2012年2月定例会 3月2日   一般質問  石坂千穂

1、東日本大震災の被災者支援について
2、浅川ダムの安全性について
3、生活困窮者の「絆」再生事業の充実について
4、県立4年制大学について

1、東日本大震災の被災者支援について

<石坂議員>
 最初に、東日本大震災の被災者支援についてお伺いします。
 仮設住宅のお風呂の追い焚き装置について、先日国会でも取り上げられ、小宮山厚労大臣も全国の仮設住宅入居者の要望で一番多かったのがお風呂の追い焚きだったと答弁をしています。それだけ切実な問題だからです。
 建設部長は、高村議員の代表質問に、配管の改修などで30万円もかかるので無理、秋までには村営住宅に入居できるので、それまで我慢してほしいと言う趣旨の答弁でしたが、高齢者が多い、豪雪地の栄村で、これは人権問題ではないでしょうか。
 大がかりな設備改修でなくても可能な、市販されている後付の電気保温器が1個2万円から5万円程度で設置できるともお聞きをしています。是非、一日も早い設置を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 また、民間賃貸住宅を活用した応急仮設住宅制度による福島県からの被災者の受け入れについては、まさか1年たっても原発事故が収束しないとは考えてもいなかった人たちが、いまだに見通しの立たない中で、これから避難を考えるケースもあるとお聞きをしています。
 このような事態になってしまったのは、被災者の皆さんに責任があるわけではなく、3月末はもう目前ですが、4月になればもうだめ、と言うことではなく、被災者の要望もある中で、3月末で打ち切ることなく、4月以降も受付を継続してほしいと思いますが、ご検討いただきたいと思います。いかがでしょうか。以上2点を、知事にお伺いします。

<阿部知事>
 仮設住宅のお風呂の保温についてのご質問でございます。
 私も何度もお伺いをして、いろいろ豪雪地対応になってないなあということで、そもそも仮設住宅、寒冷地設置に配慮した企画をつくってもらいたいということも国には求めてきている所でありますが、いま実際に入居されている皆様方に対する対応ということも、これはいろんな工夫をこれはしてきております。
 お話ありました専用の追い焚き機能給湯器、これはご質問にもありましたけれども改修工事も必要で一戸あたり概ね30万円程度必要になってくるということで、いささか価格的に難しいなあというふうに思っております。
 他方で電気保温器、私の手元の数字だと2万円、3万円、5万円程度いろんな種類あるようでありますけれども、ただこれ例えば感電漏電防止のために浴室の外のコンセントに接続しなきゃいけないとか、そうすると浴室の戸が完全に閉まらなくなるので住民のみなさんからは他方で結露が大変だというお話をずっといただいてきていまして結露の要因となる水蒸気が浴室の外に漏れてしまうのじゃないかとか、あるいは浴槽に入れた状態で入浴しないでほしいという留意点があるわけでありまして、こういう留意点があるということも含めて、まず住民のみなさまのお考え、切実な状況どの程度のものなのかというものも、よく伺わせていただきたいと思いますし、またあの村の考え方もあろうかと思いますので、そうしたお考えを十分把握をして対応を協議していきたいと思っております。
 それから、民間賃貸住宅の応急仮設住宅制度への活用の受付であります。
 これについては昨年の7月から開始をして、受付期間は当初11月末にしていたわけでありますけれどもが、今年度末まで延長しているところであります。現在125世帯、384人の方々を受け入れております。この受付期間については7ヶ月延長し制度運営してきたところであります。最近の受付件数は減少してきている、それから年度末は仕事、学校の関係で避難の決断をされるにも一つの区切りではないかなというふうには思っていますが、他方でこれは被災地側の福島県が当面継続となるように国と協議しているというふうにも伺っておりますので、そうした状況を十分踏まえて対応を考えたいというふうに思っています。

<石坂議員>
 知事の御答弁にもありましたけれども、栄村の仮設住宅については阪神淡路の時や中越にはなかった長野県らしい工夫がきめ細かくされてきているわけです。大変うれしく思っています。吹込みがないような廊下とか交流センター集会所ですね、それから生鮮食品なんかのお店も開設されていますし、不幸な事故がありましたけれども雪下ろしに事故がおこらないような取っ手をつけていただくとか、そういう長野県らしい工夫をしてきていただいているだけに、ぜひこの追い焚き装置の問題も、少し違いますが福島から避難を希望される方もぜひ温かい対応をしていただくように引き続き前向きなご検討をお願いしておきたいと思います。

