2012年11月定例会 11月27日 一般質問 藤岡義英

  1. 森林資源の活用について
  2. スペースエナジー長野事業所閉鎖に伴う雇用確保について

1、森林資源の活用について

(1)信州F・POWERプロジェクトについて

<藤岡議員>
 日本共産党県議団の藤岡義英です。順次質問させていだだきます。まず信州F・POWERプロジェクトについて質問します。この木質バイオマス発電のとりくみは北信地域にあります「お山の発電所」につづき、県内2番目の施設としてぜひ軌道に乗せていただきたいと考えております。ただ、心配しているのは、施設の規模が適正なのかということであります。農政林務委員会で県外現地調査を行なった時に、「グリーン発電会津」の専務から施設規模が大きいのではと指摘を受けたとのお話を聞きました。ここの発電規模が約5,000kw。F・POWERプロジェクトの半分の規模になります。福島県の施設ということもあり、放射性物質が含まれる燃料は焼却することができず、放射能の影響が少なく間伐材の安定的な供給体制に苦労されているとお聞きしました。また、以前共産党県議団で現地調査した?日田市のウッドパワーと、白河ウッドパワーさんからお聞きした話を紹介しますと、こちらはそれぞれ、12,000kwと11,500kwの発電出力の施設です。両方の施設とも建築廃材も燃料にしているとのことです。規模が倍ということは燃料も倍必要になります。やはり燃料調達に大変苦労されているとお聞きしました。6年前に動かし始め、最初の3年間は大赤字だったそうです。木材供給は中間処理業者さんや製材所さんなど40社と契約し安定供給体制を構築しているとのこと。しかし、一番遠くて300キロ離れたところなど、多くの木材は県外から運ばれてくるそうです。私はF・POWERプロジェクトも燃料にする未利用間伐材の確保に苦労されるのではと、心配しております。果たして1万kwの発電出力を持つ施設規模が適正なのか。林務部長にお伺いします。
 また木質バイオマスエネルギーの活用として暖房への利用という点では、木材をそのまま熱エネルギーに変え、利用することが一番効率がいいはずでして、薪ストーブ、ペレットストーブ、ペレット・チップボイラーなどを、もっと全県に普及させるべきであるし、普及台数や、ジュールやカロリーといった消費導入量など、普及目標を持つべきだと考えますがいかがでしょうか。これも林務部長にお伺いします。

<林務部長>
 信州F・POWERについてのお尋ねです。
 このプロジェクトは、今まで県内に無かった大規模な製材施設を設置し、フロア材の生産を行うとともに、そこから生じる製材端材や未利用材等を活用して、電熱供給型のバイオマス発電施設を併設するもので、全国的にも事例の少ない取り組みです。
 これに向けた木材の安定供給は大きな課題ですが、市町村森林整備計画において木材生産を推進することとされた森林の年間成長量は、94万立方メートルあり、国有林からの木材供給も期待されるため、森林資源は充分に確保されている状況です。
 しかし一方で、この資源を有効利用するためには、路網整備や機械化などの林業基盤づくりを集中的に進めることが重要であり、この課題を解決することで到達できる規模であるものと考えています。
 また、木質バイオマスエネルギーを利用する上で、ペレットストーブ等の普及についてのお尋ねですが、平成14年度以降県内小・中・高等学校や公共施設、各家庭でのペレットストーブの導入支援を進めてきています。この結果、昨年度末時点で、1,366台と着実に増加してきており、今後はボイラーの導入も加え積極的に支援をしてまいる所存です。
 目標としては、ストーブ等の導入促進を図りながら、木質バイオマスを地域の特性を踏まえて利用することが重要と考えており、長野県森林づくりアクションプランにおいて、木質ペレットや薪の生産量を、平成21年度の37,000立方メートルから平成32年には57,000立方メートルへと増加させるよう定め、取り組んでいるところです。

