2014年2月定例会 代表質問  石坂千穂 

1.今回の大雪による雪害対策について

<石坂議員>

1、 大雪による農業用ビニールハウスの倒壊や苗などの農作物に被害が生じている。ビニールハウスの撤去・再建への支援、農作物の被害への保障などの対策を検討してほしい。
質問に先立ちまして、昨日も山梨県内で車が立ち往生したため、歩いて富士見町に向かった男性が雪の中で亡くなっていたと言う痛ましいニュースがありました。このたびの大雪被害で亡くなられた皆様のご冥福をお祈りし、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。また、除雪の対応や情報収集、課題解決のために、不眠不休で対応された職員、関係者の皆様に心からの感謝と敬意を表するものです。阿部知事も、早速被害救済と激甚災害指定など、国への支援要請に出向いていただいたとのことですが、例年に無い大雪被害でもあり、従来の対応を超える手厚い支援の陣頭指揮を執っていただきますように要望します。

さて、今回の大雪で、全県的には5000棟を超える農業用ビニールハウスが倒壊し、農作物に被害が出ています。倒壊したビニールハウスの撤去、再建等に必要な費用の支援、被害農作物への補償などの対策が求められています。ところが、被害額の算定基準が現実に見合っていないという、被害農家の皆さんの声が寄せられています。たとえば、中野市が2月20日現在でまとめた資料によれば、ビニールハウスの倒壊被害91棟中、ぶどうのハウスは23棟の倒壊で被害額わずか14万4千円、イチゴのハウスは倒壊2棟で135万8千円などとなっています。農家の皆さんは、一桁も二桁の違うのではないか、とやりきれない思いをぶつけておられます。
実際、私も16日に中野市のイチゴ農家の倒壊したビニールハウスを見せていただきましたが、収穫の真っ最中の10棟のハウスがすべて倒壊したこのイチゴ農家は、従来のアスパラガスのハウスを8年前に2800万円かけて改修し、借金もまだ500万円残っているとのことで、せっかく息子さんが後継者になってくれたのに、このままではもう続けられないかもしれないと肩を落としておられました。天気予報を見ながら除雪もし、支柱を補強していたのにもかかわらず、予想外の雪の重みで、ビニールハウスのパイプが逆方向にグニャリと曲がり、支柱は倒れ、ビニールは破れ、赤く色づき始めたイチゴはこの寒さで凍りつき、4月までは実り続けるはずだった1万4千株のびっしりと白い花の咲いたイチゴが全滅です。ここまで育てた農家の皆さんの気持ちを思うと心が痛みます。このような被害の実態と算出された被害額とは、あまりにも大きな乖離があると感ぜざるを得ません。
農業用施設被害額の算出に当たっては、評価額から年償却額に経過年数をかけたものを差し引くという計算をするとのことですが、この被害額は、あくまで被害を受けた農業用施設の資産価値の算定であって、実際に倒壊したビニールハウスなどの撤去や再建に要する費用への算定の基準ではない、つまり、支援を検討する場合のビニールハウスの撤去や復旧費用は、実際にかかる経費を基準にすると考えて良いのでしょうか。
被災した農業用施設等への支援は、従来、復旧資材の購入費を市町村が支援した場合、費用の2分の1を県が支援する「農作物等災害緊急対策事業」、国が直接30%を支援する「被災農業者向け経営体育成支援事業」などで対応されてきたと思いますが、今回の雪害を乗り越えて、農家の皆さんが、若い後継者を含めて希望と意欲を持って農業を続けることができるように、従来の支援策にとどまらない実情にあった支援を検討して頂くように要望します。
2011年の栄村の地震災害による農地の復旧にあたっては、国、県、村の支援で、最終的に農家負担は1%での復旧ができ、翌年の大雪が溶けた後で被害が判明した水田も対象になりました。今回の被害に対しては、具体的にどこまでの支援が可能になるのでしょうか、農政部長にお伺いします。

2、 家屋や駐車場、物置なども倒壊している。県の災害見舞金を積極的に活用して救済を図ってほしいがいかがか。
 各方面で大きな被害を生んだ今回の大雪ですが、個人の家屋や駐車場、物置なども倒壊し、高齢者を始め、生活弱者の負担も大変です。県の災害見舞金などを積極的に活用して救済を図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。危機管理部長にお伺いします。

3、 物流や企業活動、観光などにも大きな影響を与えた今回の大雪被害に最大限の支援を検討し、今後に生かしていただきたいがいかがか。
 今回の大雪で、一定期間交通網が麻痺したことにより、物流が停滞して県民の消費生活は不便を強いられ、企業活動、観光などにも大きな影響を与え、長野県内の観光客の宿泊のキャンセルは5万人を超えたと報道されました。各分野で可能な限りの最大限の支援を検討していただくとともに、今後に生かしていただきたいと思いますが、知事にお伺いします。