2、浅川ダムの安全性について

<石坂議員>
 次に、浅川ダムの安全性についてお伺いします。
 昨年10月末に行われたF-V断層等の追加調査は、当初、県が依頼した産業総合研究所の吉岡、佃研究員の検証を経て11月12日に浅川公民館で住民説明会が開催されることになっていました。しかし、調査の翌日、両研究員は、「F-V断層は活断層ではない。」としながらも、解明が必要な箇所の追加調査を指示しました。追加調査は12月に終了したとされていますが、説明会は、いまだ開催されていません。住民説明会はいつ頃を予定しているのでしょうか。
 また、今回の追加調査には、両研究員のほかにも多くの専門家が立ち会いましたが、そのうち、信州大学名誉教授の小坂共栄氏と理学博士の松島信幸氏は、「断層面の岩盤に食い込んでいる無数の礫や地形から、F-V断層は新しい時代に繰り返し動いたことが証拠付けられ、また、調査の際に顕著な変形構造が観察された地層から採取された木片の放射性炭素年代測定法による年代測定の結果は、2220年±30年前と言う結果で、これはF-V断層が少なくても2220年前以降に動いたことを示していることなどから、F−V断層はあきらかな活断層であり、今後も動く可能性があり、浅川ダムの建設は直ちに中止するべきである。」との意見書を県に提出しています。
 F-V断層への評価がこのようにまったく二分している以上、責任ある説明をするためには、県が依頼した専門家を再度現地にお呼びして、公開の場で見解の異なる専門家双方の立場から説明を行うべきではないかと思いますが、建設部長いかがでしょうか。
 東日本大震災後、地震発生の可能性に対する考え方や、断層の評価などをはじめとして、「想定外」という言葉だけで片づけてはならないと言う立場から、多くの専門家や関係者の間で、新たな視点での見直しが始まっています。
 今回の浅川ダムの追加調査も、知事自身が、昨年の9月県議会での私の質問に対して、「県民の皆さんの中には東日本大震災の発生ということもあって、F−V断層について不安を感じている方もおられると思っていますので、こうしたことから今回、説明責任を果たすべく改めて掘削を行いましてダム敷およびダム敷以外の場所も含めて、F−V断層の安全性の再確認を行っていきたいと思っています。その結果については、これまでの工事にともない得られた調査結果も含めて、10月の下旬を目途に県民の皆さんにお知らせをしていきたいと考えております。」と答弁されて、実施されたのではないでしょうか。
 東日本大震災の教訓を生かし、新たな視点で浅川ダムの安全性についての再検証を誠実に行うのであれば、検証が終わるまではダム建設は中止するべきではないかと思います。知事の見解をお伺いします。
 また、繰り返し指摘させていただいておりますように、浅川ダムの予算執行は、毎年決算額よりも繰越額のほうが多い状態が続いております。
 2008年度は決算額が7600万円で翌年への繰越額が1億7400万円、2009年度は決算額3億1200万円で繰越額15億6200万円、2010年度は決算額16億1300万円に対し繰越額は22億5100万円、そして今年度は、当初予算で20億円を計上しましたが2月補正予算で7億円を減額し、12億2900万円を繰り越すというもので、今年度執行分は当初予算に対して7100万円、3.6%しか執行していないということになります。97%以上を繰り越すというような、こんな扱いの事業が他にあるのでしょうか。まさに特別扱いの事業です。
 県の財政のきびしい中で異常事態とも言える扱いです。今年度予算の96.4%も繰り越す浅川ダムに、来年度の18億円もの予算計上は、見送るべきではないでしょうか。知事にお伺いします。

<建設部長>
 浅川ダムの安全性の再確認に関するお尋ねでございます。
 今回のF-V断層の再確認においては、これまで浅川ダムに関わりをもっていない第3者的な立場で産業技術総合研究所の専門家に現地調査を依頼し、調査過程を含めて公開してすすめてきております。昨年10月30日に行なわれました現地調査の際に依頼された追加調査については1月30日と2月21日に資料を持参しまして説明したところでございまして、3月中旬にも再度説明に伺うという予定にしております。県民の皆様への報告会につきましてはその後専門家から最終的な意見をいただいた上で実施してまいりたいと考えております。
 公開の場で見解の異なる専門家双方の立場から説明を行なうべきということでございます。県といたしましては産業技術総合研究所の専門家からきちんと意見をお聞きした上で県がその内容を皆様に報告してまいりたいというふうに考えております。

