2010年6月定例会 一般質問 6月22日 もうり栄子

  1. 緊急宿泊支援事業について
  2. 一級河川「塚間川」の溢水対策について
  3. 教職員の長期療養・休職問題について

1、 通所施設における緊急宿泊支援事業について

<毛利県議> 通所施設における「緊急宿泊支援事業」について健康福祉部長に伺います。
 平成19年に県が実施した高齢者実態調査によると居宅で介護している介護者が困っていることの第1に、心身の負担が大きい事が挙げられており、それらの皆さんが介護に必要な施設として一番必要としているものがショートステイです。気の抜けない毎日の介護の中で、疲れ切ってしまった時や、介護者が具合が悪くなったとき、また、急な出来事が起こるなどして、みてあげられなくなったとき、例え何日かでも預かってもらえれば、また、リフレッシュ出来て、余裕をもって見てあげる事が出来るのにということで、ショートステイへの要望は強いものがあります。

 しかし、常に予約や定員がいっぱいで必要なのに利用できないというダントツ一番がショートステイです。
 長野県推進してきた宅幼老所は県下400か所近くに広がり、全国でも進んだ県として注目を集めている事は大歓迎ですが、県単事業として緊急宿泊支援事業は、市町村との共同事業であり、市町村が実施しなければ使えないものになっています。ショートステイが足りなくて困っている中では大いに利用して頂きたい施策ですが、平成17年当初の15自治体からほぼ倍の28自治体に広がってきているとはいうものの、実施市町村はまだまだ少なく制度があっても使えないのが現状です。

 そこで、少なくとも宅幼老所が設置されている自治体はぜひ宿泊事業を実施していただくよう、あらためて関係市町村に制度をアピールして協力を求めて頂きたいと思いますがいかがですか。

 また、実施している市町村でも実際には介護者以外に家族がいればダメ、結婚式は事前に予定の決まっているものだから緊急とは言えないからダメと、ハードルが高く利用できない場合があります。さらに、1回あたりの限度額も4000円という事で、公費負担して頂ける額が低すぎる為、施設としては出来るだけ抑えても1万円以上かかり、差額は自費で頂くようになってしまうため、負担が大きくて使えないという実情もあるようです。
 そこで、ぜひ運用の改善や補助金を増額し、利用しやすい制度にして、せっかくの制度がもっと生かされるものにして頂きたいと思いますがいかがですか。

<桑島健康福祉部長> まず、緊急宿泊支援事業の実施市町村の拡充についてご質問いただきました。
 緊急宿泊支援事業は、介護者の急病等の緊急時において介護を要する高齢者の方に対して通所施設が宿泊サービスを提供し、宿泊に要する経費を市町村が助成した場合に県が補助を行う事業でして、平成17年に創設されました。現在は宅幼老所をはじめとして地域のデイサービスセンターを活用しながら実施されていますが、実施市町村は年々増加し、平成22年度は28市町村で実施される予定です。
 実施にあたっていくつか課題があるわけでございまして、この事業は障害者支援事業や子育て支援事業を含む県の地域福祉総合助成金交付事業のなかの1つのメニューですので予算の枠組みがありまして、予算上の制約がまずかかっています。
 また、受け入れ施設ということですので、宿泊にそなえまして、火災対策に万全を期すとともに、夜間も職員を配置するなど一定の態勢を整えていただく必要がございます。こうしたことが課題となってくるわけですが、在宅で介護等をされる家族にとって非常に重要な事業であるということはわたくしどもも認識いたしますので、事業のメリットや活用事例・成功事例の紹介を行いまして、できるだけ多くの市町村で実施していただけるよう努めてまいりたいと考えています。

 補助限度額を含めた事業の見直し等についてお尋ねをいただきました。
 事業の利用にあたっては地域の通所施設において緊急に宿泊サービスを提供するという事業の性格から、利用希望者はあらかじめ市町村に登録したうえで書面により施設と利用契約を締結していただくなど必要最小限の手続きを県の要領(ようりょう)で、その中で定めています。
 市町村にとっては地域の実情等から別途独自のルールを設けているところも聞いていますが、急病等による緊急時の支援事業という趣旨を踏まえて、できるだけ介護者の要望に沿った対応をしていただけるようにお願いをしていきたいと考えています。
 また、1回あたり4千円という補助限度額の見直しは、現時点において厳しい財政状況や市町村の負担の増加ということも勘案しながら慎重に検討させていただきたいと考えています。