2、知事の政治姿勢

集団的自衛権について
 引き続き、知事の政治姿勢についてお伺いします。
安倍政権は、「積極的平和主義」を掲げながら、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認しようとしています。歴代政権は憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使を禁じてきました。政府の「法の番人」と呼ばれる内閣法制局は、戦争放棄などを明記した憲法9条に照らし、専門家の立場から容認できないとの見解を示してきたのです。政府は、この解釈に基づいて、自衛隊は「専守防衛」の組織だと説明してきました。1960年に改定された日米安保条約も、この解釈を前提にしています。
ところが、安倍総理大臣は、「最高責任者は内閣法制局長官ではない、私だ。」として、時々の政権の意向で憲法解釈の変更が勝手にできるかのように、世界の民主主義国家が共有し、憲法の根幹とも言うべき立憲主義を否定するような発言を繰り返しています。
知事は、集団的自衛権の行使に対して、どのような見解をお持ちでしょうか、お伺いします。

日米共同訓練について
 日米共同訓練についてお伺いします。
昨日2月25日から3月8日まで、新潟県関山演習場と群馬県相馬原演習場において、陸上自衛隊とアメリカ海兵隊による日米共同訓練が行なわれ、訓練終了後の3月9日には、研修視察に長野市内に来ると伝えられています。当初この訓練に参加するとされていた垂直離着陸輸送機オスプレイは、今回の訓練には参加しないことになりましたが、小野寺防衛大臣は、今回の共同訓練について「沖縄の基地負担軽減につながる。」と説明しています。もちろん、戦後永木に渡ってさまざまな犠牲と被害を生んできた沖縄の基地負担は軽減するべきですが、それを口実に、なし崩し的に本土にその負担を拡大にて行くことは許されません。長野県では、昨年夏ごろから、東北信地域を中心に米軍機の低空飛行訓練が頻発して県民の不安をよんでいます。
今回の訓練を含めて、繰り返される日米共同訓練について、県民生活の安全を守る立場から、国に対して中止、反対の働きかけを強めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

秘密保護法は廃止するべきだと思うがいかがか。
 秘密保護法の廃止についてお伺いします。
安倍政権は、昨年12月6日、国会の多数で秘密保護法を強行しましたが、法律成立後も、この法律に反対する国民の世論と運動は大きく広がっています。地方議会では、法律制定後に廃止や撤廃を求める意見書採択が続き、1月31日現在で全国56自治体、長野県では小布施町、富士見町、長和町、下諏訪町、中川村、木島平村、高山村、生坂村、阿智村の9自治体で採択されています。マスコミも「法律の制定後に、廃止や撤廃の意見書がこれほど多く出されるのは異例」と報じています。長野県弁護士会は、12月16日、「特定秘密の保護に関する法律」の成立に強く抗議し、同法の廃止と憲法改悪阻止のための幅広い行動を呼びかける会長声明を発表しました。12月15日に結成された秘密保護法の廃止を求める長野県連絡会の緊急の呼びかけで信濃毎日新聞の一面を買い取っての意見広告を通常国会開会日の1月24日に掲載し国会に届けようという取り組みは、年末年始の条件の中で一人一口1000円、目標の3000名を超えて大きく広がり、4,500名の名前を2面に掲載、中日新聞にも掲載する取り組みにと広がりました。(これが現物です。ご覧になった方も折られることと思いますが、一口1000円で名前を掲載した人たちの名前がここに、びっしりと並び、一人ひとりの皆さんの思いがこもった意見広告です。)共同通信社が1月25,26日に行なった世論調査では、秘密保護法を通常国会以降に「修正する」が46.6%、「廃止するべき」が28.2%で、併せて74.8%となっており、納得している国民は少数です。
知事は、11月県議会で、県の情報が特定秘密に指定される恐れや県の情報公開制度への影響はほとんど無いなどと答弁していますが、県が進めている情報公開の理念にもそぐわず、多くの県民が望んでいない秘密保護法の廃止を求める立場に立つべきではないでしょうか。改めて、知事の見解をお伺いします。

柏崎刈羽原発、浜岡原発の隣接県として、原発再稼動はやめるよう働きかけていただきたいがいかがか。
 原子力発電所の再稼動についてお伺いします。
長野県に隣接する世界最大の原発といわれる新潟県の柏崎刈羽原発と、老朽化が心配されている静岡県浜岡原発が、それぞれ再稼動に向けて動き出しています。政府は、原発を「基盤となる重要なベース電源」として、最近の報道では「ベースロード電源」に修正するようですが、再稼動を進めることを明記したエネルギー基本計画を決定しようとしています。
しかし、福島第一原子力発電所事故の収束の見通しがいまだ立たない中、核燃料を冷却する大量の汚染水が流れ出し、使用済み核燃料の処分先も決まらずにすでに飽和状態を迎えようとしています。何よりも、ひとたび事故が起これば、あの事故からもう3年がたとうとしているのに、福島では、いまだ住みなれた故郷へ帰る見通しも立たない16万人もの人たちが不自由な避難生活を送り続けており、計り知れない大きな犠牲を生み出すことになります。政府は、安全基準を満たしたものから再稼動するといいますが、新規制基準は。福島第一発電所の事故原因が明らかになっていない中で策定されており重大事故に対する立地評価もされていないものです。
東京電力柏崎刈羽原発で事故が発生した場合を想定した住民避難の行動指針を新潟県が2月4日に公表しましたが、原発から50キロ県内には飯山市、栄村などが含まれており、風向きや地形によっての影響も心配されるところです。共同通信社の世論調査では、「安全が確認された」原発の再稼動に、賛成が31.6%、反対が60.2%となっています。
県民生活の安全を守る立場から、知事には、両原発の再稼動の中止を働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