<阿部知事>
 浅川ダムの関係のご質問でございます。
 再検証中は中止するべきではないかというご質問でございます。浅川ダムの問題いろいろ繰り返されてきたところでありますので、私としては丁寧に念には念を入れていろんな安全性の確認をしてきた所でありますし、今回のF-V断層についてもそういった観点でしっかりと再確認をしておこうということで取り組んでいる所であります。
 産業技術総合研究所、私も中立性の非常に高い機関だというふうに思っておりますので、調査の内容等についてもこれまで公開をして県民のみなさんと共有しながらすすめてきている所であります。
 これはあくまでも再確認作業中ということでこれまでの私どもの知見とか考え方が変わっているということではありませんので、その事業の推進については従来どおりの対応という形で現在は行なっていると、従っていま直ちに中止するべきではないかというご質問でありますけれども、その状況ではないと思っております。
 それから浅川ダムの予算執行についてでありますが、23年度予算のうち、これは契約済みとそうじゃないものがある、契約済みの部分についてはこれは予算上繰り越さざるをえない、予算つけて翌年に繰り越さなければいけないということで、12億円はそういう内容でありまして、未契約分の7億円については、これは減額して対応するという形にさせていただいております。
 24年度の予算計上は事業をすすめていくうえで必要な予算額として18億円計上している所であります。私としては浅川ダム事業について特別な取扱をするという考えで行なっているわけではありません。

<石坂議員>
 建設部長に確認させていただきたいんですけれども、3月中旬に再度産業総合技術研究所にご説明に行くと、その後説明会は行なう予定ということですがその時期は、4月以降ということになるかと思いますが、だいたいいつ頃かお答えいただきたいと思います。
 知事に再度お伺いしたいと思いますけれども、再確認という言葉が納得がいかないというか、好きではないんですけれども、いずれにしても9月議会での私の質問に対して知事は「東日本大震災以降、県民の皆さんの中に不安が高まっているのでその不安に答えるために、説明責任を果たすため、再調査といいますか、掘削もして第3者にも見ていただきますよ」ということで、今回の調査がされているわけですよね。であるならばそこで納得のいく説明ができない以上、不安を拭うような説明が県民にできない以上、工事をどんどんすすめるというのはまったくおかしな話だと思うんですよ。
 今朝もテレビのニュースでやっておりましたけれども、東日本大震災以降いままでの予想を超えたことが次々に起こって、ここ数日も地震が日本列島各地で起こっています。東海、東南海、南海、この連動した地震が長野盆地西縁断層に連動する可能性も指摘されてきている中で、やはり安全の為の納得のいく調査と県民への説明、これは工事そのものをまったく中止しないでも、それまでの間とどめておくぐらいの誠意をもってやっていただきたいんです。その点いかがでしょうか。

<建設部長>
 県民説明会をいつ行なうのか、めどはということでございますが、3月中旬に再度説明にまいりますので、そこで意見をいついただけるかということの日程を決めさせていただきたいなというふうに思っております。いただいた後に、いつ説明会ができるかということを検討させていただきたいというふうに思います。

<阿部知事>
 浅川ダムの再検証、再確認、これは私としては念には念を入れてということで対応してきているところであります。前回も御答弁させていただいたかも知れませんけれども調査をする部分においてはですね。
 粛々と事業をすすめるということではなくて、事業全体の進捗には影響が出てきているという部分もあるわけでありまして、まったく何もないかのように事業をすすめているわけではない。
 これは住民の皆さんにも、現地を見てもらったり、そういう機会をつくっているわけでありますから、そういう意味で粛々と事業をすすめているわけではないという状況であります。
 全体としては、先ほど申しあげましたように、いままでの判断を変えるというような結果が出てきているわけではありませんので、そういう観点で全体としては事業をすすめていくというスタンスで今の所は取り組んでいるという所であります。

<石坂議員>
 いまままでの判断を変えるという結果が出ていないといわれましても、説明会もされていないので、そのお答えが本当にそうなのかはわかりません。住民説明会開催前、開催しない段階での工事再開はやめていただくよう改めて要望しておきたいと思います。

