2013年11月定例会 11月29日  和田明子

議第 4号 農地中間管理事業に関する意見書(案)賛成討論

 農地中間管理事業は、離農者などの農地を借り受け、必要な場合には基盤整備を行い、その農地の利用を希望する農業経営者に貸し出すことを主な内容とし、都道府県に農地中間管理機構が設置され、事業を実施するというもので、政府は農業の大規模化や農地利用の効率化・高度化を促進すると当面の農政の最重点に位置付けています。

しかし、
1つ。当初想定された農地の貸出先は、地域の農業者が話し合って決める「人・農地プラン」で位置づけられた大規模農家や集落営農が中心であったものが、法案に事業目的の一つとして「農業への参入の促進」が明記され、「販売力」「資金調達力」のある企業参入が優先され、地域農家が排除されるおそれがあること。

2つ。農地の借り入れによって中山間地域などで増えている耕作放棄地の解消に役立つと思われていましたが、借り入れても貸出先が見込めない農地を抱えれば財政負担が増えるとし、耕作放棄地がはずされるおそれがあること。

3つ。「農業の競争力強化」という政府や県の方針が優先され、地域の実態に即した判断や市町村・農業委員会の意見を反映させる保障が担保できないおそれがあること。
等の問題点があります。

 安倍内閣はTPP(環太平洋連携協)に対応する農政「改革」の第一歩として、農地の集積による競争力のある農業の確立をめざすなかで「農地中間管理事業」の創設をめざしているようですが、そもそもTPP参加によって競争する相手は、農家一軒当たりの平均的な耕地面積で比べても、アメリカは日本の100倍、オーストラリアは1500倍を超えています。
 殊に、長野県の農地はほとんどが中山間地域であり、集積し効率化が図れないのが実情であります。
 意見書案は機構に関連した業務に係る経費、運営費の負担について厳しい財政状況が続く地方が負担することが困難であること。中山間地域では農地集積の難易度が高く困難が伴うことを想定したうえで、都道府県の負担の増加の軽減と地域の実情を踏まえた制度の検討を国に求めるものになっております。以上、申し上げ賛成の討論と致します。