3、新年度予算編成と県財政の健全化について

 新年度予算編成と県財政の健全化についてお伺いします。
内閣府が今月17日に発表した2013年10月から12月期の国内総生産GDPの実質伸び率は0.3%にとどまり、4期連続のプラス成長ではありますが、13年1月から3月期の1.2%以降、伸び率は下がる一方です。輸出も0.4%と低い伸びで、円安効果も輸出を押し上げるにいたっていません。雇用者報酬が伸びていないため、実質GDPの6割を占める個人消費はわずか0.5%の増、消費税増税を見越した住宅などの駆け込み需要があったにもかかわらず、低い伸びにとどまっています。アベノミクスの効果は地方に及んでいないばかりか、全体の伸び率が鈍化しており、景気回復は決して磐石ではありません。
新年度の長野県予算編成では、消費税増税による景気の腰折れリスクがあることを認めながら、財源として景気回復と消費税増税分を見込んでいます。知事も提案説明の中で、バブル経済が崩壊した後も低いながらも続いていた経済成長が1998年には名目成長率がマイナスとなり、本格的なデフレ時代に突入することになり、長野県でも有効求人倍率が1997年の1.23倍から、1998年には0.92倍へと後退し、その後今日に至るまで1997年の数値を上回ることが無い状況が続いていると述べています。まさに、その1997年に消費税が3%から5%へと増税されたのであり、今年の4月にはさらに8%へと増税されることになります。長野県の年間予算規模約8500億円の2倍近い県債残高も高止まりの傾向にありますが、はたして今後の県財政の健全化は見込めるのでしょうか。知事の見解をお伺いします。

4、リニア新幹線への対応について

環境影響評価への知事意見書提出について
 リニア中央新幹線の対応についてお伺いします。
日本共産党権議団は、2月の4から6日まで、リニア新幹線工事予定地の南木曽町、阿智村、喬木村、飯田市、豊岡村、大鹿村にお邪魔し、現地調査を行なうとともに、関係自治体の町村長さん、議長さんはじめ議会関係者、観光協会、地域振興協議会、飯田市の中間駅設置予定地周辺の上郷飯沼区、北条地区対策委員会や多くの住民の皆さんから御意見、ご要望を聞きしてきました。率直な感想として、出された多くの不安や懸念、課題を果たして解決できるのか、27年開業を大前提として、その期限は変えず、環境配慮はその枠内でとしているJRの方針で、果たしてこの事業は進められるのだろうか、という大きな疑問がわいてきました。工事の残土運搬車両の激増で、一日690台、1700台というダンプが、生活道路を40秒の1台、それが7年も10年も続いたら、「日常の普通の暮らしそのものが成り立たない。」「妻籠は無くなってしまう」「昼神温泉がだめになる。」など、さまざまな深刻な訴えをお聞きしました。
マスコミ報道で、県の技術委員会事務局が「市町村の意見をそのまま知事意見に反映してJRが受け入れられないようなものにするより、技術委員会での議論の深まりを踏まえて知事意見を作成していくことになる。」とコメントしたという記事を見て、関係自治体の皆さんは、自分たちの意見は抹殺されてしまうのかと、心配されています。
知事意見書は、県民や関係自治体から出されている要望や懸念を最大限反映するものにするべきだと考えますが、基本的な立場、反映するべき課題、事項についての知事の見解をお伺いします。環境や住民生活、産業などへの影響が大きい課題について、必要な調査や根拠ある説明を求め、課題解決が見込めない場合は、計画の見直しも求めていただきたいがいかがでしょうか。

知事意見書提出後の対応について
 また、意見書を提出してよしとするのではなく、意見書提出後は、意見書の内容が誠実に事業に反映、実施されるよう責任を持ってJR東海に求めていくべきだと考えますがいかがでしょうか。課題解決に当たっては、事業主体はあくまでJR東海であることの責任を明確にし、住民合意に基づいて進めるべきだと考えますがいかがでしょうか。

リニア新幹線活用基本構想(案)について
 リニア新幹線活用基本構想(案)についてですが、関係地域の皆さんからお聞きした課題のあまりの大きさに、正直、私自身は、活用基本構想の前に、やることがあるのではないか、あまりにも前のめりではないかという印象は否めません。
その上で、この活用基本構想(案)を実現していくためには、道路や鉄道の整備などによって関係自治体や住民に新たな負担が生じることが考えられます。そのため、構想実現の前提として関係自治体や住民から出されている課題や懸案事項が解決されることが不可欠だと考えますがいかがでしょうか。また、構想(案)を実施する場合の事業費負担はどうなるのでしょうか。知事にお伺いします。