(2)木質バイオマスの有効活用について

<藤岡議員>
 私は、木質バイオマス事業については、エネルギーも地産地消でという立場から、全県的にバランスよく配置して、例えば北信と中信に施設ができるわけですから、残りは東信と南信の県内4圏域にバランスよく県内の森林資源を有効に持続可能に活用できる、適切な規模の木質バイオマス発電施設を配置することが望ましいと考えております。北相木村でも計画のお話をお聞きしています。今後、東信や南信でも木質バイオマス発電事業が具体化された場合、県としてF・POWERプロジェクトと同じような支援策を進められるのでしょうか。これも林務部長にお伺いします。

<林務部長>
 次に、他の地域における木質バイオマス発電施設への支援についてのお尋ねですが、信州F・POWERプロジェクトは、県産材の利用促進を図るため、地域の森林資源の状況と製材、発電規模のバランス、原木の供給体制、国の再生可能エネルギー固定価格買取制度の運用状況等を勘案しながら、民間事業者を中心として、原木供給者、大学、地元自治体などの関係者の合意により、産学官が連携して立ち上げたものです。
 こうした取り組みが民間事業者を主体に他地域に生まれることは、自然エネルギーの利用、経済活性化の面からも大変好ましいと考えられますが、まずはこの信州F・POWERプロジェクトを成功に導きながら、これをモデルとして他地域におきましても、同様の取り組みを支援して参りたいと考えています。

(3)発電所を始めとする、木質バイオマスの長野県全体の戦略は持っていないのか?もし持っていなければ、持つ必要があると考えるが、知事の考えはどうか?

<藤岡議員>
 また県内に発電施設の配置戦略も含めた、木質バイオマス事業の長野県全体の戦略が必要ではないかと思いますが、こうした戦略をお持ちなのか。もしなければ、配置戦略も含めたものを持つ必要があると考えますが、知事の考えをお伺いします。

<阿部知事>
 木質バイオマスの戦略についてのご質問です。長野県土の8割が森林ということで資源の有効利用がこれから大変重要なテーマです。固定価格買取制度の後押しもあって、豊富にある森林資源を活用した木質バイオマス発電、林業再生の観点からも重要だと考えています。
 木質バイオマスの戦略については、安定的な燃料供給を確保するため、ペレットあるいは薪などをはじめ、発電用チップなどの多様な木質バイオマスの生産量を、平成32年には現行の8倍に当たる、346,000立方メートルとすることを目標に掲げて取り組むことを検討しています。
 具体的には、現在策定している地球温暖化対策に係わる、新たな戦略計画において、木質バイオマス資源の生産量を踏まえた、バイオマス発電等の自然エネルギーの導入目標を設定してまいります。併せて、県内におけるバイオマス発電及び熱供給を促す木質バイオマス推進方策を盛り込んでいきたいと考えています。

<藤岡議員>
 「使えなくなったものを利用するというのは、社会的に意義のあることだけれども、燃やす前に木材製品としての価値のある間伐材も未利用材として、全部燃やすということになりかねない」と、林務委員会でも委員から指摘が出されています。固定価格買取制度によりますと、間伐材など未利用材を焼却して発電すると1kwあたり32円。一般木材ですと24円に落ち、建築廃材ですとさらに13円にまで落ち込んでしまします。このように価格に差があることが原因ではないかと思います。製材工場から出た端材について私は、未利用の木材だと思いますが、「未利用材」に適用されず、一般の木材として24円で計算されます。製材工場で出た端材も、建築廃材も同じ32円にするべきです。そして未利用材だけでなく、建築廃材も併用して焼却する施設であってもいいと考えます。この買取制度に問題があるなと感じておりますが、今後、県として国に制度の改善を求めていくことも検討していかなければならないと考えますが、いかがでしょうか?林務部長にお伺いします。