3、生活困窮者の「絆」再生事業の充実について

<石坂議員>
 次に、生活困窮者の自立支援のための「絆」再生事業の充実についてお伺いします。
 あの東京日比谷公園での年末派遣村の取り組みがテレビの映像を通じて全国のお茶の間に届けられたのも、まだ記憶に新しいところですが、国は、従来のホームレス対策事業を平成21年度のリーマン・ショック以降、補助金事業から交付基金事業に変えて実施することとなり、23年度は105億円が予算計上されました。
 長野県でも一昨年12月に結成された反貧困ネットワーク信州に参加する県内各地のボランティア組織が、日常的に失業者や生活困窮者の相談・支援活動に取り組んできましたが、昨年11月県議会に提案された1箇所50万円、県内10箇所分の「絆」再生基金事業の交付金が、年末年始の相談・支援活動に活用され、大変喜ばれました。
 12月30日から1月3日まで、長野市ではJA長野県本部ビル南側広場と中部公民館などをお借りして取り組まれた「信州・年越しきずな村」では、参加したボランティアは述べ200名、相談者は、開会を待っていた野宿者2名をはじめのべ20名で、中には何日ぶりかで暖かい食べ物を口にすることができたと喜ぶ相談者もいて、居場所や食糧の確保ができていて本当に良かったと思います。
 JA長野からの栄村産コシヒカリ185キロを始め、多くの方々から食糧、衣類、生活用品などの提供があり、支援物資は80名を越える生活困窮者にお渡しすることができました。
 相談会では、弁護士、ケースワーカー、議員をはじめとするスタッフが対応し、野宿していた方は生活保護の申請をし、支援物資とともに生活再建に向けて新しい生活に移ることができました。松本から泊まるところが無いと来られた方たちは、年末年始をきずな村で過ごし、県のパーソナルサポート事業につながりました。この「年越しきずな村」で過ごす中で、相談者の皆さんは、お互いの身の上話や悩みを語り合い、共有し、相手を思いやる温かい連帯が生まれた「きずな村」でした。
 そこで、この「絆」再生事業が補助金事業ではなく、基金事業であるという特徴を実際の支援活動に生かし、生活困窮者の自立支援という事業目的に添うものである限り、この基金を使えるという、さらに使い勝手の良い基金として充実していただくように求めたいと思います。
 例えば、緊急避難用シェルターの借り上げ費用ですが、本当に緊急避難用にビジネス・ホテルなどを借り上げる費用、あるいは、急に利用者が出ることに対応できるよう、利用者がいる、いないに関わらずアパートなどを常時借り上げる費用などが必要です。
  また、先ほど紹介しました「信州・年越しきずな村」を支えたボランティアの皆さんは、もちろん手弁当ですが、中には相談者の健康チェックを行なう医療スタッフを始め、休暇をとって参加した皆さんも多くおられ、せめて交通費や相談者と懇談しながらの炊き出し費用は、事業の中での必要経費として認めていただけるのではないでしょうか。その意味で、相談者の皆さんへの炊き出しの経費も、食事を提供しながら、健康相談、生活相談などを行ない、相談者を福祉事務所などにつなぐなどの自立支援のとりくみの一環としての位置づけができるのではないでしょうか。
 シェルターの確保、ボランティアの経費、炊き出し費用などを事業目的に添う必要経費として補助対象経費に加え、「絆」再生事業のいっそうの充実をはかっていただきたいと思いますがいかがでしょうか。健康福祉部長にお伺いします。

<健康福祉部長>
 生活困窮者の「絆」再生事業の充実についてお答えします。
 こちらの生活困窮者の「絆」再生事業でございますけれども、NPO等の民間団体が実施主体となりまして、生活困窮者の総合相談とか居場所づくりを行なう等生活の自立に向けた支援を行なうものでございます。本件の補助対象経費についての考え方につきましてですが、一時宿泊所いわゆるシェルターでございますけれども、この確保はこの事業では補助対象外としておりますけれども客観的統一的な基準が必要でありますので、これは福祉事務所のほうで必要におうじてシェルターを確保して費用を負担するということで運用しておるところでございます。
 また、ボランティアの経費ということでございますけれども、他のボランティアの均衡を考慮して、いまのところ認めておりませんが、一方先ほどご指摘をいただきました医師等専門家への謝金ですとか、弁護士への謝金、あるいは巡回旅費、交流会の食費や開場使用料等は対象経費に認めている所でございます。
 さらに炊き出し費用につきましても、炊き出しとしては補助対象外なんですけれども対象が明確で、生活困窮者で、その方々への食事の提供ということについては補助対象に認めている所でございます。
 いずれにいたしましても今後ともできる限り弾力的な運用を心がけまして生活困窮者を支援する団体や個人の皆様のボランティア活動を支援してまいりたいと思っております。

