2010年9月定例会   10月6日  和田あき子

議題5号 米価下落対策等の的確な実施を求める意見書(案)に対する賛成討論

  生産者米価の暴落に歯止めがかからないまま、2010年産の新米が市場に流通し始めました。全農長野は今年の「概算金」を1俵60キロ、銘柄で若干異なりますが昨年より1800円下がって1万円前後としています。米の生産費は1万6500円から1万8千円必要とされています。このまま、米価が暴落すれば米作りは続けられない事態です。生産者は「米を作って米が食えない」「今年の生産資材の支払いができない」状態です。

長野県の米の生産目標数量は約20万6千トン=約340万俵 このうち全農長野を通じて流通するのが3分の1として約115万俵。全農長野の米の概算金は昨年より1俵で1800円下がるので、約20億円の減収が生じます。これはあくまで1等米での試算です。県内経済への影響もかなり大きいです。生産者にとっては年々農業生産額が減少して、生産意欲が持てませんし、戸別所得補償でも不十分です。米価下落に歯止めをかけるため国は早急に対策を実施して欲しいと思います。

そもそも、ここまで米価が暴落した要因は主食用米の「過剰」とされていますが、政府公表の期末在庫から見て「過剰」は約40万トン程度とのことです。これはおもに全農はじめ民間で抱えているもので、政府備蓄米は過剰ではありません。しかも、40万トンは国民の消費量でみればわずか18日分です。気候変動で、お米がいつ不作になるか分かりません。今年も春先の低温や夏の高温で収量・品質とも落ちています。

政府は昨年産米の過剰米による米価の暴落の対策を講じないまま、放置してきたことが問題ではないでしょうか。

さらに、民主党政権が戸別所得補償制度導入を理由に、需給調整や価格調整には一切かかわらないという立場にあることが、今年の米価の暴落に拍車をかけています。JA全中によれば、現段階で価格対策のために過剰米40万トン買い入れにかかる費用は約850億円と試算しています。これに対して、昨年より2000円前後米価が下落したまま戸別所得補償で補てんした場合には2000億円から3000億円かかるとされています。

また、水田の利活用のために、転作作物として、加工米、飼料用米や大豆・麦の作付けにたいする所得補償の拡充も必要であると思います。しかし、戸別所得補償制度を今年度からモデル事業ではじめたにもかかわらず、農業予算は昨年度2兆5千億円に対し、今年度2兆4千億円と減額しています。農業を守り、食料自給率50%を目指すと目標をかかげても、これでは本当にやる気があるのかと思われます。このままの農業政策、農業予算では農民は農業は続けられません。

 

 よって、国においては米価の下落が続く現状を真摯に受け止め、米の過剰の対策や、麦・大豆等の生産促進、集落営農の促進、多様な担い手の育成等の政策を推進するよう求め、賛成討論とします。