2011年6月定例会 7月1日  小林伸陽

 「原子力発電から撤退し自然エネルギーへの政策転換を求める意見書」提案説明

<小林県議>
  議第5号、原子力発電から撤退し、自然エネルギーへの政策転換を求める意見書の提案説明を行います。
 3月11日に発生した福島原発事故は福島県のみならず被害は全国に広がり、終息の見通しも無く国民生活に深刻な事態をもたらし続けています。
 我が国は広島・長崎で被爆を受け、放射能の恐ろしさを体験し非核三原則を国是としています。福島原発事故で原発の抱えている問題が次々と明らかになりました。数万年も厳重な管理が必要とされる。使用済み燃料は処理の対策が全く見通しも無く増え続け、青森県の六ヶ所村の貯蔵プール3000トンはすでに満杯です。浜岡原発では今も処理できない1500トンが保管され、全国の原発の使用済み燃料は今後さらに増え続け原発事故の危険性は際限も無く拡大されることは明らかです。事故が起こらなくても現在の科学では放射能は処理が出来ない未開の分野です。今回の福島原発の事故による放射能汚染地域は広範でその除染などの解決の見通しもありません。さらに汚染水が大量に発生し続けその処理もできず放射能汚染が拡大し続けています。長野県でも下水道の汚泥の処理すらできない事態が生まれています。結局、原発は現在の人間の能力ではいったん作れば使い終わったあとも処理できず、どんな対策をとっても安全な原発はあり得ません。
 ひとたび原発事故が起きればその周辺では人命の救出すら困難な悲惨な結果を生み出しています。地震がなくても日本の原発事故は90年以降に、大事故にならなかったものの国際原子力事象評価尺度で見ても17回もの事故が発生し、現在57基の原発があるが、定期点検や事故対策などで稼働しているのはわずか18基といわれる以上な事態が続いています。その上、日本列島は地震列島と言われるように、福島原発は地震による事故、浜岡原発は東海地震の震源域の真上にあり、地震予知連絡会では観測強化地域に設定しています。東海地震は今後30年以内にM8程度の地震発生確率は87%と報告されています。その上、東南海、南海と連動する巨大地震になる恐れも出ています。
 このたびの震災を機に、将来のエネルギーのあり方について国民の関心が高まり、世論調査では、原子力発電所の廃炉を求める声が8割を超えました。また、スイスやドイツでは既存の原子力発電所を段階的に廃止する方向であり、イタリアの国民投票では原子力発電再開反対が9割を超えるなど世界的にもエネルギー政策の大きな転換の動きになっています。国内でも原発を安全でクリーンエネルギーとして推進の役割を担ってきた佐藤福島県知事は県議会で「原子力に依存しない社会を目指すべきという思いに至った」として復興ビジョンに脱原発の基本理念を盛り込むことを表明しました。原発のある町、双葉町の町長はこれまでの原発推進を謝罪し脱原発を表明しています。東電の株主総会では南相馬市・白河市が原発撤退の議案に賛成しました。長野県議会でも臨時議会で浜岡原発の即時停止と原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換を全会一致で決議しました。連合などから提出された原発を見直し自然エネルギー転換の意見書は36市町村で採択されるなど原発からの撤退は県民的・国民的世論です。80%の国民の願いを早期に実現させることを目的とした意見書です。全員のご賛同をいただけるものと確信して提案説明とさせていただきます