<石坂議員>
 できる限り弾力的な運用とお答えいただきましたので、ぜひお願いしたいわけですけれども、2月8日に日本共産党県議団として厚労省の担当者にこの事業の事業目的と基金の支出目的がどういうものが合致するのかということにつきましてレクチャーを受けに行ってまいりました。そのときの厚労省の各担当者のお話では、たとえばボランティアと相談者を画然と分けるという形ではなくて、その相談事業全体の経費としては十分認められることがあるのでそういうくくりで支出をすることは差し支えないとそういうお答えもいただきました。
 いずれにしても実施主体になる県のご判断と位置づけが非常に重要になりますので、ぜひ現場の実情もいっそう把握していただきまして実際に生活困窮者の支援になる事業として充実をしていただくことを強くお願いをしておきたいと思います。よろしくお願いします。

4、県立4年制大学について

<石坂議員>
 最後に、長野県短期大学を改組して、新たに開設する県立四年制大学についてお伺いします。
 昨日までの質問と答弁のやり取りを通じて、改めて新年度に設置される準備委員会の果たす役割が重要になっていると思います。この準備委員会が、夏頃までに基本構想を策定するとされていますが、夏といいますと実質あと4、5ヶ月しかありません。どのような手順で取りまとめていくのでしょうか。また、現在、県として、さまざまな課題の整理や庁内での検討をされているとお聞きしていますが、県として、準備委員会に「基本構想案」なるものを出されるのでしょうか。企画部長にお伺いします。
 また、この準備委員会に、どのような分野の委員を委嘱していくのかも大変重要です。今までの総務企画委員会での審議の中では、学長候補となる委員、また県短期大学の果たしてきた役割や歴史、今日にいたる経過を理解している委員がメンバーとなると答弁されています。委員構成はどのように考えているのでしょうか。
 県が委嘱し、今年1月に懇談したとされる顧問4名は全員男性ですが、昨日の鈴木議員への答弁の中でも、長野県短期大学が女子高等教育に果たしてきた役割が大きいことが述べられていましたし、現在の男女共同参画社会において、新たな県立4年制大学を検討するためには女性の視点も重要ではないかと考えます。女性委員の比率はどのように考えているのでしょうか。知事の見解をお伺いします。
 振り返ってみれば、この問題は、20年前の平成4年、県議会が請願を全会一致で採択したことに始まり、村井知事時代の包括外部監査でも、県短大の果たしてきた役割は評価しつつも、短大のままでは時代のニーズにこたえられなくなっている現状を打開し、四年制大学での存続を図るべきとの指摘も受け、「長野県短期大学の将来構想に関する検討委員会」での検討が重ねられてきたものです。検討委員会報告書の13ページには、「現在の長野県短期大学が担っている栄養学や幼児教育の分野は、県民の健康増進や福祉の向上、次世代育成に関わる重要な分野であるが、これらの分野の拡充発展を検討する場合には、県内大学の状況や社会のニーズを充分考慮すべきである」と述べられています。
 この報告書での提言も活かし、県立4年制大学が担うべき教育分野について、知事は、どのような構想を持っているのでしょうか。また、高校生が大学を選択するにあたっての条件の一つである「資格・免許の取得」も、大学の構想を検討する上で重要な要素と考えますが、知事の見解はいかがでしょうか。

<企画部長>
 県立4年制大学の基本構想の取りまとめについて質問を頂戴いたしました。
 4月に設置される準備委員会での議論がスムーズにすすみますよう現在庁内の県立大学検討会議で大学の運営体制をどうするか等々の課題整理を行っている所でございます。
 あわせましてグローバル人材の育成をめざす大学のトップの方々などに顧問を依頼しまして、めざすべき大学像について意見を伺っているところでございます。
 こういった検討状況等踏まえまして新たに設置する予定の設立準備室を中心に基本構想の論点を整理いたしまして、4月以降設立準備委員会でご議論いただきたいと考えております。決して余裕のある日程ではございません。約半年間集中的に検討を行ないまして、節目節目でパブリックコメントを実施しまして、県民のみなさんのご意見をお聞きしながら、また県議会とも意見交換をしながら精力的に基本構想の策定作業をすすめてまいりたいと考えております。