5、県の契約に関する条例について

 県の契約に関する条例についてお伺いします。
長引く景気低迷や深刻な雇用情勢、好転の兆しの見えない国の財政状況を反映し、地方自治体の財政状況も、いまだ厳しい事態にあり、長野県もその例外ではありません。しかし、県財政の厳しさを背景に、経費削減を優先しての業務の民間委託や臨時・非正規の職員への置き換えがすすめられ、安ければよいという風潮が放置されれば、税金を使って行なう県の公的な事業やサービスで、こともあろうに、その収入だけでは生活できない低賃金労働者を作りかねず、公共サービスの質の低下にもつながりかねません。本来、このような事態を根本的に解決し、良質な公共サービスを適正な価格、適正な費用で県民に保障する為の条例が、県の契約に関する条例を制定する目的だと思います。
今回提案されました「長野県の契約に関する条例案」は、県が締結する契約についての透明性・公平性や品質の確保、県内中小企業の受注機会の確保、労働者の賃金水準の適正化、障害者雇用の促進などの社会的要請にこたえるものとして、基本理念と県及び県の契約の相手方の責務、県の取り組み方針を定めるものとなっています。
このうち、基本理念のなかに、「県の契約は・・・経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素を考慮し、総合的に優れた内容のものとしなければならない。」という点と、「県の契約の履行にかかる業務に従事する労働者の賃金が適正な水準にあること、その他の労働環境が整備されていること」としている点が特に重要だと思いますが、県が発注する公共事業や物品購入、指定管理者等の委託業務などにかかわる労働者の賃金が適切に保障され、合わせて受注した事業主にも適切な利益が保障されること、公共事業を例にとれば、元請けも下請けも保障される適正な価格を発注者の県が保障するのだという点が、もうひとつ明確ではありません。表現の仕方が適切ではないかもしれませんが、どちらかといえば上から目線で、発注者の県は、透明性や公正性が確保され、談合その他の不正行為が無い適正な契約を見届けるというようなニュアンスがあるのですが、この条例の目的は、むしろ発注者である県を縛るもので、受注者を守るものであるという点を基本理念、県の責務においてもっと明確にするべきではないでしょうか。
最近の公共事業等の入札が不調に終わる傾向や、落札率を上げていくだけでは限界があり、解決できない問題があることを考えれば、県が発注する業務においてはいわゆる官製ワーキングプアは生まない、労働者の適正な賃金と雇用の確保とともに事業主の適正な利益の保障もし、安心して県からの仕事を受注できるという観点を明確にするべきではないかと思います。建設部長の見解をお伺いします。

6、教育問題について

県立4年制大学と高等教育の充実について
 県立4年制大学と長野県の高等教育の充実についてお伺いします。長野県短期大学を4年制にとの請願を県議会が全会一致で採択してから22年がたちました。バブル経済がはじける中で長野オリンピックの大事業を成功させる一方で、他県の県立短大が次々に4年制大学に改組されていく中で長野県での4年制化への具体化は進まず、村井知事時代には、県の包括外部監査から、県短大が時代の変化にふさわしい存在意義を持つためには管理栄養士養成課程を軸とする4年制大学への改組が必要との指摘を受け、検討委員会での繰り返しの議論の中で4年制大学への発展的改組が必要とされ、その後の設立準備委員会の議論を経て、一昨年9月の基本構想素案の公表、県議会の議論や大量のパブリックコメント、私学関係者との話し合いなどの過程を経てまとめられた基本構想に沿って、ようやく施設整備や教育課程を検討する2つの部会も動き出し、開学に向けての具体的な準備が始まったことを歓迎するものです。
ここにいたるまでの知事はじめ関係の皆様のご尽力に敬意を表し、いよいよこれからが正念場となりますので、いっそうのご尽力をお願いするものです。
さて、そのうえで、残念ながら未だ一部に、県内私学との競合を心配する声がありますが、県立4年制大学は、長野県の人材育成の受け皿、とりわけ4年制大学の受け皿が全国的に見ても最低レベルである現状を打開し、充実させるため設立するもので、決して県内で学校間の競合を招くものではないこと、県内の高等教育のレベルを私学とも協力して全体として充実させることを目的としていることを、県としてももっと積極的に発信して、いっそう理解を深めていくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
また、知事は提案説明の中で、開学の時期は平成30年4月を目標にするとされましたが、昨年の2月県議会での私の質問に対しては、遅くとも平成29年4月の県の総合計画の計画年度内に開学すると答弁されています。開学の時期は、学生の進路の決定のためには大変重要で、ひとりひとりの学生の進路を大きく左右することにもなります。お隣の新潟県立大学は、従来の短大のキャンバスで校舎の増改築を行なって4年制大学を開学し、開学後に学生食堂などの建設を行なっています。できれば知事自身が表明された総合計画の計画年度内に、できるだけ早く開学してほしいと思いますが、平成30年度まで延びてしまうのはなぜでしょうか。高田総務参事にお伺いします。

