2013年9月定例会 9月30日  高村京子

労働環境の整備を求める意見書案 賛成討論 

 議 第 5 号 「労働環境の整備を求める意見書」案に対して、日本共産党県議団を代表して、困窮する非正規労働者の増大を防ぎ、正規雇用でも使い捨てにするような労働環境を許さないための抜本的な改善につながることを切に願い、賛成討論をいたします。

 今年7月総務省の発表によると、非正規社員は2024万人、労働者比率38、2%に増えて、過去最高となりました。女性の非正規比率は、57,5%と6割近くを占める事態となっています。
 デフレ不況が深刻な中、注目すべきは非正規の平均賃金は、年間168万円で正規の平均賃金467万円の約3分に1と低い水準におかれ、さらに女性は正規非正規それぞれの平均賃金の3分の2程度におかれています。「満ち足りた暮らし」は、望むべくもありません。

 この間、製造業への派遣解禁など、労働法制の規制緩和により、まじめに働いても普通に暮らせない厳しい労働雇用環境が広がってきました。正規雇用、
非正規問わず、会社による強引なリストラ解雇、長時間労働、サービ者も出ています。今や労働者を使い捨てる「ブラック企業」が横行し、大きな社会問題になっています。

 また、自動車・電機等の大企業は「国際競争力強化」をめざし人件費を削減するため、さらなる非正規雇用の拡大や国内企業の整理解雇リストラを進めようとしています。こうした中、安倍首相は「世界一企業が活動しやすい国をつくる」として、労働者を放出する企業を助成する「労働移動支援助成金」を大幅に増額しました。さらに、解雇自由化、残業代ゼロの裁量規制の緩和、解雇が自由になる限定正社員の導入など、海外で活動する大企業を応援しする労働法制のいっそうの改悪が目白押しです。
この方向は、今切実に求められている労働雇用環境の整備とは正反対の方向です。

 特に、本意見書案の第2項については、慎重に見極める対応が必要です。
「多様な働き方」とか「女性の活躍推進」を掲げながら実は、雇用者責任をさらにあいまいにすることができ、いっそう劣悪な処遇環境になることが危惧されます。

 1986年昭和61年、男女雇用機会均等法ができた時「女性が男性並みに働くことは大変だから、多様な働き方を用意する」として、労働者派遣法がつくられました。男女平等を理由に、女子保護規定が撤廃され、労働基準法が改悪されました。
 最初は女性だった派遣も業務も結局男性にも広がりました。リーマンショックの後で、日比谷の派遣村には仕事も家も失った労者がふれました。全国での支援相談活動が取り組まれ、派遣切りは大きな社会問題としてクローズアップされました。

 女性が、母性として尊重されることや妊娠によって差別されない環境への保障は今なお盛り込まれていません。お産子育てが安心してできる環境への充実は女性だけでなく男女ともに子育て、次世代を育てる仕事が保障される環境への整備が求められています。

 政府には、働く人々が生活と仕事の調和が保たれ、健康で安心して生きがいを持って働くことができる労働雇用環境への法整備に正面から取り組んでいただくことを強く求め、賛成討論といたします。