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2004年 2月議会
 「2004年度一般会計予算案」(議第1号)
石坂議員の賛成討論

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。


           2004年度一般会計予算案賛成討論
                                   石坂千穂
 第1号平成16年度一般会計予算案に賛成、修正案に反対の討論を行ないます。

 平成16年度の予算案は、各種マスコミもいっせいに「予算足りぬ、自治体悲鳴」と報道したように、予想を越えた地方交付税・臨時財政対策債などの減額を受けて、370億円の大幅な財源不足が生じる中での編成を余儀なくされました。
 長野県では、すでに2001年12月に県財政緊急事態宣言を発表しています。その要点は、「県の借入金残高が1兆6000億円をこえ、起債制限比率は全国ワースト2位となった。県税収入が今後大幅に減少することが見込まれる中で、従来どおりの財政運営を続けていくことはできない危機的な状況に直面している。」というものでした。
 この財政危機に対処するため、2002年4月に「財政改革基本方針」が、2003年2月に「財政改革推進プログラム」が決定され、借金を減らして財政再建をはかりながら、福祉・教育・環境・雇用を中心に県民要望実現を推し進める取り組みが始まりました。この時点で県債残高は1兆6594億円、公債費負担比率は全国ワースト2位の26.7%、県の貯金である財政調整基金、減債基金、公共施設等整備基金の3基金は373億円、県税収入はマイナス17.8%で戦後最大の落ち込みとなる見込みでした。このまま何の対策も講じなければ財政再建団体への転落も予想されるとして、「財政改革推進プログラム」では、歳入のいっそうの確保につとめるとともに、4年間で、事務事業の見直しで172億8000万円、県債残高を増やした9割の原因をつくった投資的経費634億円と、人件費総額の抑制で249億8000万円をそれぞれ削減し、厳しい財政状況のなかでも福祉・教育、環境、雇用などの県民要望に応えていく「長野モデル創造枠事業」としての30人規模学級などの実現に300億円を計上すると言う収支改善策を提案し、県民に協力を求めました。
 「財政改革推進プログラム」のなかには、人件費の削減、民間委託、県民生活に影響を与える授業料等の値上げ、法人事業税の外形標準課税導入の要望、消費税の税源移譲の要望など私たち必ずしも手放しで賛同するわけには行かない慎重な検討を要するものも含まれていますが、改革の基本点は私たちも歓迎できるものでした。
 90年代の10年間で普通債の残高は1兆円も増え、増え続けるばかりだった借金が、これらのとりくみを通じてこの3年間で普通債残高を970億円減らすことができました。もし、「財政改革推進プログラム」を実施していなかったら、今回の財源不足は約670億円と見込まれたわけですから、着実な改革の努力としてのプログラムの実行がさらに求められます。その一方で、この間、地方財政の財源不足を国が地方交付税だけで措置することができず、臨時財政対策債に振り替える措置をとり、臨時財政対策債が激増する結果となったことで、借金残高全体では減少にいたらず、普通債の削減努力が帳消しにされる結果となっていることは、大変残念なことです。
 今回、長野県議会としても、国に対して、地方財政確保のための意見書を決議したところですが、地方分権にふさわしい税源・財源の移譲をすえた真の構造改革を改めて政府に強く要望するものです。
 平成16年度予算案の歳入では、地方交付税の削減に加えてリストラなどによる雇用者数の減少が主な要因である個人県民税の減収が大半の県税収入26億円の減少、公債費が今後の財政負担とならないよう、公共投資の重点化・効率化により県債の発行を最大限抑制して前年度比20.2%、241億円の減、歳出では、投資的経費20.6%、449億円の減、人件費の引き続く削減と新たな県債の発行は抑制しているものの、過去に借り入れた県債の償還がいまだ高水準にあるため、公債費が1.2%、20億円の増となっているのが主な特徴となっています。歳出予算に占める目的別の構成比では、全体として厳しい財政運営の中で、民生費、生活環境費、教育費が前年度比で構成比を増やしていることは評価できます。
 個別の事業では、長年の関係者の思いに応え、新しい時代の流れにふさわしく障害の種別を問わない総合的な障害者施策を推進するため、身体、知的、精神の3障害すべてに対応できる総合支援センターが県内10圏域に設置をされ、全体として自律生活を支援するためのきめ細かい施策が充実されること、自閉症やDV被害者への対応、小児初期救急医療体制の整備や県立こども病院の第5病棟の開設など医療体制の充実、中国帰国者愛心使者事業、30人規模学級の拡大、LD・ADHD児への対応、養護学校のなかで唯一高等部の無かった若槻養護学校への高等部の設置、認可外保育所への認可保育所並の助成、若者のための就業サポートセンターの国基準を上回る設置、治水・利水対策としての河川改修予算に加えて、浅川流域への雨水貯留タンクの設置や各戸貯留への助成、公共事業の重点化・効率化の中で、ひき続きローカル・ルールによる1.5車線道路の整備拡大や歩行者主役型の道路リメイクなどを歓迎するものです。
 また、長野県政にとっては長年の懸案事項でありました東日本では突出している、今では逆差別の状況にもなっていた同和対策事業が今年度いっぱいで予算上も基本的に終了し、過去の貸付金など9事業の継続事業を残して一般事業化されたことは歴史的な出来事と言えます。
 今後の長野県の財政運営に、いっそうの厳しさが予想されるなかで、今定例会でもさまざまな議論がありましたが、国への財源確保の要望を引き続き強めるとともに、県税収入確保のためには、何よりも県民生活が安定すること、県民所得が増えることが大切です。そのためには、大手企業の内部留保を確保しながらの相次ぐ海外進出やリストラなどに地域経済を守る立場から歯止めをかけて、企業の社会的責任を行政がきちんと求めていくこと、雇用対策のいっそうの充実、農業予算の主要な部分を農家の所得に結びつくものにしていくこと、生活密着型の公共事業の地元業者へのより一層の優先発注などに、県として力を入れていただきたいと思います。
 
