2010年2月定例会   3月3日 高村京子

 永住外国人への地方参政権付与の法制化に慎重な対応を求める意見書(案)反対討論

<高村県議>
 永住外国人への地方参政権付与の法制化に慎重な対応を求める意見書案に反対の討論を致します。
 政府・与党が今通常国会に永住外国人に対し、地方参政権を付与する法案の提出に向けた動きがあることを歓迎します。現在、日本には、91万人を超える永住外国人がいます。地方政治は本来、すべての住民の要求に応え、住民に奉仕するために、住民自身の参加によって進められなければなりません。外国籍であっても、わが国の地方自治体で住民として生活し、納税をはじめとする一定の義務をおっています。このような人々が、住民自治の担い手となることは、憲法が保障する地方自治の根本精神とも合致するものです。最高裁でも、永住外国人に地方参政権を保障することは「憲法上禁止されているものではない」との判決を1995年2月に下しています。
 滋賀県議会では、2008年の10月に「人権の国際化が叫ばれている今日、永住外国人は、既に地域社会の重要な構成員となって活躍し、納税義務を負っているにもかかわらず、社会保障や選挙権で、同等とはいえない。地域住民として日常生活にかかわりの深い地方参政権の早期確立に向けた立法措置を講じられるよう強く要望する」との意見書を提出しています。
 長野県議会でも、既に1994年の12月県議会定例会において「永住外国人は、地域社会の一員としての役割を十分担うとともに、我が国の社会、文化、経済等の多くの分野で活躍している。住民生活にかかわりの深い地方政治に参加する機会が認められず、地域社会の発展に積極的役割に寄与できない」として「定住外国人の地方参政権確立に関する意見書」を可決し、政府の積極的取り組みを要請しました。
 また、昨年12月の本県議会においても付与を認めないよう求める陳情を否決した経過があり、3ヶ月も経たないうちに、趣旨を覆す内容の意見書を提出することは、県民的にも納得が得られないことと考えます。

 世界では、EUの12カ国をはじめノルウェー、アイスランド、ロシア、ニュージーランド、韓国、チリなど22の国々で実施されており、さらに多くの国々で永住外国人の地方参政権付与に向けた検討が行われています。
 意見書(案)では「憲法上の疑義がある」としていますが、憲法が規定しているのは、第43条一項で「両議院は全国民を代表する選挙された議員で組織する」とし、国政の参政権は日本国籍に限っています。今回の意見書案は、地方参政権について論じており、地方自治の精神は住民自治を基本としており、国籍は母国に残したままでも、地域住民として地域社会の構成員として地方政治に参加することを保障することは、憲法上からも認められていると解釈でき、世界の人々に開かれた民主的国家としての地位を築くためにも寄与することと考えます。

 以上、永住外国人の地方参政権の付与は、今日早急に実現すべきものとの立場から、今回の意見書(案)には反対の立場を表明し討論とします。