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2004年 9月議会
平成16年度長野県一般会計補正予算案の賛成・修正案反対討論

石坂議員(10/8)    

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。



 議案第1号平成16年度長野県一般会計補正予算案、第2号に賛成、修正案に反対の討論を行ないます。
 今回提案されました補正予算は約34億円、追加提案の23億円と合わせて約57億円となりますが、過去には、2000年9月補正が314億円、1999年9月補正が539億円の提案であったことをみれば、厳しい財政状況の中で、できる限り借金を増やさない努力をする緊縮型財政運営に努めながらも切実な県民要望にこたえていこうという、「財政改革推進プログラム」に基づいた予算執行の努力がうかがえます。
 できる限り借金を増やさない財政運営という観点から見ると、今回、県債として5300万円が提案されていますが、中身は土木債と交通債で、大型事業ではなく生活密着型のものとなっています。県債を予算の10%に抑えるという方針から見ますと、今回の県債を加えて10.8%になりますので、目標から見れば、すでにぎりぎりということになります。しかし、過去のデータでは1995年度決算で20.2%という数字が残っていますので、現在、その半分ということになります。健全財政化に向けたこの間の努力は評価したいと思います。
 県債残高を見ると2004年度末の見込み額は、1兆6314億円になります。このなかには後年度に同額の交付税で清算される特定資金公共投資事業債いわゆるNTT債が140億円含まれています。それを除いた残高は1兆6174億円です。NTT債が発生しなかった2000年度末の残高1兆6401億円と比較すれば227億円の減額になります。知事の提案説明の中でもふれられていましたが、全国の中で長野県だけが2002年度から2003年度にかけて県債残高が減少したと言う事実に注目し、今後の財政運営にあたっての、いっそうの健全化への努力を期待したいと思います。

 次に歳出ですが、知事が提案説明で述べた「道路や河川の維持補修、信号機の増設など県民生活に身近な社会基盤の整備、あるいは、宅幼老所のさらなる整備など、地域に密着した『創る』事業による雇用の拡大を目指した」方向は、一般質問や委員会審議でも、多くの議員から賛同の意見がありましたように、評価できるものです。
 ここ数年間の補正予算では、県債抑制の立場からも公共投資の増額は行われないできましたが、今回は地域住民から補修要望が多く寄せられている箇所の道路舗装や、のり面崩壊、路肩決壊などの緊急対策に予算がつけられています。
 河川維持事業として、今年は台風の襲来が多く、豪雨災害も多発している状況に配慮し、「各建設事務所から緊急の対応を要すると申請のあった全箇所について今回、堆積土砂の排除」が実施されます。
 緊急対応が求められている信号機の設置や、歩道整備、交差点改良を前倒しで実施することも予算化されています。今回、長野市北部幹線の湯谷小学校東交差点にも、地域住民の皆さんが待望していた信号機の設置が具体化されることになり、私も本当にうれしく思っていますが、まさに「住宅地の中の高速道路」とでも言いたくなるような、開通間もないこの道路で、わずかの間に、私がお聞きしただけでも2件の死亡事故、3件の重軽傷のけが人がすでに交通事故によって出ています。被害者はすべてお年寄りです。痛ましいニュースを聞くたびに、祈るような思いの毎日ですが、今回の補正予算での県下5ヶ所の信号機設置の対応を心から歓迎すると共に、6月県議会の一般質問でも提案させていただきましたように、どうかさらなる抜本的な道路行政と交通安全対策の連携のご検討を、切に要望するものです。
 あわせて、今回の補正予算での公共投資の中身を生活密着型にシフトした事業を歓迎し、今後、生活道路の維持補修予算などのいっそうの確保、充実も要望するものです。
 雇用の創出では、緊急雇用創出特別基金の事業が最終年度となっていることから、今回の補正でほぼ全額予算化されました。今回の予算で県及び市町村の事業を合わせ延べ1万2千人日の雇用創出が見込まれます。抜本的な解決には程遠い厳しい雇用情勢の中で、特別基金事業が今年度で終了となることから、あらたな国の支援策を強力に働きかけること、県の独自努力として、都道府県レベルでは最も充実した支援策となっている若者就業支援センター「ジョブカフェ信州」のいっそうの充実を願うものです。
 
 次に、2つの修正案に反対の討論を行ないます。
 来年、長野県内で開かれる「スペシャルオリンピックス冬季世界大会」に関連して、今回、大会に自主的に参加する県下の小中学生の児童生徒の活動に対する助成額、スペシャルオリンピックスへの参加支援事業補助金2960万円の削減修正が提案されました。
 SOの大会運営費への県費支援につきましては、現在までのGOC(大会実行委員会)の資金計画のあいまいさやその経過について、私も決して納得しているわけではありません。しかし、大会運営費の補助金支出についての賛否はあるにしても、今回の補正予算はそのこととは別問題です。すでに開催まで半年をきっているなかで、今回の助成対象となっているトーチ・ランや学校現場での取り組みは着々と進められており、私たちもささやかながら県議会の女性議員でトーチ・ラン支援のTシャツの販売・普及に協力させていただいています。今回の関係予算の削減は、SOを成功させたいと願っている世界の人々に対しても、国内の関係者や知的障害者との交流を願っている県内の小中学生に対しても、その思いを傷つけるものではないでしょうか。
 GOCの資金調達の遅れは、GOC自身の責任において解決されなければならず、資金面での公的支援のあり方についても納得の行く議論は当然必要です。大会運営費は、ある意味では借金をしても委託契約を結んだSONAに対して支払われなければならないものと考えます。しかし、その遅れを理由に、練習に励み、さまざまな大会プログラムの準備を大会をめざして進めている知的障害者の皆さんや関係者に対して、大会への出場を事実上制限したり、プログラムの縮小を押し付けることになっては、本末転倒です。
 大会の成功をめざして準備を進めている知的障害者やボランティアの皆さん、関係者の皆さんへの暖かい支援をむしろ今こそ強めなければならない時に、このような形での予算の削減は、長野県議会の良識、見識が疑われる悲しく、許しがたい行為であり、到底賛成できません。
 
 私たちは先日、林業振興課長のご案内により、県有林や中野市間山地区の民有林の列状間伐の現場を見せていただきましたが、「県産材や国産材は外材に比べてコスト面では競争できない。」という従来の私たちの常識を打ち破る、まさに、今が旬というべき長野県での先進的とりくみに私はある種の感動を覚えました。森林整備のための列状間伐を効果的に行う高性能林業機械の導入への助成や、操作の研修の実施はこれからの長野県の林業振興という未来に希望の持てる産業の育成にとって、雇用確保の面からも大事な事業です。高性能林業機械導入推進事業費、5024万8千円は「現下の厳しい財政状況にかんがみ、県単独事業により実施する必要性はないと認められるため」との減額修正には、今回成立した森林条例の審議の過程でも、「充実した予算措置が保障されなければ、実効ある条例とはならない。」という議論もあっただけに、まったく納得できません。また、信州の木新マーケット開拓推進事業費、205万3千円は「外部委託しなくても実施可能であることから、現下の厳しい財政状況にかんがみ、当該事業費の必要性はないと認められるため」との理由での減額修正ですが、厳しい財政状況とは言っても200万円前後の支援で、県産材の活用に情熱を燃やしている専門分野の方々の経験と力を販路開拓にも生かせるという事業に県民の皆さんの納得と賛同は必ず得られるものと確信し、修正案には反対します。以上で、原案賛成、修正案反対の討論とさせていただきます。


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