<阿部知事>
 大学の設立準備委員会のメンバーについてのご質問でございます。
 グローバル社会に対応できる知識技能を身につけたリーダー養成、そうしたことを実現する為に大学関係者、あるいは経済界の中から、大学設置について知見を持った方々の人選をすすめているという状況であります。
 女性委員のご指摘ありました。私としてもできるだけ配慮しなければいけないという風に思っておりますけれども、そうした分野に知見をお持ちの方がなかなか少ないなというふうに今の時点では感じております。
 しかしながら、できるだけ配慮をしていかなければいけないというふうに思っているところでありますので、そうした観点も十分念頭に置きながら人選を行なっていきたいと思っております。
 それから、教育分野であります。大学、社会、経済、文化の発展のために時代の要請に応えられる人材を育成していくということが重要だと思います。
 検討委員会の報告書では、地域が抱える問題解決のために企画立案ができる人材、あるいは企業経営に必要な専門知識、グローバルな時代を生きる幅広い視野や国際感覚をもった人材の育成が必要というふうにされているところでありまして、私も昨日ご答弁申しあげましたけれどもやはり地域の産業界にも貢献できる大学、あるいは街、県も地域の活性化とか地域課題に取り組んでいるわけでありますけれども、そういう活動にも貢献していただける大学、そういう視点も大事だと思っております。
 資格・免許の取得ということがご指摘にございましたけれども、この点におきましては高校生のニーズでありますとか、社会的な要請、さらには県内他の養成校の充足状況等を踏まえて検討していくことが必要だと考えております。

<石坂議員>
 企画部長にお伺いいたしますが、論点を整理して一定のものを取りまとめ4月早々に設立される準備委員会に提案していくということですので、もう3月ですので、その取りまとめたものは議会にも示していただけるのでしょうか。

<企画部長>
 いま検討会議でつめの作業を行なっておりますが、これからつくっていただく懇談会の中で、またご相談させていただきたいというふうに思います。

<石坂議員>
 女性の委員への配慮もぜひ知事にあらためて要望しておきますのでよろしくお願いしたいと思います。
昨日の鈴木議員の質問への答弁で、他県の新設の県立大学で長野県の参考になるところとして、企画部長は新潟県立大学と秋田国際大学をあげられました。現在、全国のほとんどの県立短大は県立四年制大学になっていますが、新潟県立大学も新潟県立女子短大を昇格させたものです。1月15日付の長野県民新聞に、この新潟県立大学の猪口孝学長のインタビューが掲載されていました。そのインタビューでは、「東京大学の年間予算は2000億円だが、新潟県立大学は12億円でやっている。しかもこれは人件費がほとんど。研究費の支出余裕はほとんど無いゆえ、文部科学省の科学研究費や、民間団体の研究補助の申請を強く奨励している。これらが評価され、学生の学力水準が上がれば、志願者も増えることになる。」と述べ、「日本中の80あまりの県立大学の予算を全部あわせても、東大の予算額にはたぶん届かない。しかし、東大のメリットは地方にほとんど感じられない。これからは県立大学の時代。地域に根ざして、世界にはばたく人材を育てていく。」と意気込みを新潟大学の学長は語っています。また、「新潟県立大学は、『地域に根ざし、世界に飛躍する』をキャッチフレーズに掲げている。公立大学は地域が母親であるから、地域との連携は当然強くなくてはならない。幼稚園教諭等の免許が取れる本学のこども学科や、管理栄養士等の免許が取れる健康栄養学科は、地域に根ざしている度合いが非常に高い。一方、国際地域学部は1年次にほとんど英語付けの学習を行なっている。現在新潟県で外国に直接投資している企業は全体の2%に過ぎないが、今後は外国とかかわりを持つ企業が飛躍的に増加しよう。その際、外国語ができ、コミュニケーション能力をもっている人材は必ず必要になってくる。」とも語られています。
 阿部知事は、提案説明の中で、「長野県の将来のためには人づくりが極めて重要であるとの思いから、新たな県立4年制大学を開設することを決断いたしました。」と述べています。新しい県立4年制大学が、地域に根ざし、世界に羽ばたく、長野県民の期待にこたえる大学となることを、私も心から願っています。
 この議会での議論も生かしていただき、また県民のみなさんの様々な声や要望も生かしてすばらしい4年生大学になることを心から願い、すべての質問を終わらせていただきます。