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2003年 12月議会
「一般会計補正予算案の賛成討論、修正案に反対討論」藤沢議員(12/19)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。


一般会計補正予算案の賛成討論、修正案に反対討論  藤沢のり子

 第一号議案、今年度長野県一般会計補正予算に対する賛成討論を行ないます。
 今回提案された補正予算の総額は2億1789万4千円ですが、1998年度の704億円、99年度の681億円という国の経済対策に追随した巨額の補正予算の積み増しをした時期に較べると、2002年度の11億円に続き、確実に見直し、縮小された補正予算となっています。
 財政再建プログラムとの関係で見ても、補正時の投資的経費は2184億7千万円で、投資的経費の目標値2138億円の枠内にほぼ収める努力が伺えますし、県議会開会前に経営戦略局財政改革チームが発表した「現時点での財政見通し」では「財政改革推進プログラムを着実に実行することにより、前回の試算と同様、2004年度まで基金の取り崩しが必要となるが、2005年度以降は単年度収支が黒字となる。」とその見通しを述べています。
 さて、今回の補正予算の中身は、党県議団も実現を求めてきた県民にとって必要性の高い事業となっています。
 郷士沢ダム(豊丘村)の中止に伴う、地下水保全対策モデル事業をはじめ、建設業等新分野事業進出費補助金の拡大、新規就農促進対策事業費。そして念願の稲荷山養護学校改築に使用するための県産材の一部を調達する債務負担行為など教育や雇用充実への取り組みを評価したいと思います。
 以上、全体として評価するものですが、予算に関連し何点か問題点も指摘をしておきます。
 党県議団はこの間、予算、議案等に関係するダムの現地調査をいたしました。
 契約変更案件の余地川総合開発事業の余地ダムは47億円を費やしたダムサイトが完成し、取り付け道路や周辺の環境整備が行なわれていました。
 このダムの建設目的は治水と共に利水、余地地区の水道水源確保であります。
 しかし現況はどうでしょう。当地区では現在簡易水道を活用しておりますが、佐久町は今人口が減少し、下水道の接続もすすんでいるが、水道使用量は増えず、むしろ減っているという話には驚かされました。
 夏に調査に行った建設目的の一つである水道利用はいつになるかわからないという東部町の金原ダム同様、当初の目的が失われつつあるダム建設が何であったのか改めて問われていると思います。
 問題のあるものは建設途中でも見直すということが必要です。
 その上で、今回補正予算として追加提案のあった本城村栃平砂防ダムの規模大幅縮小はおおいに歓迎するものです。
 このダム予定地を知事も視察したとのことですが、私もこの7日に調査いたしました。
 ダムは栃平沢という沢の一角に建設されるわけですが、建設地の上流には本城村の水道水源地が四箇所設置してあります。土石流や崩落の危険性の大きいと説明されてきた場所です。
 又、ダム建設地の真下には約9ヘクタールという大規模の採石が行われています。
 昭和55年に始まった採石で山は半分削りとられ、無残な姿をさらしていました。
 昨年12月には向こう5 年間の開発許可が下りています。
 なぜ大きな砂防ダムが必要という場所に大規模の採石が許可されるのか伺いましたら、林務、農政、建設すべての分野において地すべり防止地域の指定はされていないとのことでした。以上現地を見る中で28億円の大型砂防ダムの建設は問題であり、規模縮小は妥当との思いにいたったところです。
 今議会ではダムによらない総合治水のあり方が審査されましたが、この教訓はぜひ今後の対応に活かしていただくよう申し上げておきます。
 尚、今回の公正取引委員会の談合認定に伴う知事の給与減額の措置を、談合根絶への決意の現われとして評価し、合わせて一刻も早く信頼回復に努めるよう求めておきたいと思います。
 以上今後の対応への要望も踏まえての賛成討論といたします。
 次に、第1号議案修正案についての反対討論をいたします。
 稲荷山養護学校の改築事業に関わる債務負担行為の補正2896万5千円を削る修正案が出され、その主な理由として挙げられているのが、実施設計のないままに予算を組むことは認めることができないというものです。
 しかし、この点については違法性もなく削減の修正には当たらないということを私は先ず申し上げておきます。
 さて、この事業は知的障害、肢体不自由児の養護学校を長野市の南部地域に建設してほしいという切実な父母や関係者の長い間の運動に応え、18年の4月開校に向け建設をすすめるものであります。県議会としても、請願採択、事業予算承認と積極的に推進を図ってきたところでありまして、一日も早い建設を願う関係者や県民の願いに応えていくための努力こそ求められているのではないでしょうか。
 又、実施設計のおくれの要因となったRC工法から木造建築への転換は県議会としてもこれまで、林業活性化の視点からも公共事業での県産財使用の積極的な推進を求めてきたところでありますし、ましてや障害児にこそ木のぬくもりと健康に配慮した学校づくりをという県と教育委員会の配慮に対しては、おおいに評価こそすれ、手順が気にいらないというだけでこれを認めないなど県議会としての姿勢が大きく問われることになるのではないでしょうか。
 実施設計に時間がかかっている問題も、設計者が障害を持つ子どもたちによりよい環境を提供できる設計にするために関係者などの意見、要望に応えるための対応をしているとのお話も伺っているところであります。こうした状況の中で、県民に約束した開校期日を守るためにとった県としての緊急措置であります。
 一昨日、須坂市の養護教諭を勤められた高齢の女性が約8千万円の私財を県に寄附されたことに対し、紺綬褒章(こんじゅほうしょう)等を受けられましたが、その使い道として稲荷山養護学校改築にと希望をされたとのことであります。
 県民も心から障害児たちへの暖かい対応を願っているのではないでしょうか。私たち県議会も、開校を遅らせてしまう恐れを生ずる修正案を通すのでなく、子どもたちのために最大の努力を払おうではございませんか。
 このことを心から訴えて反対の討論といたします。


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