2010年11月定例会  12月10日 小林伸陽

「平成21年度長野県一般会計及び特別会計決算の認定」に対する反対討論

 「平成21年度長野県一般会計及び特別会計決算の認定」に対する反対討論を行います。
 平成21年度一般会計決算額は9,106億円と、6年ぶりに9,000憶円台となるプラス決算となりました。その背景には国の経済対策に呼応し、6月以降4回にわたる1,232億円に及ぶ補正予算を組んだ事にあります。補正予算の7割は国庫支出金であり、もう一つの主な財源とした臨時財政対策債をはじめ減収補てん債、行政改革推進債など県債は564億円と過去最高の発行となりました。県債依存度が15・5%と、10年前の水準に戻ってしまった事は、はなはだ残念です。
 とりわけ臨時財政対策債は、地方交付税の振替として国から借金を押し付けられたものであり、国が後年度措置するとしていますが、元利償還金が基準財政需要額に算入されるというだけで、イコール交付税の増額どころか毎年減額され、あくまでも借金です。国に対して本来の姿である地方交付税での財源措置を求めるよう党県議団は一貫して求めてきました。県監査委員も「臨時財政対策債は実質地方交付税と同じ」というこれまでの記述を削除しました。阿部知事も今後出来る限り抑制するとの表明は歓迎します。 尚、国庫支出金は各種の臨時特例交付金として、その大半は2011年までの期限付きの基金を積み立てたものであります。

 県財政の主軸である県税が大幅に落ち込んだのは前年度に続き、世界同時不況の影響を受けての減収ですが、特に減収の84%を占めているのが、法人二税であり、二年前の半分以下となっています。東京商工リサーチの調査資料では、長野県はここ数年赤字法人率が約8割と全国トップ、もしくは2位という高水準で推移しており、長野県の経済は深刻な状況にあります。変動の激しい外需型への依存の見直しをはじめ、福祉、教育をはじめ、農業や林業、環境などの内需型への転換、県民への生活支援対策の充実による個人消費の拡大など、地域経済の再構築を求めたいと思います。

 このほか、党県議団は反対しましたが、福祉医療費給付事業での、1レプトあたり300円を500円に引き上げ、15億円もの県民負担を増やしたり、福祉大学校や看護専門学校などの入学審査料、授業料の引き上げで8千万円の負担増を押し付けるなど、行政としての役割を縮小する事業執行には賛成出来ません。

 又、歳出については、新型インフルエンザ対策や7,8月の豪雨災害復旧事業、中小企業融資制度資金目標の増額の補正を組むなど、評価を出来るものもありますが、平成21年度は職員組合との合意もないままに、全国唯一の人事院勧告の二倍という、県職員の期末手当の大幅削減が行われました。340億円もの地域経済への影響をもたらし、県内経済の冷え込みを助長することになるとして減額補正に反対した党県議団は、決算も認定できないものです。

 繰越明許費は492億2千万円となりましたが、このうち浅川ダム建設費は一年前の議会で承認された事業費17億円を、事実上年度内には執行できず、15億6200万円を繰り越すことになりました。本体工事発注の17億円もの計上は、先にダム建設ありきであったと指摘せざるを得ません。
 平成21年度は、県立5病院を一気に「地方独立行政法人化」にするための「病院機構評価委員会条例」と「機構定款」の制定を強行しました。予算措置はありませんでしたが、県政の問題点として改めて質しておきたいと思います。
このほか、障害者への就職支援については、相談件数が大きく増えているものの、就職できたのは7人で昨年の3分の1に落ち込んでいることなどから、更なる努力を求めるものです。

 以上平成21年度長野県一般会計並びに特別会計決算は認定できない旨申し上げ、反対の討論といたします。