 4つの修正案にはすべて反対です。
 先ほどお話のありました、せせらぎの自動車道周遊小道整備事業は村上議員におかれましても、提案説明を聞いておりまして何か大きな勘違いがあるようですので、是非地元の町長さんのご意見を直接聞いていただく、あるいは現場に足を運んで見ていただきたいと思います。
 豊科建設事務所の職員の直接提案のこの事業は、既存のやまびこ自転車道の有効活用を願う地元穂高町をはじめとする関係市町村の要望にもとづいて整備をされるもので、関係市町村で構成されたやまびこ自転車道建設促進同盟会からは毎年自転車道整備の要望が出されてきましたが、最近では、既存の自転車道の有効利用を県とともに考えたいという意見がだされていると伺っております。
 この要望をもとに建設事務所職員が万水川の改修された堤防を利用してせせらぎ自転車道をつくり、やまびこ自転車道とリンクをさせて、一周させることにより、観光自転車道としての機能をたかめ、持続可能な観光地作りに寄与すべき知恵を働かせたというものです。
 この提案は穂高町議会をはじめ地元市町村からも歓迎の声が上がっていることを確認させていただいています。
 この提案に対し、黒沢ダム中止に伴う代替案に関連させ万水川の河川整備計画が確定しない前の着工は賛成できないというご意見もありますが、万水川の改修はこれまで黒沢川の治水、利水計画と一体に行われてきたものではなく、上流地域に設置された安曇野排水路の受け皿として早期回収の必要性から取り組まれたものであり、すでに七割が改修済みです。
 自転車道はこの改修済み部分とすでに発注済みの堤防の土手につくられるものであります。 
 又、財政難の折、町村が国庫補助を取り込んで整備をすればよいというご指摘もありますが、河川改修が終わった堤防を自転車道として整備する場合、国庫補助の対象にはならないという制約があるのはご存知と思います。
 もちろん県民の貴重な税金を有効に使うことは当然のことです。安曇野は長野県が誇る自然ゆたかな観光地の一つであり、この地に環境にやさしい自転車利用の観光政策は必要と共感いたします。
 
 観光情報センター設置につきまして、観光コースに織り込まれている東京都庁の例や、土曜・日曜を含めて県庁を開放している群馬県の事例をあげるまでもなく、県内外の人々が最も訪れやすい県庁1階の県民ロビーへの設置は、観光情報の発信の場所としてふさわしいものと思われます。
 
 外郭団体改革実施プラン策定事業委託料につきましては、今後外郭団体を廃止するのか、それとも存続させるのかの重要な判断材料となる資産や負債の実態を公認会計士などの専門家に調査を委託するものであり、専門的な検討をより必要とする公社・公団8団体に1団体当たり300万円の委託料は妥当なものと考えます。
 
 この4件の予算削除の修正案がでたことに関連し、現在、国や県をとりまく重大な情勢のなかで、今議会で果たして全体としてどれだけ新年度の長野県の予算に県民要望を反映させていくかのと言う角度からの建設的な議論がおこなわれたのかどうかという点に、私もいささかの疑問を感じるところです。
 
 以上で第1号平成16年度一般会計予算案に賛成、修正案に反対の討論といたします。

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