教員への満足度調査について
 教員の評価制度についてお伺いします。
 残念ながら教員の不祥事が相次いで発生し、多くの県民が不祥事の根絶と教育への信頼回復を求めています。県教育委員会は、新年度に教職員の非違行為根絶を図るため、教職員からの通報相談窓口やアドバイザーの設置と教職員や学校の評価制度の改善に取り組むとされています。
しかし、私は、現在検討されている児童・生徒や保護者による匿名性を担保した評価制度の導入には、大きな疑問を持っています。(大いに満足、大体満足、普通、あまり満足しない、大いに不満)の5段階評価のマークシート方式の集計を評価の参考にするということですが、果たしてこんな方法で教員の資質向上に役立つ評価ができるのでしょうか。授業が理解できているか、いないか、先生の指導が実情にあった親身なものであるかどうか、などを生徒から評価されるのは、教員にとって反省点や今後の指導にいかす点があるかもしれません。しかし、日常の授業に参加していない保護者に、いったいどれだけの評価ができるのか、子どもと保護者が話し合って記入するということと、匿名であるために、そこに保護者の恣意的なものは働かないのか、厳しい先生、嫌いな先生というだけで悪い評価になったとしたら、その評価に誰が責任をもてるのか、など、教育は時間をかけて効果を発揮するものでもあるだけに、さまざまな危惧を感じます。検討されている匿名性を担保した評価制度は、個々の教員の授業と学校という教育活動を、満足するかしないかという、まるでホテルや商店の顧客サービスを評価するような方法でチェックしようとしているように思えます。
不祥事の根絶のために必要なのは、教育への情熱や生きがいが持て、そのための高い能力をつける研修などを通じて教育の質の向上を図り、教師集団の協力、切磋琢磨する信頼関係を作ることではないでしょうか。教育とは、本来、生徒と教師、保護者の信頼と協力関係のなかで作り上げていくものです。無機質なマークシートで集計された評価ではなく、改善すべき点は直接指摘しあい、話し合い、高めあっていくべきもので、直接では言いずらいのであれば、記述式の匿名アンケートで十分です。教師集団としての協力関係や信頼関係を壊しかねず、評価を良くしたいと困難学級を担当することを避ける傾向を生み、教員の教育への情熱をそぐことにもつながりかねないこのような評価制度の導入は再検討するべきではないでしょうか。教育長の見解をお伺いします。

 フランスの詩人ルイ・アラゴンの詩に、「教えるとは希望を語ること、学ぶとは誠実を胸に刻むこと」という一節があります。先生が生徒に希望を語り、生徒は学ぶことで誠実を胸に刻む、そんな教員と生徒と保護者の信頼関係を作り出す長野県教育であってほしいと思います。匿名性の担保という名のマーク・シートによる満足度調査は、そんな教育とは無縁で異質のものと思えてなりません。こんな評価制度の導入に、教育委員会の議論では異論が出なかったのでしょうか。村石議員の代表質問でもこの問題についての指摘がありましたが、この議会での議論も教育委員会にご報告頂き、導入を判断するのは教育委員会自身なのですから、安易な導入は見送る、慎重な再検討を強く求めたいと思いますが、教育長の見解をお伺いします。

特別支援学校の教育環境充実について
 特別支援学校の教育環境充実についてお伺いします。
現在、全国的にも特別支援学校で学ぶ児童・生徒は少子化にもかかわらず増え続け、この10年間で特別支援学校の生徒は約4割増、特別支援学級、通級指導教室は2倍になったとされ、長野県でも高等部を中心に生徒が増加し、教員も教室も足りない現状にあります。このような中で、新年度に特別支援学校から小・中・高等学校への支援体制を強化するため、自立活動担当教員を平成29年までに80人増員し、新年度新たに介助職員20人を配置するとともに、専門性を生かした支援を行なうため理学療法士、作業療法士の派遣なども行ない特別支援教育の充実が図られることを歓迎します。
しかし、同時に、文部科学省の学校基本調査によれば、長野県の小中学校における特別支援教室の児童・生徒の在籍率は小学校で全国6位、中学校で全国1位の高さであり、そのうち自閉症・情緒障害の子どもが占める割合が小学校で全国2位、中学校で全国1位となっており、今後も高等部の生徒の増加が続くことが予想され、新年度からの取り組みが実施されても、特別支援学校の過密化、過大化を解消し、行き届いた教育を実現するためには、まだまだ程遠く、いっそうの努力が必要になっています。
県教育委員会は、今までも、標準法との乖離の計画的な解消に努めると、議会でも繰り返し明言されてきました。是非、その取り組みを促進していただきたいと思いますが、今後の見通しはいかがでしょうか。
 また、児童・生徒の増加に施設整備が追いついていない現状として、文部科学省のまとめによれば、2012年、平成24年5月1日現在、全国の公立特別支援学校で4633の教室不足が生じており、特別教室を転用している教室は1788、一時的に間仕切りで設けた教室が1285となっています。そのうち、長野県では、教室不足が46、特別教室の転用が31、間仕切りの教室が8、廊下等の間仕切りが11となっています。慢性的な教室不足、その上に、昨年の9月県議会では両角友成議員も質問し、日本共産党県議団として繰り返し指摘して来ました長期のプレハブ教室での対応は一刻も早く改善していただきたいと思います。昨年11月5日の参議院文教科学委員会では、日本共産党の田村智子参議院議員の質問に対し、下村大臣が、「文科省では、各設置者において増加傾向にある児童生徒数を的確に把握し、解消計画を順次策定、更新するとともに、新設校の設置や校舎の増築、分校、分教室による対応など教育上支障の無いよう適切な対応を求めているところであります。また、こうした教室不足を解消するための校舎等の新築、増築等に対して国庫補助を行なっており、今後とも地方公共団体において計画的な整備が行なわれるよう、引き続き予算の確保に努め、教室不足の解消を図ってまいりたいと思います。」と答弁しています。
私たちも、かねてから、統廃合した高等学校の校舎の活用なども提案してきましたが、特別支援学校の生徒増に見合う学校増設を本格的に検討するべきではないかと思いますが、教育長の見解をお伺いします。

