2012年11月定例会 11月28日 一般質問 和田あき子

  1. 森林税の活用について
  2. 国民健康保険の広域化について

1、森林税の活用について

<和田議員>
 県内各地に竹林とは言い難い、荒廃した竹藪が見受けられます。雪の季節を迎えますが、雪をかぶった竹がしなだれ道路を塞ぎ、交通の支障になるということもまま見受けられます。地下茎でどこまでも繁殖していく竹。放っておけば大変厄介なことになるのが竹ではないかと思います。
 人の手が入らなくなった里山周辺の荒廃した竹藪・竹林の整備を手がけている有志グループやNPOなどの活動が始まっています。この活動をしているグループの1つで「西山淡竹会」の方々の取組の一端を紹介させていただきます。小川村や長野市周辺の西山地域の過疎化・高齢化した集落で藪になった竹林の整備を依頼され、まったくのボランティアで竹の間伐をし、間伐した竹は、破砕機で竹チップや竹パウダーなどを作り、生ごみなどの堆肥化の基材にして活用する。
 また、よみがえった竹林で獲れる竹の子を地元の食品加工業者の協力を得て商品化するなどがんばっておられます。竹の破砕機購入に一部「元気づくり支援金」を使い、元気づくり支援金の活用例として地方事務所で表彰されました。けれども、この地道な竹林整備はすべて手弁当でという状況です。このような活動に森林税は使えるのではないかと思いますが、残念ながら今までの活動には森林税が使えませんでした。
 そこで林務部長にお伺いします。現行の森林税でも里山整備と一体として取り組む場合は竹林の整備ができる。が、実際には使えないこともありました。来年度から5年間延長される森林税によって里山整備と一体として取り組む竹林の整備を一層進められるようにしてほしいのですがいかがですか。
 また、竹林だけの整備についても支援の対象となるのか林務部長にお伺いします。

<林務部長>
 竹林の整備についてご質問です。
 森林づくり県民税においては、竹林の整備について現行制度で支援対象としてきたところですが、次期制度においても、みんなで支える里山整備事業の中で、里山に侵入した竹を含めて周辺森林と一体的に行う間伐を含め、単独の竹林の間伐についても引き続き支援の対象とすることにしています。
 市町村が実施する「森林づくり推進支援金」においても、景観形成のための竹林整備等実施について支援の対象とすることを予定しています。この他に公共造林事業においても竹林の整備が補助の対象となっていますので、これ等の施策を有効に活用しながら、今後とも市町村と連携して地域ニーズを的確に把握し、竹林の整備を支援してまいりたいと思っています。

<和田議員>
 竹林整備にあたってもいくつかのメニューがあるようです。竹林の整備などを支援の対象にするにあたって、市町村の事業化が前提となる「森林づくり推進支援金」をどういう事業内容にするのかは市町村の独自性・創意工夫が尊重されるものと思います。実際に竹林整備はじめ、様々な活動をしている方々に支援金が届く道筋をつけることも大事ではないかと思います。「森林づくり推進支援金」の活用ができるよう市町村に周知して、新たな事業化をすすめるために来年度までに具体的にどのようにされるのか、林務部長にお伺いします。

<林務部長>
 森林づくり県民税のなかの、森林づくり推進支援金の周知についてのお尋ねです。
 森林づくり推進支援金の使途については、去る11月上旬に県下4か所で説明会を開催し、制度内容について市町村はじめ関係者の皆様に説明をしてきたところです。更に今後においても、地方事務所を通じ市町村に対する担当者会議の開催などの際に、関係する皆様に対し一層の周知が図れるよう、きめ細かな説明に務めてまいります。

<和田議員>
 先日、朝霧の立ち込めるなか、七二会を走行していると目の前の路上に黒い塊のようになっている4頭のイノシシと遭遇しました。私はびっくりして車をとめましたが、イノシシは驚いた風もなくゆっくりと道路脇の草むらの中に去っていきました。もしこれが、登校途中の子ども達であったらどうだったのかと心配です。
 長野駅周辺にも熊が出没するほど、私たちのすぐ近くに野生の大型鳥獣が生息していることは多くの皆さんが感じていることであります。
 被害が拡大している野生鳥獣対策の強化を図るとともに、熊・いのししなどとの出会いがしら事故のようなことを避けるため、児童生徒の通学路の点検、安全確保の観点で緩衝帯につながる道路脇のやぶの刈り払いを進めていただきたいと思います。林務部長に伺います。

<林務部長>
 野生鳥獣との接触を避けるための緩衝帯についてのお尋ねです。
 人の生活域と野生鳥獣の生息域との境界に緩衝帯を設け、見通しを良くして互いの距離を保つことは、野生鳥獣との突然の遭遇を回避する上で効果が高いと認識しています。このため、市町村等と連携を図りつつ、国の交付金あるいは森林整備を目的とした森林づくり県民税を活用しながら、これまで年間200ha程の緩衝帯を整備しているほか、里山における間伐も進めてきています。
 今後も引き続き通学路などにおける野生鳥獣の隠れ場所や通り道など、危険個所の情報を市町村等と共有しながら、必要な箇所において緩衝帯の整備を進めるなど、総合的な野生鳥獣被害対策の取り組みを推進してまいります。

