2010年2月定例会   3月3日 和田あき子

 選択的夫婦別姓制度導入のための民法改正に慎重な対応を求める意見書(案) 反対討論

<和田県議>
 法務省は、夫婦が別姓、同姓を選べるいわゆる選択的夫婦別姓制度の導入を柱とする民法改正案の今国会提出に向けた準備を進めています。男女共同参画の立場からも、国連女性差別撤廃の観点からも当然のことであり、民法改正を心から望んでいる多くの女性の立場から、慎重な対応を求める意見書(案)に反対の立場で討論を行います。
 希望すれば夫婦が違う姓を名乗れる選択的夫婦別姓はすでに世界の流れとなっています。男女共同参画会議の「選択的夫婦別氏制度に関する審議の中間まとめ」(2001年)も、日本以外の「主要な先進諸国において、夫婦同氏を強制する国は見られない」と認めています。その後、妻の姓を名乗れなかったトルコやタイで、法改正をしています。
 日本は、妻の96パーセントが夫の姓に変えています。改姓により「自分でないようで苦痛」「同一人物と思われず仕事の機会を失った」などの不利益を被ることがあります。一定の職場で旧姓使用は認められてきたものの、パスポートや免許証などは戸籍名が原則で、不便さや不利益は続いています。改姓を避けて事実婚をすれば、相続権はなく、子どもは婚外子となります。人権を尊重し、男性も女性も自立した人格、平等な立場が保障されてこそ夫婦、家族の絆が強まり、確かなものになるのではないでしょうか。
 日本共産党は、個人の尊厳と男女平等の立場から、他党に先駆けて1987年に「女性の地位向上のために国内行動計画についての申し入れ」で選択的夫婦別姓の導入を政府に求めました。97年の民法改正案大綱にも盛り込み、98年からは他の野党とも共同で民法改正案を国会に繰り返し提出しています。

 国連女性差別撤廃条約は、姓の選択について夫と妻に同一の個人的権利を保障すべきだとしています。国際機関は日本政府に民法の男女差別的な条項を見直すよう何度も勧告しています。2009年8月には女性差別撤廃委員会が、政府のとりくみが不十分なことは「遺憾」だとし、早急に対策を講じ2年以内に報告するよう政府に求めています。
 法務省法制審議会は96年に選択的夫婦別姓の導入を答申しました。14年もたつのに実現しないのは、政界の中枢に戦前の社会を理想とする人々がいて「家族の一体感を損なう」と反対したからです。政権が変わり千葉法務大臣らが改正に意欲を見せています。

 そもそも、憲法第24条は、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」という憲法の精神を具体化すれば、選択的夫婦別姓制度導入は当然と言えるのではないでしょうか。
 また、この法案が成立しても夫婦別姓が強制されるわけではなく、「希望すれば別姓も可能」という選択の自由が正式に認められるだけであり、意見書にはこの点の不理解があるように思えてなりません。

 以上、申し上げまして、選択的夫婦別姓制度導入のための民法改正に慎重な対応を求める意見書(案)に反対討論といたします。