2013年9月定例会 9月30日  藤岡義英

集団的自衛権の行使に関する意見書案 提案説明 

 議第 6号「集団的自衛権の行使に関する意見書案」の提案説明を行います。

日本が直接攻撃されたわけでもないのに、アメリカなど日本と密接な同盟関係にある国が攻撃されることを理由に、日本が武力を行使する「集団的自衛権」の行使は、これまで歴代の政権が「憲法上、行使は認められない」としてきたものです。こうした判断は、内閣法制局の長官だけでなく首相や閣僚なども国会で繰り返し答弁し、閣議で決定した答弁書などでも確定した政府全体の見解です。

集団的自衛権の法制局解釈について、これが間違っている、ということになりますと、戦後、続いてきた歴代の政権全体が間違っていたということになります。一つの内閣が法制局長官を交代させるだけで、憲法解釈を変える方向にすすんでいくことが、はたして法治国家といえるのでしょうか。

 この集団的自衛権を行使してきたのは、アメリカであり、旧ソ連です。大国が、ベトナム戦争、アフガン侵略、チェコスロバキア侵略など、自らの侵略戦争を合理化するために集団的自衛権を主張してきた歴史的事実があります。

憲法で戦争を放棄し武力の行使を禁止している日本が、海外で戦争に参加するなどというのは、本来許されません。戦後68年日本がただの一度も外国での戦争に参加しなかったことは世界に誇るべきことです。憲法解釈を変え戦争の道を突き進むことは絶対にゆるされません。

日本は憲法で戦争を放棄し、戦力の不保持や交戦権否認を明記してきたからこそ、戦後一貫して戦争の犠牲者を出さず、国際的な信頼をも勝ち得てきました。日本の憲法が掲げる平和主義はいまや国際的な流れにもなっています。

シリア情勢もまだ予断をゆるさない状況もありますが、国連安全保障理事会が全会一致で決議を採択し、国際管理下でシリアの化学兵器を廃棄する道筋を示しました。同時に、2年半にわたるシリア内戦の政治解決をめざす内容となっています。アメリカなどによるシリアへの軍事介入が回避される見通しとなったことは、平和解決を望む国際世論の後押しがあったからではないでしょうか。

 このように世界でも、戦争ではなく平和的・外交的努力で問題を解決することが大きな流れとなっています。憲法を生かしてアジアと世界の平和に貢献する道を日本はしっかり進むべきです。

よって国においては、現行の集団的自衛権に関する政府解釈を堅持するとともに、集団的自衛権の行使に関連した法案を国会に提出することがないよう強く要請するものです。

議場の皆様の御賛同を心からお願いして、提案とさせていただきます。