No.18 2006年11月

県政改革の後戻りはさせないと奮闘─9月県議会特集

 村井知事になって初めての9月定例県議会が終わりました。
 日本共産党県議団は、障害者自立支援制度や介護保険の改善、産科医師不足問題、高校改革への提案など、代表質問や一般質問を通して「県政の後戻りはさせない」という県民の思いを代弁して奮闘しました。
 全国にも誇れる宅老所や、木製ガードレールなどは前県政から継承すると村井知事は表明しました。一方で、私設秘書を特別秘書や任期付職員に採用したり、「脱ダム」宣言の象徴である浅川の治水対策は、「ダムも選択肢のひとつ」と述べ、県が関与する産廃処分場建設への方針転換など、県政の後戻りの兆候が見られました。

■県政の「改革」後戻りを厳しくチェック

    県民参加と情報公開を─共産党の指摘うけ見直しへ

       村井知事になってガラス張りの知事室が閉鎖となり、県のホームページからは財政改革の実績など県民が見たい情報を削除しました。
       このような姿勢を改め県民参加と情報公開をいっそう高めるよう追及しました。村井知事は会見で県ホームページのあり方の見直しを示唆しました。

    憲法の堅持を求める─村井知事は改憲論者と公言

       憲法9条を守れの世論は県内で広がっています。知事としてこの県民の思いに応えるよう求めました。ところが、知事としては憲法を順守するといいつつ、自らを「改憲論者」と公言しました。県民から怒りの声が起きています。

    引き続き予算の重点を福祉・医療、教育に
      
    ─福祉・教育重点にとらわれないと村井知事

       前県政のもとで税金の使い方が、福祉・医療、教育に重点がおかれてきました。今後もこの姿勢を続けるよう提案しましたが、村井知事は、これまでの「枠にとらわれるのではなく」と、見直す立場を明らかにしました。

    浅川はダムなしで 総合的な治水対策を─ダムも選択肢と方向転換へ

      浅川の治水対策については、河川改修がすすみ、あとは内水対策として、排水ポンプの増強、遊水地や二線堤などの総合的治水対策の促進を迫りました。
       村井知事は、「ダムの是非にかかわらず内水対策は行う」としながらも、「ダムも選択肢」と、これまでの方針を転換する考えを表明。県民から批判が強まっています。

浅川の地すべり現場調査(06年8月)

■県議会の後戻りが鮮明に

     日本共産党県議団は、当局を厳しくチェックしたり、県民の暮らし、福祉を守るため奮闘しましたが、村井知事与党会派の「後戻り」は、県政の後戻り以上に鮮明です。
     今までも県民の立場より、「前知事憎し」と思える質問ばかりが長時間続いていましたが、今議会は質問時間も短くなり、県民が9千万円もの使途不明金を明らかにと願う「五輪招致の帳簿焼却」問題の解明にも後ろ向きです。

      議場から長時間姿を隠す県議
       「緊張感を欠く」と新聞報道にもとりあげられたように、一般質問の最中に長時間本会議場から姿を消す県議の行動に批判がでています。県議会が終わってから水面下で議長交代劇が進行していたことが判明しましたが、このようなことに奔走していたのでしょうか。

      公共事業の注文目立つ
       耐震対策や身近な生活道路などの公共事業は必要です。ところが、自分の選挙区内の道路整備の方針や、進み具合を尋ねたり、注文する県議が目立ったのも特徴でした。知事が交代すれば予算を気にせず何でも通ると思っているような県議では困ります。

      オリンピック招致 帳簿疑惑の幕引きを許さない
       村井知事は、五輪招致委員会の使途不明金を明らかにした「長野県調査委員会」を解散すると言いました。
       県議会では、田中前知事に対し100条委員会を設置して追及した村井知事与党会派も及び腰です。
       県民の期待にそむき、疑惑にフタをしようというのでしょうか。

      • 100条調査委員会の早期設置求める声明発表
         先の2月県議会で、「五輪招致の会計帳簿焼却疑惑」を解明する調査委員会の設置を求めた決議が継続審議となっています。日本共産党県議団は、10月20日に「早期設置」を求めた「声明」を発表し、各会派の代表者にも協力の要請をしました。