老老介護にかかわって、つい先ごろも痛ましい心中事件も起こるというようなこともあった矢先でもありまして、ぜひ介護者のご要望にしっかり応えていただけるような形で、市町村への協力を求めていただきたいと思います。

2、 一級河川「塚間川」の溢水対策について

<毛利県議> 一級河川「塚間川」の溢水対策について建設部長に伺います。
 岡谷市の中心部を流れる一級河川「塚間川」は氾濫に苦しめられてきましたが、1987年に市役所から諏訪湖までの延長1739メートル区間が激甚災害特別緊急事業によって全面改修されました。

 したがって市役所下流については水害が発生していません。しかし、未改修部分の上流部は近年、ゲリラ豪雨のたびに溢水を繰り返し、年に3〜4回は河川が氾濫し、道路が川になり、近隣家屋が浸水してひどい時には腰までつかり、消防関係者が出動し、水防活動を行なう水害常習地帯になっています。
 浅川の100年確率どころか、塚間川は3カ月確率の水害に見舞われ、関係者からは1日も早い抜本的な対策が急務と切望されています。
 とくに溢水のひどい神明町2丁目付近と岡谷工業高校グランド南の事業所付近は諏訪建設事務所で応急的に50センチほど護岸のかさ上げをしたり、クランク状態の河川を斜めに変更したり、また商工会議所付近は河床の掘り下げなどを行なって対応して頂いておりますが、大量の雨が一気に降れば、それでも水があふれてしまいます。

 今年も梅雨どきを迎え近隣住民の皆さんは不安をつのらせています。抜本的な対策がどうしても必要と思われますが、県として工法の検討も含め、どのような対策を考えているのか伺います。

 家屋の連譚する地域でもあることから長い年月をかけて抜本改修をして行くという対応では実情にあいません。応急的な措置とともに、調整池などの流出抑制や部分的な改修を検討することがどうしても必要だと思いますが、総合治水対策としてどのような検討がされているのでしょうか。

<入江建設部長> 塚間川の溢水対策に関するお尋ねでございます。
 塚間川は岡谷市の中心市街地を流れる河川であり、豪雨時には上流の山地から一気に水が流出するため、中下流域の住宅密集地域において近年たびたび浸水被害が発生しており、地域から治水対策を強く求められております。
 県ではこれまでに昭和56年7月豪雨による大規模な浸水被害を契機に、同年から昭和60年までの5年間で、諏訪湖から岡谷市役所までの約1・5キロメートル区間について、治水安全度100の1に対応した改修事業を実施しました。
 この改修済み区間の上流の人家連たん区間で発生していることから、県としても何らかの対策が必要と認識していますが、抜本的な対策実施には相当な費用と時間を要します。
 このため当面の対策としてとくに流下能力が低く浸水被害が発生している個所について、暫定的なコンクリート護岸のかさあげ工事を昨年度から実施しています。

 続きまして、流出抑制にかんするお尋ねです。
 塚間川のような都市化が進行した流域では都市化による流出量の増大、低平地への人家の集積、市街地での河道拡幅の困難などにより通常の河川改修のみでは十分な対応が出来ない状況にあります。
 このため、塚間川においては河川改修と合わせ、開発に伴う調整池の設置、各戸や公的施設での雨水貯留および洪水ハザードマップなどの防災情報の提供など岡谷市や地域住民と連携した総合治水を推進することが重要です。
 現在県では、貯留浸透施設等の整備により、塚間川の治水安全度の向上を図ることとし、昨年度から流域にある公園や小中高等学校の校庭に雨水を貯留する流域貯留浸透事業に着手したところです。この事業により今年度は、岡谷市立神明小学校の校庭に雨水をためられるよう工事を実施する予定です。

<毛利県議> 応急対策と全体的な総合治水ということでいろいろ考えていただいていることはぜひ実施していただきたいと思うわけですが、実施している貯留浸透の関係ですけれども、ある施設に降ったものを流出させないために校庭やあるいは公園の中で処理をするというもので、全然効果がないというふうには申し上げませんけど、今ゲリラ豪雨に対応していくにはなかなか十分とはいえないものがあります。
 そこで、大川も市街地を流れる一級河川でありましたが、ここに遊水地ということで5000トンクラスの水をためる施設を作ることによって一定の緩和はできておりますので、ぜひそれらと組み合わせた形で調整池をとりあえず実施していってほしいと思いますが、その考えについてのご答弁をお願いしたいと思います。雨が降れば心配で夜も眠れないということで土嚢や遮へいの鉄板などで浸水を防衛している住民の方もおられます。
 ものすごいエネルギーをもって溢れてくる水と格闘し事故につながらない保障はありません。
一日も早い対策を求めます。

