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2004年 9月議会 議題9号
「米軍ヘリコプター墜落事故に関する意見書(案)」提案説明

藤沢議員(10/1)    

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。



 議第9号米軍ヘリコプタ−墜落事故に関する意見書についての提案説明をいたします。
 8月13日に発生した沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故は人口密集地の中に存在している軍事基地の危険性を改めて証明することになりました。
 幸いにも人命の犠牲は出ませんでしたが、大学の構内には100名以上の学生や教職員がおり、大学から道路ひとつへだてた向かいには、保育所、レストラン、七階建てのマンションなどがあり、大惨事になりかねない大事故でした。
 沖縄国際大学に隣接し、米海兵隊のヘリ部隊などの航空基地である普天間基地は人口八万七千人の宜野湾市の中心部に居座り、市面積の約25%(480hq)を占めています。
 今回事故を起こしたCH53型などヘリコプタ−が56機、(KC130)空中給油機など固定翼機15機が配備され、頻繁に離着陸を繰り返し、市街地上空での訓練もしています。
 ヘリの飛行コ−スになっている同市の上大謝名(うえおおじゃな)地域では米軍機の爆音測定回数は年間3万回を超え、一日あたり85回にも達しています。(2002年度)つまり、一日のべ85回、年間3万回以上、米軍機が上空を飛行している計算になります。
 基地周辺の住民は大型輸送機が飛ぶと窓ガラスが振動で震え、大型ヘリが飛ぶとコンクリ−トの壁から崩れた粉が落ちるほどの爆音に毎日見舞われていると訴えております。
 又、同基地所属のヘリが起こした事故は復帰後だけで約80件に上ります。
 起こるべくして起きた事故であり、決して偶然ではないと、宜野湾市議会の抗議決議はこのように強調しています。
 墜落事故から一ヶ月後の9月12日、宜野湾市、宜野湾市議会、宜野湾市教育委員会、沖縄国際大学、が呼びかけ、80団体が賛同しての事故抗議、基地返還を求める宜野湾市民集会が開かれました。当初の予定(一万人)をはるかに上回った三万人が参加の大集会となりました。
 この集会で実行委員長を務めた井波(いは)洋一市長は「市民、県民の普天間基地閉鎖を求める思いが会場に満ち溢れている」と述べ、中学生を代表して訴えた女子中学生は「基地は私達を守ってくれると思っていたが、今はそう思わない、私が大人になった時、基地がない本当に平和な沖縄に立っていたい」と平和への思いを切々と訴えています。
 この集会には超党派の市議、県議、国会議員が参加されたことはいうまでもありません。
 さて、一日も早く基地の閉鎖と撤去をしてほしいという県民の思いは、普天間基地の危険性をたらい回しする移設も認められないと言う方向で急速に高まっています。
 96年、日米両政府は七年以内の普天間基地返還を合意する一方、代替地としての新基地を名護市の辺野古沖に建設することを取り決めました。
 しかし、ジュゴンの住む美しい海を埋め立て、破壊することは許せないという名護市民の抗議行動を始め、世論調査の結果も99年の移設閣議決定直後の県民世論調査では移設賛成32%、反対45%であったものが、今月14日の調査では賛成はわずか10%、反対が81%と大幅に増えました。それも自民党支持層での変化が顕著になっています。99年は賛成71%、反対16%が今は賛成27%、反対62%と逆転しました。
 基地の無条件撤去、基地をたらい回しする日米合意の見直しは今、沖縄県民全体の声になっているのです。
 さて、事故の処理の過程で日米地位協定をめぐる二つの問題が浮き彫りになりました。
 一つは米兵が犯罪をおこしても第一次裁判権が日本側にないという問題をはじめ地位協定全体が治外法権的な特権を米軍に認めていると言う日米地位協定そのものに関わる問題です。
 もう一つは、この地位協定すら、無視した横暴勝手を米軍がやっているという問題です。
 今の地位協定でも米軍が基地外で警察権を行使することは基本的に認められておりません。
 基地外の警察権というのは基本的には日本側にある。例外として米軍機が墜落した時、事前に承認する間がない時に限り、救助などの為に米軍が私有地や公有地に立ち入ることはありうると言う取り決めがありますが、今回のように米軍がロ−プを張って日本側の警察による現場検証を拒否し、大学関係者も締め出し、占拠するなどは、地位協定に照らしても、許されない無法そのものです。
 その上に事故原因や再発防止策への説明がないままに事故機と同型の米軍機をイラクへ派遣する為にすぐ飛行させるなどの日本の主権、大学の自治、そして日本国民の命や安全を無視した米軍の対応に沖縄県民のみならず、国民から大きな怒りを上がるのは当然です。
 国際的にも異例の不平等、不条理の日米地位協定の見直しは日本の主権の確立を求める全国民的な緊急の課題であります。
 米軍などNATO軍の駐留を受け入れているドイツでは88年に米戦闘機が航空ショ−で墜落事故を起こしたことをきっかけに、基地使用原則は事故だけでなく、災害や環境保全などの理由でも基地に立ち入ることも出来る。正当な理由なしには米軍が拒否できないという地位協定を93年に改定し、ドイツの国内法が優先されるようになりました。
 又、米軍と基地ごとに使用協定を結んでいるイタリアは、イタリアの主権がほとんどの項目で優先的に定められ、イタリアの管理権の元で、米軍が駐留する形になっています。
 駐留外国軍基地には日本の国内法は適用されないと解釈し、主権を主張も出来ない日本政府に対し、長野県議会から日本の主権、日本の国民の命、財産を守れという声を強く求める意見書をあげようではありませんか。
 全会一致でご賛同いただきますようお願い申し上げ提案説明といたします。


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