back

2003年 12月議会
「イラクでの人道復興支援等のための自衛隊派遣に関する意見書案」(議第4号)
高村議員の反対討論(12/12)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。


イラク派遣に関する意見書[自民・公明]案に反対の討論  高村京子             

 議第4号 イラクでの人道復興支援のための自衛隊派遣に関する意見書案について、共産党県議団を代表して反対の討論を致します。
 午前中、今井県議のご答弁に瀬良教育長は、ベトナム戦争に派遣され、今平和活動に頑張っておられるニューヨーク在住の平和活動家アレン・ネルソンさんのことを触れられました。私はアレン・ネルソンさんの日本の高校生たちに平和憲法の大切さ、また、平和の尊さを訴えて活動しておられる、この活動に友人として心からの支援を送っていうものです。ちょっとお話をさせていただきたいと思います。アレン・ネルソンさんはベトナムの戦争に海兵隊として最前線に派遣されました。その筆舌につくしがたい戦闘、壮絶な殺戮の  によって帰還したあと心身共に傷つき生きる力を失っていました。あるとき小学校の先生から、戦争体験を話してほしいと持ちかけられました。彼は傷心な中にも事実を小学校の子どもたちに話ました。そして、一人の女の子がネルソンさんをじっと見つめて言ったのです。「それでネルソンさん、あなたは人を殺したのですか。」こう聞いてきたのです。その問いにネルソンさんは言葉を失っていました。しばらくして震える体で「イエス」と答えたのです。女の子の目が、涙がこぼれました。ネルソンさんの目からも涙が溢れました。女の子は大きなネルソンさんをしっかりと抱擁したのです。この体験からネルソンさんは平和活動家として自ら生きるそういう活力を生み出し、いま日本の子どもたちに、また世界に日本国憲法の大切さを訴えて活動しておられます。
 さて本題に戻ります。今意見書案の派兵の前提となっている「イラク人道復興支援特別措置法」はもともと武力行使は認めない憲法九条に違反するものであり。さらに平和を願い、戦争を望まない県民の願いとかけ離れた法律であります。
 アメリカは、国連決議もなく一方的にイラク攻撃を行い、「テロに屈しない」と占領政策を続け、イラクの人々と米英軍兵士との緊張状態の中で、すでに罪のないイラクの人々が数万、また、アメリカ・イギリス連合軍兵士にも甚大な犠牲が日々でています。尊い命を奪われています。
 いわゆる「非戦闘地域」は、今のイラクにはどこにもなく、まさに「戦後」ではなく、「戦地」であります。自衛隊の復興支援の条件は成り立たない状況です。無防備の外交官お二人が、言われなき殺害を受けた事実がそのことを証明しています。
 また、5月22日に採択された国連安保理事会決議1483は、「イラクの大量破壊兵器を武装解除し、国連が人道援助、諸機関復興に不可欠の役割を果たす決意をのべ、統治権限者を占領国アメリカ・イギリス軍にあることを承認し」と記されているように、事実上アメリカによる占領政策を認めるという問題があります。
 この占領政策に対する反感がテロをさらに激化させ、5月1日大規模戦闘の終結を宣言したあとにも、アメリカ当局は「戦闘状態が続いている」と認め、6月以降も大規模な掃討作戦を行い、各地で空爆も再開しています。一般市民がアメリカ占領軍への反感を強く抱くようになり、抗議行動も活発化しています。アメリカ兵の一般市民への発砲事件も頻発しています。
 国連のアナン事務総長は10日、イラクでの「反乱者の攻撃の危険は現実的」であり、占領軍による「軍事的な手段だけでは解決できない」と指摘し、その上で国連の役割を強調し、「政治的な解決」によって米英の占領を短期に終わらせるべきだと述べています。
自衛隊の「派兵計画」閣議決定に対し、アメリカのマイヤーズ統合参謀本部議長は9日、「アメリカ主導の連合軍に日本も参加した」と発表しました。
 このままずるずると平和憲法を持つわが国が、国際的な批判が大きくなっているアメリカによるイラクの占領政策に協力・参戦することは許されません。すでに日本が自衛隊を派兵する事の根拠は崩れています。武力では平和と人道・復興支援は行えません。そのことを指摘し、イラクでの人道復興支援の権限を早急に国連にうつして、日本は非軍事の平和的解決に向けて、国連加盟各国に働きかけることを強く求めるものです。
 このことによってこそ、かつて日本が起こした太平洋戦争で、尊い命を奪われた2千万人を超えるアジアの人々、国内300万人以上の方々の犠牲の上に、再び戦争を起こさない国、恒久平和を世界に呼びかける国としての名誉ある役割を担えものであることを確信します。
 以上で反対の討論を終わります。


top back