 続いて環境部長伺います。家屋が密集している地域の特性もあり、各戸貯留が一定の効果をもたらすのではないかと考えますが、近年そうした考え方がトーンダウンしている事は気がかりです。

 なんでも川に閉じ込めようとする考え方には予想しないゲリラ豪雨が襲う近年の気象状況では限界もあるので、各戸貯留についても研究して普及をしてほしいと思いますがいかがですか。
 こうした対応は粘り強く絶え間ない広報が大事であり、かつて浅川流域では普及の為に県の助成制度を設けていた時期もありましたが、環境問題が大きくクローズアップされてきているいまだからこそ、全県下対象に助成制度を復活してほしいと思いますがいかがでしょうか。

<入江建設部長> 調節池の設置に関するお尋ねでございます。
議員ご指摘の通り、現在、塚間川の支川である大川について、改修事業と洪水調節池を組み合わせた改修事業を県で実施しているところでございます。
塚間川の調節池については、適地があるか、効果があるかなども含めて今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。

<和田環境部長> 雨水貯留施設へのお尋ねでございます。
 県では平成16年度から18年度までの3年間、浅川流域におきまして雨水貯留施設を設置する住民に対して市町村の助成に上乗せして補助を行いまして、その結果モデル的事業として一定の普及が図られたところです。
 現在県内では長野市や岡谷市を始め8つの市や町において助成を行っておりまして、雨水貯留施設の設置を推進しているところでございます。
また国ですが、平成11年度から住民に助成を行う市町村に対して補助を行っておりまして、長野市と飯田市がこの支援事業を活用しているところでございます。
 この国の補助金については本年度、新たに創設された社会資本整備総合交付金に引き継がれまして、市町村の裁量が拡大されるなど使い勝手も良くなっております。
 県としては、こうした貯留施設は、雨水の流出抑制やあるいは水資源の有効利用につながるものと考えていますので、市町村への情報提供や事業実施に向けた助言等の支援を引き続き行ってまいりたいと考えております。

3、 教職員の長期療養・休職問題について

<毛利県議> 教職員の長期療養・休職問題について教育長に伺います。
 県内の教職員の長期療養・休職者は少しずつ増える傾向にあり、県教委の学校保健統計によると、08年度の在籍人数に占める疾病異常者数の割合は31.6%と前年の21.4%を大きく上回り、なかでも長期療養・休暇をとっている教職員は、ほぼ60人に一人の割合となっています。
 この数はたとえて言えば、議場にいる県会議員の中で常に一人が療休・休職しているということですから、大変な数字です。

 先生方が心身共に健康であってこそ児童生徒に明るく元気で接することができ、教育効果も発揮できることを考えれば現状は憂慮すべき事態と言わざるをえません。
 厚生労働省は平成18年3月31日、「事業場が積極的に労働者の心の健康の保持増進を図ることが重要な課題になっている」と「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を示しました。

 09年、県教組の職場・勤務実態調査によるとストレスに感じていることの1番は「教材研究が時間内にできない」、2番は「勤務時間内に仕事や会議が終わらない」、3番が「学級づくり・生徒指導上の悩み」となっています。
 その様ななかで、長期療養休暇・休職者の半数以上が精神系疾患となっており、休職者だけでみると実に76.6%が精神系疾患となっています。その割合は07年以降急増しており深刻な事態です。

 そこで、教職員の長期療養・休職者が増えている原因、なかでも精神疾患の占める割合が多く、急増している原因を県教委としてはどのように分析をしているのか伺います。

 06年に「学校保健法」が改正され、すべての事業所に対して「職場衛生委員会か、それに代わるもの」を設置することや管理者が職員の勤務実態を把握し月100時間を超える勤務をしている職員に対して医師の面接指導を受けさせること等が義務づけられました。
と同時に「労働安全衛生法」の適用を受け、教職員の日常の健康管理や労働実態の改善にかかわっては、産業医の果たす役割も重要ですが、具体的な対応は遅れています。

 50人以上の教職員のいる職場の衛生委員会設置率は100%、教職員49人以下の意見を聞く機会を含む職場の場合には60.4%となっていますが、設置そのものも完全とはいえないうえに、委員会の開催率が半数以下となっており、長時間過密労働を始め教職員の健康を守るための組織的な話し合いが十分されているかどうかが問題になるとおもいます。

現状はどうなっているのか教育長の所見を伺います。合わせて、精神疾患患者に対するケアや精神疾患にならないようにするためにどのような手立てが講じられているのか伺います。