<林務部長>
 未利用材と製材端材については、ご指摘の様に買い取り単価が異なることは承知しています。現在の端材については、建築廃材とは別になってございますけれども、今回のF・POWERプロジェクトは、これまで使われてなかった未利用材、つまり、製材所に運んでも曲がりが多くて使えなかったもの、そういった物を主体的に燃やすということ、またす板等の端材についても燃やしますが、多くは製材所に持ち込んでも使えなかったものについて、そこで燃やして使うようなことを考えています。
 又、国への要望ですが、現在どの程度の未利用材また建築廃材、これは認証しなければなりませんので、その経過を見ながら、今後採算が取れるかどうかを見極めながら対応していきたいと思っています。

<藤岡議員>
 ぜひ、森林県としてこの木質バイオマス事業が、順調に発展されるために今後ともご尽力されることを要望しまして次の質問にうつります。

2 スペースエナジー長野事業所閉鎖に伴う雇用確保について

<藤岡議員>
 石油元売り大手のJX日鉱日石エネルギーは11月6日、子会社「スペースエナジー」の佐久市にある長野事業所閉鎖を発表。従業員219人に希望退職を募り、再就職先を確保できるよう努力すると説明しています。多くの従業員は佐久市在住の方です。スペースエナジーの労働者Aさんは「社員は長い期間帰休や、昇給・ボーナスなしの状況に嫌気を持ち疲れていた。近いうちにこんな日が来るのでは…と皆思っていた。グループ内転職の道は選べない。ほとんどが支援サービスを受け、再就職するだろう」とのお話でした。
 工場閉鎖に伴い全従業員が解雇されますが、県は現状を把握しているでしょうか。また、解雇される労働者の再雇用支援について、これまで県は県内企業の倒産や工場閉鎖などにより労働者が突然解雇の危機に直面したとき、一貫して「最後の一人まで就職口が見つかるところまで応援をするという立場」だと認識しております。今回のケースも県として支援しなければならないと考えますがいかがか。商工労働部長にお伺いします。

<商工労働部長>
 佐久にあるスペースエナジー長野事業所の閉鎖にともなう雇用確保についてのご質問です。
 まず現在の現状把握ですが、スペースエナジー長野事業所閉鎖についての企業の動向が新聞報道された二日後の11月8日に、ハローワーク佐久の主催で「雇用対策推進協議会」が開催されました。ここには、ハローワークのほか県の関係機関として、佐久地方事務所、佐久技術専門校、地元自治体の佐久市、小諸市、地元の商工経済団体が参加しています。そこにおいて情報の共有を図るとともに、従業員の再雇用に向けては、連携して支援策をとるということを確認したところです。この会議については、今週金曜日11月30日に2回目を行う予定です。
 雇用対策推進協議会の情報によると、約200人の従業員のうち、佐久市にお住まいの方が6割強、小諸市の方が1割強、年齢的には20代から60代まで幅広い方々で、全員が再就職を希望していると伺っています。企業サイドとしても再就職支援を行うと言われておりますが、受け入れ先の地域あるいは業種などが合わずに、最終的には再就職できない従業員の方が出ることもあると想定しています。現状につきましては、引き続きハローワーク等と連携を深めて、迅速な情報把握を図ってまいりたいと考えています。
 また、解雇される労働者の再雇用支援、これに対する県の立場についてのお尋ねです。県としましては、議員ご指摘のとおり、企業の人員整理や倒産などによって離職を余儀なくされた方々が再就職を望まれる場合は、一人でも多くの方々の再就職が実現されるよう、再就職支援、或いは職業訓練など最大限の支援を行ってまいるというのが基本的な立場であり、今回もその立場を貫くというところです。
 具体的には、長野労働局あるいはハローワーク佐久等と連携しながら、ジョブカフェ信州が現地に出向いて行うキャリアコンサルティングによる再就職支援や、佐久技術専門校におきまして、民間の訓練機関を活用した職業訓練によりますスキルの習得支援、こういったものを想定しています。いずれにしても県としてハローワーク等関係機関と連携を強化し、全力で離職者の再就職支援に取り組んで参りたいと考えています。