日本共産党は、村井県政になっても
  県民の利益最優先にがんばってます

  • 障がい者・高齢者に独自支援を
     障がい者自立支援法が4月から施行となり、利用するには所得に関係なく1割の応益負担が求められます。
     全国の8都県では何らかの独自支援策を実施しています。長野県としても障がい者の実態に即した対応と、国に向けて改善の意見をあげるよう主張し、国への意見書が全会一致で可決しました。
     併せて介護保険の利用料についても、県としての独自軽減策の提案をしました。

      長野県が実施した実態調査
      障がい者自立支援法による利用者負担の影響
      ■利用者負担額(回答者489人)
      ■施設入所者の負担額の
         増加平均額……19,106円

      ■サービス利用状況
      止めた人………19人
      減らした人……37人

      介護保険利用者の影響調査
         利用者総数……58,855人(05年12月末と06年3月末の累計)
        ■食費・居住費が全額自己負担となって影響を受けた人数……197人
         そのうち施設から退所した人………41人
             利用回数を減らした人……133人

  • 高校改革 定時制の役割見直せ
     日本共産党の条例改正提案と県民の世論と運動により、地元合意のない高校統廃合は凍結になりました。
     「凍結」ではなく、「白紙撤回」をして改めて検討するよう提案しました。
     また、定時制高校の統廃合については、現在の役割を評価し、拙速に行わないよう求めました。
    存続が決まった高校で宣伝

    長野南高校で

    望月高校で

  • 医師・看護師の確保を
     特に看護師の仕事の多忙さは深刻であり、看護師獲得競争とも言える事態が病院経営をさらに深刻にしています。
     医師、看護師確保に向けての決意を迫りました。

  • 助産師に光を
     「身近でお産ができない」状態が広がっています。
     産科医師の確保とともに、正常な出産の場合に、助産師の活用を提案しました。
     衛生部長は「院内助産所」の活用について検討をすすめると答弁しました。

  • 競争をあおる「学力テスト」は中止を
     文部科学省が、来年4月に小学6年生と中学3年生を対象に全国一斉の学力テストを実施しようとしています。
     過去にも実施しましたが、あまりにも競争をあおる結果になり、廃止されたもので、今回の実施の中止と学校毎の公表はしないよう求めました。教育長は「公表はしない」と答弁しました。
     いま教育基本法の改定が国会で審議されていますが、「未履修科目」問題にみられる様な受験競争をあおる教育でなく、どの子にも基本的な学力をつける教育が必要ではないでしょうか。

  • ウイルス肝炎医療費問題─県が陳謝
     少なくても低所得者や高齢者には助成を継続するよう主張してきた県のウイルス肝炎患者の医療費助成制度が10月から原則入院に限られました。しかし、10月になっても、フィブリノゲン製剤が原因の患者に、引き続き通院費の助成をすると約束しながら、県の手続きの遅れで受給できない人がいることを指摘し、対応を求めました。
     衛生部長は陳謝し、10月末に手続きが可能となりました。

  • 企業誘致は雇用拡大と結んで
     村井知事は選挙中、経済活性化のために企業誘致を訴えていました。どんな企業でもいいわけではありません。
     共産党県議団は、三重県亀山市のシャープ亀山工場の調査をもとに、「請負」や派遣労働の実態を伝え、企業誘致の際も正規雇用が拡大するような対策を提案しました。

    請負・派遣に支えられるシャープ亀山工場

  • 災害対策で提案
     7月の豪雨災害の復旧予算が286億円余、補正で盛られました。
     岡谷市が独自に被災者の住宅再建への支援策を実施したことに県としても支援を求めましたが、村井知事は否定的です。
     また、諏訪湖の内水対策、災害に強い山地づくりのため部局横断で対応するよう提案しました。

岡谷市・小田井沢川の氾らん現場(06年7月)

  • ごみ行政も後退─産廃処理場も復活か
     脱焼却・脱埋立てが基本の廃棄物条例が一旦取り下げられました。今後も条例制定に向け努力します。
     県が税金を投入する産廃処分場計画に共産党県議団は反対してきました。村井知事になって再び建設の方向に動いています。
     世論と運動がいっそう求められています。

  • 北朝鮮核実験 きびしく抗議 県議会で、全会一致で意見書が可決されました。