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2004年 2月議会
 藤沢議員の2002年度決算認定賛成討論

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。


 議第15号2002年度長野県一般会計及び特別会計の決算の認定について賛成の討論をいたします。
 さて、2002年度は皆様ご承知のとおり、七月の知事不信任、九月の出直し知事選と大変な激動の年でありました。
 この激動の中で取り組まれた2002年度の財政運営について監査委員は審査意見書の中で、「総体的に見て、入札制度における取り組みなど改革路線を確実に推進する姿勢を高く評価すると共に簡潔にして効率の良い予算執行を実現すべく一層の努力を期待するものであります。」と報告しています。
 党県議団も激動の政治状況のもと、又、厳しい財政運営を迫られる中、財政建て直しと県民の願い実現の流れを前進させた改革を基本的に評価をし、認定をするものです。
 以下県民の立場からの検証を踏まえた賛成の主旨と今後の更なる努力への要望を申し上げます。
 一般会計決算額は歳入では、四年連続マイナスの1兆57億円、歳出は9925億円、十年ぶりに1兆円を下回りました。今までの補正予算では公共事業や経済対策が積み増しされ、最終予算は当初予算額よりも増額となっていました。しかし、今回初めて通年の補正で当初予算より166億円のマイナスとなりました。主には公共事業のむだの見直しが進んだ結果です。
 歳入の減少は、427億円という戦後最大の県税の落ち込みによるものですが、その主たる原因は景気悪化の影響をうけての法人2税222億円の減収や金利低下による152億円の県民税利子割りの減収などであります。
 知事不信任の主たる理由とされ、又、その後の県議会の論議の中でもたえず取り上げられてきた、公共投資の削減が減収を招き財政を悪化させたとの批判は当たりません。公共事業の削減が大きな要因ではないことが決算の数値からも明らかにされました。
 法人事業税は187億円の減収ですが、その6割約100億円がアメリカの同時多発テロの影響を受けての輸出の落ち込みなどに起因するITなど電機産業での減収であります。  
 建設関連は9億円、5%弱の減収でありまして、これは田中知事就任時の2000年度との比較でみても、22億円、約一割の減収です。そして、この減収も公共投資だけではなく、不況による企業の設備投資縮小など民間投資の落ち込みの影響も大きいのではないでしょうか。
 長野県の建設総合統計で見ても、落ち込みの比率は公共投資に対して民間の落ち込みが2倍となっています。
 しかし、建設業が減収の主たる要因ではないとはいえ、地域経済の一翼を担ってきた大切な産業であります。
 党県議団は投資額の減少そのものは避けられない中、負債を増やす大型公共投資から県民要望の強い生活密着型の公共投資に思い切って切り替え、建設業者の仕事も確保するよう求めてきたところです。
 歳出は公共事業優先から、福祉、教育、環境重視の方向をさらに進めたものとなっています。
 長年の関係者の願いであった小学校一年生からの30人学級がスタ〜ト、障害児学校に光があたり老朽校舎の改修や教員が増員されました。一歳児保育への手厚い保育士の配置で民間保育所に希望を、そして児童虐待の急増で必要不可欠の児童相談所の一時保護が通年化しました。障害児者のためのタイムケア事業の利用限度時間は100時間から200時間と2倍に拡大、県産材使用の学校の机、椅子への県補助制度の創設、BSEの安全対策と無利子融資の延長、等々、前進が図られました。
 このような福祉重視の対応の結果、長野県の社会保障費の対公共事業費の割合は2000年度の4割(0.416)から6割弱(0.569)へと大きく改善され、民生費は歳出構成比でみても7.5%まで伸びました。
 又、不公正、乱脈な同和行政の是正も大きく進みました。
 部落解放同盟に対して毎年交付されてきた5133万円の団体補助金は約2000万円の削減、それに加え、解放同盟の役職員の人件費に使われてきた営農指導、経営指導補助金の不明朗な公金の動きを知事は具体的に明らかにし、その後の補助金、事業全面廃止へと大きくつなげることになったのです。
 県の借金残高もその8割を占めている三公共の圧縮により前年度から221億円減らしました。田中県政の引継ぎ時点では普通債残高が1兆5,857億円という膨大な額に達していたのですが、三年間で443億円減額をさせるなど、財政の建て直しへの努力が見て取れます。
 これらの成果の上に立ち、更に前進させるべく年度末の二月には財政改革プログラムが策定され、更なる改革へのスタートをきりました。私たち党県議団は基本的にはこの改革を評価するものですが、小林伸陽県議が予算の賛成討論の中でも指摘し再考を求めた介護慰労金の廃止など基盤整備が不十分な中での福祉施策の廃止は残念なことであります。又、高校授業料の値上げなども、滞納せざるを得ない家庭が増えているとして撤回を求めましたが是正をされず、今議会にまたまた値上げの提案をされることははなはだ遺憾であります。文教委員会で値上げが全会一致での不採択にいたったことにも、暮らしを応援する県政への県民の思いの強さが現れているのではないでしょうか。
 田中県政は 多額の負債など財政的には負の遺産を引き継いでの出発であり、それも経済悪化による厳しい税収の落ち込みに加え、今年度は地方いじめの交付税の減額、福祉施設などへの国の補助の大幅カットなど、さらなる追い討ちを受けての大変な財政運営となるわけですが、その根幹は県民の暮らしを守るという立場での改革であってほしいと強く願うものです。
 以上申し上げ賛成討論といたします。

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