<山口教育長> 教職員の長期療養休暇、休職者の増えている原因についてのお尋ねでございます。
 まずこの5年間、あるいは10年の幅をとって教職員の長期療養休暇、休職者の総数についてみますと、総数そのものはほぼよこばいで推移していますが、精神疾患については議員ご指摘の通りたしかに増加傾向にありまして、平成12年には休職者、長期療休者に占める精神疾患の割合が28・9%でしたが、昨年21年度におきましては53・3%と、休養者、長期療休者に占める精神疾患の比率が大変高くなっています。大変深刻に受け止めております。
 まず精神疾患が多い要因については、業務の多忙化、あるいは多様化にともなうストレスの増大などが一般的に考えられますが、職場環境、児童生徒や保護者との関係に加えまして、個人的な事情も複合的に重なっており、一概にその要因を特定することは難しいものと認識しております。
 つぎに安全衛生委員会につきましては、長野県内の公立学校、教育機関のうち、設置が定められているすべての組織で設置され、健康診断の受診奨励や長時間勤務の解消対策などさまざまな取り組みが行われていますけれども、開催回数や内容などについて課題もございます。
 引き続き、安全衛生委員会の活性に向けた研修会の開催等、各所属における安全衛生委員会のいっそうの機能発揮に向けた取り組みを支援してまいります。

 つづいて、精神疾患患者へのケア、および、精神疾患にならないようにするための対策、いわゆる予防策についてのお尋ねでございます。
 まず、精神疾患により長期療養休暇、休職へといたった教職員に対しましては、医療機関における専門ケアを中心に休職者の中で復職を希望する教職員に対し、職場復帰訓練を実施し、早期の復職に向けた取り組みを支援しております。

 つぎに予防策についてでございますけれども、セルフケア、ラインケア、スタッフケア、専門家によるケアの4段階でさまざまな施策を実施しております。
まずセルフケアとしては、個々の教職員につきまして、精神疾患の原因となるストレスの正確な知識と対処法の習得をめざし、多様な啓発活動をおこなっております。
 特に、精神的疲労を感じやすい年代を対象にライフステージ別メンタルヘルス研修会を実施しております。

 つぎにラインケアとしては、管理監督者に必要な精神的不調者への気づきと対応力の向上、快適な職場環境の形成能力の育成を図るため、従来も校長会等の管理職研修におきましてこのテーマで研修をしてまいりましたけれども、本年度からは専門家を迎えて管理監督者メンタルヘルス研修会として単独実施することとしました。
 さらにスタッフケアおよび、専門家によるケアとしましては、保健厚生課、保健師による面談、電話相談や共済本部や専門事業者による各種相談事業、共済直営病院によるメンタルヘルス相談事業にくわえ、一定の勤務時間を超過した職員等に対する医師の面接指導を実施しております。
 学校教育におきましては教職員一人一人が心身ともに健康で日々の職務に従事できることが何よりも重要であることから、県教育委員会としては、引き続き全力でこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。

<毛利県議> 教育長のほうからは、業務の多忙化、多様化、また生徒指導の問題等もあって、それに個人的な事情も複合的に重なっているから特定は困難というふうなご答弁がありました。たしかにいろいろ要素が重なっていることは事実かと思いますけれども、私の知人が60歳になりまして学校を定年になって辞められたんですけれども、彼女は非常に健康な方ですが、その彼女が学校をようやく定年になって発した言葉が、本当に毎日毎日何かに追われて、あれもやらなければこれもやらなければ、子どもに対しては早くやってくれ、あれもやってくれということで、何かに追われている感じで毎日を過ごしていたと、朝が来るのがこんなに楽しいと思うことはなかったと、お天道様の光がこんなに嬉しいということは40年の教員生活のなかで初めて知ったと言っているわけで、そういう感想にも象徴されるように、本当に学校の職場が多忙化しているということが一番の根源になっていると私は思います。
 そして義務教育の職場では、3年連続で1カ月の超過勤務時間が過労死ラインの80時間を超えていることは大きな問題です。
 学校現場は忙しい上に、近年の格差と貧困の広がりで、児童生徒を取り巻く環境がいっそう悪化しておりまして、生徒指導の困難性は増しています。
 解決のカギは県高教組の「時間外労働・週休日労働チェック」の取り組み結果でも3割のみなさんが有効策として「教員定数増」をあげており、関連して「少人数学級の実現」をあげていることからも言えるように正規の教員をいかに増やし、一人当たりの負担をいかに軽くするかにかかっていると思います。
 単なる教職員の待遇改善というにとどまらない、長野県教育の復権と児童生徒の教育権保障がかけられているこの問題で、教育長の明快な見解と解決のための決意をうかがいます。
 あわせて、長時間過密労働で疲弊している教職員にさらに追い打ちをかけるような、職場における管理体制の強化やパワハラ等の問題はないか伺います。