臨時的任用の教員の身分向上について
 臨時的任用の教員の身分向上についてお伺いします。
今、教育現場で非正規で働く教員が増えています。文部科学省の調査では、2012年度の臨時、非正規などの教員は、公立の小中学校で11万3千人、これに特別支援学校や高校、また市区町村費による非正規任用などをあわせると約20万人となり、その結果、公立学校では教員の5人に1人が非正規という状態で、しかもほとんどの自治体がそれを定員の中に入れているため、自治体によっては担任教員の4分の1が臨時任用という事態まで起きています。長野県内での非正規教員の実態は、小学校で880名(11.8%)、中学校が632名(12.91%)、高校は269名(6.94%)、特別支援学校は200名(13.41%)となっており、実に2000名近くの臨時教員が任用されています。
教育現場は、臨時教員の存在無しには、一日たりとも教育活動ができない事態となっています。しかし、臨時的任用の非正規教員は、勤務時間や任用期間の都合によって、児童生徒に対する継続的な指導が制約されたり、体系的な研修を受ける機会が乏しく、教職員間、保護者との連携が困難になるなどさまざまな課題があります。教員が正規でも臨時的任用の非正規でも、教育には臨時はありません。教育長は、このような現状をどう受け止めておられるのでしょうか。臨時的任用の教員について、正規雇用化を検討し、促進するべきではないでしょうか。教育長の見解をお伺いします。

 現在、臨時的任用の教員は、地方公務員法22条を任用根拠に、人事委員会の承認を得て、6ヶ月を超えない期間で臨時的任用を行なうことができ、さらに6ヶ月を超えない期間で更新することができるが、再度更新することはできない、つまり1年を超える任用はできないとされているため、長野県では、ほとんどの場合、年度末の5日間任用を中断し、4月1日から再度任用を繰り返すということが行なわれています。このような任用が常態化していることについて、承認するお立場の人事委員会委員長は、どのように受け止めておられるのでしょうか。見解をお伺いします。

 現在、長野県では、臨時的任用の教員が次年度に再度任用される場合、5日間の雇用中断、空白期間がおかれ、その空白期間に年金及び健康保険の基準日である3月31日が含まれている場合、年金や健康保険が継続せず、切り替えを臨時教員自身で行なう負担や脱退手続きのために保険証も返却を求められ、国民年金への切り替えで年金額にも不利益が生じます。
昨年11月28日の第185回臨時国会の参議院文教科学委員会で日本共産党の田村智子参議院議員がこの問題を取り上げ、「一日もしくは数日の空白期間があるという者の場合、引き続き健康保険、厚生年金の被保険者になるか。」と質問したことに対し、厚生労働省は「事業主と被保険者の間であらかじめ次の雇用契約又は任用の予定が明らかであるといったようなケースで事実上の使用が継続していると認められる場合には被保険者資格は継続する」と答弁し、改めて年金機構に対して必要な周知・指導を図ると回答しました。この回答に基づいて、今年の1月17日、厚労省は保険局保健課長ならびに年金局事業管理課長名で、「事実上の使用関係が中断することなく存続していると、就労の実態に照らして判断される場合には、被保険者資格を喪失させること無く取り扱う必要がある。」と、「適用事業所等に対する適切な周知・指導等」を求める通知を出しています。
本来、学校に必要な教員は正規で配置することが基本であり、約2000人の臨時的任用の教員の不利益をできる限り解消し正規教員との均等待遇に努めるよう、年金、社会保険料等の公費負担を実施するべきではないでしょうか。教育長にお伺いします。

 地方公務員法第22条は、「臨時的任用または非常勤職員の任用を除き、職員の採用は、すべて条件付きのものとし、その職員がその職において6月を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものとする。この場合において、人事委員会は、条件付き採用の期間を1年にいたるまで延長することができる。(2)人事委員会を置く地方公共団体においては、任命権者は、人事委員会規則に定めるところにより、緊急の場合、臨時の職に関する場合又は任用候補者名簿が無い場合においては、人事委員会の承認を得て、6月を超えない期間で臨時的任用を行なうことができる。この場合において、その任用は、人事委員会の承認を得て、6月を超えない期間で更新することができるが、再度更新することはできない。」と定めています。
このことに関して総務省の通知では、「再度の任用についての留意事項」の項目で「同一の者が長期にわたって同一の職務内容とみなされる臨時・非常勤の職に繰り返し任用されることは、長期的、計画的な人材育成・人材配置への影響や、臨時・非常勤職員としての身分及び処遇の固定化などの問題を生じさせる恐れがあることに留意が必要である。」としており、本来、地方公務員法22条は、臨時的任用を長期に継続することを禁止しているのであり、臨時的任用が年度を越えて繰り返される場合、任期が終了した時点で正規採用に切り替える地方公務員法17条を適用するべきではないかとも考えます。人事委員会委員長に、改めて地方公務員法22条、17条を踏まえて、人事委員会としても、臨時的任用の教員の処遇改善について、積極的なご議論をいただきますように期待しています。
県教育委員会自身が、増え続ける臨時的任用教員の常態化を当然のこととして官製ワーキングプアを促進するのではなく、臨時的任用教員の正規雇用化に、真剣な努力をお願いしたいと思いますが、教育長、いかがでしょうか。