<和田議員>
 自治体への対応をきめ細やかにということですが、特に小規模自治体に寄り添うようにしていただきたいと要望しておきます。

2、国民健康保険の広域化について

<和田議員>
 今定例会に提出された国民健康保険法に基づく都道府県調整交付金の交付等に関する条例の改正は国保広域化の一里塚、このまま広域化が推進されていくのではないかと危惧するものです。
 国保広域化は課題が多くあると全国知事会からも意見があがっているにもかかわらず、国は国保「広域化」を「社会保障と税の一体改革」のメニューの一つに位置付け、今年4月に国保の給付財政を「都道府県単位」に統合する法案を成立させました。
 この法改正を受けて、県としても条例改正をする提案がされました。保険財政共同安定化事業の対象医療費拡大は、給付財政が「都道府県単位」になる、事実上の「広域化」です。
 そこで保険財政共同安定化事業の拡大による市町村国保会計への影響はどうなると県は捉えているのか、健康福祉部長に伺います。

 また、都道府県調整交付金については、国の負担割合が減り、県の負担割合が増えるということですが、国保収入に占める国庫支出金の割合は1980年代の50%から2010年度には25.5%に半減しています。加入世帯の変化という要因以上に国の負担を増やすことなしに国保を安定的に運営することは困難ではないかと考えます。
 県として、国に対して構造的な問題を含め国保の改善と安定的な運営のために国が責任を持って財源を保障するよう求めてほしいと思います。健康福祉部長に伺いします。

<健康福祉部長>
 2点、市町村国保の保険財政共同安定化事業について、順次お答えします。
 本年4月の国民健康保険法の一部改正によりまして議員ご指摘の通り、市町村国保からの拠出金を財源といたしまして、医療費を都道府県単位で共同して負担する保険財政共同安定化事業というものが改正しました。これまでの1レセプト30万円を超える医療費につきまして、県のなかで再保険の仕組みのような形で、共同で負担しましょうという事業でした。これが平成27年度以降は、すべての医療費ということになります。いわゆる再保険で、都道府県単位で医療費を共同で負担していきましょうという仕組みになるということです。
 今回の拡大にともなって対象医療費の規模は、おそらく2倍から3倍程度には増えると見込まれています。市町村の国保財政に大きな影響があると考えられます。したがって長野県国民健康保険団体連合会の協力を得ながら、県におきまして拡大の影響、シミュレーションを今おこなっているところであります。

 国民保険の構造的問題と財源確保についてお答えします。ご指摘の通り、国は社会保障と税の一体改革において、財政運営の都道府県単位化をすすめるとしています。しかし、県内の国保の状況を見ますと、たくさん問題があると思っています。被保険者の35%が高齢者であるということ、一人当たり医療費が増加傾向にあるということ、平均所得が年々減少傾向にあるということ、保険料の収納率は93%程度。こういうことが背景にありまして、半数以上の保険者が赤字という状況がございまして、厳しい運営がつづいております。
 その結果市町村の一般会計からの繰入ですが、これも増え続ける傾向でございまして、平成23年度の数でございますが合計で31億円を超えているという状況です。くわえて医療費や保険料水準のちがいが各保険者にございまして、保険者間の格差をどのようにとらえて対応していくかということで、広域化に向けては解決すべき課題が多いという風に思っております。
 国の新たな動きといたしましては、今月30日に社会保障制度改革国民会議の初会合が予定されております。そのなかで今後の医療保険制度のあり方の検討が始まる見込みと聞いております。
 国に対しましては従来、県の独自要望あるいは全国知事会を通じても国の責任において国保の構造的問題の抜本的解決をはかるよう強く求めてきたところです。この国民会議の動向を注視しながら引き続き要望してまいりたいと思います。

<和田議員>
 今部長からご答弁いただきました、法改正されても、現段階では国保の保険者は市町村のままであり、国保料(税)は市町村の条例によって賦課・徴収され、市町村が独自に保険料の軽減のため一般会計からの繰り入れなどできます。これが、もう法定外の繰り入れは31億円に達しています。さらに、市町村ごとで国保料(税)に大きな開きがあります。こういう様々な問題があるなかで、広域化で問題が解消されるとはとても思えません。
 長野県で国保の被保険者は約60万人。一番大きい医療保険であり、日本が世界に誇る「国民皆保険」の根幹を担っているものと認識しています。
 憲法25条では、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。と謳われております。
 この憲法で保障された国民の権利を守る立場で長野県としても、国保広域化が進められつつあるなかでも、問題点をしっかり捉えて、国に対しても必要なことは意見をあげていただきたいと思います。
 昨日知事は、社会保障が増大するため消費税の増税が必要だと答弁されました。昨日の信毎夕刊に社会保障財源をどう確保するかをしめす、大変参考になる記事がありましたのでご紹介します。
 アメリカの著名な大富豪として知られる投資家ウォーレン・バフェット氏は富裕層への課税強化をするよう、従来から発言しているが2009年の米国の高額所得者の上位400人の年間平均所得は2億2百万ドルに上ったが、平均税率は19.9%に留まったと指摘をしております。これはまさに日本でも同様のことが言えるわけです。富裕層への課税強化によって、消費税増税に拠らない社会保障財源を確保する道もあるので、そういう観点からも知事には今後も頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。