<藤岡議員>
 今回のスペースエナジーの工場閉鎖、10月24日には、東芝が佐久工場を閉鎖すると発表しました。こうした相次ぐ工場閉鎖、県外移転のニュースに、地域住民の間では不安の声が広がっています。長野県内全体の企業の状況はどうなっているのでしょうか。また県内企業、労働者を守るために、どのような政策を考えているのでしょうか。働く人の所得が落ち込み、消費が減り、内需が冷え込むという悪循環に陥っているのが、このデフレ不況です。ここから抜け出すためには「働く人の所得を増やし、内需を活発にする政策」を進めることだと考えますが、知事の考えはどうでしょうか?お伺いします。

<阿部知事>
 スペースエナジーの閉鎖以外にも電機電子部品の分野を中心にいくつかの県内事業所において、事業所の縮小あるいは生産体制の見直しという事に伴う希望退職者を募る動きが出てきているということは、私どもも把握させていただいています。
 今、商工労働部長から答弁ありましたが、県として離職される方々の再就職支援をしっかり行っていく必要があると思っております。ハローワーク、地元自治体、経済団体などの関係機関と県が一体となって、きめ細かな対策を実施してまいります。
 12月3日には長野労働局と合同で経済団体を含めた県レベルの関係機関連絡会議を開催する。支援策の連携を強化することにより、一日でも早く再就職につながることが出来るよう対応してまいります。
 こうした対処療法的なものだけでなく、産業自体が元気になっていく、経済が元気になっていくことが必要だと思っています。新しい総合5カ年計画においても、産業雇用政策、重要な柱というふうに位置付けていきたいと考えています。産業構造を成長分野に転換していくことを重点的に進めていきたいと考えています。
 当面の対応としても、今議会にも補正予算案、経済対策分も含めて提出させていただいておりますが、国の補正予算がない中で、できる限りの対応をさせていただいています。来年度予算に向けても、県内経済の下支え、雇用の確保に十分留意して、予算編成を行っていきたいと考えております。

<藤岡議員>
 こんなときに、中小企業の営業に打撃を与え、労働者の収入をもっと減らす消費税増税はとんでもないと考えます。2014年4月に8%に、2015年10月から10%に税率を上げることが法律で決まりました。5%でも、もうすでに税金を納められない、これが10%になると倍になると悲鳴を上げています。私たちも実施すべきではないと考えます。県民の暮らしを考えると「実施すべきではない」のか?「いずれ消費税は増税しなければならいので、法律できまったのだから仕方がない」のか。「よくわからない」のか、知事、この3つのいづれかを選んでいただきたいと思います。

<阿部知事>
 消費税についてのご質問です。
 今、経済状況、雇用状況が厳しいということは申し上げましたが、これは国の法律上も経済状況を勘案して、最終的に判断されることになろうかと思います。
 私は、持続可能な社会保障制度、それから財政を考えた時に、国民の皆様方に広く負担を求めることは不可欠だというふうに考えています。もとより必要な低所得者の皆様方への対策という事はしっかり行っていく必要はあろうかと思いますし、これからの時代に向けて本当に必要な政策分野に予算を重点配分していくことも重要だと思いますが、とは言え、それだけでこれからの高齢化が更にいっそう進展し、人口も少子化の中で減少していく社会を乗り切っていくことはなかなか難しいと思います。
 そういう意味で私は、経済状況を見据えながら、そして低所得者対策を行いながら、消費税についてはぜひ引き上げていっていただくことが必要だと思っています。もとより地方財源にもなる訳でもありますので、私どもも消費税、あるいは地方消費税、交付税の配分という事が行われれば、その配分についてはしっかりと県民の皆様にご説明ができるような形にしていくことが重要だろうと思います。

<藤岡議員>
 知事から、消費税増税はやむを得ないというお答えをいただきました。私は、これ以上負担を押付ける国の政治を許さず、雇用を守り県民の生活を応援する政策をしっかり提案し、そして行動することを表明し、質問を終わります。