免許をあわせて取得が可能になっている状況でございます。一方国では、幼保一元化の観点から将来的には保育士・幼稚園教員がそれぞれ双方の資格を有することを目指しております。そこで県におきましては、今後の福祉分野で必要とされる人材を福祉大学校でどのように育成するかについて現在社会部と教育委員会で総合的に検討しているところでございますので幼稚園教員の養成課程の導入につきましてもニーズの把握、学課設置の必要性などその中で検討してまいりたいとこう考えております。以上です。



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5.越県合併について

 最後に山口村の問題について田中知事にお伺います。
 山口村の合併は、たとえ越県合併という特殊な事情であっても、最終的にはそこに住んでいる皆さんがどう判断するのかが尊重されなければならない問題だと考えます。
 知事はアイデンティティにかかわる本質論として広く県民的議論が必要だとしています。また先ほど道州制に絡めて発言がありましたが、ステージが違うのではないでしょうか。民主主義の根本問題として住民の意思とは無関係に他者が方向を決めることは出来ません。先ほどの議論の中でわからなかった問題としてアンケートをとってその結果をどう使うつもりなのかお伺いをいたします。



      【答弁 田中知事】
       先ほども申し上げましたように、最終的に決めるのは県議会の皆様でございますが、私は県民のですねまずここでの議論をいただくということによってですね、私どもの大きな反省でもありましたインフォームド・コンセントということをきちんと行うということでございます。そしてその議論を見ていただくことによって県民の方々にインフォームド・チョイスをしていただくということであります。そしてそのインフォームド・チョイスをされたインフォームド・コンセントのもとで最終的に県議会の方々がインフォームド・チョイスをするということであります。私は1万人規模の意向調査というものは必要でございまして、何を皆様は県民の意向をお聞きすることを恐れてらっしゃるのか、わたしはぜひともこの点に関しましては先ほどの言葉を転用させていただければ田中康夫という知事が出すことに関しては困ったものだというような狭い反田中康夫セクト主義に陥らない形を共産党のみならずすべての議員の方々がお持ちいただくことこそが県民から信頼に足る私どもの民主主義の構築につながるとこのように考えている次第でございます。



 私どもの調査の中では合併申請にいたる経過のなかに疑問の声も届いています。全国初の越県合併の審査にあたり、議案が提案されれば議会は歴史の検証に耐えうる慎重な審議をする責任と覚悟が求められていることを肝に銘じつつ私の一般質問を終わります。



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