2010年2月定例会   3月3日 びぜん光正

後期高齢者医療制度の廃止及び保険料の負担軽減を求める意見書(案)提案説明

<びぜん県議>
 後期高齢者医療制度が開始されてほぼ2年が経過しようとしています。この制度については導入当初から75歳以上の高齢者を他の保険から切り離し、その保険料は年金から天引きされ、高齢者への負担増や低所得者への配慮も不十分であるとともに、受けられる医療にも制限が加えられるなど大問題になっていました。そして昨年参議院では当時野党の4党提案で、この4月に廃止する議案が議決され、さらには夏の総選挙での政権の交代でも大きな争点となり、総選挙後、厚生労働大臣も即時廃止を表明しました。しかしその後、厚生労働大臣は「現場が混乱する」という前政権と同じ理由で4年先伸ばしと一転してしまいました。
 同制度では2年ごとに保険料が改定され、医療費と75歳以上の人口増加に伴って際限なく上がる仕組みで、政府は「昨年10月に何も手立てを講じなければ全国平均で14%保険料が上がる」と説明し、そして運営する各都道府県の広域連合に対し、2008年度から2009年度の保険財政収支の剰余金や、保険料収納額の不足などに備えた財政安定化基金を使って値上げを抑制するよう呼び掛けるとともに、「国庫補助を行うことを検討する」と昨年10月には事務連絡していました。
 ところがこの言明を反古にして政府が国庫補助を行わなかったために剰余金などを使っても2月末時点で20都道府県が保険料を大幅に上げることが判明しています。長野県は改定率4.9%と上昇率では全国7番目で年平均2,253円上がることになってしまいました。

 長引く景気低迷の影響で国民生活がいっそう厳しい中において、少ない年金で暮らす高齢者にとって医療費の負担増は耐え難く、状況はいっそう深刻になっています。すでに高い保険料負担のために滞納に陥って保険証を取り上げられ、有効期限を縮めた短期保険証を発行された高齢者は全国で28,000人を突破しています。期限が切れて次の保険証が発行されなければ無保険状態になり、医療を受ける権利の侵害にもつながりかねず、日本の健康長寿の後退は必至であります。政府がこのような状況に十分な対策を講じず、公約である同制度の廃止も先延ばしをしていることは、国民の期待を裏切るものであると言わざるを得ません。

 よって本意見書(案)は国において後期高齢者医療制度の廃止を速やかに行うとともに、それまでの間は国庫補助金等の予算措置を講じることにより、この4月からの負担の軽減を行うよう国に求めるよう提案するものです。長寿県長野と呼ばれる長野の議場の皆様におかれましては、「健康に老いる」という願いの、このような実態をふまえられ、ご賛同いただきますよう訴え提案説明とします。