 すでにご承知のこととは思いますが、全国的には、東京、広島、京都、北海道などの自治体で、臨時的任用の教員の雇用中断日が生じる3月分の社会保険料を教育委員会が負担しており、静岡、和歌山でも職員団体との確定交渉の中で公費負担の検討が回答されています。本来ならば、そう難しいことではないのですから、補正予算を検討して今年度末からの実施を求めたいと思いますが、実施の時期はいつごろになるのでしょうか。昨日追加提案されました追加分補正予算案によれば、教育委員会は27億7900万円の減額補正となっており、その圧倒的部分は常勤職員の給与費と共済組合負担金となっています。全体のやりくりのなかでは十分可能ではないかと思われますが、教育長にお伺いします。

7、子育て、子ども支援について

 長野県は「子育て先進県の実現」をめざしています。そのため、「長野県子ども・子育て支援事業支援計画」を策定し、広域性と専門性を有する立場から市町村を支援するとして、多様な保育サービス、病児・病後児保育や放課後児童クラブの運営に対する支援、発達障害の疑いのある「気になる子供」をサポートする保育士の加配、夜間や休日の急な子どもの病気に関する小児救急電話相談事業などに取り組むとされています。その「長野県子ども・子育て支援事業支援計画」に、是非、すでに全国37都府県で実施されている子どもの医療費の窓口無料化を位置づけていただきたいと思います。このまま、窓口無料化を実施していない数少ない県に長くとどまっているのでは、「子育て先進県」の看板は、残念ながら下ろしていただくしかありません。
日本共産党県議団は、先日群馬県の子ども医療費無料化制度の調査に行ってきました。群馬県では、少子化対策や子育て環境の充実を図るため、子育て世代の経済的負担を軽減するとともに、県内どこに住んでいても子どもの医療が無料で受けられるように、平成19年まで入院は5歳未満まで、通院は3歳未満までだった子どもの医療費の窓口無料制度を段階的に対象範囲を拡大し、平成21年10月からは現在の入院・通院とも中学校卒業までを対象に、所得制限なし、自己負担無しの完全窓口無料化が実施されています。

群馬県国保援護課が平成24年7月に高崎市内の保育園、小学校、中学校の子どもの保護者3000人を対象に行なったアンケート調査によれば、「この制度はどのような点で生活に役立っていますか。」の問いに対し、95.7%が「経済的負担の軽減」、89.4%が「早期治療による子どもの健全な成長促進」と答えています。「早期治療のおかげで、仕事を休むことも無く助かっている。」という働く母親からの回答もありました。
完全窓口無料化になれば、安易な受診が増えるのではないかという一部の疑問に対しては、夕方6時から翌朝8時まで電話相談に応じる、#8000番の群馬子ども救急相談の利用が進んでいることもあり、通院が小学校就学前までだった平成21年の4月から9月の通常診療時間以外の受診件数が10152件だったのに対して、中学校卒業までに拡大された平成22年の4月から9月までの受診件数は9406件で、むしろ減っているとのことでした。
一方、10歳から14歳までの、喘息の子どもの平成21年5月の受診件数が724件、中学校卒魚まで無料化となった翌年5月の受診件数は872件で20%増え、同じくアトピー性皮膚炎を含む皮膚炎及び湿疹の平成21年5月の受診件数が638件に対し、中学校卒業まで無料化となった平成22年5月の受診件数が741件で16%増え、慢性疾患の治療がしやすくなっていることが伺えます。

同じアンケートで、中学校卒業までの子どもの医療費が通院でも入院でも所得制限無し、自己負担無しで県内どこでも無料なのは群馬県独自の制度であることを知っているのは12.9%という結果になっており、群馬から長野県に来れば、多くの保護者が戸惑うことになるわけです。
知事は、子どもの医療費の無料化は、本来国が実施するべきことと、長野県での実施を拒んできました。しかし、国が今なお実施しないなかで、全国で37都府県で子どもの医療費の窓口無料化が、30都道府県で障害者の医療費の窓口無料化が実施されています。(これは、群馬県が作っている中学生までの子ども医療費無料化をPRするポスターです。このイラストは群馬のゆるキャラ、群馬ちゃんです。県や市町村の担当窓口などに張られています。)
人口198万人、年間予算規模6800億円の群馬県が実施して子育て世代に喜ばれている子どもの医療費の窓口無料化が、人口200万人、年間予算規模8500億円の長野県で、なぜ実施できないのでしょうか。窓口無料化による国保の調整金、いわゆるペナルティは群馬県で12億5800万円、うち子どもの医療費分は2億4000万円とのことでした。長野県の福祉医療費の窓口無料化を、健康長寿の推進、子育て支援、障害者支援の立場からも実施できるよう、是非検討していただきたいと思いますが、知事の見解をお伺いします。また、窓口無料化がすぐに実施できなければ、対象年齢の拡大、診察と薬局での500円の負担金の廃止等について、一歩づつでも実施するべきではないでしょうか。合わせて知事にお伺いします。