<山口教育長> 多忙化、正規の職員に関するお尋ねについて申し上げたいと思います。
 平成18年に文部科学省で教員勤務実態調査が行われまして、教員1人当たり、一日2時間の時間外勤務実態があると調査結果が報告されました。
 これは40年ほど前の調査と比べまして4倍ほどの時間増となっていまして、内容的には、事務的な業務、生徒指導、補習、部活動指導等、こういったところに要する時間が大幅に増加したという報告でございます。本県におきましても同様の傾向と考えております。
 また、非常に教育ニーズが多様化したり生徒が多様化するという実態のなかで、多様な児童生徒に対する、それぞれ個に応じた対応、これは非常に時間がかかる。あるいは保護者や社会からの多様かつ複雑化した要請が学校に寄せられる、こういった対応などが増えておりまして教職員の業務の今までとは違った質的な変化も生じていると考えております。
 こういった教職員業務の量的、質的な変化が教職員の精神疾患の背景の1つとしてあると受け止めておるところでございます。
 こういったものに対して、教職員が児童生徒に向き合うという形の一つの方法として、正規職員を増やすというお尋ねです。
 わたしどもも、この問題については強い問題意識を持っておりまして、生徒指導や授業以外の事務的な業務等で教員の負担が増加していること、これを精選出来るものは精選しなければいけないという観点から、会議や行事の見直し、あるいは提出文書や書類の削減等、子どもと向き合う時間の確保や時間外勤務縮減につきまして提言し、教育関係諸団体と連携しながら取り組んでおります。
 また、これまでも正規職員の増員について国に要望するとともに小学校30人規模学級編成や不登校児童生徒支援等、活用方法選択型教員配置事業におきまして、正規教員や常勤講師の加配にも努めてきております。
 現在国におきまして8月までに結論を得るべく定数改善について検討しておりますので県としてはその動向も注視してまいりたいと考えております。

 最後にパワハラについてのお尋ねでございました。
 精神疾患の発病は、さっきも申しあげたとおり、多様な原因が複合的に関係していると考えております。最近の事例においていわゆるパワハラが原因となった事例が承知しておりません。

<毛利県議> 教育長の方から、国の定数改善の行方を注視するというお話でございましたが、今ご答弁を伺っておりまして、最後に教育委員長にお尋ねします。
長野県の不登校率の多さということが問題視されまして、県教委は自ら努力すべき問題を市町村に転嫁して郡市別の不登校の状況を公表しながら対策を探ろうとしていることには問題があるのではないかと思っているところです。研究者や現場の教職員のなかには、不登校と教師の多忙化には関連性があると唱える方もいらっしゃいます。私もゆとりのない学校には少なからず児童生徒に好ましくない影響を与えていると思いますし、そういう中で中教審が30年ぶりに公立の小中学校の学級定員を35人以下に引き下げようとして実現の可能性が広がっていることは歓迎します。
そこで学級定数の引き下げと教職員の多忙化の解消について、関連性について教育委員長の見解を伺い、あわせて、国への実現を迫ってほしいと思いますがいかがでしょうか。以上を申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。

<矢崎教育委員長> 郡市別の不登校率を公表しましたことは、基本的に担任の先生や校長先生により圧力をかけるということでは全くないわけでありまして、むしろ、不登校の問題を地域で考えていく、不登校の問題を市町村全体で考えていく、そういう体制を作っていただくために申し上げたわけでありまして、現実にその後の状況を見てみますと、市町村長が不登校の問題を本気で考える、それなりの予算の手当てをしていく、そういう方向で動いている、そのことはそれぞれお調べいただければわかるだろうと思います。
 少人数教育と不登校の関連性は全然ないとは申しあげませんが、郡市別で一つ一つみていただきますと、生徒数の多い市と生徒数が少ない郡部と、明らかに市部が多くて郡部が少ないということはありません。不登校は少人数規模でやれているはずのところでも不登校の問題は依然としてある。このことからも、地域全体で考えていかなければいけない、そのように考えているわけですが、しかし、手が多くなるほど見る側にとりましては余裕が出てくることは間違いがないわけですから、国にもそのことについては要望していきますし、また、そういう方向で検討してまいりたいと考えております。