 松本市が、平成24年2月から3月にかけて松本市在住の10歳から18歳の子ども1800人を対象に行なったアンケート調査では、「子どもにかかわる取り組み」で、自分にとって大切だと思う取り組みについてダントツでトップが「病気になったとき治療を受けられる。」で、2位の「虐待やいじめをなくす」、3位の「楽しい学校生活が送れる」より多くなっています。子どもたちにとっても、健康で過ごせることは何よりも大切なことなのです。医療費の心配をしないで治療を受けられる環境づくりは、おとなにとっても、こどもにとっても子育て支援の重要なメニューのひとつです。長野県でも是非とも子どもの医療費の窓口無料化に一日も早く踏み切っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

8、生活困窮者支援について

生活保護制度の見直しについて
 生活困窮者の支援について、最初に生活保護制度の見直しについてお伺いします。
社会保障改革推進法の成立により、最後のセーフティネットである生活保護の給付水準が3年にわたって最大10%も生活費が切り下げられることになり、これでは最低限の生活さえ保障されず、自立支援にも結びつかないと全国で生活保護受給者が不服申し立てを行なう事態となりました。このような現状をどう捉えているのか、健康福祉部長にお伺いします。
また、生活保護の申請や受給の現場では、いまだに、持ち家があることが、即、申請や受給ができないことにはつながらないことや、公共交通が著しく困難な場所での通院、求職、就労のための自家用車の保有や使用を認めている国の通達の内容が生かされておらず、申請の条件として自家用車の処分を迫るなどの対応が残されており、生活保護の申請や受給が滞る事例が後を絶ちません。長野県のような、中山間地が多く公共交通の不便なところで、自家用車の処分を迫れば、就労や日常生活に多くの不便や不利益を生じ、自立していく条件をますます悪くして、生活保護から抜け出せない条件を助長していくことにもなってしまいます。このような事例をなくし、制度の適正な運用がされるよう、いっそうの徹底を図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。健康福祉部長にお伺いします。

PS事業の充実について
 パーソナル・サポート事業の充実についてお伺いします。仕事を失い、さまざまな困難を抱えた経済的困窮者や社会的孤立者等の自立生活を粘り強く寄り添い型で支援してきたパーソナル・サポート事業が、これまでの成果と経験を生かして、来年度は市町村との共同事業として相談支援拠点も6箇所に増え、予算も増額されることをうれしく思っています。昨年の11月県議会でも、私はこの問題について質問し、人と人との信頼関係で成り立っている事業であるだけに、その信頼関係が継続、充実できるように要望したところです。新年度は、委託先の変更もありうるとお聞きしているところですが、せっかく築き上げてきた信頼関係が断ち切られることの無いように、また、支援に当たっている支援員が委託先の変更で路頭に迷うことの無いように、事業の受託者が変更になっても現在の支援員が望めば雇用が継続できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。健康福祉部長にお伺いします。

福祉灯油の実施について、市町村が実施主体とするのではなく、県としての実施を検討していただきたいがいかがか。
 福祉灯油の実施についてお伺いします。
記録的な豪雪と灯油やガソリン代の高値が続き、円安による生活必需品の値上げなどが暮らしへの負担を重いものにしています。このようななかで、秋田、山形の両県が福祉灯油の実施に県として踏み出すことになり、2月定例県議会に関係予算が提案されました。
秋田県では、県単独の灯油購入費緊急助成事業として、灯油高騰に伴う低所得者世帯の経済的負担の軽減を図るため、市町村が実施する灯油購入費助成に関する事業に対して助成するものです。対象は市町村民税非課税世帯の高齢者世帯、障害者世帯、一人親世帯、生活保護世帯等で市町村の助成額の2分の1,2500円を上限に助成するもので約8万世帯が対象となり、予算額1998万円です。
山形県では、生活困窮世帯への灯油購入費助成事業として、市町村が支援対象とする生活困窮世帯を対象に、補助率2分の1、1世帯あたりの補助限度額5000円、予算額3500万円です。
阿部知事は、日本共産党県儀団の申し入れに対して、「実施主体は市町村だから」として県として実施の意向は無いと回答されましたが、秋田県でも、昨年末に秋田生活と健康を守る会が秋田市長に申し入れたときには、「今のところ実施は考えていない」との回答でしたが、今年になって県の事業が確定したことから市としても補正予算で対応することになったということです。県が支援を表明することで、踏み切れずにいた市町村が実施に踏み出せるというところに、市町村を支援する県の役割があるのではないでしょうか。
豪雪地、寒冷地では5月の連休前まではストーブが手放せない地域もある長野県です。相次ぐ年金の引き下げや暮らしの大変さの中で、高齢者の中にも、ストーブは朝の1時間しかつけない、昼間は厚着をして布団にくるまっている、などという人もいます。県としての福祉灯油の実施を、是非検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 私を含めて多くの人たちが、改めて人間らしく生きる社会のあり方を見つめなおす機会にもなった、あの東日本大震災と福島原発事故からもうすぐ3年になろうとしています。力強く復興の歩みを進めている栄村の皆さんにも励まされながら、希望ある長野県を造っていくために、ご一緒にがんばって行きたいと言う私の思いを述べ、すべての質問を終わらせていただきます。